クレジット
タイトル: SCP-3630-JP - 調子に乗るな
著者: ©︎ponhiro
作成年: 2023
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特別収容プロトコル: SCP-3630-JPの終了計画は現在進行中であり、よって状況が解決するまでは高度機密に指定されます。機密指定が解除され次第、当欄に記載されます。
説明: SCP-3630-JPは台風15号を吸収して勢力を強め続ける、竜巻、雷、水、風の破壊的な集合体です。SCP-3630-JPの中心部には直径4mの、水の塊のように見える球形のコアがあります。
自身の周囲1000m以内であれば、SCP-3630-JPは自由に落雷、竜巻を発生させることが可能です。この能力はもっぱら人類に対する攻撃や、外部からの干渉を阻止するために使用されます ― 例として、SCP-3630-JPは常にコアの周囲を巨大な竜巻で幾重にも囲っており、これは銃弾はおろか、砲弾さえも逸らしうるほどの激甚性です。
SCP-3630-JPの能力は、自身に対する人々の興味関心や恐怖心によって成立しているようです。例えば、人々がニュースでSCP-3630-JPに対して興味関心を抱くと、SCP-3630-JPの能力も強化されます。
現在、SCP-3630-JPの周囲500mは700hPaの台風と同等の勢力を保ち続け、竜巻を発生させながら移動しています。一般社会に対する影響力、またこれからも増幅し続けるであろうSCP-3630-JPの異常能力の強力性を鑑み、SCP-3630-JPはレベル5緊急終了措置の対応となり、多数の部隊が対応に注力しています。
補遺1: 初期顕現
SCP-3630-JPは初め、沖縄県西表島に近い場所で、渦潮として現れました。これは非異常とみなされたものの、渦巻いた状態が異様なほど長く続いたこと、またその地点が地理的には渦潮の発生確率が極めて低い場所であったことから、財団の気象管理部や気象観測を担う一般企業がこれを特筆に値するものとして記録しました。
しばらくして、幾つかの地方ニュースやSNSでも渦潮の件が多くの人々の間で共有されるようになりました。財団はこの時点で明確かつ異常な予兆を検知していなかったためこの件は観察のみに留められていましたが、201█年6月未明、渦潮の発生地点の近くから複数の小規模な竜巻の発生を検出したため、すぐさま各対応部署に情報統制の実行を要請しました。
複数の小規模な竜巻は数分ほど滞留し続けた後、渦潮の方へと引き寄せられ、やがて全ての竜巻は大きな1つの竜巻として再構築されました。この現象は物理法則に反するものであったため収容が命令されたものの、初期収容の試みは、竜巻の発生と共に偶発的に接近した台風15号により失敗しました。以下は収容のため派遣された財団ヘリから管制室に送付された音声記録の抜粋です。
[…]こちらミヤマ、現在西表島から東へ██kmの海上にいます。収容対象まで推定28kmと考えられますが、これ以上の対象への接近は不可能です。既に台風15号は920hPaに達しており、最悪なことに暴風域の中心が対象のある位置であり、我々としても何とか接近を試みましたが、恐らくは暴風雨に舵を取られて墜落する可能性が高いものとみられます。また仮に接近できたとしても、不安定な環境にて収容器具を下ろすことは現実的ではありません。
(管制室から帰還命令が出される。)
[…]了解。当初予定していたプランBへと移行し、台風の影響下から外れる17時間後に再びヘリを派遣する事とします。[…]すみません、何か ― 何か妙なことが起きています。すぐに現場から退避します、これは……
(海面と暴風雨を映した映像が送付される。)
……海流に異常が発生しています。風雨にもです。ヘ ― ヘリも中心へと引き寄せられています!おかしい、前方に収容対象が見えています ― 管制官、これは?明らかに……当初報告されていたものより十数倍大きなものになっている。巨大な竜巻のように見えます。それに風雨がそれに引き寄せられ……まずい、アレは周囲の風雨を吸い取って大きくなっているかもしれません!安全のため緊急退避を行います[…]
