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以下のファイルには軽度の記号災害semiohazardが含まれています。
宇宙が話すことに、例え意味がなくとも真実であることを受け入れなければならないことを理解して、読み進めてください。1足す1は 必ずしも2に等しいとは限らないのですから。 貴方の指を広げた先に見える色です。
| 配属部門 | 計画指導者 |
|---|---|
| 日本支部 | 日本支部理事会 |
| 配属サイト | 研究責任者 |
| 研究収容サイト-8122, 35, 89 | 雅灯博士、染管理官 |
特別収容プロトコル
SCP-2921-JPの症状に近似した言動をする人物を発見するため、日本全国の潜入エージェントは最大限の注意を払って行動してください。サイト81管区内に所属している20代から30代前半の職員はSCP-2921-JPへの変貌を防止するため精神安定剤を定期的に投与してください。勾留したSCP-2921-JP実体は隔離措置によるインタビューの後植生型人型収容チェンバーへと収容されます。
説明
SCP-2921-JPは全身の構成物質が樹木に酷似したそれに置換された人間、およびその置換現象の総称です。SCP-2921-JPの外見は一般的に桜の樹木に相当するものになり、全長は非異常性の人間の頃と同じ程度、体重は樹木の大きさに準じた数値に変化します。また咲き具合は個体差がありますが、葉桜や幹のみの個体は確認できていません。
SCP-2921-JPに曝露する人間(以下曝露者と呼称)の特徴はこれまでの傾向データより確定レベルまで絞り込めており、
- 10代と20代全般の「若者」が殆どであり、約1%以下ではあるが30代以降の人間にも見受けられる。
- 日本人、もしくは日本に長年居住しているような日本の文化に深く触れている人間。
- 意識の混濁、呂律の麻痺などが目立つ。
などが散見されます。
SCP-2921-JPは基本的に日本語による意思疎通が可能であり、会話が原因である新たなSCP-2921-JPへの曝露は現時点では確認されてません。SCP-2921-JPは曝露前の性格に関わらず「芝居がかった」「夢遊病者のような」と一般的に表現されるような言動で積極的なコミュニケーションを求めます。
補遺-1/インタビュー記録
日付: 2022/04/04
質問者: 雅灯博士
対象: SCP-2921-JP-9
追記: SCP-2921-JP-9個体はそれまで発見されたSCP-2921-JPの中で最も意思疎通が行いやすい個体であると判断されました。曝露前の素性は「糧西木 祥太」23歳、神奈川県在住のサラリーマンです。
インタビュー開始
雅灯博士: それでは、インタビューを始めます。
SCP-2921-JP-9: ああ、そうですね。にしてもインタビューか。[薄く笑う]なんかうきうきしてしまいますね。自分が特別な人間になったみたい。
雅灯博士: あなたはいつからそのような体になったのですか。
SCP-2921-JP-9: 多分夜です。だあれもいない道の街灯が綺麗でした。仕事でミスしちゃって家に帰りたくないなって思ってました。こんな季節なのに街灯に羽虫が集まっていて、ぼんやりと死にたいなって思いました。
雅灯博士: あの、夜だけでなく具体的な日時なども教えてください。
SCP-2921-JP-9: なんか、別にミスしたからってわけじゃないんですけど昔からそう思っちゃうんですよね。ハッキリと鋭く「自分なんて死んじゃえばいいんだー」みたいな感じじゃなくて、ここで死ねばいいのかなみたいな薄く頭に広がっている感じが。あの夜はそれが特に強かったなあ。
雅灯博士: すいません、こちらの質問は理解していますか?
SCP-2921-JP-9: そしたら目の前に大きな手が見えたんです。こっちにおいでって手招きしているみたいで、ああこの手は自分の死にたいなって感覚が形になったんだなって思いました。じゃあ別について行ってもいいなあって思ったら自分は花が咲いていたんです。綺麗な…ソメイヨシノなのかな、これ。
雅灯博士: これ以上の続行は困難だと判断しました。インタビューを中断します。
SCP-2921-JP-9: ああ、思い出した。
雅灯博士: はい?
