アイテム番号: SCP-3250-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-3250-JPは現在収容されていません。SCP-3250-JPが関与する事件が確認された際、適切なカバーストーリーを流布して存在を隠蔽します。SCP-3250-JPが撮影されたと思われる画像・映像は削除もしくは編集されます。SCP-3250-JPの出現がリアルタイムで報告された場合、機動部隊を派遣し収容作戦を行なってください。
SCP-3250-JP-1、SCP-3250-JP-2はサイト-8102の異常生物収容室に収容されています。SCP-3250-JP-2は財団に対して不信感を示しているため、財団による干渉は最低限に留められます。毎日SCP-3250-JP-1に対しては標準的なイヌ用の餌が、SCP-3250-JP-2に対しては標準的な人間用の食料が与えられます。
説明: SCP-3250-JPは40代後半のモンゴロイド系に属する男性と外見的に同一の異常な人型実体です。SCP-3250-JPは典型的なモンゴル民族の民族衣装を着用しています。SCP-3250-JPは通常、杖や鞭などで武装していることが確認されています。SCP-3250-JPは日本語を話すことが可能です。
SCP-3250-JPは特定の異常次元 (U-3250) に生息しており、そこと基底次元をつなぐポータル (SCP-3250-JP-A) を生成することが可能です。SCP-3250-JP-Aは生成から1時間後に消失します。U-3250は広大な草原と1つの孤児院から構成される異常空間であり、かつてSCP-3250-JP-1とSCP-3250-JP-2が生息していました。
SCP-3250-JP-1はU-3250に存在していた1匹の雄のイエイヌ (Canis lapus familiaris) です。SCP-3250-JP-1は発話が可能であり、人間と同程度の知性を持ちます。SCP-3250-JP-1には知性と発話能力を除いて通常のイエイヌとの差は見られません。収容直後に行われたインタビューから、SCP-3250-JP-1はSCP-3250-JPの命令に従って行動していたと推測されており、自身を「牧羊犬」と名乗ります。
SCP-3250-JP-2はU-3250に存在していた、未成年の人間に類似した生物です。SCP-3250-JP-2は人間と類似していますが、人間の毛髪の代わりにメリノ種1のヒツジ (Ovis aries)の体毛に類似した体毛が、こめかみからは1対のアモン角2に類似した突起が生えています。SCP-3250-JP-2はSCP-3250-JPに極めて従順であり、他のSCP-3250-JP-2個体と接触することを好む傾向にあります。SCP-3250-JP-2の遺伝子と顔を利用した検査により、SCP-3250-JP-2は以前日本国内で行方不明になった子供、特にU-3250に連れ込まれた子供と同一であることが判明しています。
SCP-3250-JPは日本国内にて、保護者の同伴なしに路上にいる18歳以下の子供の前にSCP-3250-JP-Aを用いて出現します。SCP-3250-JPは子供に自分の元にくるよう促し、子供が了承するまで説得すると子供をU-3250へ連れ込みます。
このほか、SCP-3250-JPはヒツジのものに類似する肉や加工された頭髪を持って卸売市場に出現しているところが目撃されています。この際SCP-3250-JPは通常の生産者として振る舞っています。卸売市場に潜入していたエージェントによると、この際SCP-3250-JPによって持ち込まれる肉や頭髪は遺伝的に日本国内で行方不明になった子供のものと一致することが判明しています。
補遺1: SCP-3250-JPは東京都新宿区にて「路地裏で孤児を誘拐している羊飼いのような超能力者の男がいた」という通報が財団の注意を引き、その存在が発覚しました。また、この通報をした虎田氏は「子供を攫う謎の羊飼い」という都市伝説をネット掲示板に書き込んでいたことが判明しました。この都市伝説の投稿は財団により削除され、同氏には記憶処理が施されました。
補遺2: SCP-3250-JPの収容はその性質上困難とみられていましたが、SCP-3250-JPを永続的に睡眠などの活動不能な状態において収容し、その後にSCP-3250-JP-1とSCP-3250-JP-2を収容する収容プロトコルが考案され承認されました。
収容プロトコルの実施のため、日本各地の子供が集まっている路地裏に監視カメラを設置してSCP-3250-JPの出現をリアルタイムで監視し、存在が確認され次第機動部隊り-4 (“ビッグ・バッド・ウルフ”)を派遣してSCP-3250-JPを捕獲し収容する作戦が実施されました。SCP-3250-JPの収容には失敗しましたが、SCP-3250-JP-1とSCP-3250-JP-2は予定通り収容されました。以下は収容作戦の際に撮られた記録です。
<抜粋開始>
アルファ: こちら機動部隊機動部隊り-4、SCP-3250-JPが確認された地点に到着した。これより作戦を開始する。一応点呼だ。アルファ。
ブラボー: ブラボー。
チャーリー: チャーリー。
アルファ: よし、全員いる。これより、SCP-3250-JPの収容を開始する。
(機動部隊り-4構成員がアルファ、ブラボー、チャーリーの順でU-3250に侵入する)
アルファ: U-3250に到着した。
SCP-3250-JP: なんなんだい君たち?僕のところに勝手に入ってきておいて、何か要でもあるの?
