パラドックス文書001

パラドックス文書001

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blank.png

以下の文書は、財団指定の異常な脅威による生成物であり、現在パラドックス文書001として記録・改訂されています。本文書は、ここではない時系列の不適切な反復により作成されたか、検出されない因果関係に基づいたものであると判定されます。一方で、以下の文書は特定人物により認知されることを目的として作成されており、その因果関係は破綻すべきものではありません。時間局の権限により、当人の進入時間に対して文書001がリダイレクト先に設定されました。

パラドックス文書001の転写物が以下に目録化されます。

   ビル・ムーア、エリア-58 管理官

目録作成開始
時間局の証言に基づく

補遺001.I: 違反者への対応
特異点研究所 対話ログ抜粋

参加者:

  • アシュレイ・ブラウン管理官、エリア-58外事課 監督、
  • ジミー・ウォン博士、特異点研究所 研究関係者。

前文: 2027/08/01、当日のSCP-001-JP試験記録に関するインシデント後デブリーフィングの抜粋。

«転写開始»

<ウォン博士は、エリア-58試験チャンバーに隣接された除染施設に待機している。アシュレイ・ブラウン管理官が施設に進入し、取り調べのためウォン博士の前に座る。>

アシュレイ・ブラウン管理官: 目が覚めたかしら、ウォン博士。

ウォン博士: …ここは何処だ。

アシュレイ・ブラウン管理官: エリア-58の除染施設よ。特異点研究所 (Singularity Research Institute) の管轄のね。SRIが事故を確認してから、あなたを含む職員が大勢負傷しているのを発見したわ。

Area58Logo_Black.png

ウォン博士: 私を処分する理由付けのためにか?

アシュレイ・ブラウン管理官: 対話記録セッションが既に開始されてる。

ウォン博士: ああクソ。よせ、インタビューは嫌いだ。

アシュレイ・ブラウン管理官: 拒否権があると思ってらっしゃる?結構、でも質問には答えてもらう。27年の8月1日、エリア-58の試験チャンバーで事故が発生し、試験チャンバー内のエネルギー資源が過剰に消費された。構造の85%が崩壊して、一部の職員を除いて、大量の死傷者が発生したわ。

<アシュレイ・ブラウン管理官は、調査のため複数の書類を取り出し、ウォン博士に対して提示する。>

ウォン博士: 当日、何か特殊なイベントがあったとは記憶していない。

アシュレイ・ブラウン管理官: あなたの滞在してたセクションが原因なのは分かってる。現象の原因を調査しているのだけど、身に覚えは無いかしら?

ウォン博士: 喫緊のK級不詳シナリオが存在したのは知ってるだろう?私たちがシナリオへの打開策を提言するよう要求されていたのも。だからSCP-001-JPの複製物と被験者を用いて、実験を行った。

アシュレイ・ブラウン管理官: 通常業務の範囲だと思わないことね。あなたは感覚が麻痺してる。使用してるアイテムの異常特性はともかく、シナリオへの解決策のためにアノマリーを利用したの?

ウォン博士: SCP-001-JPの理論的背景は完全に実証されたものだ。私たちには解明されたアイテムを利用する権限がある。関連するプロトコルは安全性を確認された上で使用された。

アシュレイ・ブラウン管理官: 具体的に教えて。当日、何を使用したの?

ウォン博士: 国際本部に登録されていないアイテムだ。先程の通り、完全には認められていない支部管理のアイテム、SCP-001-JPを使用した。その性質については…言わずとも知っているだろう。特定の事象に対して無期限の思考時間を得るために必要な措置を講じる。

アシュレイ・ブラウン管理官: アイテムを複製したのね。

ウォン博士: 理論的に可能だった。現在、使用したものを含めて282の複製が所有されている。他のセクションでも同様に利用されてるはずだ。もし君がインシデントに対処するなら、残りの281の実例も同様に対処しなければならないかもしれない。

アシュレイ・ブラウン管理官: 後で記録を調べておく。それで何なの?SCP-001-JPとは何?

ウォン博士: 主観的に無限の思考時間を与えるものだ。昔から利用され続けているプロトコルの一環として、現在もなお、対終末論の作戦として実行され続けている。ヴェルダンディ・プロトコル、聞いたことはあるだろう?

«転写中断»
後文: 関連するファイルのアーカイブが展開されます。

補遺転写中断

ITEM#: 001-JP
5/Prov.
ACCESS PENDING
オブジェクトクラス:
keter
{$secondary-text}
{$secondary-class}
サブクラス:
p
管理組織:
sc
アイテム番号: {$item-number}
レベル5
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}

注: 本ドキュメントは保留中のものであり、転写物の古いバージョンにおける識別子を変更していません。”SCP-001-JP”は、ドキュメント全体における”SCP-001”の更新前の内容を説明するものです。SCP-001-JPは、現時点ではもはや運用されていません。SCP-001-JPは、Keterクラスに定義される予測不能な異常現象の性質のために、調査目的で保留されています。アイテムの収容プロトコルは、追って変更があるまで未定義を保たれます。

SCP-001エントリは、全支部間での共有により定期走査され、転写および複製の過程における異常が確認された場合に、調査ののち支部ごとの置き換えが実行されます。今回の事例では、エリア-58 (国際本部) におけるインシデント後デブリーフィングが発生したため、SCP-001-JPエントリの調査が開始されました。

Delta.jpg

ATF-Δ.

