クレジット
タイトル: SCP-3000-JP - 白兎は幻想でつく
著者: urup
作成年: 2022
アイテム番号: SCP-3000-JP
オブジェクトクラス: Eulid
特別収容プロトコル: SCP-3000-JPの敷地内への民間人の侵入を防ぐため、カバーストーリー「建て壊し予定」を適用し、近隣の家屋に検査を受けた2人以上の財団職員が常駐居住してください。一般人がSCP-3000-JPへの侵入また敷地内に侵入しようとした場合はカウンセリングの後クラスA記憶処理の後解放してください。
説明:SCP-3000-JPは静岡県██市に存在する2階建て構造の精神科クリニックで、「月のウサギクリニック」の名で知られていました。
SCP–3000–jpの内部へ過去に大きなトラウマがある人物や鬱などの気分障害を患っている人物が侵入した場合
SCP–3000–jp–1と指定された空間へと移動します。SCP–3000–jp–1への侵入の際扉から侵入すると同時に侵入者は瞬間的に消失します。この現象は窓などの扉以外からの侵入でも確認されています。
複数人での侵入を試みた場合それぞれが別のSCP–3000–jp–1に移動し合流は困難だと予想されます。
SCP–3000–jp–1内部は侵入者によって異なった空間であり空間は侵入者の望む世界になります。そのため内部がどれ程の大きさなのかは把握しきれていませんが内部の大きさも侵入者によって異なるものだと考えられています。SCP–3000–jpへの侵入の際においてSCP-3000-jp-1内にて現れた人物または生命体をSCP–3000–jp–2と呼称します。SCP–3000-jp-2は侵入者に対して敵意は無く友好的に接します。SCP-3000-jp-2は多くの場合侵入者にSCP-3000-jp-1内での登場を望まれて現れています。
確認された空間への侵入者及び空間の特徴
侵入者 |
トラウマへの要因 |
空間内の特徴 |
7歳男児(SCP-3000-jpには親族と共に来ていた。) |
家庭内暴力 |
男児の両親と思われるSCP-3000-jp-2とソファに座り談笑しサンタクロースの格好のSCP-3000-jp-2にプレゼントをもらっている。 |
14歳女性 |
学校内のイジメ |
女性が在学していた学校の教室で席に座っている周りにはイジメに加担したと思われる生徒や教師の姿のSCP-3000-jp-2が血を流し倒れている。 |
D-90172 |
SCPの調査中共にしていたDクラス職員の死亡 |
青空と草原。 |
D–20718 |
逮捕前に勤めていた会社でのパワーハラスメント |
D-20718が王になり王国の住人と思われるSCP-3000-jp-2に敬われている。 |
エージェント蟹口 |
SCPによる妻の殺害 |
過去妻と暮らしていた家、室内には亡くなっているはずの妻の姿をしたSCP-3000-jp-2がいる。 |
以下はこれまでのSCP–3000–jp-1内での調査記録です
調査記録3000-jp-A1 - 日付20██/██/██
対象:SCP–3000–jp-1
目的:SCP–3000–jp-1内部の更なる調査と位置の特定
探索者:D–90172
██博士:それではカメラとマイクの電源をつけて内部に侵入してください。
D–90172:分かった。
[D–90172が侵入すると同時にカメラとの接続が切られGPSの位置が特定できなくなる]
██博士:カメラとの接続が切られました。故障の可能性があるので確認してください。
D–90172:いや、こっちではついてるぞ。
██博士:電波が届かない可能性があります。周りについて報告をしてください。
D–90172:えーと….綺麗な青空が続いてるな、それにこれはなんて言うんだっけ..あぁ草原だ。見渡す限りに続いている。なんか自由って感じがする。
██博士:了解記録しておきます。何か他に気になるようなものはありますか?
D–90172:いや何も‥でもなんか気持ちがいいな。こんな場所行きたいとは思ってたんだ。しかし1人だとなんか寂しいな。誰かと来たかっ..おわ!
██博士:どうしました?
D–90172:うさぎが出てきた!ピエロみたいな服を着て立ってる!
SCP-3000-2:幻想の間へようこそおいでくださいました。
D–90172:しかもしゃべったぞ!
██博士:こちらでも確認しました。気をつけて接してください。
D–90172:了解。あ〜初めまして。……一応聞いとくがあんたは俺を殺すタイプか?
SCP-3000-2:[笑い声]まさかそんな物騒なことしませんよ。それに我々はお客さまの幸せを第一に考えておりますからね。
D–90172:そりゃよかったが、幸せ?
