U設定: #58|地域設定: 地球|言語設定:日本語
はじめに
これをご覧の皆様、はじめまして。
突然ですが皆様は"異世界"の存在をご存知でしょうか?
開幕早々こんな疑問を投げかけられ、あなたはさぞ困惑していることでしょう。
地球に住まう殆どの人々にとって、"異世界"とはフィクションやオカルト、SFの中だけのものでしょう。
ですが実際は"異世界"というのは現実に存在しています。
"異世界"にはいつも、我々の固定観念を根本から破壊するような驚くべき光景が広がっています。
本書では"異世界"に精通する我々エルマが激選した10の"異世界"をお見せします。
美しくも危険で、歪ながらも緻密な"異世界"の姿に、きっとあなたも惚れ込むでしょう。
本書は、異世界の美しさを知らない地球のあなたへと向けた写真集です。
No.01 タイトル「巨人の海岸」
ユニバース692 "地球" 現地暦2374(西暦2005)
ヌェンディフシ同志撮影
海岸に立つ巨大な人影。彼はまだ生きており、まるで何かを待つように立ち尽くしている。彼ははるか昔から存在しており、陸上で発展を遂げる微細な生き物を凝視したまま砂浜から動かない。
No.02 タイトル「腫瘍」
ユニバース1446 "未定義文明" 現地暦なし(西暦2014)
ラッリァ・レルルリッルォラ同志撮影
水面から顔を出す肉の塊。このような奇怪な"腫瘍"はこの惑星の至る所に存在する。
我々エルマが到達した時、既にこの惑星の文明は滅び去っていた。今この星にあるのは無残な残骸と化した文明の痕跡と巨大で不気味な"腫瘍"だけである。
No.03 タイトル「超高高度発光生物群の求愛」
ユニバース1171 "ザウメーロ森林地帯" 現地暦144(西暦2002)
廣谷ミキオ同志撮影
金属を捩じ切るような高音と共に地上に降り注ぐ青い光。激しく発光するこのオーロラのようなものは、超高高度発光生物群のオス達が求愛の為にする"アピール"だ。体長1cmにも満たない彼らは超高高度で群れ、こうした巨大な「渦」を作るのだ。
No.04 タイトル「世界の果てと世界樹」
ユニバース339 "第94番都市" 現地暦1773(西暦2002)
ヌェンディフシ同志撮影
惑星は球体だが、世界が球形とは限らない。これはちょうどそれを体現している写真と言える。
奥に見える都市と手前の木。このふたつは確実に地続きで繋がっている。だが、このふたつはそれぞれ別の世界だ。たまたま繋がった2つの世界を捉えたこの写真は、我々の知覚している世界の不確かさを象徴している。
No.05 タイトル「溢れ出す黒」
ユニバース660 "文明名無し" 現地暦0(西暦2002)
シッダラタ同志撮影
未開の地では理解の及ばぬものがしばしば見つかる。
この流れ出る暗黒の何かは、液体でもなければ気体でもない。調査をしようにも、触れることすらままならない。完全に"黒い"存在。
こうした存在は極めて不気味だが、それと同時に美しさを備えている。歪な美的観念、フェチズム…そういったものに似ているのかもしれない。
No.06 タイトル「死骸」
ユニバース9224 "ムベべ星" 現地暦6122(西暦2016)
イタム同志撮影
赤く染まった都市に立つ2体の機動兵器の死骸。
ムベべ星のかつての支配種が繰り広げた戦闘は、惑星のありとあらゆるものを汚染し尽くした。
赤い都市は、化学兵器の汚染によって染まったものである。
No.07 タイトル「溢れ出す黒 part2」
ユニバース3941 "ヴェイルヘイルラ" 現地暦922(西暦2006)
シッダラタ同志撮影
黒いインクを垂らしているような見た目の暗黒球。
この球はなんなのか?それは未だにわかっていない。恐らく、今後もわかることは無いだろう。
No.08 タイトル「異星よりの針」
ユニバース131 "マランタ・ヤール山" 現地暦1205(西暦2008)
ラッリァ・レルルリッルォラ同志撮影
山から空へと伸びる赤い一筋の線。なんと、この線はこの惑星を文字通り"串刺し"にしており、全長は90,000km(推定)もある。
何故折れないのか?そもそも何で出来ているのか?疑問は尽きない。
この赤い構造物について、この地域に住む民族の間で語り継がれている奇妙な伝説がある。
「赤き針、大いなる異星の民が突き通したる物。」
No.09 タイトル「叡智の都市"エルメス"」

ユニバース001 "アトラル" 現地暦××× (西暦2007頃?)
撮影者不明
黒い外壁に暖色の灯が特徴的な先進都市。それが"エルメス"である。
治安もよく、人気もある。観光、居住、研究…ここでは全ての理想が実現可能である。エルマ信者の理想郷とはここである。
美しく、高潔で、栄華を極める。それが"エルメス"である。
No.10 タイトル「尋常ならざる御尻 "ヴァルザスクの奇跡"」
所属ユニバース不明 "不明" 撮影時期不明
撮影者不明
言うに及ばず。
聖なるケツである。
あとがき
さて、"異世界"を楽しんで頂けたでしょうか?
恐らく、多くの皆さんは「なんだこれ?」と思っているでしょう。訳の分からない画像に、訳の分からないキャプション。そうなって当然だと思います。
ですが、恐らく何人か-変わり者な何人かはこれを見て"異世界"の色彩と光景に圧巻されたはずです。
そしてその中でも特に変わり者な数人は、"異世界"への憧憬を抱いているのかもしれません。
そんなあなたを、我々は待っています。
我々エルマは"異世界"に跳躍し女神エルマを崇拝する者。志を同じくする友人達を喜んで迎え入れます。
勿論、我々はカルトではありません。だからこれを読むあなたに入信を迫るようなマネはしません。入信したからといって怪しい儀式に参加させたりもしませんし、財産を捨てさせたり多額の献金を強制したりもしません。
あなたが我々の活動を一笑に付して本書を投げ捨てたとしても仕方はないでしょう。
ただこれだけは、どうか、心の片隅にでも置いてください。
"異世界"は、あなたのすぐ近くで口を開けているのです。
もし何かの事件、事故、災害等に巻き込まれてあなたが異世界へとやってきたのならば、我々は両手を広げてあなたを歓迎します。
あなたに安寧と女神エルマの祝福があらんことを。
-同胞 イタム
製作 ユニバース58 地球エルマ広報部