収容ヘリから送付された映像は、SCP-3630-JPが台風を吸収していることを示していました。それと共にSCP-3630-JPの「人々の興味関心から力を増幅させる能力」が判明しましたが、SCP-3630-JPは台風15号と同化しつつあるため、人々の台風15号に対する興味関心がSCP-3630-JPに対する興味関心と同義となっている事も明らかになりました ― これは即ち、全国の人々が台風15号の動向や勢力に興味関心を持つことによりSCP-3630-JPが絶大なスピードで強化されていく事を示していました。
すぐさま財団は台風15号に関する情報統制を実施しようとしたものの、既に全国のメディアは台風15号の脅威性について大々的に報道していたため、情報統制の手段は無意味であるとして放棄されました。
現時点でのSCP-3630-JPの性質:
・周囲1000m以内の雨風・雲・水を吸収する能力。これはSCP-3630-JPの中心に近いほど引力が強まる。
・人々の興味関心・恐怖心によって能力が強化される性質。
補遺2: 大規模収容作戦
SCP-3630-JPは台風15号を70%ほど吸収した後、東方向への移動を開始しました。これは当初予測されていた進行方向から大きく逸れるものであったため、全国のメディアはこれを率先して報道しました。これによりSCP-3630-JPの能力は更に強化され、1時間あたり10hPaずつ勢力を強めていく事が明らかになっています。
財団はこの状況の解決が最重要事項であると見做し、緊急の収容計画が立案・実行されました。以下はその内容ならびに終了試行ログの抜粋です。
収容計画
作成: 破局的現象偶発事故時対応計画部
梨川 裕次郎
[抜粋開始]
SCP-3630-JPの中心部に直径4mの、常に渦潮のような“ねじれ”を描く球形のコアが存在している。このコアを中心として1000mにわたる現実改変の“場”が存在しており、簡単に言えばこの場の範囲内であれば、SCP-3630-JPはこの能力を非常に精密に扱えるという事である ― その際たる利用例として、SCP-3630-JPは周囲の風雨を引き寄せ、吸収している。
逆に言えば、SCP-3630-JPの能力の根源はコアであるため、コアを破壊すればSCP-3630-JPの活動は停止するか、次第に縮小していくと考えられる。そのため、本計画ではコアの破壊を最終目標として、各部隊には幾重にも渡る竜巻のバリアで守られたコアを兵器によって一気に爆撃、破壊する。
[抜粋終了]
収容試行ログ
[抜粋開始]
00:00:00 | 収容試行に向け、SCP-3630-JPの能力に対抗しうる兵器を積んだ大量のヘリが収容目標地点へと飛び立つ。
00:24:33 | 各戦術ヘリが目標地点に到着し、事前の主要計画に基づいた地点に配置される。この時点でSCP-3630-JPのコアは6層の竜巻に囲まれている。
00:29:15 | 収容開始。各戦術ヘリはスクラントン現実錨を直下発射し、SCP-3630-JPを現実錨で囲む。SCP-3630-JPの現実改変磁場が僅かに弱まる。
00:33:27 | 各戦術ヘリから対低現実ミサイルがコアに向けて発射される。この時点で例外が発生する ― 当初の予定では9割以上のミサイルがコアに着弾する予定であったが、中心に近い竜巻の層はミサイルを逸らせるほどの勢力に達しており、4割程度しか着弾しなかった。
00:34:10 | 元々890hPaあった勢力が910hPaまで弱まる。ただしこれは当初の予想より僅かな変化に過ぎず、予定していた対低現実クラスター爆弾による第二攻撃が実行できない事が判明した。予定を変更し、再度ミサイルの発射が指示される。
00:35:02 | 異変発生。SCP-3630-JPの勢力が880hPaに強まり、明らかに戦術ヘリを目標とした落雷が襲い始める。この時点でSCP-3630-JPに対する視界や知性の存在が疑われ、計画に支障が出始めた。
00:38:22 | 戦術ヘリのうち1つが落雷を致命的な箇所に受け、撃墜される。操縦者は緊急離脱したが、竜巻に飲み込まれロストした。撃墜されていない戦術ヘリは安全のため緊急退避を実施した。
00:40:11 | 勢力が815hPaに強まり、落雷や竜巻を発生させられる距離が1000mから2000m以上に拡大される。もう1つの戦術ヘリが竜巻に囲まれ、破壊される。
00:42:44 | 沖縄の財団地上部隊からミサイルが発射され、SCP-3630-JPの中心部へとホーミングされる。しかし目に見えるような効果はなく、恐らく攻撃を逸らされたと思われる。勢力が778hPaを越える。
