異世界跳躍先候補:117 "ハーレット"

U設定: #58|地域設定: 地球|言語設定:日本語

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カエノレム地方周辺 ナガサ雪郷

基礎概要

跳躍先名称: ハーレット
└ 周辺地域の治安改善に意欲的な君主制国家と宗教団体が存在します。ただし、これら両団体はエルマに対し敵対的です。

所属宇宙: ユニバース117
└ 小規模な紛争が確認されています。その中でもハーレットは不安定な情勢に陥っています。

現地エルマ規模: Ⅲ~Ⅶ
└ 不安定な情勢故に地域によりエルマ規模と確保されている安全に差異が存在します。詳しくは跳躍先とする支部のページを参照してください。

帝都カエノレム支部
ナガサ雪郷支部
東ナガサ先史遺跡群支部
クレスレット郷村跡支部

※上記以外の地域・国家については随時追加予定

エルマより跳躍に関しての注意点: 有り
└ ハーレットは亜種奇跡論に分類される実体群が治安に大きな悪影響を与えています。エルマ支部を含める全ての場所で安全が保障されておらず、小規模な紛争や民族弾圧が多発しています。





現地紹介

ハーレットはユニバース117に存在する天然惑星です。ハーレットはユニバース58やユニバース4000と並行関係にある異世界、通称58系列宇宙であり、ユニバース58における地球の位置に存在します。惑星の年齢を計測したところ、ユニバース4000より更に2000年時間が経過した惑星であることが判明しています。

ハーレットには地上の他に、現地で"天球"や"天蓋"、または"エリシュオン"と呼ばれる第二の大地が存在します。天球は空中を浮遊しており、天球から亜種奇跡論的実体が地上に飛来しています。飛来する亜種奇跡論的実体は数万種存在し、その何れも極めて危険な存在です。この亜種奇跡論的実体は天球に存在している原住民"天上人"が際限なく生み出しており、天球付近の地上はハーレットでも有数の危険地帯です。また、ハーレットでは、天球と対になる存在として地上を芯球と呼称する場合が存在します。

ハーレットにおける覇権国家"カエノレム帝国"は、亜種奇跡論的実体の完全駆逐を国是に掲げる君主制国家です。天球から魔法が飛来するようになった頃に、突如として現れた若者が中心となり建国された国家とされており、建国から現在に至るまで、地上に飛来した亜種奇跡論的実体と天上人の誅滅を目的に各地で戦線を展開してます。また、後述する"魔法使い"と現地で呼称される民族を弾圧する政策を実行しています。カエノレム帝国はエルマに対し敵対的な態度を示しており、エルマ同胞各位がハーレットに跳躍する場合、亜種奇跡論的実体と共に注意しなければならない存在となります。カエノレム帝国内でエルマが活動するのは困難であり、カエノレム帝国に関する情報集積も難航してます。

ハーレットには"魔法使い"と呼称される民族が存在しています。彼らは天上人と交わった民族の末裔であり、自身の民族に伝わる童話を亜種奇跡論的実体として生み出し使役することが出来ます。魔法使いは後述する神話を根拠にカエノレム帝国によって迫害されており、カエノレム帝国の対魔法政策の前線戦力として恭順した一部魔法使いたちを除き、多くは拘留/処刑対象となっています。魔法使いはエルマに対し友好的であり、ハーレットに存在する支部の多くは魔法使いの協力によって維持されています。






特筆すべき民族・団体
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伝統的なメルシェ族

魔法使い
└ 天上人と交わった地上の民の末裔である彼らは、天上人と同じく自身の感情に基づいた亜種奇跡論的実体を生み出すことが出来ます。多くの魔法使いは伝導的なローブ姿に彫金装備を好み、自身の感情を高揚させるための楽器や、魔法の元となる物語が掛かれた魔導書、魔道杖と呼ばれる伝統的な杖を携帯します。多くの魔法使いは帝国による弾圧を逃れるため、帝都カエノレムから遠く離れた地、または後述する聖天神団が実質的に統治する地域で暮らしています。

彼らの多くはカエノレム帝国に弾圧されており、弾圧から逃れる目的でエルマに友好的に接します。ただし、カエノレム帝国に恭順する魔法使いはこの限りではありません。カエノレム帝国に恭順した魔法使いたちは、カエノレム帝国の展開する対魔法戦線の前線へ定期的に徴兵されることと引き換えに弾圧から解放されます。また、彼らは前線から脱走した魔法使いや、感情が崩壊してしまった魔法使いを殺害する任務に駆り出されることがあり、同胞殺しとしてカエノレム帝国に恭順していない魔法使いたちから嫌われています。

