SCP-3000-JP - のぞむ
評価: -5+x
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5/3000-JP LEVEL 5/3000-JP
CLASSIFIED
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Item #: SCP-3000-JP
Apollyon

特別収容プロトコル: SCP-3000-JPは、SCP-3000-JPを引き起こす媒体である鏡(以下SCP-3000-JP-1と表記する)が一般生活に拡散、浸透しているため現在収容不可能です。暫定的な対処法として現段階で一般流通の可能な最大値の反射率でSCP-3000-JP-1を製造させることでSCP-3000-JPの発現リスクを低減しています。また、財団GOC管轄施設内においてSCP-3000-JP-1が合わせ鏡の状態になっているのを確認した職員は速やかにSCP-3000-JP-1を引き離す/向かい合わせを解除するなどの発現条件解消対策を行ってください。研究に携わる職員はサイト管理官と人事部門による調査を実施し、特定の思想概念1による悪用を防止する人員配置が行われます。実験の凍結を受けて、現在は新たな人員配置は行われません。

パラウォッチやPAMWAC2からの前提条件等の情報漏洩、一般社会におけるSCP-3000-JPに関連する情報の監視を行い、当現象を誘発し得る情報、思想に対して、話題の転換や検閲、否定が施されます。また、世界全体にカバーストーリー「統計学的証明」を流布することでSCP-3000-JPの情報隠蔽の補助を行います。


簡易カント空間ヒュームグラフィー.jpg

SCP-3000-JPを簡易カント空間ヒュームグラフィーで観測した画像

説明: SCP-3000-JPは鏡を互いに平行に向かい合わせた時に発生する現実性低下現象です。
異常性の発生源である鏡はSCP-3000-JP-1と呼称されますが、それ自体に如何なる異常性も持ちません。現在一般的に流通している高品質な銀メッキ製や古鏡、粗悪品を含めた全てのSCP-3000-JP-1個体が引き起こす可能性が提示されています。
財団は当初、SCP-3000-JPの発生条件は

SCP-3000-JP-1を互いに平行に向かい合わせる。

のみであり、発現する異常性は鏡面における現実性低下現象であると認識していましたが、調査の際、霊道思想/知識を持つ人物が意図して合わせ鏡を行った際にヒューム値3のさらなる低下を観測したことで、

霊道思想/知識をもつ人物が意識的に鏡像を観測する。

という追加の発現条件の発見に至りました。(調査記録4参照)

財団の記録では、███年、████年、████年の蒐集物覚書帳目録内(蒐集院から移譲済み)で、SCP-3000-JPと類似した事案の蒐集記録が存在しますが、SCP-3000-JPが財団に具体的に認知されたのは、長野県██市██郡███の一軒家における複数の異常実体出現の情報を受け、警察機関内部のエージェントの要請により記憶処理班及び機動部隊が派遣された事案が初例となっています。

複数の異常実体出現の要因調査において当家屋のSCP-3000-JP-1の鏡面を観測した結果、洗面所の三面鏡が合わせ鏡の状態で維持されており、継続的に微弱な現実性希薄領域が拡大していることを観測しました。鏡面の現実性は、SCP-3000-JP-1個体の品質に比例して低下していることが確認され、周囲に低レベルの現実性低下を発端とする低級霊的実体の出現等の事象を生じさせていたと推測されます。4さらに、初発見記録で得た所見を基準として調査を行ったところ、無作為に他のSCP-3000-JP-1について観測した結果、鏡面においてのみ二次平面的に現実性低下現象が発現することが確認されました。(調査記録1を参照)

なお、発見当初、サイト-81██の現実安定性ビーコンにて現実性の局所的な揺らぎが観測されています。

合わせ鏡の見え方.jpg

角度がついている場合は、いずれ観測が不可能になるため発現規模は縮小する。

SCP-3000-JPは、SCP-3000-JP-1の反射率が低いほど周囲への影響を観測する可能性が上昇し、低品質の個体同士で合わせ鏡をした場合、もしくは鏡像を可能な限り限界まで認識した場合、周囲の現実性が著しく低下しました。(20██/11/██発表資料及びログを参照)SCP-3000-JPが最大規模で発現するのは、SCP-3000-JP-1同士を180度平行に向かい合わせた状態の時であり、角度が付いていると奥の鏡像の認識が難しくなるためか発現規模は縮小します。