00:43:01 | 戦術ヘリ部隊から、SCP-3630-JPの方面から威圧感のある声が聞こえ始めたと報告が入る。第一声は「愚かな」であり、これはSCP-3630-JPの発言であることが暫定的に認められた。またこの時点で、SCP-3630-JPに知性や発話能力があること、そして攻撃を行った財団に対する敵意があることが判明した。
00:46:16 | SCP-3630-JPと戦術ヘリ操縦士との間で偶然にも会話が成立する。以下はその発言の抜粋である。
戦術ヘリKhons; Agt.椎谷: クソ、司令部!コイツは何なんですか、目の前が凄まじい事に……
SCP-3630-JP: “司令部”とやらに聞かずとも、我がその問いに答えてやろうではないか、小さき者よ。
Agt.椎谷: 何だって、司令部、マイクを……
SCP-3630-JP: 我に名は無い。だが必要ならば答えよう、我は嵐であり、竜巻であり、雷であり、そして荒れ狂う海である。
(この時点でその声を聞いた人員に著しい恐怖心が発生する。)
SCP-3630-JP: 我はその名が示す存在であり、故にその役目を果たす。嵐である故、嵐のように大地をかき回すであろう。竜巻である故、竜巻のように人々を恐怖へ陥れるであろう。雷である故、雷のように人々の目を奪うであろう。荒れ狂う海である故、大地を波で覆うであろう。
Agt.椎谷: そのつもりなら何故、私達の住む島国から離れていく?
SCP-3630-JP: 倭国の小さき者共は我の脅威を既に知り、今も注目して離さぬ。それは我の力を際限なく強め、この世を破壊し尽くす手助けをするものだ。彼らが我に脅威を抱き、注目し続けるならば、それを先に破壊する必要はないだろう。そうしない方が、我の力は弱まらずに済む。
Agt.椎谷: (小声で)司令部、コイツには明らかに人並かそれ以上の知性があります。
SCP-3630-JP: 小さき者よ、声までも小さくなるな。我はそれを聞く事が出来る。死の間際の叫びもよく聞き取れるようにな。嗚呼、小さき者よ、どうか抗え。我がそれを薙ぎ倒せば、より人々を恐怖させる事が出来るのだからな。
Agt.椎谷: いちいちムカつく奴だ、ですが今のままでコイツを倒せるとは思えません、ここはヤツを倒すため、一度帰還して他の支部とか政府に力を借りるよう進める必要があると思われます。指示を。
(司令部は帰還命令を出す。)
SCP-3630-JP: この期に及んでまだ我を倒そうと宣うか?
(嘲笑。)
SCP-3630-JP: 調子に乗るな。
00:51:10 | 全ての戦術ヘリが帰還する。作戦失敗。
[抜粋終了]
現時点でのSCP-3630-JPの性質:
・周囲3000m以内の雨風・雲・水を吸収する能力。これはSCP-3630-JPの中心に近いほど引力が強まる。
・周囲1000m圏内に自由に落雷・竜巻を発生させる能力。
・人々の興味関心・恐怖心によって能力が強化される性質。
・SCP-3630-JPから発された「嵐」「雷」といった言葉に恐怖情動災害を与える性質。
補遺3: 収容協力
SCP-3630-JPの第一次収容作戦が失敗に終わったため、財団日本支部は複数の別支部に連絡を取り、終了戦略を立てて業務提携を実行しました。以下は業務提携に先立ってリモートで行われた提携プログラムの抜粋です。
リモートでの業務提携記録
メンバー:
- 日本支部HMCL監督官; 坂下 雄大
- 北アメリカ支部海上業務最高司令官; ベリファー・リコード
- 中国支部サイト-CN-01管理官; シャオ・リンフェン
- オーストラリア異常保安管理局; ルイス・ウィズ
- 倫理委員会 オドンゴ・テジャニ
- 収容関係者; 300名以上
- その他; 130名以上
[抜粋開始]
坂下監督官: 皆様、皆様、誠にありがとうございます!今回このような複数支部が協力して1つの終了対象に注力するのは前例のない事であり、非常に達成困難なものであることは皆様もお気づきの通りでしょう。
(咳払い。)
坂下監督官: ですが、北アメリカ支部からはこれまでハリケーン系アノマリーの収容を行ってきたノウハウが、中国支部からは数々の人的資源が、オーストラリア異常保安管理局からは高い技術力によって開発された現実歪曲兵器の数々が集結しています!これらの資源と皆様の協力があれば、我々は大いなる異常に打ち勝つことができるでしょう ― そしてこれは、我々が団結すれば破滅的な異常にも対抗しうるという事を証明する良い機会です、そうでしょう?