SCP-2921-JP-9: あの手も、桜と同じPINK.STREET LIGHTでした。目が覚めるみたいに。
インタビュー中断
インタビュー後にSCP-2921-JP-9の血液採取による検査を実施したところ、複数の麻薬成分が確認されました。
日付: 2022/04/12
質問者: 雅灯博士
対象: SCP-2921-JP-14
追記: SCP-2921-JP-14個体はそれまで発見されたSCP-2921-JPの中で最も意思疎通が行いやすい個体であると判断されました。曝露前の素性は「小高 有」19歳、千葉県在住の大学生です。
インタビュー開始
雅灯博士: それでは、インタビューを始めます。
SCP-2921-JP-14: はい。[10秒沈黙]よろしくお願いいたします。
雅灯博士: あなたの体は桜の木で構成されているように見えるのですが、何かそうなった心当たりなどはありますか?
SCP-2921-JP-14: あー、[14秒沈黙]綺麗に咲いて、そのまま終わりたいからだと思います。
雅灯博士: なるほど?
SCP-2921-JP-14: ぼんやり考えてるんです、時々。自分はこのまま死んじゃうのかなあって。別段何もできたわけじゃないし、かといって満足できるようなこともしなかった。けどこの程度の人生で死ぬんだろうなって「納得」はできるんです。なんか、自分で自分の平凡さに説得力があるっていうか。
雅灯博士: なるほど。
SCP-2921-JP-14: 学校のコンビニでご飯買って外で食べてた時、私の足に虫がたかってきたんです。元々山奥にある大学でしたから動物がいるのが当たり前程度に思ってたんですけど、その時は異常だなって思ったんです。
雅灯博士: どんな風に異常でしたか?
SCP-2921-JP-14: まず数が異常でしたし、挙動もたまたまぶつかったとかじゃなくて私自身が目的だったみたいで。
雅灯博士: なるほど、数は具体的には言えますか?
SCP-2921-JP-14: 10匹は超えてたかなあ。でも私が全部潰しちゃって。
雅灯博士: は?10匹近くの虫を潰したんですか?
SCP-2921-JP-14: ええ、指先にべっとりPINK.BUG BLOODの血がついてて。そうしたらなんか自分が桜の木になってて、私を見た周りの人の悲鳴でぼんやりしてた頭が覚めて[10秒沈黙]警察の人に連れていかれてここにいるんです。
雅灯博士: 私たちが小高さんを発見した際の状況と一致する証言ですね。
SCP-2921-JP-14: すみません、なんか上手く証言できなくて。
雅灯博士: いいえ。これまでの被害者の中でははっきり過ぎるほど覚えていらっしゃると感じました。
SCP-2921-JP-14: [15秒沈黙]あっ、[数秒沈黙]疑ってるってことですか?
雅灯博士: いえ、そんなことは。[咳払い] 現場からは虫の死体を発見できなかったのですが、どこに行ったか心当たりは?
SCP-2921-JP-14: なんだ、そんなことですか。ほら。[枝になった腕で根の部分を指す。] ここにいますよ。
雅灯博士: ここ、ですか?
SCP-2921-JP-14: 当たり前じゃないんですか?桜の木の下には死体がいるのって。
インタビュー終了
インタビュー後にSCP-2921-JP-14の詳細な身体検査をした所、人間の脚部に相当する根部に複数の人間のものと思われる白骨死体が絡み合うようにぶら下がっていました。複数の死体は部分的にPINK.DEAD BODIES色に変色しています。この原因は不明です。
日付: 2022/04/11
質問者: 雅灯博士
対象: SCP-2921-JP-25
追記: SCP-2921-JP-25個体はそれまで発見されたSCP-2921-JPの中で最も意思疎通が行いやすい個体であると判断されました。曝露前の素性は「沢邨 太郎」68歳、東京都在住です。
インタビュー開始
雅灯博士: それでは、インタビューを始めます。
SCP-2921-JP-25: [無言で周囲を見渡したのちに雅灯博士を睨みつける]
雅灯博士: あの…?
