とある神主
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 俺の家系はある神社の神主をしている。しかし俺の神社は大して有名でもないし、神社のある村はあまり人がいない。
 これだけ聞けば普通の神社と思うかもしれない、それでも他の神社とは違うところがある、それは怪物を封印していることだ。まあ何を言ってるかわからないかもしれないが俺も最初はそうだった。
 親父に初めてそのことを聞かされたとき理解できなかった。その後、親父に連れられ神社の裏の山に怪物が封印されているのを見た。石化していたが禍々しい気迫が押し押せて来るのが感じ取れた。当時中2だった俺はビビってチビリそうだった。
 その後何年かかけて親父から怪物の歴史、封印の維持の方法を教わった。怪物はでかい熊の見た目をしている。怪物はあらゆる攻撃を弾き、見たものの気を狂わすらしい。今から1500年前に都近くの村で暴れているのを天皇の討伐隊が封印したらしい。
 封印の維持は年に1回生贄の鶏を捧げるだけでいいが、封印の状態が悪いと人を捧げる必要があるらしい。50〜60年の周期で封印の状態が悪くなるそうだ。人を捧げる際は都会の浮浪者を探して衣食住を提供すると騙して神社に連れ込むらしい、そうすることでバレにくくする。
 もし復活したらどうしたらいいか親父に聞いたら、
「諦めろ、やつをもう一度封印する方法は戦国時代の動乱で失われた。怪物に対抗できる武器ももともと無い。少なくともこの村は終わる」
と言われた。それから俺は親父のあとを継いで20年近く怪物の封印をし続けたが、急にそれは訪れた。
 ある日、いつものように封印の状態を確認するとろうそくの火が3本灯っていた。封印が解かれる合図だ。この状態になったら為す術なく1ヶ月後に怪物が出てくる。それを見た俺は血の気が引くのを感じた。慌てた俺はあらゆる手段を試したがどれも効果がなかった。その後、対処法があるわけないのに家の倉庫、図書館、インターネットを探して周り、挙げ句警察に対策を求めた。
 家の倉庫で探している時見たくないのが目にはいってきた。

皇紀1128年
 都近くの村に出現した、あやかしにより3村、民328名の被害を受けた。
 天皇陛下の勅令により討伐隊200名が向かうが138名が死亡し残りは気が狂いまともに会話ができない状態であった。中には同士討ちをしたり己の体を食すものもいた。
 第二次討伐隊にて30名ほどの呪術師たちが参加しあやかしを用いた呪術により封印に成功する。しかし参加した呪術師の14名が死亡、13名の気が狂う。封印の維持は生き残りの呪術師たちにより行われる。

こんなことを起こしてたまるか。俺は俺の故郷を守る。なんとかして対策を見つけなければ。
 怪物が出てくるまであと20日のところで俺の話を聞きたいと言う物好きが来た。俺はそれどころじゃなかったので興味なかったがそいつは、
「超常現象の研究をしていて、もしかしたら怪物に対抗できるかもしれない」
と言うので藁にもすがる思いで話を聞くことにした。
「私は超常現象の研究をしている佐藤と申します。では早速封印している怪物について教えていただけますか」
「対抗手段があるかもしれないんだろ、早く教えてくれよ。」
「対抗手段を調べるための調査です。詳しく調べないとどの手段が有効なのかわかりません」
「わかりました。まず怪物の歴史についてお話いたします。今から1500年前、都近くの村で暴れているところを天皇の討伐隊によって封印されたと伝わっています」
「なるほど、その怪物の能力などわかりますか」
「見た目としては3mほどの熊です。またあらゆる攻撃を弾き、見たものの気を狂わすと伝わっています」
「その怪物があと20日ほどで復活しようとしていると」
「そうなんだよ。もう時間が無いんだ。あんなのが復活したらこの村が終わってしまう。あんた対抗手段を持ってるかもしれないんだろ、復活する前になんとかしてくれよ」
「わかりました。後日、何名か連れて来るのでそれまでこのことを言いふらさないでください」
 そうゆうと物好きなやつは出て行ってしまった。外でそいつは電話をしているようだった。


 あの佐藤とか言うやつ、対抗手段があるかも。とか言ってたが封印が解ける前日になって来た。あと映画とかで見る特殊部隊の格好をした5名の人を連れて。あと異様にでかい車。
「神主さんいたんですね。危ないので離れてください」
「何が危ないなんだ。こんな装備で勝てると思ってるのか」
「大丈夫ですよ、彼らはプロですから。どうしてもSC、いや怪物と戦うならこのゴーグルをつけてください。」
といってゴーグルを渡してきた。これがなんの役に立つかわからないがつけてみる。
6時間後怪物は封印を解き出てきたが特殊部隊の連中に10分ぐらいで捕獲され車に載せられて行った。
「嘘だろ、俺が一生懸命あいつを封印してきた意味は?俺が騒ぎ立てた意味は?あんたら何者なんだよ」
「前、あなたの話を聞いた感じ、おそらくあなたはかなり昔から怪物のことを知っていた。」
「そ、そうだが」
「やはり、そうですか。そうなると記憶処理で完全に忘れさせるのは難しい。そこであなたに2つの選択肢をあたえます。我々と共に怪物と戦い続けるか、言い伝えが嘘であったと思い込むか」
「何言ってるんだ」
「どちらですか」
「少し考えさせてくれ」

 
 
 
 
 
 
 
 

「それで財団に来たわけですか」
「ああ、まさか怪物が他にもいるとは思わなかったよ。お前はどうやって財団に来たの」
「俺はですね….」

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