特別収容プロトコル: 観察上の懸念から、SCP-001-JPを非監視下で運用するあらゆる手順は即座に廃止され、管理のため調査されなければなりません。SCP-001-JPの各複製物は、それぞれの国際支部間で提供される定期走査の報告書類により状態を確認され、常時機能する特定の拡張保管庫により不活状態で収容される必要があります。各複製物の利用に関する手続きは、所定の保安管理局を経由して行われます。

複製物の利用を目的とした通例のプロトコル (”ヴェルダンディ”) には、無期限の収容作戦実行を前提とする1名の職員が消費されます。該当者には、Aクラスに限定される財団への忠誠心、およびミルグラム式服従度検査に基づく適合性が必要です。各々の職員は、SCP-001-JPの運用により発生するTKクラス-世界静止シナリオへの懸念される反応のため、逆説的な死亡・自殺などの鎮静処置を必須の条件として指示されます。

これらの対応する職員から編成されるATF-Δ (”ロードバランサ”) は、プロトコルが終了するまでの期間を指定された施設内で待機し、それぞれに指示された不特定災害シナリオに善処しなければなりません。このシナリオへの対処が不可能であると判断する場合は、当人により自主的に鎮静処置が取られ、然るのち正常な時間関係に復帰しなければなりません。

以下のファイルは複製された第二次改訂版です。更に古いバージョンを閲覧するにはこちらを参照してください。

medium.jpg

SCP-001-JP

説明: SCP-001-JPは、█████のアナログ式壁掛け時計と概念的関係性を持つ物理オブジェクトを示します。このオブジェクトの概念および素粒子レベルでの解体試行は理論的可能性を示しますが、オブジェクトの多数の有用性のため望まれません。オブジェクトの外見的性質は、それ自体の秒針部分が最接近者の心拍数と同期するという、構造上の異常を示すに留まります。この異常現象は、オブジェクト自体の破損、形骸化、または機能的不全の傾向を無視して実行され得ます。

SCP-001-JPと心拍が連動していたヒト(以降“SCP-001-JP-A”)に心停止が発生した場合、SCP-001-JP-Aの心機能の回復とともに、SCP-001-JPを設置した室内を除く基底現実上の存在及び非存在が全て静止します。例外として、SCP-001-JP-Aを除くヒトは壁面内部に存在していても静止します。

[…] SCP-001-JPによる基底現実の静止は、動体の心拍の恒久的停止により終了します。

   SCP-001-JP転写物からの引用

オブジェクトへの以前の理解に反し、上記の主張は現在では誤りである事が確認されています。SCP-001-JPは、最接近者の心機能もしくはその不全に関係せず、何らかの要因により致命的損傷を受けた知性.実証実験結果は、SCP-001-JPのふるまいが各生物種に与える影響に関係なく、現時点でヒトのみが影響を主張できる唯一の生物種であることを示します。すべてに対して発生する、主観的な時間経過関係の異常としての本質的な機能を持ちます。ここでは、その異常現象を経験可能である個体を”動体”と呼称します。

SCP-001-JPは、特定の動体がある要因により死亡するまでの経過時間・体験を、事実上無限に拡張・遅延する主観的な現象を指します。この現象は動体の体験を再帰的に延長し続けるため、ある時点で主観的体験が有限の時間を上回り、動体が主観的に死亡しないという一連の異常現象を誘発することが確認されています。この現象は、動体の本人にとって終了することのない時間を体験させるため、本質的なTKクラス-世界静止シナリオとして機能します。この現象の詳細は、所定の反復にて標示されています。

起源: SCP-001-JPは、2019/03/31における当該オブジェクトの軽微な収容違反による職員の喪失に基づいて発見され、調査の結果としてサルベージされた文書から、本質的な異常性が解明されました。本報告書においては、関連する初期の関連理論を平林理論として扱います。この平林理論は、後の超常技術長であるジミー・ウォン博士によって再構築され、新たな観点から現在の異常性を解明することに成功しました。

2022年までに、現在のSCP-001-JPを応用した対脅威シナリオ作戦手順である「プロトコル・ヴェルダンディ」が制定され、オブジェクトは運用のため保管されるようになりました。

注: 現在の正確な情報によると、「プロトコル・ヴェルダンディ」に該当する手順は削除されたか、凍結されています。本記述に関係する重要な資料が補遺001.Iとして展開されています。

補遺001.I: 違反者への対応 (後半)
«転写再開»

アシュレイ・ブラウン管理官: あの説明の節々を理解できるように努力したつもりだけど、果てしなく遠大で理解に苦しむレベルだったことは述べておきましょう。

ウォン博士: いや、理論は完全だ。

<ブラウン管理官が無言で立ち上がり、プロジェクター前面まで移動する。彼女は少々不服そうな態度でプロジェクターを操作し、開口する。>

medium2.png

アシュレイ・ブラウン管理官: では — 説明してくれるかしら?私たちが協議すべきアイテムは、これまで財団日本支部、第81管区にて収容されていたSCP-001-JPよ。

ウォン博士: SCP-001-JPは、死亡直前の人間の主観時間を延長することにより、ある時点で思考時間が時間制約を上回るという特異性を持つと考えられている。これは完全なオメガポイント理論の仮説に当てはまるプロセスを実現する存在として知られている。人間の思考が無限に加速すると、思考能力は時間制約を超越するだろう。これまでの「プロトコル」で頻繁に用いられていた。

アシュレイ・ブラウン管理官: 死ぬまでの感覚をより緩やかに引き延ばして、無理やり思考時間を作るのね。しかし違反を発生させたでしょ?私はプロトコルの脆弱性について議論するために来たの。ヴェルダンディの脆弱性とは何?