SCP-3000-2:はい!外の世界は厳しくキツくて生きているのに希望を持てない方々ばかりです。そんな現状を変えるべく我々月のサーカス団はこの幻想の間で悲しみを抱える人々を幸せにする活動をしているのです!
D–90172:はぁ、 そりゃ壮大なことをしてるようで。
██博士:この空間について質問をしてください。
D–90172:しかしこの幻想の間?って性格にはどこなんだ?
SCP-3000-2:幻想の間はどこにもあってここにしかありません。
D–90172:哲学的な話はやめて欲しいんだが。
SCP-3000-2:いえいえ、そんな難しい話ではありません。ここは我々が作り上げた別空間なんです。なのでどこからでも来れるけど来たところにはないんです。
D–90172:よくわからんな。
SCP-3000-2:まぁ願いが叶う場所だと思ってくれた大丈夫です。
D–90172:そうだなそんくらいに思っとくよ。ところでここには俺しかいないのか?
SCP-3000-2:はい。ここにはあなたしかおりませんよ。他の方々はここのような空間がありそちらで生活していただいています。
D–90172:大体どんだけ空間ってのはあるんだ?
SCP-3000-2: 私もどんだけあるのかは把握しておりませんが、外の方々が全員入られても余裕のがある程には用意しています。
D–90172: それはすごいな。
[以降10分程度SCP-3000-2とD–90172との会話が行われる。]
██博士: 会話に花を咲かせているところ悪いのですがそろそろこちらへの帰還の方法を聞いてできるようならこちらへの帰還を試みてください。
D–90172: ん…あぁそうだな。あ〜そろそろ帰らないといけないんだがここから出る方法ってあるんだよな?
SCP-3000-2: えぇございますよ。来たドアから出ていただければ入って頂いたところへ戻ることができますよ。
D–90172: そうか。世話になったよこんなに楽しかったのは久しぶりだったまた来れたら来るよ。
SCP-3000-2: えぇまたお越しください。……しかし本当にここから出てもいいんですか?
D–90172: は?
SCP-3000-2: いえ別に出て行かせないとか言うわけではないんですよ。出ていくことで幸せになれるなら我々は止めません。しかし我々はこの空間にいらっしゃった方々の情報はあらかた入ると同時に把握しております。その情報を見て貴方様がここから出ても幸せになれると思えないのです。
D–90172: …何でだよ
SCP-3000-2: 何でとは?
D–90172: なんでここから出ても幸せになれないんだよ。
SCP-3000-2: ここから出たら貴方様は自由になれないじゃないですか。それどころか無惨に殺されてしまうかも知れない。
D–90172: ……
██博士: D–90172早急にそこから帰還してください
SCP-3000-2: ですがここには自由があります。貴方様が望むのであれば我々はどんな要望にもお応えします。
D–90172: ここにいれば幸せに…自由になれるのか?
SCP-3000-2: えぇ我々が貴方を幸せにしましょう。
██博士: D–90172帰還してください!
D–90172: 博士…俺あいつみたいに死にたくないや。
[直後通信装置を柔らかいものに叩きつける音がしその後通信機を踏みつける音とともに通信が終了しました。]
記録終了
追記: D-90172は未だ発見されておらず現在も居場所を調査中です。
調査は終了されました。
また月のサーカス団についても現在調査中です。
調査記録3000-jp-A3 - 日付20██/██/██
対象: SCP–3000–jp-1
目的: SCP–3000–jp-2の自我の有無
探索者: エージェント蟹口
補足: 過去2回の探索の上Dクラス職員では財団への忠誠心の低さにより探索者の帰還が叶わないためエージェントの投入がなされました。
エージェント蟹口: これよりSCP-3000-jpへの侵入を開始します。
██博士: 了解。内部の安全性は確認済みですが細心の注意をして望んでください。
エージェント蟹口: 了解。
[エージェント蟹口が侵入すると同時にGPSの位置が特定できなくなる]
██博士: 内部について教えてください。
エージェント蟹口: 家です。過去に私が妻と暮らしていた家の目の前にいます。辺りには過去に暮らしていた街がありますが、街へ行こうにも目には見えない壁のようなもので阻まれています。
██博士: 了解。奥さんについてはこちらでも確認しています。気をつけて室内の調査を始めてください。
エージェント蟹口: わかりました。これから室内に入ります。
[扉の開閉音が聞こえる。]
エージェント蟹口: 室内に入りました。扉に鍵はかかっていませんでした。
SCP-3000-jp-2: あら…帰ってきたのなら教えてよ。お帰りなさい。
エージェント蟹口: ███。
SCP-3000-jp-2: ?どうしたのそんな顔して?
