アイテム番号: SCP-642-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-642-JPはサイト-81██の中型生物収容室に収容されます。SCP-642-JPの収容室に立ち入る際は前科の無い財団職員がレベル4以上の職員に許可を得て入室してください。SCP-642-JPにはDクラスでない/アブラハムの宗教1を信仰しない財団職員が1日に3回、一般的な家畜化された山羊と同様の給餌を行い、3日に1回室内の清掃を行って下さい。SCP-642-JPの影響を受けた人物にはクラスAの記憶処理を行って下さい。
説明: SCP-642-JPは体長140cm、尾長17cm、肩高86cm、体重80kgの黒と白のハーフサイダーである牡の山羊(Capra hircus)で、ザーネン種に酷似していますが正確な品種は不明です。SCP-642-JPは一般的なヤギ属と同じような行動を行いますが体内に血液が存在しない事が判明しており、1███年に財団に捕獲されてから今日まで老化や成長などの身体的な変化は見られていません。SCP-642-JPは舟と水から距離をとる傾向にあり、肉食動物を接触させた際には飢餓状態であっても決してSCP-642-JPを襲わない/死肉を漁らない事が判明しています。そしてSCP-642-JPと通常の山羊を共にした場合、通常の山羊はSCP-642-JPに対し蹴りなどの攻撃を行うことが確認されています。
アブラハムの宗教を信仰する人物はSCP-642-JPに対し、否定的な感情を持つとされています。特にユダヤ教の信者にそれは顕著に見られ、ユダヤ教を信仰するエージェントは「あれは穢れた生き物である」と話しました。
SCP-642-JPは1███/██/██に███県███町で「白黒の山羊による無差別殺人や強盗」等の被害が相次いで訴えられた為、手配された猟友会に捕獲され殺処分されました。その後死体は焼却処分され███山に廃棄されましたが、その後も目撃情報が相次いで発生し、特徴も殺処分された個体と一致した為に財団に確保されました。
SCP-642-JPの特異性は自らが殺された際に発生します。SCP-642-JPがあらゆる手段で殺された場合、SCP-642-JPは死体がどの様な状態であっても30分以内に肉体を再生させ(或いは死ぬ前の状態へ戻し)、活動を再開します。死体がバラバラになり、四肢や胴体といった1キログラム以上の大きな部位のどれか一つが心臓より3メートル以上離れた位置にある場合では20分以内に一斉に瞬間移動し、心臓がある地点に健康な状態で現れます。
しかしDクラス職員によるSCP-642-JPの清掃後、事件の記録には変化がないにもかかわらずDクラス職員がかつて起こした事件の被害者が「白黒の山羊に襲われた」と認識する事案が相次いで発生した為、Dクラス職員を使用した実験が執り行われました。その結果、SCP-642-JPは距離に関係なくSCP-642-JPと人物が互いに認識し合った時に記憶改竄を行い、相手の犯した犯罪を自分の犯したものとするようです。(下記の実験ログを参照)。
SCP-642-JP実験ログ
日付: ████-██-██
実施方法: D-2372をSCP-642-JPと接触させる。D-2372にはSCP-642-JPと多く触れ合うように告げた。
結果: SCP-642-JPはD-2372に近付き、匂いを嗅ぐなどの所作を見せた。10分の接触の後、回収されたD-2372は「俺は山羊は苦手なんだ、目が怖い」と話し、D-2372の起こした事件の被害者遺族は「白黒の山羊が火を放ったせいで妻が死んだ」と話した。
日付: ████-██-██
実施方法: D-68385をSCP-642-JPと接触させる。D-68385にはSCP-642-JPと常に3メートル以上の間隔を取るように伝えた。
結果: SCP-642-JPは自主的にD-68385から距離をとり、D-68385に近付こうとはしなかった。10分の接触の後、回収されたD-68385は「可愛かったのになぁ、どうして近付いてこなかったんだろう」と話し、D-68385の起こした事件の被害者遺族は「息子は白黒の山羊に溺死させられた」と話した。
日付: ████-██-██
実施方法: D-57263をSCP-642-JPと直接接触させる。D-57263にはSCP-642-JPの好きなようにさせるように伝えた。
結果: SCP-642-JPはD-57263にぴったりと張り付いたり、D-57263の体に頭を擦り付けるように歩き、最終的にD-57263の目の前に座り込んだが、D-57263とは決して目を合わせようとしなかった。10分の接触の後、SCP-642-JPはD-57263を回収しにきたエージェントに威嚇や攻撃をするそぶりを見せたが、最終的にはエージェントによって無力化された。回収されたD-57263は「何かを縋るようであった」と話し、D-57263の起こした事件の被害者遺族は「娘はカルト宗教の教祖の山羊に生贄として殺された」と話した。
補遺: 20██/██/██、███県███町にてSCP-642-JPが居住区にしていたとされる山から石版が発掘されました。石版はとても古い物で、損傷が激しく何枚かに割れているものと見られています。石版にはヘブライ語で文字が書かれており、以下が解読の完了している内容です。
[激しい損傷]は罪を[損傷]、私の山羊が贄に選ばれた。しかし[未解読]は怒りを静めない。贄は血を流すことで赦しが得られる。水が地上に[損傷]、[未解読]にも[損傷]にも私の山羊は受け入れられなかった。私たちの虐げた箱舟は[損傷]。私は山羊を放し、人々の罪を[激しい損傷]
現在も修繕と解読、石版の残りの捜索が進められています。