メルシェ族と呼ばれる魔法使いの一族は、カエノレム帝国建国時に最も早くカエノレム帝国に恭順した魔法使い一族として知られています。彼らは前線でも多くの武功をあげており、魔法使いの身分でありながら、カエノレム帝国領内にて特権階級として扱われています。

天上人
└ ハーレットを現在進行形で破滅させている人々です。ほとんど永久の時を生きるとされ、地上の魔法使いたちよりも遥か自在に魔法を操るとされています。地上からアクセスする手段の存在しない天球に住んでおり、自身の生み出す魔法の恐怖によって、また恐怖の魔法を生み出しています。

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聖天神団ロゴシンボル

聖・天の神官団教会
└ 聖・天の神官団教会、通称"聖天神団"は、カエノレム帝国を中心にハーレット各地で活動している団体です。宗教団体を名乗っているものの、実態は魔法使いの保護を目的とした団体と言えます。弾圧される魔法使いと帝国の間に入り、魔法使いに対し恭順を促します。何故かエルマに対し敵対的であり、帝国と併せて注意が必要な団体です。

聖天神団はカエノレム帝国の建国とほぼ同時期に発足しました。『飛来する魔法の恐怖によって感情をコントロール出来なくなった魔法使いが街を破壊していた際に、一人の男性が手持ちの水瓶を魔法使いに飲ませた所、魔法使いは平常心を取り戻した』という逸話が東ナガサ周辺に伝わっており、天上人や暴走してしまった魔法使いも救う術があると確信した人々によって発足されたと語れています。逸話に登場する男性については諸説ありますが、エルマ教祖の可能性もあるとしてエルマ遷教師によって調査が行われています。

カエノレム帝国はこのような活動や信条を持つ聖天神団に対し、中立的な姿勢を示しています。聖天神団は騎士団と呼称される武力勢力を所持しているものの、カエノレム帝国に対抗するほどの規模ではありません。カエノレム帝国から敵対視されていないのは不自然であるという評価がハーレット民衆でも囁かれており、カエノレム帝国と聖天神団は秘密裏に通じ合っているという噂が絶えません。






ランドマーク

画像左: カエノレム=リヴィエラ(カエノレム城)
└ カエノレム帝国はハーレットに存在する国家の中でも最も巨大な国家です。カエノレム=リヴィエラはそんなカエノレム帝国の主城です。巨大な城郭と水底に沈んだ庭園が特徴であり、カエノレム帝国の強大さを体現したような城となっています。水底庭園はカエノレム=リヴィエラ建設当時は存在せず、亜種奇跡論的実体からの襲撃を受けた際に、カエノレム帝国に恭順していた魔法使いが魔法で水を呼び出し、庭園を沈めて堀としたことで作られたとされています。カエノレム=リヴィエラは建設当時、単純に"カエノレム城"と呼称されていましたが、この経緯からハーレットの古い言葉で「湖岸」を意味するリヴィエラという言葉が付けられ、カエノレム=リヴィエラという名称に改められました。

画像中央: 神話の塔
└ カエノレム帝国より遥か東方に存在する巨大な天球、その真下には崩壊した建造物が存在し、後述する神話において登場する"塔"であるとされています。天球の真下ということもあり、亜種奇跡論的実体の出現件数も圧倒的に多く、カエノレム帝国正規軍でも近づけない危険地帯です。これまで幾度となく調査隊が結成されていますが、成功した例は存在しません。なお、塔は破壊されており、天球への上陸用途としては使用できません。

画像右: ナガサの先史遺跡群
└ ハーレットには、これまで3つの文明が根付いていたと言われています。現在のハーレットは第3文明、神話において天球を目指すために塔を建築したのが第2文明とされています。東ナガサで確認されている先史遺跡群は第2文明より遥かに古いものであり、アトラルに匹敵する科学技術を保有していたと推測されています。この文明は第1文明と呼称されており、なぜ滅亡したかは判明していません。ただし、第2文明が遺した絵画には、天球の上に第1文明に類似した意匠の建築物が描かれており、第1文明と天上人の関係性が指摘されています。