ウォン博士: 論理的整合性に関するものだ。もっと噛み砕いて説明するとだな……

<プロジェクターが更に操作される。>

ウォン博士: ヴェルダンディは、当事者が何らかの要因で本当に死ぬまでの決断の間、長い思考時間と幻覚体験を経験させる。プロトコル中の当事者は実際に物理的性質に触れることが可能だが、それらは今のところ、思考時間の中で演算される幻覚に過ぎないものであると判明している。

アシュレイ・ブラウン管理官: 収容室の設備は、彼らの幻覚体験の中で機能可能であるため存在するの?これは合理性の問題なの?

ウォン博士: 彼らは何も動作させられないし、プロトコル中の打開策を分析し報告するシステムによって助長されない限り、死は基本的に無価値だ。ここが、従来の平林理論における重大な差異だろう。彼らの無限の思考時間は、新たなプロトコルを考案するために存在する。そのための試験空間だ。

アシュレイ・ブラウン管理官: 機械にシミュレーションさせれば良いでしょうに。

ウォン博士: 資産を溶かしてやるべき事か?SCP-001-JPの安価な複製よりも?

アシュレイ・ブラウン管理官: ともかく、脆弱性とは何?

ウォン博士: 従来の理論と同じく、プロトコルを不死者に適用することはできないという点に類似する。不死者には死の概念が存在せず、思考時間は無限に過ぎ去るため、これの終端が存在しないことになるだろう。一般的には、これはTK級の因果違反を発生させる。だが、本質的な問題ではない。

より複雑な特定の時間論において、ヴェルダンディ・プロトコルは全般的に矛盾を — パラドックスを持つ手順だという可能性が高い。仮に、プロトコル中に自決を躊躇った被験者が存在すると考えてくれ。この場合は、前述のTK級因果違反と同様、思考時間の終端である死のポイントが定義されないのと同義ではないか?

アシュレイ・ブラウン管理官: 死を躊躇えばそうなるでしょう。ただ、どのような場合でもプロトコルに違反してはならず —

ウォン博士: これはプロトコルに限定した話ではないぞ、管理官。タイムパラドックスだ。より視野を広げてみろ — 例えば、ある時間順序においてプロトコルを発生させた被験者が、思考時間中に死ぬことができず、その後も永遠に生存し続けるシナリオが発生したとしよう。

こうなった場合は、被験者の主観が際限なく緩徐化するため、我々の主観時間は1秒たりとも進行しない。あるいは、ブラックホールの地平線問題と同様に、我々の時間は進むが被験者の時間は止まりつつけるだろう。どちらにせよ、時間順序関係の圧倒的なパラドックスが発生することになる。この際における被験者の思考能力は、被験者自身の脳の電気信号に支えられている。

アシュレイ・ブラウン管理官: マクスウェルの悪魔

ウォン博士: 察しが付いたか。ヴェルダンディの重要な懸念点というのは、人間の思考そのものがSCP-001-JPによって助長されているわけでは無いという点だ。あくまでも、時計は主観時間を引き延ばす法則としての機能。その後のエントロピープロセスは補填されない。

アシュレイ・ブラウン管理官: 脳処理だけでなく、思考に必要なエネルギーの流れは通常通り発生する。そして、主観意識が異常に延伸されている分、発生するエネルギー消費量は無限大に増幅する。

ウォン博士: 本源的なエネルギーポテンシャルの考え方に基づけば、このエネルギー消費が時間内に発生しない訳がない。無限大の主観時間の中で発生した思考のためのエネルギーは、復帰するさい逆説的に消費される。要するに無限の消費電力量が発生する。

ヴェルダンディ・プロトコル状況下で発生するエネルギー遷移。

アシュレイ・ブラウン管理官: SCP-001-JPの収容違反の原因は、そこにあるの?

ウォン博士: そうだ。時間関係のパラドックスにより、SCP-001-JPと被験者の間に異常な化学ポテンシャルが発生する。より低いポテンシャルに対して物質が移動し…加速度的に平衡状態に移ることで、この消費現象が発生する。私たちはより原理的に、これを「ボイドアウト (Voidout) 」と呼称する。

アシュレイ・ブラウン管理官: これから先はどう対応すれば良い?

ウォン博士: すぐには無理だ。SCP-001-JPには多くの複製が存在する。現在まで休眠状態を維持している実例も存在するし、それらを根本的に解決しようとしても無駄かもしれない。

<アシュレイ・ブラウン管理官は机を拳で叩き、激怒の表情を露にする。>

アシュレイ・ブラウン管理官: 教えて、お願い。なぜ問題に取り組もうとしないの?あなたは…人を傷付ける事に何も感じないの?

ウォン博士: 誰が犠牲になったのか知らなければ、悔やむこともあるまい。

アシュレイ・ブラウン管理官: あなたが原因で大勢の命が失われた。

ウォン博士: 悲しいが…仕方ない事だ。多くの実験にはこれまで通り犠牲が伴う。数多の、そして多くの代替が存在するというのに、その犠牲のほんの一部をどうして悲しむ必要がある?

アシュレイ・ブラウン管理官: あそこで働いていたのは使い捨てのディークラスだけじゃないわ。あなたの同僚がいた。

ウォン博士: …チャドか?彼は無事か?

<アシュレイ・ブラウン管理官は明確に沈黙する。>

ウォン博士: そうか。…誰かが、この問題に責任を取らなければならんな?

<アシュレイ・ブラウン管理官が書類を取り出し、ペンをウォン博士に向けて差し出す。>

アシュレイ・ブラウン管理官: あなた、監督評議会が見逃してくれたことに感謝すべきよ。プロジェクトの候補者が列挙されたリストは既に手配されてる。あなたの残り時間は、あなた自身の理論によって確立された、無数の問題に対処するためだけに存在すると考えてもいい。

ウォン博士: 私に罪の意識を持たせようとしている。

アシュレイ・ブラウン管理官: 実際、そうでしょう。あなたは私の息子を殺した。

<沈黙。>

ウォン博士: 何かの冗談だと言ってくれ。

アシュレイ・ブラウン管理官: (声を荒げる) — 私が冗談を言ってるように見えるというの!?