ベリファー司令官: その通り、この計画が成功すれば、我々は新たなステージに至ることが出来るだろう!前例のないことだが、諸君らには奮闘してもらわねばならない。既に君達のもとにはシャンパンとシャンパングラスが届いているはずだ ― それは私からの前祝い、景気づけだ。そして、勝利の暁には……言うまでもない。
(シャオ管理官など複数の関係者が続けて話す。中略。)
坂下監督官: ええ、ええ、我々は必ず勝利します。どうか皆様もシャンパンをグラスに注いで ― こういう時、最も大事な要素は必ず勝てる兵器でも、絶対的なヒーローでもなく、“士気”の1つに尽きます。士気を高め、団結することは、我々をより強い存在へとさせます。どうか宜しければ皆様、明日の朝から本格的に開始される終了作戦の成功を願い、グラスを画面の前に掲げてください!
(数々の人員がグラスを画面の前に掲げる。)
坂下監督官: 明日の成功を願って、SCP財団に乾杯!
[抜粋終了]
6月█日の朝より本格的な終了作戦が開始される予定です。更なる情報は更新待ちです。
現時点でのSCP-3630-JPの性質:
・周囲5000m以内の雨風・雲・水を吸収する能力。これはSCP-3630-JPの中心に近いほど引力が強まる。
・周囲2000m圏内に自由に落雷・竜巻を発生させる能力。
・600hPaに近い勢力。
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作戦実行日の朝、SCP-3630-JPが居た地点。
更新: 作戦の実行が予定された朝、既に周囲は快晴かつ無風でSCP-3630-JPは存在しておらず、そして捜索の努力にもかかわらずコアを発見することが出来ませんでした。作戦は中止となり、この明らかに異様かつ突然なSCP-3630-JPの消失の調査にリソースが割り当てられることとなりました。
初期調査の結果、未明からSCP-3630-JPは何か不自然な干渉を受けていたと判明しました ― 深夜1時~5時にかけ、コアを覆う竜巻は多数の地点から攻撃を受けたような挙動をし、そしてSCP-3630-JPもそれに対抗できていませんでした。次第に勢力と竜巻の威力は弱まり、コアを覆う竜巻の数も少なくなっていきました。最終的にコアはむき出しのようになり、何か外的圧力を受けたかのように凹み、破裂し、やがて気象も快方へと向かっていったと、夜通しで状況を記録していた監視部門は証言しています。
また、作戦を実行する予定だった人員の大半は夜、奇妙な夢を見たと報告しました ― その多くが、自分が作戦実行に携わり、SCP-3630-JPを攻撃する夢であったとの事です。夢の中でのSCP-3630-JPには第一次収容時に確認されたような対抗能力がなく、激しい攻撃によって最終的な破壊に成功したと報告されています。
これは明らかに奇妙な現象ですが、その原因を示唆している可能性のある会話が得られています ― 以下は複数の職員によって行われた報告会の抜粋です。
報告会記録
メンバー:
[抜粋開始]
坂下監督官: 何だ?これは。
Spc.ハン: 何って……
坂下監督官: 何であれほどのお膳立てをしたにも拘らずこんなクソ呆気なくこの異常がやられたんだ!?