SCP-2921-JP-25: あんたら警察?それとも陰謀論とかで出てくる悪の組織みたいなのが実際にいるってこと?この部屋の至る所に監視カメラが仕掛けられていて、俺の発言が編集されて偏向報道みたいになるんだろう。
雅灯博士: 決して貴方の不利益になるようなことは致しません。ただ貴方がなぜそのような姿になったのか、心当たりがあれば知りたいと思っただけです。些細なことでも構いません。貴方が元の生活に戻れるように努力します。
SCP-2921-JP-25: 別に、もう老い先短いジジイだしな。このまま死んでも完全に木になったとしても構わないんだが。
雅灯博士: お願いします。この現象の被害者の中であなたほど明瞭に話せる方もいないのです。
SCP-2921-JP-25: ふん。[身体を椅子の背もたれに落として数秒沈黙する] どうせ信じんと思うぞ。
雅灯博士: 構いません。
SCP-2921-JP-25: 夢の中で中学校時代の同級生に会ってな。目が覚めたらこうだ。
雅灯博士: その同級生というのは?
SCP-2921-JP-25: 死んでるよ。生きてる家族もいねえさ。
雅灯博士: 構いません。
SCP-2921-JP-25: 伊王野 咲子って女の子。最後は校庭の木の下で首吊ってたらしい。遺体は見せてもらってないしガキどもに詳しい死因なんて教えてもらってないから定かじゃあねえけどな。
雅灯博士: 伊王野さんは貴方が在学中の際にお亡くなりになったということですか?
SCP-2921-JP-25: そう。別に何か接点があったわけじゃない、今日まで忘れていた思い出の同級生が急に夢の中に出てきたってわけ。これで何か分かるの?
雅灯博士: 夢の具体的な内容を、覚えている範囲で言ってもらってもいいですか?
SCP-2921-JP-25: [枝になった指先を顔面に相当する部分に添えて数秒沈黙する] あれは体育館のステージだった。夢の中で出てきたから俺もさっきの質問をすぐに思い出せたな。[枝になった指先を顔面に相当する部分に添えたまま数秒沈黙する] 何か芝居がかった口調でセリフみたいなものを言っていた。でも演劇にしては1人で話してばっかりで変な感じだった。あの子の後ろには鼓笛隊みたいな連中が演奏していた。[数秒沈黙] こんなところだ。まあ当時のあの子に関する断片的な情報からちぐはぐで変な感じになったのかねえ。
雅灯博士: 当時の伊王野さんに関する断片的な情報、とは?
SCP-2921-JP-25: ああ…伊王野、さんは吹奏楽部と演劇部掛け持ちしてたんだよ。「どうせ運動部じゃないから体力有り余ってるでしょ」って人材不足の演劇部の誰かから持ち掛けられたって話を聞いたことあるよ。
雅灯博士: 悪意はなかった偏見…なのでしょうかね。
SCP-2921-JP-25: 知らん。あくまで夢を見た後で思い出した、当時聞いた噂だから鵜吞みにするな。んで伊王野さん、助っ人だからって手を抜かずに努力したらしくてよ。学園祭で発表する小さな劇の主役に抜擢された。まあ外から人は呼ばない小規模なものだったけどな。でもその学園祭の1週間後に自殺したよ。多分「そこまであんたが頑張ってるのバカみたい」って理由でターゲットにされたんだろう。
雅灯博士: [数秒沈黙] 貴方はその劇が伊王野さんの自殺の原因になったと考えているのですか。
SCP-2921-JP-25: ああ、部外者だった俺でもわかったよ。演劇部総出で伊王野さんを舞台の上で「はめた」んだ。その後の噂じゃあ「伊王野さんだけに違う台本を渡して、情報を伏せていた劇を当日に発表した」って言われてた。全校生と先生方が見ているステージの上で伊王野さんだけが他の演者とは違うような動きやセリフをしていて、最終的には声を出すことすらおっかなくなって棒立ちだったよ。誰が見ても公開処刑、だったはずなんだがなあ…。
雅灯博士: というと?
SCP-2921-JP-25: 当時伊王野さんの担任だった新任教師がそうは思わなかったんだよ。学園祭が終わって泣いていた彼女に「あなたは頑張った。初めての舞台で緊張するなんてよくあることよ。」…ってさ。その時の伊王野さんの絶望した表情とか、隠れて観察していた演劇部の連中の笑いをこらえる顔とか見てて、どこまで能天気なんだこの教師はって思ったよ。
雅灯博士: なるほど。念のため確認しますがその担任の先生は…
SCP-2921-JP-25: 死んではいない。ただ行方不明だって聞いたな。お茶目で面倒見がいい人だったから残念に思った教え子も多いみたいだけどよ。俺はその1件以来どうもなって感じだ。
雅灯博士: 行方不明?名前は覚えていますか?
