SCP-5768(記録用: The Voice-Taker Cometh / 声泥棒がやって来る)
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現代におけるSCP-5768の芸術的描写。

アイテム番号: SCP-5768

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-5768を描写する全ての文書や視覚表現は、機動部隊タウ-9 (“本の虫”) によって押収され、アーカイブされます。全ての既知のSCP-5768-A個体、またはその疑いがある人物は、機動部隊パイ-1 (“シティ・スリッカーズ”) によって調査され、SCP-5768-A個体と確証された場合は更なる研究のためにサイト-19へ移送されます。SCP-5768の知識をヨーロッパ文化の時代精神から根絶する努力が進行中です。

説明: SCP-5768は西ヨーロッパの伝承に起源を有する架空のキャラクターであり、“声泥棒”ヴォイステイカーの名称でよく知られています。様々な容姿で描写されますが、最も一般的な姿は麻袋を担いでいる腐敗した猫背の男性であり、異常に大きな口と、主にハエやウジで構成された顎髭が最大の特徴とされます。

SCP-5768の文学的・芸術的描写は17世紀後半から複数の国で行われており、少なくとも1つの英語の童謡、“声泥棒がやって来る”The Voice-Taker Comethの題材として扱われています。

聴覚や筆記物の媒介を通してSCP-5768の存在を認知した4~16歳の子供は、特定の異常な体調変化の影響に対して脆弱になります。SCP-5768を知って1ヶ月~2年後までのある時点で、影響者(SCP-5768-Aと指定)は睡眠から目覚める際、言語による意思疎通が完全に不可能になっていることに気付きます。

医学的な分析で、この容態の肉体的要因は説明付けられていません。ほとんどの症例において、この効果は恒久的に続くらしく、SCP-5768-Aの容態を逆転させるための財団の試み(喉頭移植手術や記憶処理薬投与を含む)は全て失敗に終わっています。

症例の90%で、SCP-5768-A個体は全般的な不安感を訴え、また変異前の数日間にわたって何者かに見られている感覚があったと報告します。同様に、SCP-5768-Aが、変異に続いて腐った肉のような不快な味がすると報告した症例が数件あります — この味は最長で1週間後まで口に残ることがあります。

SCP-5768-A個体が収容下で発話能力を取り戻した事例は、現在までに4件知られていますが、その全てにおいて対象者は声を自らのものと見做すことができませんでした。この現象について更なる調査が進行中です。

SCP-5768の異常性が最初に発現した正確な時期は現在も不明ですが、超常現象の確保収容に関する王立財団(HMFSCP)関連のアーカイブ文書は、19世紀初頭のある時点で初めて収容の取り組みが行われたことを示唆します。

以下はイギリスの歴史家・民俗学者であるアンドリュー・ラングの著作、“伝承と怪物” 1910年度改訂版の抜粋です。これは現時点で財団が保有している最も詳細なSCP-5768の記述の1つです。

声泥棒ヴォイステイカー

… 一般的に亡霊または幽鬼の類と表現されるヴォイステイカーの描写は、蝿と蛆虫から成る髭を生やし、肩に重たげな袋を担ぐ、腐敗した長身の人物という姿で一貫している。生前のヴォイステイカーは、生まれつき口が二回りほども大きかったと伝えられており(殆どの伝承では母親の噂好きが祟ったとされている)、それ故に赤ん坊だった頃の彼の泣き声は非常に五月蝿く頻繁に響いて、家族や隣人たちを夜通し眠らせない日がよくあったという。

疲労で追い詰められた父親が地元の司祭に相談すると、司祭は魔法の秘薬を渡し、これが1歳の誕生日を迎えるまで息子の叫び声を鎮めるので、両親は存分に休むことができると請け合った。この薬は司祭の予想よりも遥かに強力だったことが後に明らかとなる — 1歳の誕生日を過ぎても、少年はいつまでも口が利けないままだった。その後間もなく、彼は家族の農場で働くようになったが、18歳の時に躓いて枯れ井戸に転落し、そのまま死んだ。両親は何週間も息子を探したが、助けを求めて叫ぶことができない彼は誰にも発見されず、またキリスト教の葬儀を受けることもなかったので、彼の霊魂は現世を永遠に彷徨い続ける定めとなった。

生前の経験から、ヴォイステイカーは言葉を話せることの有難みに大きな価値を見出し、またそれ以上に、せっかくの言葉を年長者に対して喚き叫び、罵り、失礼な事を言うために使う子供たちを強く軽蔑するようになった。聞き分けの無い子供たちは、もし行いを改めなければヴォイステイカーが夜にやって来ると脅される。鼻を突く腐敗臭で目覚めた子供は、自分を見下ろす物言わぬ怪物の惨たらしい様相を見て、例外なく叫び声を上げる。すると怪物は骨ばった片腕を犠牲者の喉に突き入れ、声を盗み取って袋に詰め込むのである。

この亡霊が盗んだ宝を具体的にどうするのかは、解釈によって異なる傾向がある。多くの伝承では、ヴォイステイカーは失われた声を自分が死んだ井戸の奥底に隠し、それらの身体から切り離された泣き声や呻き声は、雷雨の最中に風の残響として時折聞こえるのだと伝わっている。生まれつき口の利けない良い子に贈り物として与えられるか、春の雛鳥たちの餌になって朝の歌声を授けるとする話もある。一部の説によれば、7年が経つと、ヴォイステイカーは(もし行儀が良ければ)声を本来の持ち主に返そうと決めることもあるが、些か不注意であるため、しばしば男児にうっかり女児の声を与える、もしくはその逆のような結果になるという。

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