財団記録・情報保安管理局より通達
当該オブジェクトに関する実験ログ、インタビューログ等の記録は全て認識災害を引き起こす可能性があります。
— RAISA管理官、マリア・ジョーンズ
アイテム番号: SCP-3429-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 当該実体群が存在する周囲1kmを封鎖し、武装エージェントを3名駐在させます。封鎖に伴い、カバーストーリー「私有地」が適用されます。小型ドローン2機の自動運転によって周辺区域は監視されています。当該実体群が新たに発見され次第、周囲1kmを封鎖します。当該実体に曝露した者は、エージェントに確保され、クラスA記憶処理をうけます。1時間の観察後、異常現象が発生しなかった場合、解放されます。駐在するエージェントは1ヶ月に一度、定期報告を行います。定期報告が途切れた場合、臨時にDクラス職員3名、武装エージェント3名が投入されます。
説明:SCP-3429-JPは、直径50~80cm、高さ30~40cm程の知性をもった切り株です。同種と思われる樹木は特定されていません。当該実体を周囲10100m以内で、映像や画像を介さず、直視で視認した人物は暴露者となります。稀に、報告書の実験記録・インタビューログ等の記録を閲覧したものが暴露者になることも報告されています。
暴露者には2段階の一連の異常現象が起こります。現象の進行中は、同じ実体の影響を他人が受けることはありません。
1段階目:暴露者は当該実体に直接座ります。その後10分間座り続けます。
2段階目:当該実体と暴露者の周囲を実体のない葉が覆いはじめ、完全に暴露者が覆われた時、葉が消失すると同時に、暴露者も消失します。消失と同時に当該実体から1m~3m離れた地点に新たなSCP-3429-JPが出現します。
消失までの間に暴露者をSCP-3429-JPの周囲10100mの範囲から強制的に退出させることで異常現象は終了します。また、その範囲内だったとしても、SCP-3429-JPとの直接の接触を遮断する(切り株から身体をはなす)ことによって消失及びSCP-3429-JPの新たな出現は妨害できます。
この実体は大阪府の██山に位置する森林の中で発見されました。██山での行方不明者の数が著しく増加していたので、財団に注目されました。調査の結果、伐採された痕跡・記録がないのにも関わらず、██本の切り株が50m×50mの地点に存在していました。
現在は、5の地点でSCP-3429-JP実体群が報告されています。
補遺:
暴露者へのインタビュー記録
暴露者-04: 木こり。帰宅途中、SCP-3429-JPに暴露。
エージェント・ ████: SCP-3429-JPに影響をうけない、当該実体の収容の為の貴重な人員。
<記録開始>
エージェント・ ████: インタビューをはじめさせていただきます。宜しくお願いします。
暴露者-04: 宜しくお願いします。
エージェント・ ████: まずはじめに… あなたがあの切り株に近づいた理由をお聞きします。
暴露者-04: はい。私には、あの切り株が誘っているように感じました。
エージェント・ ████: 詳しく話して下さい。
暴露者-04: あれを見た瞬間、頭の中に、語りかけてきたのです。「腰をかけないか?」と。抵抗感は生まれませんでした。
エージェント・ ████: 分かりました。もう一つ質問します。あれに座っているとき、何か感じたことはありますか?
暴露者-04: 程よい太陽光を浴びたような暖かさでした。人生でこれほどくつろげることはありませんでした。すると、頭
の中に「嬉しいよ」と語りかけてきました。
エージェント・ ████: ありがとうございました。インタビューを終了します。
<記録終了>
後書: インタビュー対象は、唯一SCP-3429-JPの詳細を鮮明かつ冷静に説明できた。
インタビュー記録から、SCP-3429-JPは知性を持っていることが分かりました。更に、周囲10m以内では、直視の有無に関わらず、コンタクトが頭の中でのみ可能だと発覚しました。
以下はエージェント・ ████が実際にコンタクトをとったときの記録です。
…[省略]
エージェント・ ████: 何が目的だ?
SCP-3429-JP: 腰をかけないか?
エージェント・ ████: かけない。何が目的だ?
SCP-3429-JP: 腰をかけてもらうことだよ。それも、快適にね。
エージェント・ ████: 質問を変える。なぜ切り株を増やす?
SCP-3429-JP: より多くの人に腰をかけてほしいからね。
エージェント・ ████: なぜ、腰をかけてほしいと思う?
SCP-3429-JP: 何年前だったかな。ここは登山道だったんだ。ここはちょうど休憩スポットでね、よく腰をかけてくれ
た。その後にこの様だ。森になってから誰も腰をかけてくれなくなった。だから、近くを通ったやつに「腰をかけない
か?」と語りかけてみたんだ。そうしたら、腰をかけてくれた。今ではそれが生きがいだ。
発見から1年後、SCP-3429-JPの増加が著しく、オブジェクトクラスがEuclidからKeterに再分類されました。
現在、SCP-3429-JP-1の増加は報告されて[編集済]。