SCP-3164-JP
評価: -6+x
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アイテム番号: SCP-3164-JP
 
オブジェクトクラス: Anomalous Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3164-JPは標準人型実体収容プロトコルに従って収容してください。SCP-3164-JPには毎日4時間の義務教育相当の学習と、週に3回の年齢相応に簡易化した機動部隊向け標準訓練プログラムを実施してください。

後述する創作改変の影響を鑑み、SCP-3164-JPに不可逆の影響を与える恐れのある実験は禁止されています。

説明: SCP-3164-JPは20██/██/██に自殺した真桑友梨佳氏の死体です。真桑友梨佳氏は享年10歳であり、学校でのいじめを苦にして屋上からの飛び降り自殺を行ったものと推測されています。

真桑友梨佳氏の死後に火葬が行われた際、焼却中に一切の変化がなかったことから標準遺体監視プロトコルに基づく監視カメラ映像傍受によって財団に通報がなされ、SCP-3164-JPは破壊耐性を持つ遺体として収容されました。その後の検査により他に特筆すべき異常は確認されなかったため、Anomalousアイテムに指定され標準遺体保管チャンバーへ収容されていました。

異常性発覚後の調査において、生前の真桑友梨佳氏は女児向けアニメーション作品である「████████」に強く傾倒しており、当該作品に関連するグッズ等1を常に持ち歩くなどの行動に由来して周囲から浮いており、それが原因となって小学校4年時のクラス替え以降にいじめを受けていたと推測されています。


事案093-962発生後、SCP-3164-JPは生命活動の兆候を示していないにも関わらず、対象は自律活動を開始しました。検査の結果SCP-3164-JPは生前の真桑友梨佳氏と同様の記憶を有していると確認されていますが、いじめに由来するストレス及び精神影響は確認できず、いじめを受ける以前の性格特性を有していると推測されています。加えていじめについての質問への回答にはおぼろげに記憶しているものの、小学校4年時以降の記憶が曖昧であるために詳細は回答出来ないとの返答を行いました。

元来保持していた破壊耐性及び先述した自律活動の他に、SCP-3164-JPは生前に傾倒していた女児向けアニメーション作品の登場人物に部分的に類似する衣装への瞬間的な換装能力や、奇跡論的な攻撃能力を獲得しています。

これらの特徴から事案093-962発生以後に発生しているSCP-3726-JP-2類似アノマリーへの視認及び干渉能力が存在する可能性が考慮され、後に実施された実験によりSCP-3726-JP-2類似アノマリーへの視認及び干渉能力を有していることが判明しました。

これによって、SCP-3164-JPの機動部隊ま-7 (“ガラスの靴よ消えないで”)への編入が検討されましたが、

  • 事実上9歳相当の知識・経験・能力のみを有しているSCP-3164-JPに機動部隊としての作戦行動が困難であること
  • 異常性の変異から十分な研究が行われておらず、未発見の異常が存在する可能性があること

以上の2点から機動部隊への編入が保留されました。今後の機動部隊への編入可能性を担保するため、SCP-3164-JPへは小学校相当の学習プログラムと平行し、年齢相応に簡易化した機動部隊向けの標準訓練プログラムを実施することと決定されました。


補遺: 異常性変異後に行われたSCP-3164-JP及び生前の真桑友梨佳氏に関する資料の再調査において、生前の真桑友梨佳氏へのいじめに関与した人物█名の戸籍が消失していることが判明しました。当該人物らに対して調査が行われた結果、これらの関係者が通学していた████小学校には当該人物らと同一の外見及び記憶を持ち、破壊耐性を有する有知性人型アノマリー(以下SCP-3164-JP-1と指定します。)が通学していました。当該人物らに戸籍等の社会的な登録がないにも関わらず、家族や学校などの関係者は戸籍の消失以前と同様の対応を続けており、本来書類の不備のために受理されないはずの各種届出に関しても正常に受理されていました。