SCP-2921-JP-25: ███ 恵美子。…ああ、思い出した。
雅灯博士: 何をですか?
SCP-2921-JP-25: その先生のよく言う冗談に「チョークって実は食べれるのよ」っていうのがあってな。まあ中坊相手に馬鹿にしすぎだろってうざったく思ってたけどよ。目が覚める夢の中で伊王野さんがステージを降りて俺の視界に顔を近づけてこう言ったんだよ。
雅灯博士: はい。
SCP-2921-JP-25: チョークを食べると声が透き通るように高くなって良くなるのよってよ…どういう意味だったんだ、ありゃ。
インタビュー終了
補遺-2/オブジェクトの起源調査およびに異常性の変質
2022/04/11に実施されたSCP-2921-JP-25へのインタビューを受け、財団は███ 恵美子氏の勤務していた中学校、およびに住宅調査を実施しました(別紙参照)が、SCP-2921-JPに関する有力な情報は得られませんでした。これと並行して伊王野氏の周辺調査を行ったところ██県の伊王野氏の墓前に不明な楽曲の楽譜と複数枚のコピー用紙がホチキスで留められた状態で発見されました。コピー用紙の束の最初には「まるで色褪せたように台本も小道具も演者も私以外にいない私の人生について」と文字が印刷されており、内容は童話の「狼と七匹の子山羊」をト書きにしたものが書かれていましたが、「7という数字が異様に忌避されて、登場人物が5という数字に固執している」「母親の山羊が子山羊たちに自己啓発的な内容を話している」という改変内容が存在しているのは特筆すべき点です。
また楽譜の裏には乱れた筆跡で以下の文言が書いてありました。
「桜は散り際が美しいと言うではないですか。私もそうなりたいのです。この人生に終止符を美しく打ちたくて、華々しく死にたくて咲き誇りました。」
「もっとPINK.LEADING PART
にならなきゃ。みんなより目立ちたいのよね。この色は社会から邪険な目で見られない程度のチキンレース。」
「貴方は天蓋まで届く桜の木を見たことがある?本当に大きくて、天を突くそれは、日本中に桜の花びらを届けさせるの。」
「ねえ、母さん。私あれになりたいわ。舞台を覆い、天国まで昇り立つ桜の木しゅやくになりたいの。」
また文書には軽度のミーム汚染が付随していました。
補遺-3/オブジェクト再割り当て
補遺2に記述されている調査から約1時間後にSCP-2921-JPを収容していた研究収容サイト-8122, 35, 89にて大規模な収容違反が発生しました。以下はサイト-8135にて、破損した複数の監視カメラから復元し、繋ぎ合わせた映像記録です。
抜粋開始
[カメラはサイト-8135の収容室廊下を映している。部屋の扉が全て開いているにも関わらずアノマリーが暴れているなどの様子は確認されない。周囲に桜の花びらが散っている。様子が破損した映像越しでも確認できる。]
SCP-2921-JP-25: [カメラ奥より脚部に該当する根部を引きずって] 逃げる、訳には、いかんだろう、な。
SCP-2921-JP-25: 思い出す必要すらなかった。自分の心の中に棘みたいに引っかかってた。
[カメラは桜の花びらに混じって、廊下に散乱している物品を捉えている。職員が記録用に使うタブレット端末、タッチペン、メガネ、白衣、シャツ、ズボン、肌着、まるで死後数年経過しているように腐敗した人間の死体。]
SCP-2921-JP-25: ただ、この年になってその感情に名前をつけることができなかった。精々顔見知り程度の他人に手を差し伸べるのは、声を掛けて相談に乗るだけですら自分が傲慢になった気がしたから拒絶していた。
SCP-2921-JP-25: 人は孤独を好むなら、せめて自分は干渉しないことで彼女にとって居心地の良い孤独を少しでも作ってあげようとした。それは言い訳でしかないのに。
[物品や死体が明らかに増殖している桜の花びらに埋もれていく。SCP-2921-JP-25は息も絶え絶えに進んでいく。]
SCP-2921-JP-25: 他人を孤独にしたのは、自分を孤独にしたかったからだ。煩わしいことは吸殻と一緒に桜の木の下に埋めてしまった。
[SCP-2921-JP-25は廊下突き当りにある、大規模オリエンテーション用のステージホールに続く連絡通路へ突入する。足取りは更にゆっくりになる。]
