アイテム番号: SCP-798-JP
オブジェクトクラス: Kušum1
特別収容プロトコル: SCP-798-JPの収容はその性質上、無期限に放棄されます。当現象に一度でも暴露した経験のある職員は、遡行技術の利用が禁止されます。
説明: SCP-798-JPは遡行技術による移動中に発生する不明な現象です。SCP-798-JPは一部の財団職員が時間遡行に際し、不特定の年代、日付座標を越えた時点で発生します。対象者は現象の発生が認められた時点で生存活動の全てを放棄します。結果として回収が行われない限りはその時点で衰弱し、死亡します。この生存活動の放棄への有効な治療法は、SCP-798-JPに関連する記憶処理を行うことのみです。
現時点ではこの現象によるパラドックスの発生は認められていません。
補遺: 以下はSCP-798-JPの対象となった職員の回収された音声記録の書き起こしです。なお、記録の全詳細に関しては閲覧そのものがSCP-798-JPの発生源となりうる可能性が存在するため、公開はされません。
<記録開始>
ベルン研究員: あー、地点2020/08/02を通過、変化無し。1年前はそんなに今と変わらないな。よく今まで死ななかったよ。
[検閲済]
ベルン研究員: 地点2010/02/12を通過、変化無し。10年もすれば街並みも様変わりしている。大規模収容違反があったのはこの辺だ。どうやって俺は切り抜けたんだ?
[検閲済]
ベルン研究員: 地点2001/01/24を通過。そうそう、初めてここでオブジェクトの担当に任命されたんだよな。[12秒の沈黙] どんなオブジェクトだったか。
[検閲済]
ベルン研究員: 地点1995/09/17を通過、ああ。
[1分22秒に渡る沈黙]
ベルン研究員: ここから前は、今の俺じゃなかった。
[ベルン研究員による複数人の名前2の列挙と謝罪]
[微かな呻き声、ベルン研究員による不規則な数字の発言]
[すすり泣く声]
[ベルン研究員による不明瞭な一人称の短文、名前の発音]3
[以下、機器のバッテリーが落ちるまで自然音とベルン研究員の嗚咽が記録されている。]
<記録終了>