U設定: #58|地域設定: 地球|言語設定:日本語
基礎概要
跳躍先名称: ナイト・ミンミン
└ 他ユニバースでは「蝉」という名前で呼称されている生命体が現地住民として生息しています。ですが現地住民は他の蝉とは違い、その鳴き声はギターやドラム、シンセサイザーなど多種多様な楽器の音色に聞こえます。
所属宇宙: ユニバース3131
└ 近年のセミフェス開催による観光目的の跳躍者、また亡命目的の蝉、それに類似する生命体たちが一斉にこのユニバースに跳躍しているため、経済成長の真っ只中にあります。
現地エルマ規模: Ⅱ
└ 現地住民は観光客の誘導などの業務に対してエルマを全面的に頼っているためエルマの教義には寛容ですが、近年に発足したエルマ外教支部であるため規模は未だ拡張途中です。
エルマより跳躍に関しての注意点: 有り
└ 凶悪な現地の動物や危険地帯は生息しません。ですが、現地住民が非常に小型であるため人型の信徒が跳躍する際はアトラルで前以って縮小魔法を受けてから跳躍してください。気候に関しては亜熱帯に分類される異世界であるためその点を加味しつつ、ルールとマナーを守って音楽DJの魂のシャウトを楽しみましょう。
現地紹介
ナイト・ミンミンはエルマ外教にユニバース3131として分類された異世界です。この世界の現地住民は求婚の方法として自らの鳴き声を周囲に響かせて、魅力的に感じたもう一人と結ばれて繁殖していくという独自の文化を持っていました。またすぐに繁殖行為をするために彼らが音楽を楽しむのはほとんど夜の時間帯です。
よりロマンチックな鳴き声を出すために現地住民が発するその音色は時代を重ねていくごとに洗練されつつも重厚に、より複雑になりつつも異性のハートにストレートに届くサウンドへと変化していきました。
そんなある夜のこと、1人の男が思いつきました。
「他の奴らとセトリを組んで、派手に音をぶちかませばきっとそこにモテるやつモテないやつの垣根はなくなる。俺は誰かとスケベするために喧しくお世辞を言うんじゃねえ。みんなと体揺らすためにシャウトするんだよ。」
その結果として複数の現地住民アーティストが演奏するセミフェスが開始されました。最初はガレージロック、パンク、ビッグバンドジャズなどがセトリの中心でしたが、現在では別の異世界より持ち込まれたDJ器具を活用したEDMが中心です。
ランドマーク
現地の森林地帯を切り開くようにして開設されたセミフェス会場がランドマーク的存在となっています。フェス会場の音響設備はアトラルのそれにも引けを取らないhigh qualityであり、低音爆音超音波をハッキリと出力することが可能です。会場の収用可能人数は10000人を想定しており、縦ノリ横ノリヘドバンを思い切り可能なハコになっています。
また周囲には別世界から跳躍してきた観光客のために飲食店やホテルなどの宿泊施設も森を開発して続々とオープンしており、セミフェスを通じてつがいとなった現地住民たちの使用する姿も見られます。
ですが、ナイト・ミンミンのこうした発展の裏に、環境汚染や現地住民たちの住まいである森林地帯が減少しているという問題もついて回っています。急速な発展を遂げるユニバースではこういった問題がついて回るのはよく見られるものですが、当ユニバースは他世界の信徒が多く注目している地ということもあり、中々改善のめどが立たないのが現状です。エルマ外教本部は現地の統治者との連携により、当該ユニバースの経済的、文化的な発展を健全なものにしていかなくてはなりません。
体験談・逸話
ユニバース3131 ナイト・ミンミン セミフェス運営委員会兼DJ集団「oily sound」リーダー ニッキシ
よおエルマ外教の皆さん、今回はインタビューの機会をどうもありがとう。俺で良ければ何でも聞いてくれ。
───こちらこそありがとうございます。早速ですがつい先日終了したセミフェス018についてお聞かせください。
最高だった。これに尽きるね。今までも様々なアーティストがこの一大イベントを盛り上げようと自分たちの100%を出し切っているんだけど、今回は特に一致団結して音楽を楽しもうって気持ちが運営側、演者側両方の側面から見てもビンビンに感じられたね。
───それは私もそう思いました。私も毎年セミフェスに参加しているんですが、今回は特にDJバトルや普段は見られないようなコラボなどが目立ったと感じます。このコンセプトは意図的なものでしたか?
そうだね。今回は敢えてセミフェスの原点に立ち戻って「音楽で一緒になろう」ってテーマを前面に押し出したかな。俺たちの本能はカップルになるために音を鳴らせって訴えるが、音楽がつなぐのは異性だけじゃない。セミの種類や使っている鳴き声言語が違うやつらも、メロディとビートが鳴ればみんな一緒さ。
───なるほど。
というのも俺たちが抱える問題に向き合わなくてはと思ってね。
───問題というと、やはり急速なナイト・ミンミンの発展問題ですか?
ああ、それもある。けどね、セミフェスが終わって次の日に路上で腹を出して伸びていたりゲロ吐いてたりするやつがどれぐらいいるかわかる?あいつら近づいて起こそうとするとジジジジジって狂ったように暴れだすんだ。確かに酒は音楽の友ではあるが、後始末が出来ないのに音楽を楽しむのは家族を作る以前の問題だ。
───なるほど。確かにセミフェス翌日の会場の様子がSNSにアップされて物議を醸したこともありました。
それにだ。聞いてるだろ?殻破りし世界で、蝉が「災厄」の象徴として俺たちの仲間が疎まれるって。
───ええ。蝉の神のことですね。
迫害された蝉たちの中で知性を獲得した───ほんの一握りの───同胞たちがこの一年でナイト・ミンミンへと亡命してきている。彼らはかつて自分たちの故郷で受けた仕打ちに心を痛めている。だから俺たちが出来ることは、ひたすらに音楽を奏でてそして、楽しむことだけさ。
───楽しむ、ですか?
そうだ。種族の中でではなく、俺たちは外に向けて蝉たちが優しくて、音楽を愛していることを伝えなければいけないんだ。向こうさんが仰々しいクラシックで神様とかいう脅しを続けるなら、俺たちはクラブミュージックでラブ&ピースを叫び続ける。この禍根はそう簡単に解消できるものではないにしても、俺たちは焦ってはいけない。いつも通り音楽で、みんなの心はひとつだってこのお祭りで証明してやんのさ。今回のセミフェスはその「先駆け」みたいなもんだ。
コンセプトは原点回帰しながらもその目は未来にある「夜明け」を見据えているニッキシ氏。これからもセミフェスの進化、彼らが「音楽」に向き合う姿勢から目が離せない。 (文とインタビュー:シルヴェストル・マーミック同志)