オブジェクトクラス: Thaumiel Keter Thaumiel
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特別収容プロトコル:
プロトコル・ノミナティオが改稿されるまで、SCP-3000-JPはサイト██の、研究室を模した人型収容セルに収容されます。SCP-3000-JPの希望があった場合でも、収容セル内へのいかなる物品の持ち込みにもセキュリティクリアランス4以上の職員3人以上の許可が必要であり、特に紙やホワイトボード、ノートパソコンなどの持ち込みは完全に禁止されています。サイト██内にてそれらの所持が発見された場合、対象者は直ちに機動部隊によって終了処分されます。SCP-3000-JPの収容違反や暴走を防ぐため、収容セルには助手役と新人役に抜擢されたセキュリティクリアランス3000/3職員が一名ずつ配置されます。助手役と新人役にはSCP-3000-JPの趣向に合った仮名が与えられます1。適切なクリアランスを持たずSCP-3000-JPに接触しようとする試みは同様に終了処分等で処罰されます。
SCP-3000-JPには最低でも月に一回、不定期に、複雑な性質を持ったAnomalousアイテムを差し出し、二週間以内にそれを回収してください。回収したAnomalousアイテムは除染・検査を通して再収用してください。
SCP-3000-JPの存在を隠蔽するため、SCP-3000-JPが現実改変を行使した際は改変されたアノマリーを直ちに特定し、クラス-A記憶処理剤による目撃者の記憶処理を行い、カバーストーリー「ミーム汚染対策」に加え改変の内容に合ったカバーストーリーを流布してください。この時、セキュリティクリアランス3以下または3000/2以下の職員も記憶処理の対象になります。改変されたアノマリーに関する情報、記事は不要なためすべて完全に破棄し、速やかに新たな記事を作成してください。
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SCP-3000-JPはプロトコル・ノミナティオのために、週に一日サイト██の3m立方の人型収容セルに異動されます。収容セルには財団支給のPCと非異常な高さ40cmの机、椅子が設置され、半年ごとに新調されます
本人の強い要望と、忠誠度テストの一定以上の点数、断った際の異常性行使の危険性を考慮し、他六日間、SCP-3000-JPはサイト██内を自由に巡回することを許可されます。
プロトコル・ノミナティオ概略
このプロトコルは、命名、呼称することで危険な現実改変、ミーム、反ミーム効果を齎すアノマリーに、危険性のない俗称を与えるための手順です。このアノマリーの指定はO5評議会による協議のもと、過半数の賛同を経て決定されます。過半数の票を得なかった場合は、要注意アノマリーとして通常通り随時名称がO5-██によって与えられます。
このプロトコルはSCP-3000-JPの単独で行われますが、プロトコルの試行にあたってセキュリティクリアランスレベル5の上級職員2名以上の許可が必要です。承認された際には、記録-プロトコル・ノミナティオの編集が許可されます。
SCP-3000-JP は毎週サイト██の人型収容セルにて、財団支給のPCを用いて一つのアノマリーの命名を行い、開示することで危害が及ばない範囲の情報をO5評議会へ報告します。
情報の不用意な流出、SCP-3000-JPの現実改変による広域な洗脳を防ぐため、SCP-3000-JPには、██用装備をしたセキュリティクリアランス3000/5の職員一人が面会室にて口頭のみの情報共有をすることが義務付けられています。職員の安全確保と収容違反の予防のため、面会室はスクラントン現実描によってヒューム値が0.98~1.01に固定されています。
説明:
SCP-3000-JPは、見た目が30代の人間女性に酷似したブラックバック(Antilope cervicapra)の近縁種で、通常オスのみに見られるらせん状の角が頭部に二本、脳天を軸として左右対称に生えていますが、元は15歳程度の人間の少女であり、現在は16歳程度の知能を持っていることが、プロトコル・ノミナティオ制定前に行われた知能テストやインタビュー記録から予想されています。そのため、SCP-3000-JPは自らの容姿を現実改変の行使によって現在のように変化させたと推測されています。SCP-3000-JPは現実改変やミーム汚染、記憶処理に対しての極端に強い耐性を持っており、年齢も変わらないことから自らを不変に保ち続けるという異常性を持っていると考えられていましたが、事案S3000-1から高レベルの現実改変能力を所持しているという仮説が立てられました。
SCP-3000-JP自体が現実改変能力について理解していないのか、改変可能な範囲が限定的なのかは不明ですが、SCP-3000-JPはPC端末やノート、紙、ホワイトボード等に名称や呼称に関する単語を記入することでのみ改変を行っています。改変の内容はある程度記入された単語の意味に沿うものになっていますが、改変の対象に距離は関係していないため改変を受けたものの特定は困難です。現状SCP-3000-JPがアノマリー以外に改変を行ったことはありません。
補遺1:SCP-3000-JPの収容違反(事案S3000-1)が発生。現在Anomalous指定の彫刻、不死の███が、SCP-3000-jpによって、財団支給のPCを用いて「不死身の爬虫類」と命名されました。その直後からSCP-682の表面に鱗、眼球、手足、尾等が確認され、数秒の硬直を経て生物のように自立しサイト██内を暴れまわりました。あらゆる方法を用いても破壊する事ができず、サイトの防壁をやすやすと破壊する膂力や体表の硬度、事案後のあらゆる破壊実験に順応する生命力から、SCP-████-JPはKeterに指定され、SCP-███としてサイト17に輸送されます3。
インタビュー記録
対象:SCP-3000-JP
インタビュアー:荒井博士
目的:収容違反を引き起こした原因とSCP-3000-jpの出自の解明
日程:20██/07/04〈録音開始〉
荒井博士:こんにちは[削除済]、本日は…SCP-3000-JP:このヴィランに向かって勝手な名前を呼ぶな!機嫌が良くなきゃお前を殺してしまっている所だ。
荒井博士:…?申し訳ありません。しかし、なぜあなたが今回の事案を起こしたのかの経緯、いままでどのように財団を騙し続けたのか、あなたがいつ異常性を獲得したのか、我々は知る必要がありますので…お手数ですが質問にお答えください。
SCP-3000-JP:…(頭を搔く)オーケー、仕方ない。いったん受け入れるとしよう。まずここに来た経緯から言おうか。ある日私は盟友の葬儀に向かっていた。そろそろ葬儀所に着くと思った時いきなり紙吹雪と風船が出てきたんだ。最初は質の悪いいたずらだと思ったが、お前に似たやつが来てすぐにみんながそのことを忘れた。その時点でこれが普通の状況じゃないと気付いた。わけのわからない事象に慣れた対応、私はワクワクしたさ。お前らを部下にしてやろうと寛大なる私は思ったわけさ。
荒井博士:「盟友」というのは?
SCP-3000-JP:そいつとは二年前くらいに学校で会ったんだ。私の能力を軽くあしらう無礼な奴だったが、うざったるい教師を追い払ってくれたのは良かった。
荒井博士:なるほど、お友達がいらっしゃったのですね。よくわかりました。では本題です。あなたは財団の忠誠心調査テストでも高い成績を収めていました。なぜ今になって収容違反を?
SCP-3000-JP:簡単な話だ。お前らが用意した心電計、発汗センサー、脳波測定器、瞳孔センサー、呼吸測定器、どれも私の能力で偽造可能だ。エージェントとやらも出入りでしかついてこない、紙とペンもある。機器はレプリカ、センサーはO2とでも名付ければいい。お前らが私の真の能力に気付いてないのだから余計に簡単だった。私の演技にまんまと騙されたな。
荒井博士:そういうことではありません、そこまで労力をかけて、なぜここに潜入したのですか?
SCP-3000-JP:さっき言っただろう、お前たちを部下にしてやると。ここで私の力を誇示すれば、お前らも部下とアジトをよこす気になると思ったが、ここまでいいように使われているだけではないか。ならば少々手荒な真似をするしかなかろう。
荒井博士:つまりあなたは実験に使える従順な部下と、異常な物体を研究できる場所が必要だと、そういうことですか?