ウォン博士: 信じ難い事実に震えているだけだ。…何をもって償うべきだと?

アシュレイ・ブラウン管理官: あなたには時間がある。仕事に取り掛かって、今すぐ。

«転写中断»

後文: 2027/08/01、エリア-58のSRI管理下試験チャンバーにおいてヴェルダンディ・プロトコルが実行され、当時のK級不詳シナリオに対する対処手段が模索されました。特筆すべきことに、該当のK級不詳シナリオに関する情報は空白であり、当事者を含む全員が、SCP-001-JPに属するプロトコルをどのような意図で使用したのか不明であると主張しています。

これに続く不詳の異常現象により、試験チャンバーを含む半径300m圏内の大規模な崩壊現象が発生しました。事故の影響により、当時ヴェルダンディ・プロトコルに従事していた監督役員であるチャドウィク・ブラウン研究主任が死亡し、この損失によりSRI施設の運用が一時的に不可能となりました。その損害に対する補填と責任のため、当時の研究責任者であるジミー・ウォン博士が拘留されました。

最終的な監督評議会の判断により、彼はSCP-001-JP関連収容違反に対する終身の収容対策監督として再雇用されています。この手続きは、施設の共同管理者であるアシュレイ・ブラウン管理官の要請により支持されました。

SRIChamberIncident.jpg

該当の超常現象の撮影。エリア-58試験チャンバー付近の監視装置により撮影された。

2027/08/15、以前まで「ヴェルダンディ・プロトコル」として認知されていた収容手順に対する懸念が発表された事に続き、本対応プロトコルが凍結されました。現時点までに実行された各事例の被験者により、発見された異常現象 (EE-1000) が引き起こされる可能性があり、この抑制を目的としたプロジェクト (001/プライム) が結成されました。この監督役員として、ジミー・ウォン博士が任命されています。

プロジェクトは国際本部に移管され、依存関係を持つ固有兵器の定義がSCP-001に更新されました。以下の付録文書は、この新しい定義に基づき記述されます。

補遺終了

2027/11/01
長期通信ログの抜粋。

おはよう、アシュレイ。良い目覚めではない事について謝罪する。

特異点研究所での調査は済んだ。対応する部局特有の設計面に関しては、B・エンダースが在職中の時期に共同で完成させることに成功した。起用された提言の内容は現在も審査中だが、恐らく承認されるだろう。プロジェクト001/プライムは予定通りに調和される。

残る期間で要求されるのは、新たな対応部局の設立と構造の検討、そして人員の再配置だ。該当の部局に君を招待すべきだと思うんだが、どうだろうか?手短に説明しよう。

新たに設立される部局は、従来のヴェルダンディ・プロトコルを収容・鎮圧することを最終目標としている。SRI施設において発生したような、ポテンシャルの異常現象だ。位置エネルギーでもあり、そのようなエネルギー消費のパラドックスが、ああいった異常現象を引き起こしている…それは間違いない。同様に、それらの現象はエントロピープロセスとしても説明できる。

エントロピーに注目して欲しい。マクスウェル悪魔の話をした事を覚えているなら分かるだろうが、増大した思考時間・消費電力に基づくエントロピーの清算は、どのような状態であれ確実に発生する。だが、消費はパラドックス期間内の出来事で、清算は並行した時間関係での話だ。エネルギー消費はパラドックスの原点で発生し、それ以降のエントロピー関係を修正するように働いている。これは、因果と結果の逆転だ。

つまり、ある方法によって時間関係を遡って清算されている。この関係性から、我々は一定の手法によって時間関係を遡行する事が可能であると気付き、これを応用した概念モデルを実現した。時間を遡って対処することが可能なら、SCP-001-JPのイベントを事前に鎮圧可能であると。この部局は、その概念モデルの一部を借用し、疑似的に時間遡行を行うことにより収容を実現する。そのための局員に、君は志願するなら教えてほしい。

よりを戻そうと言ってるわけではないが…あの子の事を愛している事実は変わらない。やがて時が来たら、然るべき事をするつもりだ。償わせてくれ。

神聖時間局で待っている。また会おう。

   ウォン

ITEM#: SCP-001
LEVEL5
TOP-SECRET
オブジェクトクラス:
radix
{$secondary-text}
{$secondary-class}
サブクラス:
pa
管理部門:
s
アイテム番号: {$item-number}
レベル5
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}
配属施設 計画指導者
神聖時間局 (時間外前哨基地) アシュレイ・ブラウン管理官、ヘレン・ファーチ管理官
研究責任者 内部部局
ジミー・ウォン博士 時間異常対策課、歴史整合機関、時間変動機関、多元宇宙管理局、他多数
pocket-watches-436567.jpg

無期限の収容作戦が実行されている過程の、SCP-001-A複製物の安全な実例。

特別定義/Radix・Paradox: Radixクラスの指定物は、それ自体が財団の統制体系に組み込まれることにより安定化されなければなりません。(ユダヤ教に関係する・含まれるYesodクラスの置換: 詳細) また、Paradoxクラスの指定物は、関連する事象の結果および原因の因果関係を逆転させ、時間的に先立つ変化を加える可能性があります。(クラスの細分類に関係する、初期Antithesisクラスの置換に関する議論: 詳細)