実験(下に添付)に基づく田畑博士以下数名の研究チームによる考察を一時的に採用し、支部・本部の合わせ鏡となりうる三面鏡の撤去を提案しました。 一部職員の要請により撤回されました。張り紙や適宜の注意喚起によって5、各自の管理徹底を呼びかけることで合意しました。6

以下は、発現条件の特定及び、鏡面の反射率と現実性低下現象の相関実験記録です。

異常性発現条件の特定及び検証

実験目的: SCP-3000-JPの発現条件の特定及びSCP-3000-JP-1適応物品の範囲確認

対象: 無作為に選定された一般に販売されている鏡

使用機器: 簡易カント空間ヒュームグラフィー7

日付: 20██/06/16

結果: 簡易カント空間ヒュームグラフィーはいずれの鏡面においても若干の現実性低下を観測した。

追記: 田畑博士による『サブミリ波を用いたジュール損失測定技術の開発申請』の許可が下りました。財団はJAXA航空技術部門 新事業促進部 新事業課との共同開発が進行されます。

なお、空間ヒューム値の可視化のためにヒューム安定用機材は使用されていません。
以降の実験記録は調査記録2を参照。


財団記録・情報保安管理局より通達
UTC 20██/09/29 AM05:22:38に当SCP収容サイト-81██とその周辺が消失するインシデントが発生しました。同時刻、財団・GOCが管理するSCPのいくつかが同時多発的に収容違反及び局地的破壊・消失を引き起こしたため調査が行われています。
この結果、GOCと協議が行われ、今後の類似実験の凍結とクリアランスの見直しが行われました。

SCP-3000-JPのインシデント詳細ログ及び、他SCP被害詳細は以下を参照してください。

— SCP財団監督評議会、108評議会、RAISA管理官 マリア・ジョーンズ

    • _

    財団データベース接続中…………


    詳細読み込み中…………


    インシデントSCP-3000-JPの被害を被った各SCP担当職員は、対応するインシデント記事の把握を推奨します。

    インシデントレポート SCP-3000-JP

    の検索結果を表示します。


    他SCPインシデント記事にSCP-3000-JPへの言及は存在しません。
    SCP-3000-JPに関する情報を閲覧する場合は以下の資料のみ許可されます。



    各SCPインシデントレポート詳細

    以下は財団アーカイブから取得された個別のインシデント内容及び規模把握のための資料群です。
    適正クリアランス及び各SCP研究への所属経歴が存在しない職員は、特別申請が許可された場合を除きアクセスは認証されません。

    インシデントレポート SCP-3480

    レベル4重大インシデント警戒発令に伴う『インシデントシミュレーション3480-235-8.3版22』発令
    プロトコル・クロノス下におけるオメガ-12の行動ログ
    MSRAs損壊状況ログ
    オメガ-12の班別損耗率
    XACTS稼働効率調査書
    MSRAs備蓄量及びサイト13損壊状況と予算決議
    オメガ-12の人的損失に伴うプロトコル・クロノス改訂に対する提言
    『インシデントシミュレーションと、最終的にほぼ一致する設備被害率及び人的資材損耗率』の成果に応じたインシデントシミュレーションの導入促進について
    SCP-3480インシデント全般ログ

    インシデントレポート SCP-1280-JP

    レベル4重大インシデント警戒発令に伴う『インシデントシミュレーション1280-13.5版』27発令
    SRA停止による全体稼働率の推移
    SCP-1280-JPの拡大速度と今後の対応策会議議事録
    損失資材補充及び監視体制の一時的な増強要請
    レベル4/SCP-1280-JP書類に基づく再実験申請
    『インシデントシミュレーションにおけるSCP-2000拡大ペース』の正確性の再評価及びインシデントシミュレーションの導入促進について
    SCP -1280-JPインシデント全般ログ