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帝城"カエノレム=リヴィエラ" 神話の塔 ナガサの先史遺跡群






体験談・逸話
カエノレム帝国建国神話 序章"崩壊" 聖・天の神官団教会Sancti Caelites Pontificumによる出版書物より抜粋

今は昔。

太古の人々は機工技術に優れ、たいへん栄えていました。

あるとき一人の男がふと、このようなことを言い出しました。

「高い塔を作ろう。その塔を登り、天に住む人に会いに行こうではないか。」

皆がこれに賛同し、建設が始まりました。

作られた塔は虚空を貫き、ついには天に住む人々の里へと届きます。

天上の人々は、私たちとよく似た姿をしていました。けれども天下の民とは全く別の人でした。

彼らは不思議な力を持っていたのです。

思うがままに物理法則を操り、森羅万象へ介入し、時に何かを創造することができました。

彼らは魔法を操ることが出来たのです。

彼の人々は魔法により栄華を極め、全てを手に入れた民族だったといいます。それゆえに、欲も、諍いも、嫉妬も知りませんでした。ほとんど無限の時間を生き、1日を不自由なく友や恋人と穏やかに、ぼんやりと過ごすだけでした。

彼の文明は「停滞」そのものでした。完成された物語にその先がないように、彼らの文明は停まっていたのです。そんな中で、天の下の人たちが訪ねてきたのは彼らにとって大いなる刺激でした。それこそ何十年も続編の出なかった傑作の第二巻だったのです。

天に住む人々は全てを持ってはいましたが、けして傲慢ではありませんでした。天の上の人々と、天の下の人々はすぐに打ち解け、天蓋を挟んだ上下という概念は曖昧になっていきました。天の上の人々は天の下の人々の躍進的な文明に刺激を受け、天の下の人々は天の上の人々の操る魔法に刺激を受けたのです。両文明はお互いを尊重し、共に成長し、遂に融和し始めました。

けれど、傑作の二巻とは大抵が駄作で終わるものです。

天の上の人々は"自分の意思"を魔法に溶かすことでこの秘儀を行使します。しかし何千年という年月を停滞に過ごしてきた彼らにとって、天の下の人々の話す言葉や起こす行動はあまりに刺激的すぎました。この歪みが魔法の暴走として現実のものとなったのです。

ある時、天の下の人が放った冗談が、天の上の人の笑いのツボに刺さりました。天の上の人は半日笑い続け、笑いやむまで冗談を基にした魔法が暴走し続けることとなりました。

ある時、天の下の人が話した英雄の逸話が、天の上の人の心を熱くしました。天の上の人はその英雄に強く影響され、遂に魔法が暴走し、在りし日の英雄の実体が半年以上世界に居続けることとなりました。

彼らの感情は、彼らの感情があるがままに魔法となり、実体を得ます。けれども感情は永遠のものではなく、ほとんどの魔法は"飽き"によって終わりを迎えます。ただ一つの感情を除いては。

恐怖は人々の周囲を付きまとい、そして離れることがありません。ある時、天の下の人が話した神話が、天の上の人を恐怖に叩き落しました。巨大な悪竜が人々を食らい、世界を闇で包む。それは、科学を得た天の下の人々にとって克服した恐怖の神話、有体に言えば恐怖の作り話に過ぎません。しかし天の上の人々はこれを作り話としては処理することができませんでした。

巨大な悪竜が天の上の里に降り立ちます。そしてその悪竜は時間が経っても消えることなく、天の上から災いを降らせました。天の下の人々は武器を取り、戦いを挑みました。天の下の人々は、天の上の人々へ協力を打診しました。けれども、天の上の人々はもはや何のたすけにもなりませんでした。

恐怖は恐怖を呼び、恐怖と交じり、恐怖と繋がります。恐怖は新たなる恐怖となり、天の上の人々を包み始めました。眼が合わぬ限り兵士たちの首を次々捻る恐怖の魔像。如何なる攻撃も通用せず凶暴に兵士を食らう脅威の地竜。若き兵士に異次元より忍び寄り腐食させ溶かし異次元へと攫う醜悪な魔人。世界は恐怖の魔法で包まれることになったのです。

こうして世界は今日まで恐怖の魔法達に脅かされ続けています。天へ届く塔が魔法によって壊された今になっても、天の上の里では天の上の人々が部屋の隅で縮こまって、恐怖の魔法を生み出し続けているのです。

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