██博士: 帰還は許されていますが。
エージェント蟹口: いえ…大丈夫です。…なんでもないよ。ただいま。
SCP-3000-jp-2: おかしな人ね。まぁいいわ先にリビングにいるから手を洗ってきてよ。あなた手洗わずにくること多いんだから。
エージェント蟹口: あぁわかったよ。先に行っててくれ
██博士: エージェント蟹口今回の探索の目的はわかっていますね。辛いとは思いますが…
エージェント蟹口: わかっています。大丈夫です。
██博士: 分かりました。あとは任せます。
エージェント蟹口: ありがとうございます。
[移動音ののち扉の開閉音が聞こえる。]
SCP-3000-jp-2: ちゃんと手洗ってきた?
エージェント蟹口: …少し話をしよう。
SCP-3000-jp-2: 何?急に改まって。
エージェント蟹口: 大事なことなんだ。すぐに終わる。
SCP-3000-jp-2: ん〜まぁ分かった。終わったら晩御飯だからね。
エージェント蟹口: 貴方の名前と生年月日はいつですか?
SCP-3000-jp-2: 名前は蟹口 ██ 2月16日生まれ。
エージェント蟹口: 好きな食べ物と嫌いな食べ物は?
SCP-3000-jp-2: カボチャは好きかな、嫌いなのは魚。
エージェント蟹口: 好きな音楽はなんですか?
SCP-3000-jp-2: ジャズ。…ねぇもういい?
エージェント蟹口: もう少しだけ、今日は何月何日ですか?
SCP-3000-jp-2: ……覚えてない。
エージェント蟹口: 覚えてない?
SCP-3000-jp-2: いちいち覚えてないわ。ねぇもうご飯にしない?お腹すいたるのよ。
エージェント蟹口: …今何時ですか?
SCP-3000-jp-2: さぁ。
エージェント蟹口: ここはどこですか?
SCP-3000-jp-2: 家だよ。私たちの家。
エージェント蟹口: 今まで…どこに居ましたか?
SCP-3000-jp-2: …覚えてないんだよね。覚えてる事は何処を向いても眩しいくらい明るいところにいたことだけ。いつのまにか家に居た…寝ぼけてたんだと思う。
エージェント蟹口: そう…なんだったのか。
SCP-3000-jp-2: ねぇご飯食べましょ。あなたが好きなものばっかりよ。
エージェント蟹口: それは楽しみだな。
[以降30分程談笑する声やそれに混じり皿にスプーンやフォークが当たる音が聞こえる]
エージェント蟹口: ご馳走様でした。
SCP-3000-jp-2: お粗末様でした。
エージェント蟹口: とてもおいしかったよ。
SCP-3000-jp-2: 本当?ならよかった。ねぇあなたって明日は休み?休みなら行きたい所があるのよね。一緒に行きましょうよ。
エージェント蟹口: ……それはできない。
SCP-3000-jp-2: え、なんで?
エージェント蟹口: 仕事があるんだ。大切な仕事だ。他の誰でもなく私が、私たちがやらないといけない。
SCP-3000-jp-2: でもようやく会えたのに……。
エージェント蟹口: ごめん、けれどこんな幸せ私がもらうわけにはいけないんだ。
SCP-3000-jp-2: どうしてもなの?
