SCP-3993-JP
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アイテム番号: SCP-3993-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3993-JPの存在するアパートはカバーストーリー「取り壊し予定地」を流布したうえで封鎖し、一般人の進入を防ぎます。SCP-3993-JPを監視するため、該当アパートの一室(207号室)内部には監視カメラが配置されます。

説明: SCP-3993-JPは地縛性質を有したクラスΔ霊体です。外見は日本人男性である波瀬 蓮のものと酷似しており、同人物が在住していた████アパートの207号室(該当室内)に存在しています。SCP-3993-JPに対する干渉の試みは失敗に終わっています。SCP-3993-JPが外部に干渉する兆候を見せた例は存在していません。特筆すべき性質として、霊体であるにもかかわらず肉眼で視認できる点が挙げられます。

SCP-3993-JPは常に該当室内に存在するデスクトップパソコンを使用しています。使用アプリケーションはテキストエディタであることが確認済みです。この行動は波瀬 蓮が日常的に行っていた行動の模倣であると推測されています。現在、デスクトップパソコン内には15以上のテキストファイルが存在しているものとされています。以下は存在確認されているテキストファイルの詳細情報の一部抜粋です。

# タイトル 付記
#1 掌編纏め ファイル内には3000字ほどのショートストーリーが5つ存在しています。
#3 批評家の独り言 ファイル内には7000字ほどのストーリーが存在しています。ストーリーの内容は批評家として活動する主人公の独り言をまとめたものとなっています。
#7 暗い夜に ファイル内には18000字ほどのストーリーが存在しています。ストーリーの内容はSF的世界観における警察組織の活動を描写したものです。
#11 天蓋叫びて ファイル内には27000字ほどのストーリーが存在しています。ストーリーの内容はオカルト学者が郊外の村に取材をするというものでした。

SCP-3993-JPは2017/11/19に定期巡回を行っていた財団エージェントによって発見されました。発見時の状況および詳細は経緯は“付属資料: 発見経緯”を閲覧してください。



補遺.01: 波瀬 蓮についての詳細情報

波瀬 蓮についての情報の調査の結果、会員制Web小説サイトにて“HALE”名義でWeb小説を連載していたこと、頭部外傷に起因する植物状態になっていること、SCP-3993-JP発見の一か月前に██県立病院に入院していることが明らかとなっています。Web小説の内容や植物状態の原因となった頭部外傷に異常性はないものであることが判明しています。これを受け、財団は重要参考人物として波瀬 蓮のサイト-81MGの医療セクションへの移送を行いました。波瀬 蓮は身体状況を可視化したうえで生命維持が行われます。

補遺.02: インタビューログ

2018/01/13、SCP-3993-JPの詳細を知ることを目的としたインタビューが実施されました。インタビュー対象は榎木 真一(29歳/日本人男性)です。榎木 真一は波瀬 蓮と同様の会員制Web小説サイトにて“えも”名義で活動しており、波瀬 蓮と個人間の交流があったことが確認済みです。以下はインタビュー記録の抜粋です。インタビュー記録の全容は“付属資料: インタビュー”を閲覧してください。

インタビューログ 3996-JP

Record 2018/01/13

インタビュアー: エージェント・箕田

対象: 榎木 真一(榎木氏と記載)


[記録開始]

Agt.箕田: では、HALEさんのことについて教えてもらってもいいですか?

榎木氏: HALEのこと、ですか? いいですが、何でそんなまた急に……?

Agt.箕田: 作品のファンでして。HALEさんと親しかったあなたなら作品作りの秘訣とかうかがえるかなと。

榎木氏: そうですか。どこから話しましょうかね。

Agt.箕田: では……まず最初に人柄について伺ってもよろしいでしょうか。

榎木氏: わかりました。HALEは何事にものめりこみやすい、よく言えば集中しやすい性格でした。出会って最初のころから比べると、作品作りにのめり込んでいったように思いますね。

Agt.箕田: 何故そう思うのか聞いてもいいですか?

榎木氏: もちろんです。HALEが執筆にのめり込んでいったのは誰の目から見ても明らかでした。日々早まる投稿頻度と精力的な活動からは十分すぎるほどの熱意が伺えますし、個人間のやりとりでは“死んでも書き続ける”なんて言ってましたからね。

Agt.箕田: 死んでも、ですか。

榎木氏: ええ。すごいですよね。そこまで熱中できることが見つかる、ってのが彼の執筆の秘訣なんじゃないかなあと僕は思うわけですよ。

Agt.箕田: なるほど。そういえば、HALEさんって最初のころはそこまで評価されてませんでしたよね。レビューを見てもそこまでよかった印象はないですし。

榎木氏: そうなんですよ。でも、最近になって自分のスタイルを確立したのか、結構いいレビューをもらえてるんですよね。あと、ひたむきな執筆欲から実力がついてきたのかもしれないですね。何事も場数を踏めば上達しますし。

Agt.箕田: そうですね。ああ、あと他にも過去に“考えたストーリーは全部形にする”と言ってたと聞いたのですが、それって本当なんでしょうか?

榎木氏: 本当ですよ。それまでは絶対に死ねない、って言ってましたからね。ホント、そこまでの意欲がほしいものですよ。

[記録終了]


終了報告書: 榎木 真一は記憶処理を施したうえで解放されました。



補遺.03: SCP-3993-JP無力化

2018/10/16、SCP-3993-JPの無力化が確認されました。これとほぼ同時刻に波瀬 蓮が急性心不全によって死亡したことは特筆すべきです。無力化後に行われた現場調査の結果、デスクトップパソコン内には50を超えるテキストファイルが存在していることが確認されました。テキストファイルの内容の大半は物語調の文章で構成されていましたが、例外も存在していました。以下の記録は例外のテキストファイルの一例です。

# タイトル 付記
#49 僕の人生について ファイル内には“人生の最後の一文字は自分で埋められない。他人に託すことしかできないだろう。”とのみ書かれています。

現在、デスクトップパソコン内のテキストファイル群は財団データベースにアーカイブされています。

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