SCP-3773-JP
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アイテム番号: SCP-3773-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-3773-JPはサイト-8174の標準物品収容ロッカー内に収容されています。SCP-3773-JPを用いた実験の際は担当職員1名以上の許可が必要となります。また、実験時を除いたSCP-3773-JPの持ち出しは禁止されています。現在、SCP-3773-JP被害者に対する医療・精神的なケアが行われています。

説明: SCP-3773-JPは"相対的小顔ローラー"の名称で販売されていた美容商品です。非異常性のプラスチックで構成されているにも関わらず、高い破壊耐性を有していることが明らかとなっています。SCP-3773-JPは現在までに28の実例が確保されています。

SCP-3773-JPを使用した場合、対象生物の頭部を除いた部位(胴体部位と記述)は肥大化します。この原理は不明です。変化は不可逆的なものであり、現在までに治療に成功した例は存在していません。胴体部位の肥大化はSCP-3773-JPを使用するごとに発生するものであるとされています。SCP-3773-JPによる胴体部位の肥大化の限度は確認されていません。

SCP-3773-JPはSNS上において商品広告形式で掲載されていました。当初は非異常性の商品であると判断されていたものの、後の調査によりSCP-3773-JP被害者を複数確認したことによって異常性を保有していることが明らかとなりました。その後、SCP-3773-JP被害者はカバーストーリー「奇病」を流布した上でサイト-8174医療区域をはじめとした複数の財団関連の医療施設へと移送されました。以下の記録はSCP-3773-JP被害者に対するインタビュー記録の抜粋です。

インタビューログ #1
Record 2017/08/11


インタビュアー: 御堂博士
対象: 伊藤 優芽氏(インタビュー中では伊藤氏と記載)


[記録開始]

御堂博士: それでは伊藤さん、インタビューを始めようと思います。

伊藤氏: よろしくお願いします。

御堂博士: まず最初にですが、お身体の調子はいかがでしょうか。体調が悪いとか、気分が優れないとか……そういった些細なものでも構いません。

伊藤氏: 体調も気分も特に悪いって訳では無いですね。確かにこの身体は動かしづらいですけど、一日の大半を病室で過ごすだけですからあまり関係ないですし。

御堂博士: なるほど、ありがとうございます。では次の質問です。[SCP-3773-JPの画像を見せる]こちらの小顔ローラーはどこで購入したのでしょうか。

伊藤氏: その小顔ローラーは……確かAmazonで買ったはずです。大体50000円くらいはしたかなあ。高いから効果あるでしょ、って思って買ったら大損しちゃいましたよ。

御堂博士: なるほど、それは気の毒でしたね。ですが、なぜこの小顔ローラーを買おうと?

伊藤氏: ちょうどあと数日で誕生日って時に買ったんですよ。自分へのご褒美兼誕生日プレゼントってことで。まあ、そうなったら少しくらい奮発したいじゃないですか。

御堂博士: ふむふむ。

伊藤氏: それで見た中で頭抜けて高かったあのローラーを買ったんです。高いし効果抜群だろ、なんて思って使ったらこの有様ですよ。効果は無いし、身体は大きくなっちゃうし。

御堂博士: 心中お察しします。

伊藤氏: もはやこれはゴミなんですよ、美容商品じゃなくて使い所のないゴミ。だってそうじゃないとこんな風になるわけないじゃないですか!美容商品って名前のゴミで金巻き上げやがって!ふざけんなってんの!

[記録終了]


終了報告書: SCP-3773-JPの販売ルートを調査した結果、Amazonなどの大手通販サイトより購入していたことが明らかになりました。しかしながら、現在までに該当する通販サイトにてSCP-3773-JPが販売・登録された痕跡および商品ページの確認には至っていません。現在、更なる調査が進行中です。

補遺.3773-JP: 追加情報

SCP-3773-JPについての網羅的調査が2017/09/14に行われました。この結果、アメリカの██████州に存在する農場よりSCP-3773-JPが回収されました。回収当時、該当の農場にて飼育されていた牛の胴体部が異常に肥大化していたことが明らかとなっています。以下の記録はSCP-3773-JPについて該当する農場の所有者に対して行われたインタビュー記録の一部抜粋です。

インタビュー記録 #2
Record 2017/09/15


インタビュアー: 御堂博士
対象: ショーン・コリンズ氏(インタビュー中ではショーン氏と記載)


[記録開始]

御堂博士: ではショーンさん。[SCP-3773-JPを見せる]こちらのローラーについて知っていることを教えてくれないでしょうか。

ショーン氏: そのローラーはAmazonで買ったものだよ。身体を大きくできる効果があるらしくてね、これは使えるぞって思ったんだよ。

御堂博士: 使える、とは?

ショーン氏: 最近って異常気象がよく起きるじゃないですか。そのせいで飼料が足りなくなっちゃって。ウチの牛達もガリガリになってしまってるんですよ。

御堂博士: ふむふむ。

ショーン氏: そうなってくると、経営が厳しくなるんです。飼料が足りないってことは肉も付かないし良質な牛乳も採れないことになりますからね。それじゃあ出荷したって売れないんですよ。売れなければ金は入ってきませんからね、農場を維持することも出来なくなってくるんです。

御堂博士: なるほど。

ショーン氏: そんな時に見つけたこのローラーはホントに希望の光だったんです。大きくなるってことは食べれる部分が増えるわけです。ということは肉牛として出荷して儲けられるわけですよ。そりゃあ買いますよね。

御堂博士: それはそうですね。

ショーン氏: 買って届いた後、俺はすぐに使いました。これで経営危機も解決だ、って思ってノリノリで使ったんですよ。……そしていよいよ解体の時、肥大化した胴体を切って出てきたのは肉ではなく脂だったんです。

御堂博士: 脂、ですか。

ショーン氏: ええ。肥大化した部分にみっちりと詰まってました。こんなんじゃ売りに出せないですからね。脂食べすぎると腹下しちゃいますし。

御堂博士: 確かにそうですね。

ショーン氏: その時俺は思いましたよ、「なんだこのゴミ」ってね。だって役立つこと一切無いんですから。それ以来は使ってないですよ。ゴミに使用価値なんてないですからね。その癖して無駄に値段は高くて……マジでふざけんなって言いたくなりますよ。

[記録終了]


終了報告書: 当インタビューの後、SCP-3773-JPおよび影響下の牛は回収されました。回収後に行われた牛の摂食実験では被験者の多くが「脂っこくて不味い」と評価しています。特筆すべき点として、摂食実験後に被験者の大半が腹痛・下痢の症状を訴えている点が挙げられます。これは動物性脂肪を一度に大量摂取したためであると推測されています。

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