松田連絡員: 落ち着いてください監督官、何事もなく解決したのはひとまず良いことですよ。
坂下監督官: だろうよ!だがな、士気を上げるために色々して ― これほど大規模な業務提携をするのも初めてだったんだぞ ― 努力が水の泡になった気分だ!向こうの人間とも物凄く気まずい。シャンパンも良い気分で飲めない。
Spc.ハン: シャンパンは失策だったかもしれません。
坂下監督官: ああそう……というか、こういう事案が多くないか?クソヤバいアノマリーが何か自壊しました、よく分からないけど収容できました、呆気なく終わりましたってのが!これが最初っから予知できたら楽なのにな。
松田連絡員: それにしても、本当になぜなのでしょう?私も夢の中に3630-JPが出てきて ― 私は地上から攻撃命令を出して ― ええ、つまり終了に携わったと言っても過言ではありません。
Spc.ハン: 今回の事案を簡単にまとめると、「なぜか夢の中で皆が3630-JPに対抗できるようになって、夢の中で攻撃したらそれが現実にも反映された」という事でしょうか。やはり……急になぜ、なぜ夢なのでしょう?
坂下監督官: 夢と水害の繋がりなんてあったか?
(中略。各々で推論を立てるが、どれも納得性の低いものである。)
坂下監督官: どう皆に伝えればいいんだ、こんな……よく分からない終わり方など。
松田連絡員: (沈黙)……待ってください、1つ……1つ原因に心当たりがあるかもしれません。
坂下監督官: 何でもいいから言ってみてくれ。
松田連絡員: はい、まず我々が3630-JPを倒せたのは、どこかで我々が「夢の中でSCP-3630-JPを倒せる」能力を手に入れたという事だと考えられます。問題は、その能力を“どこで” “どのタイミングで”手に入れたかです。
(沈黙。)
松田連絡員: そこで関係してくるのが、3630-JPの「恐怖や興味関心から力を増幅させる」能力です。この能力は相互依存的な関係になっています ― つまり3630-JPは人に影響を与える存在でありながら、人から影響を与え“られる”存在でもあったという事です。でなければ、3630-JPは人の恐怖心を糧にできません。
坂下監督官: なるほど?
松田連絡員: そして3630-JPは、「嵐」や「雷」といった言葉でも人の情動を変える事ができました。これは、より詳しく言えば、「3630-JPは言葉で人を変える事ができた」という事です。そしてそこから導き出される結論としては ― 3630-JPは自分の発した言葉で、「夢の中でなら人々に対抗できる」ようにしてしまったのではないかという事です。
坂下監督官: ヤツの発した言葉に「夢」なんて言葉は1回も出てこなかったが。
松田連絡員: いえ、それがそうじゃないんです。監督官、どうやら今夜は美味しくシャンパンを頂けるかもしれません。東に逸れたからニュースもそんな報道しなくなって人々の興味が薄れたってのもありますが、貴方が士気を高めなければこの状況は実現しなかった。
坂下監督官: どういう事だ?
松田連絡員: 貴方が国際的な業務提携を行うよう進めた時、私は3630-JPのファイルを英語に翻訳していました。そしてその翻訳されたファイルが、何百人もの関係者に見られたのです。そしてそのファイルのうち、「調子に乗るな」という発言がありましたが、これが今回の無力化に至った原因でしょう。
坂下監督官: 「調子に乗るな」?あれは確か……「この期に及んでまだ我を倒そうと宣うか」という発言に続いて出た言葉だったよな?
松田連絡員: はい、そっちの言葉は普通に訳したのですが、「調子に乗るな」だけは、直訳よりも英会話特有の表現の方が分かり易いと思い ― そのようなフレーズに訳しました。ほら、“早起きは三文の徳”を"The early bird catches the worm"と訳すようなヤツです。直訳したら別の意味だけど、って感じの……ことわざみたいな。
坂下監督官: なるほどなるほど、じゃあその「調子に乗るな」ってのはどう訳したんだ?
(沈黙。)
松田連絡員: "In your dreams."
坂下監督官: ……それを直訳したら?
松田連絡員: “お前の夢の中で”。
[抜粋終了]