    インシデントレポート SCP-561-JP

    レベル4重大インシデント警戒発令に伴う警戒体制の見直し
    SRA停止による全体稼働率の推移
    SRA余剰在庫の他サイトへの融通措置(サイト81██からサイト81█9へ)
    オブジェクトクラス再定義に関する提案(保留)
    大規模人事異動に伴う管理責任者の移譲
    『インシデントシミュレーション』導入可否の採決(可決)
    SCP -561-JPインシデント全般ログ

    インシデントレポート SCP-████-KR

    サイト-███消失によるオブジェクトロストに対する対策
    周辺地域へのカバーストーリーの流布及び広域記憶処理材散布の許可
    消失跡地の不動産問題解決会議録(土地買収)
    財団データベース上からのサイト登録抹消に関する手続き(保留)
    サイト位置情報発信源の観測事案について
    同様事例報告を踏まえた財団データベース上からのサイト登録抹消に関する手続き取り消し(許可)
    SCP-████-KRインシデント全般ログ

    インシデントレポート SCP-5██-FR

    レベル4重大インシデント警戒発令に伴う『インシデントシミュレーションSCP-5██-FR 19版』28発令
    SCP-5██-FR戦隊の急激な現実性拡散に対する見解
    今後の観測方針と、保護に向けた現実性固定機器の導入申請(許可)
    射出型SRAの運用に関する報告書
    『インシデントシミュレーションSCP-5██-FR 3版』29発令
    即時対応性の向上への課題
    『インシデントシミュレーション』との差異に関しての見解
    乗組員証言の一致と現実性拡散の関係性の示唆
    『インシデントシミュレーション』導入可否(保留)
    SCPS[Andy]、SCPS[Cate]、SCPS[すざく]30観測員の証言に基づく監視体制の緊密化及び、監視衛星███運用計画
    SCP-5██-FRインシデント全般ログ

    インシデントレポート SCP-2222-JP

    RAISAによる各施設に対するレベル4警戒態勢発表
    SCP-2222-JP点滅160Bpm到達時のサイト実験記録
    要注意団体の動向調査書
    ヴィシス・プロトコル臨時承認決議(臨時承認)によるThaumiel昇格
    収容室内SRA破損に伴うSCP-2222-JP周辺の現実性低下現象
    世界オカルト連合、境界線イニシアチブホットライン形成、マナ参入
    ヴィシス・プロトコルEuclidへの格下げ
    境界線イニシアチブ保有異常物品損失(境界線イニシアチブ公開書類に基づく)
    ヴィシス・プロトコルの財団保安プロトコルへの導入の再検討(否決)
    監督評議会宣言
    『インシデントシミュレーション』導入可否の採決(可決)
    SCP-2222-JPインシデント全般ログ

    インシデントレポート SCP-2000

    文書の閲覧はHMCLおよびO5による承認を要します。

    要レベル4/2000ファイル███████████████
    O-5評議会によるKクラス予備事案宣言
    要レベル4/2000ファイル███・█████████████████████████████
    SITE-████から、SITE-DE5、SITE-PL-22-3の消失報告書
    「警戒解除」コード受理に関する懸念
    要レベル4/2000ファイル████████████████████████████████████████
    要レベル4/2000ファイル████████████████████████/████████
    レベル4/監督評議会通達
    SCP-2000インシデント全般ログ


    被害施設(各国表記)

    被害施設からSCPを検索する際は下記のリンク群から詳細へ飛んでください。

    被害施設 施設名
    SITE SITE-██[US]、SITE-3█[US]、SITE-3[US]、SITE-12-2[US]、SITE-61[US]、SITE-69[CA]、SITE-94[CA]、SITE-113[US]、SITE-16[US]、SITE-185[AU]
    AREA AREA-06[US]、AREA-13[US]、AREA-30[US]、



    補遺1

    以上の重大インシデント群に対して、財団・GOCは「未確認小惑星の大気圏突入後分解による隕石落下」、「超高密度プラズマ」とするカバーストーリーの流布及びエアロゾル化させた記憶処理材の散布を行いました。