エージェント蟹口: ……あぁ、 ごめん
SCP-3000-jp-2: ううん、謝らないで。あなたがそんなふうに言うんだもん きっととても大切なことをしているのよね。
エージェント蟹口: あぁ、……ありがとう。
SCP-3000-jp-2: いいのよ、さぁそう決まったら早く行ったほうがいいわ。
[扉の開閉音と移動音]
SCP-3000-jp-2: 私、ずっと待っててあげるわ。 ずっと待っててあげるから悔いが残らないようにしてから帰ってきてね。
エージェント蟹口: ……行ってきます。
SCP-3000-jp-2: 行ってらっしゃい。
[直後SCP-3000-jpの扉からエージェント蟹口の帰還が確認されました]
[調査終了]
追記: 後日エージェント蟹口へのインタビューでSCP-3000-jp-2は本人である可能性が高いと推測されました。
補遺1: SCP-3000-jpの管理を担当していた職員に加え他数名の職員の失踪が確認されました。
SCP-3000-jp付近の監視カメラを確認をしたところ失踪をした職員のSCP-3000-jpへの侵入が確認されました。確認された映像と失踪した職員の情報を合わせたところ財団での働きに不安を抱いていた職員がSCP-3000-jpの特異性を知った事による財団からの逃走行為と確認されました。
現在も調査を続けています。 調査は終了されました。
補遺2:
サイト35にて財団宛に月のサーカス団からダンボールが送られました。ダンボールには手紙が貼られていました。またダンボールを持ち込んだ人物を拘束しインタビューを行いました。
以下ダンボールに貼られていた手紙の内容です。
拝啓
寒緋桜が目に鮮やかなこの頃、御社におかれましては、
ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。
このたびは我々の大型プロジェクトの1つである、
「幻想の間」への多大な協力誠にありがとうございます。
我々は生活に困る身でありますので日頃から皆様からの支援が日々の糧になっております。また皆様の協力の> おかげで我々の進歩へと一つ足をすすめることができます。> 我々「月のサーカス団」一同皆様への感謝を忘れずにこれからも精進していこうと思います。
末筆になりましたが、これからの皆様のご発展を祈っております。くれぐれもご自愛ください。
平成██年3月25日
月のサーカス団
追記
「幻想の間」への多大なる貢献を踏まえて人類への代表として
真っ白な団子を送ります。美味しく仕上がったので皆様で食べてください。
ダンボール内には三方が入っておりその上に肉団子が3段重ねで設置されていました。
肉団子を調べた結果人肉であることが確認されました。更なる調査で人肉は以前逃走した職員数名とD-90172と██氏の肉であることが発覚しました。
以下ダンボールを持ち込んだ人物へのインタビューです。
対象: 白ウサギ(人物が白ウサギになったため)
インタビュアー: 海猫博士
<録音開始>
海猫博士: すみません、こんな部屋で待ってもらって。
白ウサギ: いえいえ気にしないでください。
海猫博士: 我々も急な訪問で驚いたものでしていくつか質問してもいいですか?
白ウサギ: えぇいいですよ。
海猫博士: ありがとうございます。それではここにはどうやってきたんですか?
白ウサギ: 歩いてきました。空を飛びながらくる人がいるんですか?
海猫博士: すみません、質問が悪かったですね。ここをどうやって知ったのですか?
白ウサギ: 仲間から来てきました。
海猫博士: 仲間?ということはあなたは…
白ウサギ: えぇ私は白兎ですよ。
海猫博士: …すみません。我々の考えていた姿と違ったもので。
白ウサギ: ん?あぁそういうことですか。[直後白ウサギに体が変わる]これでわかりやすいですか?
海猫博士: え、今どうやってやったんですか?
白ウサギ: 姿を変えただけですよ。服を着替えるのと同じです。
海猫博士: そ、そうなんですね。それではあなたはあの中身を知っていたんですか?
白ウサギ: えぇ知ってましたよ。美味しそうなお団子だったでしょう?私が作ったわけではないんですけど仲間がお餅を頑張ってついて作っていたんですよ。
海猫博士: あれはお餅ではありません。あれは肉です。
白ウサギ: いえあれはお餅ですよ。ストレスによって程よい硬さで。最高級の希望によって味付けされたお餅ですよ。
海猫博士: え?つまりあの肉は…人のなんですか?
白ウサギ: えぇあれは人から作った団子ですよ。
海猫博士: な、なんで。
白ウサギ: なんで?手紙に書いてありましたよね。我々は生活にも困るほどの環境で生活しているんですよ。どっかの誰かが想像したせいであの場所に囚われているんですよ?お腹も空きます。お腹が空くから食べるんです。
海猫博士: 地球には他にも食べるものがあるのになんで。
白ウサギ: ん?[笑い]すみません。いや〜そういうことですか。あなた方と一緒ですよ。美味しいものが食べたいんです。幻想を抱いた肉は美味いんですよ。
海猫博士: ……
白ウサギ士: あの〜そろそろ帰っていいですかね?
海猫博士: …帰しませんよ。あなたは我々が収容します。
白ウサギ士: それは困りますね。どうしましょうか。あ、あなたってかぐや姫って知ってますか?
海猫博士: …知っていますが。
白ウサギ士: かぐや姫ってところどころで少し違うんですけどその中にこんな話があるんです。かぐや姫を連れて帰ろうとした月の使者に矢を放ったしかし矢は月の使者には当たらず月の使者を通りすぎてしまう。そんなお話があるんですよ。
[直後白ウサギが部屋の壁に走り壁をすり抜け部屋から退出してしまう。
<録音終了>
終了報告書: 退出後白ウサギが最短距離でサイトから退出していく姿が多数の監視カメラや職員から報告されました。
ページリビジョン: 4, 最終更新: 08 Dec 2022 04:09