SCP-2921-JP-25: 桜の木の下には、死体がある。それは自分自身の手で葬った、目に入れたくない過去の記憶と、勇敢に声を上げて、それを花見客にクシャクシャに捨てられた不法投棄のゴミくずと同義だ。
SCP-2921-JP-25: 現在進行形でいじめられてる人間が誰かに助けを求めるなんて勇気のあることなのに、それを「お前が弱いからだ、もっとしっかりしろ」なんて言葉で捨ててしまったから、俺がそれを勇気とすら認識できなかったから、お前に原因があると突っぱねてしまったから…
[SCP-2921-JP-25は間もなくステージホールの入り口に到達し、扉に腕に相当する枝部をかける。内部からオーケストラのチューニング音が聴こえる。]
SCP-2921-JP-25: 今度こそは、ちゃんと見る。
SCP-2921-JP-25: 花見の主役は酒でも団子でもなくて、桜だもんな。
[SCP-2921-JP-25はステージホールに突入する。カメラは客席に大人しく座っている収容違反したアノマリーたちと、ステージ上で天井まで成長している1本の桜の木を観測する。桜の木の背後には楽器を持った頭部が山羊に置換された人型実体が5つ存在している。客席のアノマリーの中には、恍惚とした表情で桜の木を視認している個体も確認できる。]
モブ以下の沢邨くん: 我々は木の役。故に主役共々喋らず台本はない。主役は桜の花で在る。
[ステージホールへの扉が音を立てて閉まる。]
抜粋終了
現在、研究収容サイト-8122, 89に収容されていた全てのアノマリーがサイト-8135のステージホールに不明な方法で集結しています。アノマリーたちは自身の異常性を発揮した痕跡が現在見られず、SCP-2921-JPが何らかのミーム災害を持っている可能性が浮上しています。
また現在、日本国内で以下の異常現象が発生しています。
- 花や雑草、作物や樹木などのあらゆる植物の枯死。急速ではないが1日につき日本国土の約1.4%の植物が枯死しているとの計算結果が出ている。
- 一般社会における急激な「舞台ブーム」の発生。財団のカバーストーリーでも攪乱することが出来ず、「仕事より舞台鑑賞がしたいので辞職します」「役者を志望するため家を出ます」などの、社会全体が機能不全になるほどの熱狂を見せている。
財団はこの一連の流れをSCP-2921-JPの異常性であると断定しました。事態の重さを鑑みて特殊オブジェクトクラスの割り当てを検討しています。
桜の木には死体が埋まっている
したゐ のこ とわき に すろな
・
・
「5つの花弁が集まって、輝くPINK.THE FIVE
になる」
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・
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FILE 2/3
特別定義/Tiamat:
オブジェクトは財団単独による通常の収容方法では一般社会への露見を回避できず、また人類文明に対し喫緊の脅威となりうる広範かつ強大なアノマリーです。ヴェールを破るような方法によって名目上の「収容」をすることは可能です。
戦略的対応プロトコル
SCP-2921-JPの影響範囲は現在日本国内を超えつつあります。財団ならびに財団、世界オカルト連合ならびに各国政府はパンゲア協定に基き一刻も早いSCP-2921-JPの無力化を行う必要があります。
20██年█月0█日
Tiamatクラスオブジェクト出現時における財団、世界オカルト連合ならびに各国政府との連携協定
「パンゲア協定」要項
- パンゲア議定書より一部抜粋 -
第一章 概説
第一節 はじめに
財団単独では収容、確保、ピュアヴェールの維持が難しいと判断されたオブジェクトが発生した場合、世界オカルト連合ならびに各国政府が所持している軍事力との合同無力化Decommission作戦が開始される。本議定書はその際における各機関の連携、対応等を詳細に制定する目的で作成された。
省略
第二章 協定内容
第一節 背景
オブジェクトがTiamatクラスに認定された場合の、財団の初期対応は以下の通りである。
- BK-クラス:ヴェール棄却シナリオを財団とGOCの合同で発表。財団が自主的にヴェールを放棄した際に行われるシナリオ。これは財団以外のパンゲア協定を締結している各国政府にも行使される。