SCP-3000-JP:ああ、そうだ。
荒井博士:(11秒間沈黙)了解です、我々の代表二人をあなたに差し上げましょう。研究所もどうぞお好きに、場所を一つ開けておきます。
SCP-3000-JP:話が分かるではないか、先ほどの無礼は許そう
荒井博士:ありがとうございます、では、最後に一つよろしいでしょうか?あなたはなぜ危険性のなかった無生物をわざわざ話の通じない凶悪な爬虫類に変えたのですか?
SCP-3000-JP:ああそうだ、それをまだ言ってなかった。プロトコル・ノミナティオとやらで、ここには面白いやつがたくさん収監されてるってことは分かったんだが…いくつか相当つまらないやつもいた。今日私の能力で作り変えた腐らないだけの置物なんて論外だ。あのトカゲは実験していておもしろいだろう?
荒井博士:……了解です、以上でインタビューは終わりです
SCP-3000-JP:助手の話、忘れるなよ?
荒井博士:わかっています。今回はインタビューに答えて頂き、ありがとうございました。
分析:SCP-3000-JPは、自分が世界の頂点に立っているという誇大妄想と、自らの幻想の全てを実現できるという全能感を持っており、その内の片方は残念ながら事実です。この改変によって我々が今まで確保してきたアノマリーにどのような害を及ぼすかも計り知れません。また、スクラントン現実描によって収容室内含むサイト全域のヒューム値はほとんど1に固定されています。それにもかかわらず改変を行えたということは、SCP-3000-jpの現実改変は「名前の記入」というトリガーが必要な代わりに相当な強力なものであると推測できます。SCP-3000-JPの望みは応え、かつ改変のトリガーとなる記入可能な物には絶対に触れさせないよう、特別収容プロトコルの改定を申請します。
補遺2:SCP-3000-JPの脱走事案(事案S3000-1)発生後、現在Euclid指定されているSCP-096の収容室外壁に「シャイガイ」と血4で書かれているものが発見されました。以降SCP-096は凶暴性が劇的に上昇し、収容までに█4人の機動部隊が首への致命傷によって殉職しました。その名称や確保時の音声記録から、SCP-096は顔または全身を視認する事で活性化すると考えられています。██博士がSCP-3000-JPの終了処分を申請しましたが、O5-10によって却下されました
補遺3:[削除済み]
補遺4:SCP-3000-JPの気分で改変の種類が変わる異常性の不規則性や、日本支部以外のアノマリーにも関与できる範囲の広大さ、物理的危険性の高いアノマリーを積極的に改変する傾向などから、潜在的にK-クラスシナリオを引き起こす危険性があると判断されたため、SCP-3000-JPはKeterに指定され、収容プロトコルが改訂されました。
補遺5:二度目の事案(事案S3000-2)が発生、SCP-3000-JPが野下研究員のスマートフォンを盗み、取り上げられるまでにSCP-1690-JPの記事を閲覧しました5。この時、現在Ain指定されているSCP-1690-JP[編集済み」が「トンあるいはブタ」と命名されました。命名には[編集済み]が使用され、その過程でサイトに甚大な被害を与えました。
これと同時に、日本国内において「豚」という未知の言葉(以下SCP-1690-JP-1と呼称)、またそれに該当すると考えられる動物(以下SCP-1690-JP-Aと呼称)が発見されるという大規模な現実改変が報告されました。SCP-1690-JP-Aは食用の牛(Bos taurus)や鶏(Gallus gallus domesticus)などの代表的な畜産の一つとして認知されており、既に1█カ国においてSCP-1690-JP-A個体及びSCP-1690-JP-1と同じ意味を持つ言語(SCP-1690-jp-2~1██)が確認されています。SCP-1690-1-JPを摂取することによる副作用が不明かつ、感染の媒体も発見されていないことから、SCP-1690-JPはKeterに指定されました。
また、荒井博士から、事案記録と照合した、SCP-3000-JPが現実改変耐性ではなく高レベルの現実改変能力を所持しているという仮説による、SCP-3000-JPによってApollyon指定された取り返しのつかないアノマリーを収容可能なものにできる可能性が示唆されました。O5評議会の過半数の承認によって、SCP-3000-JPは再度Thaumielに指定され、元Thaumiel指定時の特別収容プロトコルが復元され、編集されます。SCP-3000-JPは現在財団に対して反抗的であり、強い好奇心と創造力を持っていることに留意してください。-
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インタビュー記録
対象:SCP-3000-JP
インタビュアー:荒井博士
目的:収容違反を引き起こした原因とSCP-3000-JPの異常性の把握、収容方法の考案
日程:20██/07/04〈録音開始〉
荒井博士:こんにちは、SCP-3000-JP、今日はなぜ呼ばれたかご存じですか?SCP-3000-JP:ああ、それについてはよくわかってる、申し訳ないとも思っている。だができればちゃんと名前で呼んでくれないか?[削除済]だ。
荒井博士:了解です、では本題に入ってもよろしいですか?[削除済]さん。
SCP-3000-JP:あのトカゲについてだな?
