U設定: #58|地域設定: 地球|言語設定:日本語

虹光池ジーヴスエト。奥の木々へは見えない力で侵入することができない。
基礎概要
跳躍先名称: 虹光池ジーヴスエト
└ 木々に囲まれたひとつのため池のみが存在するユニバースとなっています。
所属宇宙: ユニバース412
└ このユニバースのかつての姿はかのムベべ星のような荒廃さを彷彿とさせていた、と言われています。
現地エルマ規模: Ⅱ
└ 現地住民が存在しないため遷教の必要性は無く、エルマ信徒は一時的に滞在しているのみです。
エルマより跳躍に関しての注意点: 有り
└ 池の中には「ヌシ」という存在が生息しており、彼は女神エルマとは別の存在である「女神」を信仰しています。場合によっては熱心なエルマ教徒との対話でそれぞれの女神に対する価値観の相違が浮き彫りになり、口論になる可能性が出てきます。エルマ外教は同胞に危険が及ばない限り現地のしきたりに従うことこそを良とします。無益な争いは止めましょう。
現地紹介
ジーヴスエトはユニバース412に存在する歪曲型空間遮絶領域です。写真1枚でユニバースの全体がすっぽりと収まるほどに小さく、また知的生命体も湖の「ヌシ」を除いて他にいません。エルマの信徒が最初にここを訪れた際には、荒廃した都市、汚染された空気、他の次元ユニバースにすら影響の余波が及びそうな強大な兵器が放棄させられた次元であったとの記録が残っています。それがなぜここまでの再生を成したのか。「ヌシ」の言葉をどこまで信じればいいのか本国の教徒も図りかねています。
池の中の「ヌシ」はユニバース058、正式名称「地球」で確認されている言語発生を用いてのコミュニケーションが可能です。エルマの教徒がこの地に来るようになってからは様々な言語、念話、コミュニケーション法を勉強していますが、最も使い慣れているのは前述の言語であると思われています。全長が50mを超える大きな姿であり、来客が来ると池から顔だけを出して話をしようと接触してきます。おそらく話し相手に飢えているためか、様々なユニバースからくる教徒たちが珍しいのか、こちらに対して積極的、かつ友好的に近づいてきます。非常におしゃべりな性格ではありますが、話したくない話題もあるようです。
ランドマーク
やはり目を引くのはユニバース中央にある小さな池でしょう。この池は水面の直径こそ小さいものの、深さは「ヌシ」の全長がすっぽり収まる程度の深さを有します。また、それほどの深さでありながら、その水はどこまでも澄み切っているかのように感じられます。その水質はエルマの歴史の中でも未だ見つかっていない、そして解明されていない化学物質で構成されています。そしてそれは植物も同様であり、そもそも我々の既存の定義に基づいて「植物」と呼べるのかすら怪しいものです。このように全てが珍しい物質で構成されている当ユニバースからそれらを持ち帰ろうとする場合、「ヌシ」は激しく激怒して抗議します。ここにある水も大地も植物も私のものだから盗むな、と。
そして上の画像を見て不思議に思った方もいらっしゃるかもしれません。このユニバースには真上から光を放つ「見えない光源」が存在するのです。恒星でも電気でもその他の人工物でもない、確かにそこにある光があります。
また、池は元々人工の地下施設だったようであり、水中の壁には七分割された痕跡が見られます。
体験談・逸話
ユニバース412 「ヌシ」
この輝かしい蒼の箱庭の勃興は、一言で語れるものではない。我々が個でなく群として生きていた時、我々はこの星を「地球」と呼んでいた。我々は自らが地に足を付けているこのゆりかごに放られた玩具を、好きに使っていいものだと勘違いをしていた。石油、酸素、水、大地、風、食物、夜…限りある資源という玩具を好き勝手使い、好き勝手に文明を発展させてきた。
(ここで「ヌシ」は少しの間下を向いて、少しの間沈黙する。)
だが違うのだ。違うのだよ。地球上で人が溢れに溢れて、宇宙さえも居住区として利用し始めた時、我々は「地球の持ち主」にあったのだ。「宇宙からの侵略者」だと最初は言われていた。我々人間が培ってきた科学、解析、そんなもの役に立たない。ただ状況と、その時我々が持っていた想像力の限界から「宇宙人」だと、我々人の大部分が感じただけだ。
(下を向いたまま体を震わせて、その発話はより早くなる。)
凄まじいものだった。我々は無力だと思い知らされた。彼らは地球を使いつぶす事で霊長の頂点に立つのではなく、地球の法則を書き換えることで霊長の頂点である我々を淘汰した。緑は根がなくとも育ち、火は水と溶けあい、重力は右から左に廻る。日は落ちず、ヒト以外の動物は目を開けることで呼吸できる。文字通りだ。女神は「地球のルールを変える」という権能を持っていた。
我々も対抗した。一応「戦い」にはなった…のか、わからない。だがまるで手ごたえがなかった。女神自身が地球にいることから女神も地球の一部と認識する離れ業を繰り出し、結果様々な姿に形を変えて分裂した。それらは複数個体にしてひとつの存在であり、我々もそれらに取り込まれていった。奇妙だったのは、女神との戦いの中で花が咲き誇る日が何回も訪れたことだ。しかしそのたびに女神はルールを改変し、また何日かして主要な避難都市か、大隊が陥落するたびに花が咲き誇った。
…今でこそこのような「異常」に囲まれて分かったが、あの花たちは地球が滅亡する直前に発生する異常現象だったそうだ。女神は「異常」のルールすら自分の意のままに改変する事ができ、滅亡の運命すら書き換えられる。…ああ、そうだな。今納得した。訂正しよう。あれは戦いにすらなっていなかった。女神は子をあやすような態度で我々と戯れ、我々は滅ぼそうとした相手によって生かされていた。何故生かされていたか。地球を汚し、女神にあだなす我々ヒトが。
戦いは地球の寿命をいたずらに縮め、いよいよ住めなくなる環境になった。これではどの道滅びるだけだ、地球上の誰もが絶望したときに女神は、遂に「人そのもの」を変える作業に取り掛かった。我々ヒトは新たな生命を生み出す材料として残されていた。複数の人間が混ざり、溶けあい、新たな生命として息づいた。その生命はさらに混ざり合い、より生命力に溢れた「女神の子供」になっていった。そこからだな。あれが害を齎す侵略者ではなく我々を救済する女神として崇める人が増え始めたのは。
そうしてできたのがこの小さな箱庭だ。この水も大地も植物も、元は100万人単位の人間を材料にして作られたものだ。私も例外ではない。唯一この池の内部に、底に続くようにして掘られていった地下七階の階層だけは女神の権能から逃れられた。だがあれは元々形を持たない不定形な「概念」のようなもの。存在すらしているか疑わしい。
人間の文化だからあなた達は知らない名前かもしれないが、クトゥルフ神話が恐ろしいのは「元々信じていた唯一の神という存在が塗り替えられる」からだ。間近で神の御業を見せつけられ、あまつさえ体験させられたら、そっちのほうが神であると認識させられるのも無理はないだろう。だから私は、君たちの信じている女神を否定こそしないが、私はまた別の女神を信じている。
(ゆっくりと顔を上げる。その表情は複雑で読み取れない。)
彼女の名は女神「ティアマト」。全ての存在をゆりかごへと戻し、自らの胎内に戻し、卵に戻す事を命題とする「回帰カイキ」の権能保持生命体である。
そしてここはティアマトの造った蒼の箱庭。彼女が新たに提示する生命のプラン設計図。私の憩いの場だ。