SCP-3164-JP-1は真桑友梨佳氏へのいじめに関与した人物らと同様の記憶を持ちますが、性格特性はSCP-3164-JPの異常性変異以前からやや粗暴になっており、真桑友梨佳氏の自殺時点より行っていなかった他の生徒へのいじめ行為を異常性変異時点より再開していました。

カバーストーリー「いじめ事件による転校」を流布の上でSCP-3164-JP-1は成功裏に確保され、異常性スクリーニングの結果SCP-3164-JP-1はSCP-3726-JP-2類似アノマリーと同様の条件で干渉可能であると確認されました。


SCP-3164-JP-1について、空想科学部門により以下の説明がなされています。

SCP-3164-JP-1が戸籍を消失したのは、上位創作世界の観客達による創作改変の影響と考えられます。

事案093-962によって、大量のSCP-3726-JP-2類似アノマリーが流入した結果、上位創作世界の観客達にとって我々の世界には「女児向け魔法少女アニメ」とのクロスオーバーという認識が付与されたと推定されています。これは既知の魔法少女類似アノマリーの異常性変異や、物語的に悪役と見做すことが可能なアノマリーがSCP-3726-JP-2類似アノマリーへと変異した事例による推測です。

これによって起こる事象は、魔法少女類似アノマリー及びその周辺においては「女児向けアニメーションとして起こりうることが優先して起こる」という創作改変が働いていると推測されています。このためSCP-3726-JP-2類似アノマリーやその影響を受ける人物に対しては

  • SCP-3726-JP-2類似アノマリーによってもたらされる被害は回復可能な範囲に収まる。
  • SCP-3726-JP-2類似アノマリーの影響を受けた人間による加害行為は、加害者と被害者が和解することで解決する。

というように行動の結果が改変される事例が確認されています。

具体例を挙げるとSCP-3726-JPの被影響者であるSCP-3726-JP-1は他者への加害行為を行いますが、これによって被害者が死亡あるいは回復不能な外傷などが発生する事例はこれまで確認されておらず、被害機動部隊ま-7によって異常性を喪失した場合には加害者と被害者は必ず和解が成立しています。

今回の事例で問題となるのは、創作改変が行われる以前に真桑友梨佳氏は既にいじめを苦に自殺しており、その被害は回復不可能であるという点です。これを解決するために、上位創作世界の観客達に「女児向けアニメーションとして」納得できるように創作改変が働いた結果、SCP-3164-JP-1は悪役そのものであり、悪役に操られた人間ではない。という改変が行われ、当該人物らは遡及的に消失したと考えられます。


今回の事例は先述の「女児向け魔法少女アニメ」とのクロスオーバーという認識が存在する限り、財団が機動部隊ま-7を運用し続けなければいけないことを示唆しています。
財団は正常性維持の為にDクラスの消費・カバーストーリーの流布・有知性人型アノマリーの収容等の一般的な社会正義とは相反する手法を用いています。これは「女児向け魔法少女アニメ」においてしばしば登場する自身の目的のために社会正義に反する「悪の組織」と類似します。

空想科学部門は、現時点の財団は機動部隊ま-7への支援やSCP-3726-JP-2類似アノマリーの無力化等の「女児向け魔法少女アニメ」における正義と見做される行動によって「悪の組織」との認識を回避出来ていると推測しています。機動部隊ま-7を含む魔法少女類似アノマリーに対する財団の態度如何では、今回の事例と同様に財団全体が「悪の組織」へと改変される創作改変が行われる可能性が存在します。 創作改変の防止のため、魔法少女類似アノマリーの収容方法の見直しを提言します。

当事例を鑑み、SCP-3164-JP及び魔法少女類似アノマリーへ破壊検査などを含む不可逆の影響を与える実験は実験者及び財団に対し同様の改変を引き起こす恐れがあるとの懸念から、原則禁止とされました。既知の魔法少女類似アノマリーに対する収容方法の見直し及び標準魔法少女収容プロトコルの策定が計画されています。

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