チャーリー: 我々は財団だ。そこのお前、大人しく捕獲されろ。
ブラボー: そこの羊人間と牧羊犬もついてこい。我々が収容する。
SCP-3250-JP: なんで僕がそんなことしなくちゃいけないんだい?ここにあるものは全部僕のものだ!僕の羊に手を出すなんで窃盗罪だぞ!こいつらは僕が解体して売り捌くための大事な商品なんだ、アンブローズや石榴の奴らが涎を垂らしてでも買いに来るような奴らなんだよ!
ブラボー: 悪いがこちらも仕事だからな。お前みたいな奴らのせいで、人肉や人の毛でできた衣服が出回ったらこっちも困るんだ。勘弁してくれ。
SCP-3250-JP: 仕事?人の仕事を邪魔するのが仕事なの?それにこいつらは人じゃなくて羊だし!
アルファ: 認めないのか? (銃を取り出す) どうなるかわかってるんだろうな?
SCP-3250-JP: あー銃で暴力に出るのかな?おお、こわいこわい。いい加減にしてよ。こっちは弁護士とか色々呼べるんだからね?これ以上僕の羊を殺したら器物破損がどうとかで出るとこ出てもらうから。 (鞭でSCP-3250-JP-2を叩きながら小声で) おい、お前ら。僕が銃で撃たれないように守れ。
チャーリー: なら大人しく捕まれ。そうすればこの羊たちに危害は加えない。
SCP-3250-JP: あーもういいいい。好きなだけ持ってけ泥棒ども!だけど僕だけには2度と手を出さないでね。なんなら羊だけじゃなくこの牧羊犬も君たちにあげるよ!だから僕にだけは2度と手を出さないでね?
アルファ: 断る。お前を収容するのが我々の目的だ。
SCP-3250-JP-1: えっちょっとまってください、羊たちのことはわかるんですけど、なんで俺まで—
SCP-3250-JP: あのねぇ、まだ分かんないのかい?お前は僕の部下なんだから、僕がお前をどうしようと許されるんだよ。あの羊たちを管理する権利は全部お前にやるから大人しく命令に従えよ。僕はお前抜きで新しい羊連れてきて育てるからな!
SCP-3250-JP-1: あっ、それはちょっとやめ—
SCP-3250-JP: あのー君、僕に楯突くのー?そんなにいうんだったら保健所に通報するよー?それでもいいのー?
SCP-3250-JP-1: すいませんでした、大人しくします。
SCP-3250-JP: まあそういうわけで君たちにはこの羊と牧羊犬をやるから、二度と僕には関わらないでね?さっさとここから出ていけ! (SCP-3250-JP-2の方を向く) なあなあお前ら、僕の生贄になってくれよ?それが羊の仕事ってものだからな。おいお前ら、こいつらをこの農場から摘み出せ!
SCP-3250-JP-2: (口を揃えて) はい、わかりました。
(SCP-3250-JP-2が大量に集まり、機動部隊り-4の方向を向く。SCP-3250-JP-1はしばらく止まったままである)
SCP-3250-JP: おい、 (鞭でSCP-3250-JP-1を叩く) お前の代わりの (鞭でSCP-3250-JP-1を叩く) 犬なんて (鞭でSCP-3250-JP-1を叩く) いくらでも (鞭でSCP-3250-JP-1を叩く) いるんだよ。あの羊は (鞭でSCP-3250-JP-1を叩く) 全員お前に (鞭でSCP-3250-JP-1を叩く) やるから、 (鞭でSCP-3250-JP-1を叩く) お前も行けよ。
SCP-3250-JP-1: ご、ごめんなさい!今から俺も行きます!
(SCP-3250-JP-1がSCP-3250-JP-2らの後を追って走り出す)
SCP-3250-JP-2: 出てけ!出てけ!出てけ!出てけ!出てけ!出てけ!出てけ!出てけ!
(機動部隊り-4の構成員が画面外にいるSCP-3250-JPに向けて銃を数回撃つ。SCP-3250-JPを庇い、SCP-3250-JP-2が6体死亡する)
(機動部隊り-4の構成員がSCP-3250-JP-1、SCP-3250-JP-2と共に全員U-3250から追い出される。追い出された後、SCP-3250-JP-Aが消失する)
<記録終了>
補遺3: 機動部隊によるSCP-3250-JP-2の収容後、SCP-3250-JP-2の全個体に自傷行為を行う、与えられた食事を拒否する、過度に睡眠を取るなど精神状態の著しい悪化がみられることが報告されました。これらの個体は極度の人間不信をはじめとするさまざまな精神疾患を患っていると診断され、財団によるカウンセリングが行われました。以下はその記録です。
対象: SCP-3250-JP-2
インタビュアー: 熊井研究員
<記録開始>
熊井研究員: それではカウンセリングを始めます。はじめに、あなたに名前はありますか?