特別収容プロトコル: SCP-001は、時間論上の不詳の災害であるEE-1000の発生と、発生を助長する複合的構造要素の解体のため逆説的に開発されなければなりません。開発には、現時点で主観的に.主観的 (形動): ここでの定義は、報告書作成時点での我々、つまりSCP財団、人類文明、または「私」「あなた」による自分自身の観点を意味する。あらゆる余剰位相空間の、「現在」として判別可能な状態、時間点。実在しない「神聖時間局.神聖時間局 (Sacred Time Station) に関する情報は未定義です。」による支援が必要不可欠であるため、恒常的かつ速やかな当該部局の設立が進められています。この設立は、協定時間2031年初旬までに完了すると試算されています。

SCP-001、および神聖時間局の設立目的で必要不可欠である各自の構成要素は、現在のエリア-58随所に適切に保管されなければなりません。SCP-001-Aとして後述されるサブコンポーネントは、神聖時間局を構成する各エージェントにより正確に破壊されなければならず、これにより再帰的にEE-1000が発生する可能性を抑止する必要があります。

順行時間への逆行には、神聖時間局により定められた特定の職員以外が介入することを禁止されます。そのような場合、該当者に関する情報は処分ののち申告され、過去時点で処刑するよう伝達される必要があります。過去時系列におけるSCP財団は、原則として神聖時間局による干渉を黙認しなければならず、これを目的とした宣言書が19世紀以前の時点に送付される予定です。

wall-2602962.jpg

無期限の収容作戦が実行されている過程の、SCP-001-A複製物の安全な実例。

本項目は2031年に更新されました。アーカイブを確認するには、財団記録・情報保安管理局への手続きに従い、ローカルディレクトリに対する所定の操作を行ってください。

説明: SCP-001は、無作為発生した時間パラドックスの影響を緩和・補償する全世界的な制御プロセスであり、その本来の自然緩和を代替する複合収容プロジェクトの成果物です。SCP-001は、自然界・超自然界、或いはより広義に定められる構造の、自然秩序によりもたらされる元来CKクラス-全世界再構築・破綻シナリオに代わり、そのようなシナリオによって発生する破壊的影響を抑制する効果的な機能を保有します。

OTF-A.jpg
アラバスター機械類の (機密保持された) 外見上特性。

SCP-001は、ウォン-ブラウン反粒子論理応用・基本安定化環境調整器 (口語的に”ALABASTER.”Wong-Brown Antiparticle Logic Application/Basic Stabilization Environment Regulator”の省略。”) として着想された特有の設計面を持つ固有産業機械であり、既知のエントロピー性パラドックス現象であるEE-1000の各事象を収容する目的のため設計・開発されました。アラバスター機械類は、エリア-58の時間外施設-A (OTF-A) 内部セクションに建造されており、その目的のため外部への移送を必要としません。

アラバスター機械類の建造は、2027/08/01の提言に関係する既知のイベントに約束されており、創設者のジミー・ウォン博士、およびアシュレイ・ブラウン管理官の共同開発により2031年までに実体化されなければなりません。SCP-001に含まれる全般の機械類は、以上のような関係する逆説的因果関係によって保たれており、それにより各々が実体化可能です。

主観的.時空が4次元多様体である場合の、メタ物理学的な観測者の一方向に関係する観測結果を示す。には、SCP-001の如何なる準異常特性も観測不可能であると考えられます。アラバスター機械類の主要な収容手順は、EE-1000を「現在の」時間関係から鎮静化するのでなく、素粒子論的観点から実体化可能な反粒子を用いて遡及的に実行されるため、現代の観点から経験することが実質的に不可能です。(言及における反粒子は、量子力学的観点の反転から連想され得るCPT不変性の、対応する同等な鏡像宇宙から抽出可能なものを指します。)


アラバスター機械類は、影響下に存在すべきアイテムの条件を以下の指定物とすることで、物理過程の逆因果律に従った反作用を伴わせます。本プロセスは最終的に、影響物に対してのみ時間発展を逆説的に順行させる (時間反転させる) ことを可能とします。この目的のため、以下の指定物が候補されています。

medium.jpg

SCP-001-A (初期の実例) 。

  • SCP-001-A: 特定の生命存在が死亡するまでの主観時間を、事実上無限に拡張することの可能な (異常な) アイテムの複製物。現在までに存在する複製物群のうち、被験者と同期し機能中である実例が280存在する。本アイテムは、現時点で発表された懸念により、化学ポテンシャル依存のエントロピー性パラドックスを発生させる可能性がある (EE-1000)。
  • SCP-001-B: 「神聖時間局」として説明される、SCP-001の管理責任と運営を監督する財団内部セクション、および存在する収容施設、確保研究設備、方法論的試験空間により構成される全体の指定。SCP-001-Bは、過去の特定科学水準において言及される予測不可能な物語型異常存在である、SCP-3309との構造的類似性を示す一般的高次元である。SCP-001-Bは、相対的過去である特定日付に約束された因果関係であるSCP-3797の機械設計と応用により、かつて存在した時間秩序関係の理論上限界を超える力能に (最終的に) 到達している。

起源: 2027/08/01の内部審議で、古い記録であるSCP-001-JPの元来プロトコルが凍結され、関連する異常現象を補償するための新たな産業機械として、SCP-001および内部コンポーネントの開発・開拓が進められました。2031年に神聖時間局が設立されると、関係する収容作戦が過去遡及的に適用され始めました。これに伴い、古い起源を持つ時間関係の内部部門が全般的に解体されました。

統合された神聖時間局の内部職員のうち、逆説的に保証された (就任を予定された) 特定の職員が重要な職位に着任しました。現在、神聖時間局の管理・監督役員にヘレン・ファーチが就任しており、この職員により手続きが承認されています。

   ヘレン・ファーチ管理官、神聖時間局 管理官

2031/02/03
ジミー・ウォン博士の、神聖時間局オフィスから発見された個人ファイル。特筆すべきことに、以降のタイムスタンプは逆順に記録されている。

神聖時間局S.T.S.になぜ所属しなければならない?自分が管理職に辿り着くことのできない部門をなぜ創設する必要があると言うんだ?