荒井博士:そうです。まず聞きたいのは、なぜ今になって改変をしたのかということです。
SCP-3000-JP:君たちのエージェントはどいつも博識な感じがしたし、妙に私のような存在に慣れてましたから、、様子を伺っていた。
荒井博士:どのように我々の収容、監視を潜ったのですか?
SCP-3000-JP:ああ、それは大変だった。爪を犬歯でちょっとずつ噛んで点字を書いてたんだよ。ここだと能力もあまり強く使えないからいくつもいくつも書いて、何とか外に出た、、、能力が使えるかは賭けだったし、これからはそんな事をするまでの時間怪しまれないのというのも、もうできなそうだ。二度は使えない手段だ。まぁ、次はおいおい考えるか。
荒井博士:荒井博士:…ということはまだ改変行為を続けるつもりですか?
SCP-3000-JP:そうだな……確かにやりたいことはまだ沢山ある。だれもが身の毛もよだつほどの化け物を作ってみたいしジョークじみた物理現象も作ってみたい。でも君たちはそれを止めようとするんだろ?どうかな?このインタビュー記録を止めて協力してくれるなら、インタビュアーのよしみで君に危害は加えない。
荒井博士:ひどい選択肢です。さながらRPGの魔王ですね、残念でしょうがお断りします。
SCP-3000-JP:頭の回転が速いって言いたいのか?それともずるがしこいってことか?そんな大層なもんじゃないが、まあ、悪くはない。
荒井博士:今の優しい名前よりもずいぶんとあなたらしいですよ。
SCP-3000-JP:とはいえそんな冷たい名前も癪だな、「ヴィラン」なんかでどうだ?野望も言ってしまえば極端なものだし、君が見るに私はヴィランだろう?
荒井博士:それ以前にアノマリーです。 …[削除済]さん?
〈録音中断〉報告:録音を終了した直後からSCP-3000-JPは人が変わったような兆候、具体的には短期記憶の喪失と性格の顕著な変化を見せ、いつインタビューが始まるのかと問いました。どの程度の記憶を有しているのかはわからないため、質問内容、目的を広げインタビュー再度行った結果、変化前よりも容易な収容ができる可能性を見出しました。ある程度の自由な環境を与えたことで現在のSCP-3000-JPが以前の人格を想起する危険を予防するための処置として、SCP-3000-JP改変前のインタビュー記録は表向きには隠蔽し、元の名前は削除しました。
特別隠蔽プロトコル:
SCP-3000-JPは暫定的なThaumuel指定6 のアノマリーとして、現在の特別収容プロトコルにのっとって収容されます。常に最大二名以上のセキュリティクリアランスレベル5以上の職員がセキュリティクリアランス3/5000の職員として助手役または新人役として選抜され、SCP-3000-JPの好奇心をアノマリーのみに固定するため、定期的に収容違反を助長します。収容違反に伴った処罰や終了処分があり得るため、収容違反の助長は極力延期されます。
補遺1と補遺2の間のインタビュー以降、SCP-3000-JP計画性なく命名を行い続けるため、SCP-3000-JPとその周辺の様子についての情報共有は特別収容プロトコルにのっとって常に行ってください。