SCP-3250-JP-2: あるけど、答えたくない。
熊井研究員: なぜですか?
SCP-3250-JP-2: 当たり前だ、この羊泥棒め。挙句、羊飼いさんを——
熊井研究員: 待ってください。我々は彼に何もしていません。それに、我々は泥棒ではありません。我々はあなたたちを保護しにきたのです。
SCP-3250-JP-2: 何を言っているの?僕たち羊はそんなの聞いても誰も信じないよ。僕らを誘拐したのはお兄さんたちじゃないの?
熊井研究員: もう一度言います。我々は彼を殺した訳ではありません。それに、我々は泥棒ではありません。我々はあなたたちを保護しにきたのです。それに、羊飼いさんは貴方を殺して売り捌く予定でした。
SCP-3250-JP-2: そんなわけない。なんで僕たちを騙そうとしてるの?羊飼いさんが僕達を殺すわけないじゃないか!そんなこと言っても無駄だって分かってるでしょ?僕の仲間もあの悪い人達に銃で撃たれて何人か死んじゃったのに。いい加減にしてよ。
熊井研究員: 私たちは貴方たちを騙そうとしているのではありません。先程の発言は嘘ではありません。我々には、貴方たちを騙す理由がありません。
SCP-3250-JP-2: 羊飼いさんも言ってたよ、狡猾な狼は口だけならなんだって言えるって。実際に僕達だってそうだったよ。羊飼いさんがやってくる前は、みんな人間の姿をした狼に殺されかけたんだ。この世界には人間の皮を被った狼が沢山住んでるんでしょ?羊飼いさんが教えてくれたんだ。
熊井研究員: それは全部嘘です。貴方たちはあの羊飼いさんに騙されていましたよ。この世界には人間の皮を被った狼なんていません。それどころか、狼なんてとっくの昔にこの国からいなくなっていますよ?
SCP-3250-JP-2: 狼自身が狼なんていないって言っても誰も信じるわけがないのに、何を言ってるんだ!挙句、僕達を一人ぼっちにさせておいて。お兄さんたちは一体何がしたいの?
熊井研究員: 我々は貴方たちを守ろうとしています。
SCP-3250-JP-2: 嘘をつくな!僕たちを一人ぼっちにさせておいて、僕達を守りたいからそうしてるなんて言っても、誰も信じるわけないよ!
熊井研究員: では、どうすればいいのでしょうか?
SCP-3250-JP-2: 僕たちを一人ぼっちにさせないで。あと、僕たちをあの犬さんと一緒にして。そうすれば少しは安心できるかもしれない。
熊井研究員: わかりました。検討しておきます。
<記録終了>
終了報告書: SCP-3250-JP-2の精神状態の改善のため、SCP-3250-JP-1とSCP-3250-JP-2を同じ収容室に置くという提案が出されました。この提案は担当職員によって承認され、収容プロトコルは変更されました。
更新: 2021/01/29、収容室で全てのSCP-3250-JP-2が死亡していることが確認されました。監視カメラの映像により、いずれもSCP-3250-JP-1によって殺害されたことが判明しています。以下は監視カメラに映っていた映像記録の抜粋です。
<抜粋開始>
SCP-3250-JP-1: メーメー鳴いてんじゃねぇよこのクソヒツジどもが!俺を怒らせたらどうなんのかわかってんのか!俺たちイヌってのはなあ、結局のところオオカミと生き物として変わんねえんだよ!
(SCP-3250-JP-1が繰り返し吠えながらSCP-3250-JP-2の群れに近づく。SCP-3250-JP-2は隅に寄り各々が泣き叫んでいる)
SCP-3250-JP-1: あーもううぜえなあ……もうあの方はいねえって何度説明したらわかんだよ! (吠える) だから! (吠える) 黙って! (吠える) 牧羊犬に! (吠える) 俺に! (吠える) ついてけ! (吠える) じゃねえと食い殺す!いいか?
(SCP-3250-JP-2が泣きながら顔を背ける)
SCP-3250-JP-1: もういい!お前ら全員食い殺す!覚悟しておけクソガキ!
(SCP-3250-JP-1は爪と牙を用いてSCP-3250-JP-2を攻撃する。攻撃はSCP-3250-JP-2が全員死亡するまで繰り返される。)
(SCP-3250-JP-1はSCP-3250-JP-2の死体を消費し始める。最終的に、SCP-3250-JP-2の肉は全てSCP-3250-JP-1に消費される。)
<抜粋終了>