SacredTimeStation.svg

「神聖時間局の規定により、予定された時系列データに違反する如何なる行為・行動・歴史的イベントも許容されない。」マニュアルに書かれた条文の1つだ。でもこれは私が書いた。私が書いた事になっている。奴らの発言に基づけば、私は2031年の正典でSTSを創設し、以降は時間パラドックスの鎮圧に従事することになっているらしい。そして、私がSTSの法を定めて、予定される「エンドポイント」の如何なる調和の乱れも発生しないように、時間異常を取り締まるようになるそうだ。

ふざけてる。全くもってバカげている。

正典とは何だ?What is Canon?奴らの言葉を借りれば、それは約束された未来にかけての因果関係らしい。「未来」や「過去」という、私たちが等しく認識する時間という概念は、エントロピーが増大するような変化を意識的に把握することで発生する、情報処理・ストリームの主観的な感じ方に過ぎないそうだ。だから、時間概念はエントロピー増大の方向であり、我々は宇宙が既にシミュレーションを終えた結果をなぞり歩いているに過ぎないのだと。

この観点から、我々は時間を逆行することも論理的には不可能ではないようだ。我々を構成する量子力学を反転すると、ちょうど対応する反粒子に入れ替わる。ファインマン=シュテュッケルベルグ解釈のように、反粒子は時間遡行するという過去の仮説も存在する。時間を反転すると、情報論的な特異点が発生し、無から有が生まれる。反粒子論理応用・基本安定化環境調整器は、このプロセスのちょっとした違反を用いて、過去を遡る巨視的なストリームを形成することに成功した。

そのストリームの過程と、我々の現地時間における「因果違反」の根本的な違いなどあるのか?奴らは「予定された調和」だと言う。それは主観的に定められたものだ。私たちに決められるものではない。我らが上層部が知るべきでないものを知っているという事を知っている。

意識は、「主観が存在する」という意味で情報論的に特異だ。我々の意識は、この宇宙に存在する可逆的などんなものにも当て嵌まらない。意識は還元的ではない。したがって、主観は科学の特異点だ。我々の行動は宇宙の可逆的プロセスではないし、自発的な行動が予期しない結果をもたらす。それを修正するための組織がSTSなら、何が目的なんだ?

いつか出過ぎた真似を止めさせないといけないだろう。それでも、利害の一致というのは奇妙なものだ。私は息子を蘇生したいと思うし、異常現象の克服のために働くだろう。辛抱しなければ。

Child.jpg

チャド。幼い頃の写真しか撮らなかったことを後悔しているよ。…成長したお前の姿を見たくなかったんだ。お前が…恐ろしい存在だと考えるようになってからな。

補遺001.II: 情報の抜粋
神聖時間局 収容作戦カタログ-0000031・R8V9
antithesis-icon.svg

PARADOXICAL OPERATIONS
SACRED TIME STATION

逆行時間 2031-2028年
ジミー・ウォン博士、神聖時間局

注目すべきアイテムの抜粋
概要: SCP-001、および内部機械類の能動的ふるまいにより、時間遡行が実用的な水準で実行可能であることが証明された。以下の作戦ログ抜粋は、SCP-001の継続的な運用と、神聖時間局の介入によって実施された、EE-1000の未然の防止措置を描写したものである。
作戦ログ抜粋: 002
Atled.jpg

STF-∇.

実行番号: 002
所定時刻: 2030/10/09 01:30.25

詳細: 002番は、所定時刻1時半前後に発生するSCP-001-Aの (予定された) 収容違反です。財団サイト-19の応用形而上学セクションにて、接近中のAKクラスシナリオに対処すべく活性化された実例が、時間内にEE-1000を引き起こしました。この結果、応用形而上学セクションにより統括される第7セクターが全壊し、関係する15名の職員がこの事象により死亡します。

結果: 002番は、予定された神聖時間局のエージェント2名を殉職させる可能性のあるイベントであるため、剪定基準を満足したと判断されました。これにより、所定時刻以前の位置にSTF-∇ (”インスクリプション”) が派遣され、被験者およびSCP-001-Aの即時の回収が実施されました。この影響による変動はありません。

注: 002番の影響物は、適切な集積地点に移動されました。

情報の共有に感謝します、ウォン博士。私どもはこれを確保すればよいのでしょうか?

   アローラ・バーク、時間局関係者

マニュアルに従っていれば問題ない。時間局は特定の年代に起こったEE-1000を回収し、違反を未然に防いで無かった事にする。我々は時間を遡っていて、アラバスター機械類はそのような用途のための自律型兵器だという事も理解しているだろう?