    補遺2

    監督評議会への回線混雑から対応が遅れたことを鑑み、同時多発インシデントの際、情報プールを介した有事個別回線の敷設が提案、可決されました。



以上のインシデントを受け、SCP-3000-JPの研究チームに対する聞き取りを元に報告書を編纂。後に田畑博士による理論が発表されました。

田畑博士著『鏡を用いた霊的儀式を発端とする鏡面及び周辺現実性の低下に関する鏡面反射率及び空間観測認知論の関係[20██/11/██発表]』(抜粋)


日時: 20██/11/██ 9:30 - 14:26 (UTC)

場所: 世界オカルト連合外渉センタービル 大ホール

発表者: 田畑博士

協著者: 高岡研究員、朝日研究員、橋口研究員、川部研究員

<記録開始>

田畑博士: 皆様、本日はお忙しいところにこのような場を設けて頂き、誠にありがとうございます。本日お集まりいただいたのは、先日のインシデント3000JPに関して、世界各国で同時に発生した極端な現実性低下を伴う異常現象群の発生メカニズムが判明したことをご報告させて頂くためです。お手元に資料を配布していると思いますので、私達の発表で生じた疑問点は是非その場で質問してください。

ではこれから発表を開始します。お手元の資料の1ページをご覧ください。

[発見時からインシデント3000JP発生前までの期間に行われた実験内容の発表。中略]

田畑博士: これら充分な試行回数を経た結果、いずれの記録においても誤差は極小域の振れ幅で抑えられているため、異常性の発現条件と性質は相違ないでしょう。ここまでで何か質問はございますか。

[田畑博士がホール内を見回す]

田畑博士: 先に進んでも良さそうですね。さて、ここからはこれらの理論を基にした観点からの、インシデント3000JPの発現メカニズムの説明に移ります。まずはこちらの資料をご覧ください。お手元の資料にも同様のものが記載されておりますので、投影している資料の判読が難しい場合はそちらを参照していただいても構いません。

[田畑博士の後ろのスクリーン上に資料が提示される(以下に当該資料画像添付)]

並行世界とヒューム値分布及び歪曲度の可視化モデル%201.2.1版.jpeg

並行世界とヒューム値分布及び歪曲度の可視化モデル 1.2.1版

田畑博士: 今スクリーンに表示されているグラフは私達が想定するヒューム値と並行世界のモデルです。この中で水色に着色された直線は、SCP-3000-JP-1個体で合わせ鏡を作った場合に鏡像同士が形成するルートであり、暫定的に霊道と表現しています。このルートは理論的には「無限に形成される、鏡面が鏡面を写す直線の回廊」と言うべきものですが、これは観測しうる中では鏡の中の並行世界との唯一の交差点です。

[ポインターがグラデーション状の着色がなされた帯グラフに移動する]

田畑博士: このグラフが表すのは、鏡像と鏡像の間に存在する並行世界の空間歪曲度です。ヒューム値の濃度と言い換えることもできます。基底現実から遠い位相に位置する空間、このグラフでは手前にくればくるほど空間の基本的なヒューム値は低いことが読み取れます。

GOC構成員████: 一つ疑問があります。貴方たちチームは、これらの並行世界のヒューム値はどのように計測しているのでしょうか。

田畑博士: 質問ありがとうございます。正直なところ、我々は実際にその並行世界のヒューム値を計測しているわけではないのです。ですのでこの数値は定義、前提の話になります。その上でこれらの並行世界の現実性はn枚目の観測鏡面の現実性と一致していると我々は考えています。ですから単純に、その並行世界の現実性は鏡面の現実性と同数値であると思っていただければ結構です。この前提であれば理論的に説明ができるため、私達は、おそらくこの解釈は正解だろうと考えています。

GOC構成員████: なるほど。ありがとうございます。もう一つ質問なのですが、先ほど田畑博士は『その並行世界の現実性は鏡面の現実性と同数値である』と仰っておられましたが、グラフでは鏡面はいずれもHm値1の位相に存在しているように読み取れます。これはどういうことでしょう。