- 財団と世界オカルト連合、UIUや特事課といった異常に対する捜査機関や軍事組織がアノマリーの存在を知らなかった他の部署に対して命令権利を行使可能。財団とGOCの下にパンゲア協定国の全戦力を集結できる。
- 段階的なThaumielオブジェクトクラスの使用許可。SCP-2000は如何なるTiamatオブジェクトに対しても最終解放されるものとする。
- 財団職員のクリアランス制限の解除。一部の(オブジェクトに汚染されているなどの理由)報告書を除き財団の全情報が閲覧可能。
省略
説明
SCP-2921-JPは全長125 325 555mの巨大な樹木型実体です。頂点には中心に目玉が埋め込まれている巨大な5つの桜の花弁(推定全長50~80m)が存在し、幹部分には大量の人間がある程度の原型を留めたまま幹と同化しています。SCP-2921-JPの周辺約15kmには不明な要因によってオーケストラの音色が響き渡り、また根幹部分は大量の白骨化した人型の死体が根に絡みつくように挟まっており、成分調査の結果白亜や炭酸カルシウム、石膏、少量の貝殻や卵殻などで構成されていることが判明しています。桜の木は今もゆっくりと成長しています。もう他の桜の木は消えてもらいました。主役は遅れて登場するものだから先に舞台に出ててもらっただけなの。どうして桜が美しいのか、愚かにも足元の死体にも気づいていません。何を踏みにじっているのか、主役は誰なのかわかっていない愚図の観客たちに思い知らせてあげます。SCP-2921-JPは生物を自身の胎内に取り込みます。取り込まれた生物は体を構成している物質を不明なプロセスで吸収し、骨のみを残して死亡します。正しい私を観ろ。あの三流役者や度数が合ってない色眼鏡をかけた女教師ではなく、舞台の私が本当の私だ。SCP-2921-JPの胎内に吸収された人間はその情報の一切が強力な反ミームに侵されます。これは財団やGOCの技術でも対処しきれないものであり、現時点で財団とGOCは犠牲者の総数を推定ですら立てられていない状況です。照明も小道具も、私以外の演者すらいらない。必要なのは舞台と音楽、そして主役だけ。邪魔な脇役はピンクの星の光に包まれて無視されればいいの。集団から蔑ろにされる立場を味わえばいいんだわ。SCP-2921-JPの周囲には頭部が山羊に置換された人型実体が計5体十字架に縛り付けられた状態で存在しており、SCP-2921-JPへの物理的ダメージは全てこれらに誘導されます。この異常性はSCP-2921-JPに対するマップ攻撃により有限であることが判明しており、周囲への影響を鑑みない広範的かつ超火力的な無力化作戦が現在立案されています。
オブジェクト狂暴化の経緯
2022/03/01、財団宇宙観測部門を含めた複数の天文台は日本時間23:48に、地球上で肉眼でも視認できるほどピンク色に輝く流れ星と思われる物体を観測しました。財団のカバーストーリーによって詳細は隠蔽されましたが、財団の人工衛星による観測の結果、同時刻に突如として宇宙空間に巨大な桜の樹木が出現していた瞬間を捉えています。この桜の木は55秒間原型を留めたまま大気圏に突入しました。桜の木は何らかの異常性によって大気圏突入の際にかかる熱を吸収し燃焼を防いでいたと推測されますが、突如としてピンクの光に包まれたのち、大気圏を突破できずに焼却されました。財団の観測部門が立てた仮説としては、この瞬間に桜の木とは別のアノマリーが誘因的に出現し、偶発的な相互作用であるオブジェクト・クロスが発生した結果、桜の木の「熱を吸収する」という異常性が消失した、もしくはそれを打ち消しあうような異常性が付与されたものと考えられます。私はあの日母なるティアマトに導かれた。彼女が遣わしたピンクのまばゆい光によって。私は桜の花びらとピンクの光の力を母に分け与えられ「死」を克服した。
今しがた財団とGOCの合同軍があの桜の木を解体する作戦を開始したようだ。向こうの見立て通り、オブジェクトは強烈な反ミーム付与、その他様々な精神汚染を引き起こすが物理的脅威はあくまで人間が近づいただけに留まるらしい。そして周囲の建物を破壊するほどの物理攻撃自体は効いているとの情報だ。その様子を映した映像ログが届いたのだが破損が酷い。2921-JPの収容チームは映像の復元を急いでくれ。