我々は手順に従うだけでいい。

   ジミー・ウォン、時間局研究主任

STSはあなたの設計した部署であるはずです。マニュアルに従うというのは…少々不可解ですが。

私が設計したのはアラバスター機械類だけだ。神聖時間局の複雑な設計には関与していない。私は確かに創設者だが、そこに終身雇用されただけの言いなりなんだよ。設計もデータも全て、STSの上層部に吸われっぱなしだ。…仕事を続けてくれ。

作戦ログ抜粋: 178

実行番号: 178
所定時刻: 2028/12/15 06:11.09

詳細: 178番は、所定時刻前後に発生するSCP-001-Aの (予定された) 収容違反です。戦術神学オフィス前哨基地-198/Aにおける、予期された”死の温室”シナリオへの対処のため活性化され、最終的なEE-1000の発生を招きました。これにより、前哨基地-198/Aが崩壊、多数の死傷者が発生し、財団の神性特別資産25件が喪失されました。

結果: 178番は、予定された神聖時間局の構築を遅延させる可能性のあるイベントであるため、剪定基準を満足したと判断されました。これにより、所定時刻以前の位置にSTF-∇が派遣され、被験者およびSCP-001-Aの即時の回収が実施されました。この影響による変動はありません。

注: 178番の影響物は、適切な集積地点に移動されました。

この時代に大規模なイベントは発生していなかったと思いますが。

歴史の感覚が曖昧なのは理解している。

そういう事ではありません。なぜSTSの予期しない問題が発生するのですか?我々が経験した過去そのものだというのに?経験が変われば…今も変わる。我々が違う経験を持っている時点で矛盾していませんか?

収容が果たされれば問題はないだろう。それ以前の問題に取り組む前に、我々はあまりにも不可知の領域に首を突っ込みすぎている。

演繹課が問題を報告してきた。複数の収容作戦で新たなEE-1000が目撃されているらしいが、何か知っているか?

バーク?

作戦ログ抜粋: 192

実行番号: 192
所定時刻: 2028/12/15 06:12.00

詳細: 192番は、所定時刻前後に発生するSCP-001-Aの (予定された) 収容違反です。エリア-58特異点研究所において、予期されたK級不詳シナリオへの対処のため活性化され、最終的なEE-1000の発生を招きました。これにより、特異点研究所の大部分が崩壊し、保管されたアーティファクトの漏斗と解放、職員の予期せぬ消費が発生しました。

結果: 192番は、予定された神聖時間局の構築を遅延させる可能性のあるイベントであるため、剪定基準を満足したと判断されました。これにより、所定時刻以前の位置にSTF-∇が派遣され、被験者およびSCP-001-Aの即時の回収が実施されました。この影響による変動はありません。

注: 192番の影響物は、適切な集積地点に移動されました。

前任者から引き継ぎました。問題について報告していただけませんか?

   スパイク・ブレナン、STS神学課 監督役員

…どういう意味だ?いや、君はどこ出身だ?

本来は前哨基地-198/Aのスタッフでした。あなたたちにスカウトされてからは、STSで勤務しています。

バークは?彼女はどうした?

すいません、誰って?データベースに一致する人間がいますが、彼女は数年前に死んでます。

…何が起こっている?

作戦ログ抜粋: 195

実行番号: 195
所定時刻: 2028/12/15 06:11.49

詳細: 195番は、所定時刻前後に発生するSCP-001-Aの (予定された) 収容違反です。戦術神学オフィス前哨基地-198/Aにおける、予期された”神の衰弱”イベントへの対処のため活性化され、最終的なEE-1000の発生を招きました。これにより、前哨基地-198/Aが崩壊、多数の死傷者が発生し、財団の神性特別資産25件が喪失されました。

結果: 195番は、予定された神聖時間局の構築を遅延させる可能性のあるイベントであるため、剪定基準を満足したと判断されました。これにより、所定時刻以前の位置にSTF-∇が派遣され、被験者およびSCP-001-Aの即時の回収が実施されました。この影響による変動はありません。

注: 195番の影響物は、適切な集積地点に移動されました。

情報の共有に感謝します、ウォン博士。私どもはこれを確保すればよいのでしょうか?

   アローラ・バーク

ああクソ、ふざけるなよ。業務内容を一通り伝えたじゃないか。

ええと、何を仰っているのか分かりません。前任者が何かしましたか?

…前任者の名前は?スパイクじゃないのか?

ヘイズ・Mの事で?前任者の名前がちょっと違いますが。

分かった、これ以上何も言うな。黙って座っていろ。

作戦ログ抜粋: 219

実行番号: 219
所定時刻: 2028/11/18 09:00.13

詳細: 219番は、所定時刻前後に発生するSCP-001-Aの (予定された) 収容違反です。28件の同時多発的なEE-1000収容違反が発生し、アメリカ合衆国国土の83%が直接的に消費されます。これによる被害の予想は不要です。

結果: 219番は、全世界的な破滅事象を引き起こす可能性のあるイベントであるため、剪定基準を満足したと判断されました。これにより、所定時刻以前の位置にSTF-∇が派遣され、被験者群およびSCP-001-A個体群の即時の回収が実施されました。

現状を記録しなければならない。残る問題を潰すためにな。

現在のSCP-001-A複製物は、被験者に無限の思考時間を与えることにより終焉シナリオを回避するための産業機械だ。現在までに複数のコピーが存在し、それぞれが全世界の各サイトに配布され、各々が観測している終焉シナリオに対処するため用いている。2031年以前まで利用されていたものだ。

EE-1000に対する収容作戦のうち、2031年から逆算した2028年までのイベントの、45%は鎮圧に成功している。それらの多くは、本来存在するSCP-001-Aの迅速な回収や除去、または解体によって秘密裏に実施されてきた。…更なる異常現象の誘発を除いて。

真実を述べよう。現在までの大多数のケースで、STSが予測しない例外的な違反の発生で無作為にイベントが分岐している。残りの割合では、あるイベントの鎮圧と同時に新たな事象が発生している可能性が高い。端的に言えば、正典と異なる分岐の発生により、我々の予見していない更なるEE-1000が発生したという事だ。