田畑博士: 確かに、グラフでは各並行世界の現実性に関わらず、鏡像の現実性は1Hmになっています。これは観測結果に基づいているのですが、簡易カント空間ヒュームグラフィーによる鏡像観測の結果は鏡像のヒューム値を1Hmとしています。これらの説明にはヒューム値と現実性の関係が含まれます。この中には専門外の方々も多いと思いますので、解説も挟んでおきましょう。大前提として、ヒューム値とは、その空間の現実子36量から求められる現実性強度です。我々の基底世界における基準が1Hmであり、地球上における重力の向きなどの『常識』が機能する正常な空間です。もう少し詳細な補足説明や例示は朝日研究員が行います。

田畑博士: さて、鏡像のヒューム値が、その鏡像が存在する並行世界の基本ヒューム値に関わらず1Hmを示している原因についてですが、端的に言えば、現実性の低下した空間に存在する物体は崩壊して絶体的な形状を保てなくなるため、鏡像として認識不可能になるからです。

朝日研究員: 補足しますと、現実子は、特性として2つの空間や物の現実性に差がある状態においては、ヒューム濃度の低いほうへと拡散していく性質を持つため、あまりにヒューム値の低い場所にある物は周囲に現実子を吸い取られるような現象が起き、現実性が低下した物質は絶対的な形状を保つ必要がなくなると考えられています。37現実性の高い空間は、自身の空間の現実を現実性の低い空間に押し付けて、『塗り替える』と形容される現実改変を行うことが可能です。今回、鏡像が1Hmを示している理由はおそらくこれでしょう。我々が鏡像だと認識するために我々の考える『鏡』という現実を強要しているため、鏡像のみ数値が我々の基底現実と差異が生まれないのだと考えられます。

GOC構成員████: なるほど。丁寧な説明感謝します。

田畑博士: 補足にもあった通り、鏡は我々の認識で常に1Hmで存在します。この前提を持ってヒューム値の明らかに違う並行世界を霊道で繋げると、無理やりその世界と霊道の交差部分のヒューム値が鏡によって現実世界と均一にされるのです。こうして強制的に霊道で交差した位置を1Hmに引き上げられた世界は大きな歪みが発生します。これがグラフの示す空間歪曲度です。

田畑博士: 空間の歪みは1地点だけ現実性が上昇したことによるものですから周囲が同じ現実性になれば歪みは無くなります。つまりkejelの現実性の法則に則り鏡面から現実子を取り込み安定しようとする働きが生じるのです。

朝日研究員: これらの現実子流動は、概ね現在の一般化学現象に置き換えて説明が可能です。例えば『高気圧と低気圧』、『高さの違う水を貯めた水槽の仕切りを取る』などの表現が可能であり、いずれも平均値へ収束し、安定化しようとします。

田畑博士: ただし、現実子が流出した世界が私達の世界と同じようにとても広大であった場合、こちらのプールがほぼ尽きるまでひたすらに現実子は並行世界に流出し続けます。インシデント3000JP発生時、我々は、えー……具体的な数値は伏せさせていただきますが、4桁枚の鏡像を認知しましたが、少なくともインシデント3000JPにおいてカント計数機が弾き出せる数値内で、4桁の並行世界に流れ込んだと思われる現実子による並行世界の現実性の上昇は見られていません。

境界線イニシアチブ構成員███・███: 基底現実から流出した現実子総量が不明というのは由々しき問題であると見ますが、それによって齎されるリスクは具体的にどのようなものが挙げられますか。

田畑博士: 簡単なもので言えば、世界的な現実性不全や一般人の現実改変の易化などでしょう。

GOC構成員███・███: では現実子の総量に絶対量は存在するのでしょうか。

田畑博士: 我々の世界の現実子に絶対量は存在するのかという問いに関しては、残念ながら現在の我々の技術力では現実子の絶対量の明確な解答には辿り着けません。そもそも現実子が何であるかも研究途上です。どうやって生成されるのかも、変性する物質であるかもいまだに判明していません。ただ、今回のインシデント3000JPを経て、宇宙1つの現実子総量にリミットは存在するであろうとほぼ確実視しています。
光学電子カメラ等を利用して鏡像の無限回廊の限界を認識しようとした我々が、一体いくらの現実子を別世界に流出させたのかは、同時多発的なインシデント群によって具体的な算出が不可能な域に達しています。

