RS939/JJ39S/4ZCS9 | |
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状態 | 販売中 |
需要 | 低 |
価格 | 対象1体につき1,850,000米ドル/1,390,000英ポンド |
入手可能性 | 唯一無二 |
識別名 | MC&Dの不滅の復讐 (社内では「ペスト医師」) |
説明 | あなたは人生の中で心底憎んでいる人がいますか? 死はその人には生温すぎますか? あなたは運が良い、MC&Dは現在あなたの骨に染み付いたその憎しみを心から納得させるための広範な死後のオプションを提供しています。1 |
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
初期報告書 | |||
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筆者 | ルーカス・ホワイトホール | 日付 | 7月25日、2018年 |
重要度 | 中 | 識別名 | ペスト医師 |
対象にはカナダの人里離れた建物から数マイル離れた場所にある荒野で遭遇しました。対象が建物内にあった死体群に改造行為を行っていたことの証拠があったにもかかわらず、他の異常存在には一切遭遇しませんでした。 我々が獲得するとすぐに、対象は自身が「病気である」と見なす人間および人間の死体に重大な改造行為を行うことが判明しました。詳細な心理プロファイルがこれまでに作成されており、そして与えられた人間または死体が「病気である」と対象に信じ込ませるためのプロトコルが現在開発中です。 |
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以下のファイルが開かれている: | RS939/JJ39S/4ZCS9 | ||
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
追跡情報 | |||
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RS939/JJ39S/4ZCS9 | |||
所有者 | 日付 | コメント | |
SCP財団 | 12月10日、2009年 | 財団に収容された。 | |
所有者なし | 8月17日、2017年 | 対象が収容を脱出した。財団を欺いて対象の回収を失敗させるため財団部隊内での妨害工作を開始した。獲得チームを派遣した。 | |
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 | 7月25日、2018年 | 対象を獲得した。 | |
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
売却記録 | |||
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RS939/JJ39S/4ZCS9 | |||
記録範囲: | 7月から11月、2018年 | ||
月 | 売却数 | コメント | |
7月、2018年 | 1 | 生きた人間が提供され、対象は自発的に改造行為を行った。 | |
8月、2018年 | 1 | 生きた人間が提供され、対象は我々に説得された上で改造行為を行った。 | |
9月、2018年 | 2 | 両方の死体が提供されるとともに、それらを組み合わせて縫い合わせる要求がなされた。対象は要求に従わなかったものの、我々に説得された上で両方の死体に標準的な改造行為を行った。 | |
10月、2018年 | 1 | 生きた人間が顧客によって改造行為のために提供された。対象は改造行為を行うことを拒否した。 | |
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
そこにある壁たちはクリーム色をしていた。そこにある床たちは淡緑色と灰色のチェック模様の混合物だった。一人の男と一人の医者がその廊下の暗闇の中に立っていた。
その医者は穏やかにクックッと笑った。「貴方は奇妙なユーモアのセンスをお持ちなのだな、ミスター・カーター」
ミスター・カーターと医者は一つの病室の外に立っていた。そこにある消毒剤の匂いとそこにある設備の鳴らすビープ音はミスター・カーターが冷静さを保つことを遮るただ二つのものだった。
「私はそれがそんなに面白いとは思わないが」
「貴方は私をこの死の家へ連れて行く。貴方は私を見せびらかして悪疫で溢れ返った廊下を歩き回る。それから貴方は私を悪疫の影響から解放されている唯一の男性のいるこの部屋へと連れて来る」
ミスター・カーターは咳払いをしてから独りクックッと笑った。「それはそうかもしれないが、我々の顧客は我々にこの部屋の中の男性が治療されたことを保証するように依頼してきたのだよ。どうしても必要ならば、君は彼を君の実験被験体の一つと見なしてもいい」
「私の専門技術は病気を治す事に関するものだ、死を治す事ではない」
ミスター・カーターは居心地の悪い思いで適当な位置へ移った。「君と君の友達が財団を脱出した時、彼は我々が資源と保護を提供するのと引き換えに君が我々のために一定のサービスを提供するということに同意してくれたのだよ。もしその契約がもう反故にされているというのなら……」
言葉が数秒間にわたって宙に浮いた。
「勿論やるさ」医者はドアノブに手を伸ばした。「これが終わったら私はしばらく独りで過ごす事を必要とするだろう」
ミスター・カーターはうんうんと頷いた。「エクセレント。何か必要なものがあったら、これから外に配備する私の部下たちに声をかけてくれ」
医者はミスター・カーターが言い終えるのと同時に部屋の真ん中に立った。
その部屋は狭苦しく暗いものであった。一人の貧弱な男が反対側の壁際にあるベッドに横たわっていた。そのベッドの横には薄暗い灯りを点す一台のランプと一脚の椅子を備えた一台の小さなテーブルがあった。医者はベッドの方まで歩いて行くと、手袋をした手をその患者の額に当てた。男はハッと驚いて目を覚ました。
「そこにいるのは誰だ?」男はぼんやりした目で尋ねた。
「私は貴方の医者だ」
「ああ。すみません」その患者は弱々しく手を振った。「あなたの声は私のお医者さんの声には聞こえませんが」
「彼は来る事ができなかった。彼は私に貴方の事を回診するように依頼した。貴方の命はもう長くないと私は思う」
「そんな。私は病気なだけです」
「貴方は病気などではない。貴方はただ単に死にかけているのだ」
心拍数モニターの長いビープ音がその静寂を満たした。
「貴方の家族はどこにいる?」
男は小さな溜息をついた。
医者は椅子を後ろに引き、ベッドの隣に腰を下ろした。
「これからの2、3時間はとても苦しいものになるだろう。その痛みを和らげる為に私がしてあげられる事はほとんどない。貴方は私にここに留まってほしいか?」
男はかすかに鼻を啜り上げるとともにコクリと頷いた。医者は男の手を取りそして静かに彼と共に座った。