闇寿司ファイルNo.1511-D "家系ラーメン"
評価: -9+x
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The 家系

概論

"家系ラーメン"は豚骨醬油ベースのラーメンだ。なかなかに太い麺とチャーシュー、濃いめの油のパンチが効いたラーメンで、ほぼ確実にご飯と一緒に食べるのが特徴的だ。こんなにガッツのあるものだと健康に悪いんじゃないかって心配する人もいるだろう。だが安心してほしい、家系ラーメンは必ずほうれん草がトッピングされている。これで野菜不足も解消される。思う存分食してほしい。

スシブレード運用

攻撃力

防御力

機動力

持久力

重量

操作性

そもそもラーメンというもの自体が、まともに扱えるのが闇親方ぐらいの高難易度な寿司である。加えて家系特有の豊富な具材によって機動性と操作性は地の底である。しかし逆にその豊富な具材はそのまま重量と攻撃力につながる。特にチャーシューによる鈍い殴りと海苔による鋭利な切り裂きは、相手の寿司への不可逆なダメージを与える。そして外に広がる海苔とチャーシューは相手からの攻撃をガードする鉄壁の盾ともなる。まさに攻防一体のスペシャルなのだ。

エピソード

これは当ファイルの製作者である愚者門泥助ぐしゃもんどろすけが体験したエピソードである。

さっそく私はこの家系ラーメンを試すために友人に協力をとりつけた。私の友人である四重奏夜泣面テトラメロディよなきのつらは古くからの付き合いで、こうしてよく新作の試しに付き合ってもらっている。ちなみに今回四重奏が用意した対戦相手はライス(平皿)だ。

四重奏: いつでも来い!お前の新作の力見せてみろ!

私: 言ってくれるじゃないか。いくぞ!

私・四重奏: 3、2、1、へいらっしゃい!

お互いの寿司がごうごうと回り始める。家系ラーメンは機動力に欠けているためその場でぐるぐると回る待ち伏せ型の方が都合がいい。そして相手がやってきたらチャーシューと海苔のコンボでアタックする。多少の攻撃は重さでカバーだ。

と思っていたらまさかの事態が発生。なんと相手のライスがあまりにも車高が低すぎてこちらの攻撃がろくすっぽ当たらない。そのくせライスの方はこちらの底の方にかつかつかつかつ少しずつだがダメージを与えていく。それを繰り返すうちに次第にバランスが崩れ、ついには私の家系ラーメンは倒れて無残にもスープといくつかの具材がこぼれてしまった。

私: くっそおおお、平皿はインチキだろおお。

四重奏: ははっ、まあ目の付け所は悪くないんじゃないか。精進しろよ。

私: はーっ、まあいいや。ありがとう。なんか掴めたかもしれん。

そう言って私は敗北の印にラーメンを啜った。落ちた具材はなるべく洗って食べた。

*

そして悩みに悩んだ末に私はある一つの解決方法を思いついた。家系ラーメンというものは注文時にだいたい麺の太さ、スープの濃さ、油の量を聞かれる。そして今回はこの油をより多めに入れたものにした。狙いは油によるつるつるで機動力を向上させるというものだ。

攻撃力

防御力

機動力

持久力

重量

操作性

油を入れるだけなので他のステータスにはほぼ影響を与えず、純粋に機動力が上がった結果となっている。いやゆうて下から数えた方が早いくらいのレベルじゃないかと思うかもしれない。しかしこれの目的は前より少し逃げられるようにして、致命的なダメージは回避しようというものだ。もとよりこちらの攻撃が当たれば勝てるのだから、それを活かすための油多めだ。

ということでまた四重奏に頼んでお試しバトルをしてもらうことにした。彼はまたライス(平皿)だが臆することはない。こちらが狙うのは一撃必殺だ。じっくりと機を伺えばいい。

四重奏: また家系か。いいのか、この前の二の舞になるぞ。

私: そう見くびってもらっては困る。まあ見ててくれって。

四重奏: がっかりさせてくれるなよ?

私・四重奏: 3、2、1、へいらっしゃい!

前回と違って私の家系ラーメンはその場に留まることなく、旋回しながらライスを睨みつけている。その動きはゆるやかながらも前とは違うというのをしっかり四重奏に見せつけられているようで、なかなか攻撃に転じてはこない。

私: お前が来ないならこちらから行かせてもらうぞ!

四重奏: 何っ!?

私はそう言って進路をライスにしっかり見定めラーメンを突撃させようとした。しかしいきなりそうしたのがまずかったのかもしれない。低すぎる操作性とてっかてかの油によって進路変更しようとしたそのままにラーメンはバランスを崩し、そして転倒してしまった。まさかの自滅である。

四重奏: おいおい、大丈夫か?