[ホール内が一時騒然とする]

SCP財団分科会職員: それはつまり、我々の宇宙に存在した現実子は現在相当量減っている可能性があるということですか。

田畑博士: えぇ。その可能性は否定できません。ただし現実安定性ビーコンはインシデント3000JP後も基準値低下を示すログを記していないため直近の問題はあまり考えなくても良いかと考えています。

[以下同様、あるいは派生の質問のため中略]

[昼休憩のため質疑応答終了]

〈記録停止〉

〈記録再開〉

田畑博士: さて、ここからは午前中に説明したメカニズムをもとに、世界同時多発的に発生したインシデント3000JPについての考察を提示します。まず、インシデントの発端となった共通事項として、同時に、世界各地に配備されたSRAの一部が停止、再稼働したことがあります。橋口研究員へ説明を代わります。

橋口研究員: 田畑博士から引き継ぎました。多次元鱗状重層部門所属の橋口です。早速ですが、このSRAの異常挙動は、先に提示したSCP-1280-JPに鍵があると考えています。我々の部門の観測の結果、当報告書38がまとめられた時に観測された、亜財団の存在したXKシナリオの終焉を迎えた宇宙が消失したことが判明しています。我々の用いるSRAは、Kクラスシナリオにより終焉したいずれかの宇宙から現実子を吸い上げリサイクルすることはすでに知られているかと思いますが、吸い上げる対象を失った際は、新たな終焉した宇宙を選定し、ワームホールの再接続を行う事で供給を再開するようプログラムされています。そしてそのラグが今回の2秒間の停止だと推測できるのです。こちらがその略図です。

[橋口研究員の後ろのスクリーン上に資料が提示される(以下に当該資料画像添付)]

再接続図式.jpeg

SRAの2秒間の機能停止期間は、宇宙の再選定とワームホールの接続に要する時間である

橋口研究員: スクラントン博士のLSS開発記録に記されているクラス-C"ブロークン・エントリー"ワームホールと同様の原理ですが、SRAは終焉した宇宙を選定して接続を行うため接続先選定に動作停止期間が生じます。

GOC所属研究員: 一つ良いだろうか。我々は財団から少なくないSRAの提供を受けているが、これらは信頼性に欠ける装置ということか?

橋口研究員: いえ、本来なら到底あり得ないレベルの事象が発生しただけであり、SRAを2つ配備しておけば、現実性維持は継続可能でしょう。

GOC所属研究員: LSSはSRAの前身の装置であったと記憶しているが、SRAの吸入先選定機能が無いワームホールがLSSで用いられているということか? そのワームホールを用いた際、今回の事象の防止は可能だったのか?

橋口研究員: 防止出来たかという問いに対して、結論から言えば不明です。SRAのワームホールは、アナ・ラング博士により安定性が最大限高められており、SCP-3001に認められるような狭間の空間から接続先選定中の代理供給を補うことはできません。しかし、クラス-C"ブロークン・エントリー"ワームホールを用いたとしても、極端な現実性希薄空間であるSCP-3001からの代理供給で補えた可能性は低いと見積もっています。

橋口研究員: 今回消失した死滅宇宙は報告書によれば、その世界の財団のSRAに相当するものがいくつか確認されていました。さらに低ヒューム流出スポットも確認されていますが、そのSRAに相当する機器は暴走39していたと見られています。つまり、当死滅宇宙においても、少なからず現実子の供給がなされていたということです。そうして緩やかな終焉を迎えていた宇宙が一瞬で滅びた原因は、今回の実験が天文学的総量の暴力で、この図のように、新たに認識した世界を維持するための現実子量が、今までの流出量に加算されて流出したことを示します。

[橋口研究員の後ろのスクリーン上に別の資料が提示される(以下に当該資料画像添付)]

現実子流出内訳可視化.jpeg

奥の鏡像を観測すればするほどヒューム値の低い並行世界が認識され、現実子は並行宇宙の数だけ流出する

橋口研究員: まさに一瞬で空白の世界にしたということです。その結論を得たのちに今回のSRA異常を考察すると、おそらくその世界に無数に空いていた穴のいくつかは私達の世界のSRAの物だったのだろうと私は結論付けました。

[橋口研究員が進行を田畑博士へ引き継ぐ]

田畑博士: SRAは諸刃です。今回の収容プロトコルとして、世界の全ての鏡の横にPSRAを化粧品よろしく置くわけにも行かない。そもそも銅ベリリウムはコストが高すぎます。

田畑博士: だからといって対処法として反射率100パーセントの鏡を創り出せるでしょうか? 確かに我々にはそれだけの技術も、それを可能にするSCPも保有しているでしょう。しかし反射率が100パーセントの鏡などSCPと同義な存在は創れません。光を溜め込む次世代の二次電池か、超高温高速のレーザー砲か。どう転ぶかなど私たちには分からないのです。そもそも私たちに認識できるのか、色を持たない形を認識するとはどういうことか、100パーセントの反射を人間は観測できるのか、0パーセント反射と変わらないのではないか、私たちはこれを創り出して無事で済むのか、これ以上触れてはならないものに手を出そうというのか、今回のように宇宙の消し飛ぶ爆弾を抱えてなお、あえて手を出す勇気はあるのか? 問えば疑問は尽きません。

田畑博士: 鏡は鏡であり、表面に現実性異常はあれどそのものに異常性など何もないのです。そもそも永遠に続く鏡像に興味を持たなければ大惨事を招くほどの規模では発現しない異常現象です。実際問題、普段の使用で対面に鏡を置いてまじまじと奥を覗くか、三面鏡をしっかりと平行に向かい合わせて利用する人がいるとは考えにくいでしょう。

田畑博士: 我々に可能な対処手段としては、思い込みが現実に現れる類のSCPということにするか、ただの邪説とするカバーストーリーを流布するくらいしかないのです。

田畑博士: ここまでの研究結果を鑑みて、この実験は恒久的に停止されるべきであり、深淵を覗きうる技術を持つ何者からも秘匿される義務を持つと考えます。これはいわば希望のないパンドラです。私達は、改竄し、先延ばしにしなければならない。たとえ今も、財団内外問わず、鏡から微弱ながらも現実子が流出し、いつかは終焉を迎えるとしてもです。この事実が正常性維持団体以外に知られたとき、この世界は数ある死滅宇宙の仲間入りという未来に加速し続ける羽目になるでしょう。今回の出席者の中に不届きな者はいないと信じています。

[以下割愛]


〈記録終了〉


補遺1

発表内容の危険性から、出席者による質疑応答、意見交換ののち、各団体、総括を含む数名以外に記憶処理を施しました。この処置は出席団体の4分の3の賛成で可決されました。

補遺2

研究結果の公開: 田畑博士の発表した論文『鏡を用いた霊的儀式を発端とする鏡面及び周辺現実性の低下に関する鏡面反射率及び空間観測認知論の関係』を受け、レベル5以上の権限を持つ職員及び、専攻分野別代表博士会に提言を提出。研究結果、インシデントと照会を行なった結果、正式に完成された理論として確立すると認められたため、GOCを始めとした、財団と協力関係にある各機関に正式に公布されました。なお、この理論は悪用の危険性が極めて高いため、閲覧に際してクリアランスレベル5以上かつO5評議会の承認を要します。

研究再開の可否: 本インシデントの被害範囲を基に、SCP-3480、SCP-2000、世界オカルト連合保有サイト████・██等、主要、機密オブジェクトや施設に甚大な被害を与える可能性を考慮し、SCP財団全支部最高意思決定機関及び世界オカルト連合所属国の4分の3以上の賛成を得られない場合、新規の類似実験の凍結を解除しないとする『国際現実性保全協約』が締結されました。

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