私: たははっ、情けないところをみせてしまったな。

ブレーダーとして恥ずべき負け方である。私はこの敗北をしっかり身に刻むべく残ったラーメンを啜った。心なしかその味はいつもよりしょっぱかった。

*

また色々考えたが弱点を補うという消極的な改善より、長所を思いっきり伸ばすという方がいいのではということに気が付いた。これは現代の学校教育にも言えることであり、すべての子供の平均的に伸ばすという方法では世界に羽ばたく人材はなかなか現れない。お手々つないでではなく必要なのは圧倒的スピードでゴールするランナーである。

攻撃力

防御力

機動力

持久力

重量

操作性

ということでチャーシューマシマシにして攻撃力もマシマシにした。いいんだ、コケる前に相手をヤればいい。チャーシューマシマシ家系ラーメンが回転する様はさながらバケットホイールエクスカベータのブレードだ。山をも切り崩すその圧倒的アタックでどんな相手でも打ち倒す。それがこいつには必要な措置だったんだ。

というわけでまた四重奏にお相手をしてもらう。こんなにも付き合ってくれるなんて我ながらいい友をもったものだ。そしてまた試合を始めるもののなんてことだまた緊急事態、なんと回転の勢いでマシマシしたチャーシューが辺りにふっとんでしまうではないか。

どんどん散らばっていくチャーシューたち、いやこれは逆に遠距離攻撃としてアリなのでは?とも思ったが飛ぶチャーシューとライス(平皿)の位置関係はまさに平行であり、ろくすっぽ攻撃は当たらないまま私おの家系ラーメンはマシマシにする前の性能に戻ってしまった。

その後は同じように底つんつん攻撃で負けてしまった。今日の敗北の味はチャーシューが増えた分パンチが利いていた。

*

よくよく考えたらいっつもライスに負けているのだから、こちらもライスをつければいいのではないか?と思ったので用意した。中盛の茶碗ライスだ。そもそもライスのない家系ラーメンなんてのはケチャップのないポテトみたいなものである。無くてはならない存在を忘れていたなんて今までの自分が恥ずかしい。そもそも自分が動けないのなら誰か動けるものに頼ればいい。今は自己責任論というのがまかり通っているが、人ひとりにできることなんてたかが知れている。できないことはあって当然、失敗はして当然なのだ。そういう時はどうすればいいか?そう、誰かに頼ればいい。そんなことをラーメンから教わるなんて、まったくこの世に生き続ける限り学びは尽きないようだ。

というわけでまた四重奏に相手を頼んだ。まったく、私がこうしてブレーダーを続けられるのもこういった頼れる友がいるからだ。そうしみじみ思いながら私はラーメンとライスを片手ずつに構えた。

四重奏: いやちょっと待ってくれ、2つは普通に無しじゃないか?

まったくもってそうだと思う。私はライスを置き、そして負けた。今日の敗北の味はライスの分腹に溜まった。

*

ニンニクをマシマシにした。大まかなステータスは今まで通りなのだがキツい臭いにすることで相手に直接ダメージを与えるというのが今回の狙いだ。ただでさえ豚骨ベースの強めな臭いにニンニクが重なれば慣れない相手にとってはうっと来るものではないか。まあ正直自分ではそんなことまったく思わないからよく分からないのだが、とりあえず善は急げだ。

というわけでまた四重奏に相手を頼んだ。ところがへいらっしゃいの後はそんなお互い寿司に近づくことはないために、この作戦ははっきりいってまったくもって成り立たなかった。そしてその後は普通に負けた。今日の敗北の味はちょっと鼻に来た。

*

そういうメニューがあったなというのを思い出して今回は炒めた野菜をいっぱい入れてみた。健康に気を遣うとかそういうのではないが、まあ普通にこういう感じで食う野菜はうまい。具体的にどう強くなるかはよく分からないが、まあ実践で何かつかめるだろう。

というわけでまた四重奏に相手を頼もうとしたが、ちょっと都合が悪いらしくダメだった。これは私の不戦敗と言える。今回の敗北の味はシャキシャキ感がよかった。

*

一周回って元に戻してみた。色々迷走しすぎたかもしれないからこういう時は一旦スタートに戻って考えるのもいい。だから四重奏にも普通に負けたけど、この反省会はまた今度やる。とりあえず敗北の味は美味しかった。

*

今日の敗北の味: 海苔は多すぎてもアレかもしれない。

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やっぱ本家の味が一番!

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From: 愚者門
To:
Subject: 家系ラーメン

闇親方

お疲れ様です、愚者門泥助です。

先日の私が作成した闇寿司ファイルがデリートされた件について
理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。

よろしくお願いいたします。

From:
To: 愚者門
Subject: Re:家系ラーメン

食事制限を破る理由に敗北を使うな。
次の健康診断ではせめてEの項目を0にしろ。

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