Multiverse.jpg

多世界解釈のイメージ。

多世界解釈に基づく現代の理解では、ある異常現象に関係する対象者が時間関係に矛盾しているとき、この対象者の過去または未来への行動結果は絶対的に予測することが出来ないとされる。そのような行動結果は、時間パラドックスの範囲外である限り「基本的には」確実に予想可能なものだ。

この解釈によると、対象者により引き起こされ得る行動結果は、各結果の可観測量により有限の範囲で分岐する。行動結果は、対象者が取り得る全ての可能性にかけて主観世界を複数に分岐すると考えられており、これにより、主観的に観測し得ない「分岐」の発生可能性が浮上するのだ。我々はこの「分岐」を辿っている可能性がある。その観点から述べると、実は未来が確定した事象ではないという事が断言できるだろう。

一方を収容すると、未発見のイベントが手遅れな事態になる。そちらを収容すると、また新たなイベントが起こる。

前任者から引き継ぎました。問題について報告していただけませんか?

   スパイク・ブレナン、STS 監督役員

…非常に考えたくないことだが、手遅れなのだろうか?

補遺終了

補遺001.III: 初期対話ログ
神聖時間局 会議ログ: S5C1

参加者:

  • アシュレイ・ブラウン管理官、神聖時間局外事課 司令、
  • ジミー・ウォン博士、神聖時間局 研究主任。

前文: 2028/07/19、当時の神聖時間局での個人間の対話が記録されています。SCP-001の、運用方針の主題を含み、特にEE-1000として知られる不詳の時間災害に対処するための、収容作戦手続きについて議論する目的があったと考えられます。

«転写開始»

<2名は、神聖時間局の時間外保護チャンバーに待機し、以下の議論に臨んでいる。>

アシュレイ・ブラウン管理官: 今更何の用で?あなたに話すことなんか無いわよ。

ウォン博士: 伝達を聞いてないのか?今すぐにでも収容作戦の手続きに変更を加えなければならない。

アシュレイ・ブラウン管理官: 手続きは誤りの無いものです。変更の必要は —

ウォン博士: アシュレイ、私が言うのも何だがSTSは狂気的だ。イベントに対処しようとしても無駄かもしれない。知らないかもしれないが、私は知ってる。

アシュレイ・ブラウン管理官: 5分あげます。何が起きたのか簡潔に教えて。

<沈黙。>

ウォン博士: アローラ・Bが消えた。代わりに別の職員が地位に就いた。

アシュレイ・ブラウン管理官: 消えたってのは?

ウォン博士: 文字通りだ、存在そのものが時間から抹消されてる。STSが知っていた「正典」には、もはや何の意味もない。イベントが分岐したんだ…並行世界やら何やら、量子力学可能性の方向へとな。

アシュレイ・ブラウン管理官: 分岐?

ウォン博士: 私たちが知ってる歴史は二度と訪れない。代わりの時代背景が追加されてしまった。

アシュレイ・ブラウン管理官: 落ち着いて、何を言っているのか —

ウォン博士: STSがしくじったんだ!タイムパラドックスだか何だか知らんが、無差別に収容作戦を展開したことで、予想される未来から逸脱したんだ。確率が変わったんだ。

アシュレイ・ブラウン管理官: だから何?いつも通り剪定し続ければ良いでしょう?

<沈黙。>

ウォン博士: いつも通り

アシュレイ・ブラウン管理官: 聞かされてないの?私たちは150何回目ぐらいの反復の存在。過去が再構築されたら因果関係も変わる。神聖時間局の機能はそれに順応するため存在するのよ。

ウォン博士: これが初めてじゃないのか?

アシュレイ・ブラウン管理官: ええ、STSが創設されたのはこれが初めてじゃない。STSは何度だって繰り返してるし、そのためのギャンビットを2027年に固定しているから、何度でも創設される。

ウォン博士: はっ?

アシュレイ・ブラウン管理官: 分からない?STSは過去と未来の循環を永久に繰り返してるのよ。逆行時間で収容に失敗したら、また2027年からやり直す。STSが再度創設されたら、別のアプローチで収容を試す。私たちはこれを反復と呼んでる。

ウォン博士: …隣人が突然消える可能性も含めてか?

アシュレイ・ブラウン管理官: 慣れたわよ、そんなの。

«転写終了»

後文: 後日の投票結果により、現在の反復における神聖時間局の対応は、EE-1000の残された実例を剪定し、部分的かつ消極的少数に対してのみ作戦を実行するという方針で承認されました。これに基づき、現場の研究主任であるウォン博士への命令が下されました。

EE-1000の情報が更新されています。次のファイルを参照してください。

補遺終了

2028/02/11
ジミー・ウォン博士の、神聖時間局オフィスから発見された個人ファイル。

毎日、悪夢を見る。死者に誓って呪いを受けるあの夢だ。

因果ループの関係性を個人的に調査していて、理解できたことがある。STSの歴史はとても長い。期間で計算すると、200年以上はこれを繰り返している可能性がある。既知の反復だけでも10を超える。つまり、私たちの今現在の反復だけでなく、何度か類似するイベントが発生して、その度にSTSが…私によって創設されたことになる。STSは…終わることの無い因果関係連鎖だ。19年に平林管理官が死亡し、27年には最初に収容違反が発生する。そしてチャドウィクが死に、彼の死を原因として私は責任を負い、STSを設立するよう誘導される。またチャドは殺される、いずれは。

彼はSTSによって殺されている。不審に感じる点は前から存在していた。データベースの記録の限りでは、27年の時点でSCP-001-JPを利用する必要性が無かった。それにも関わらず、私たちは不詳K級シナリオの対処のためにEE-1000を引き起こした。STSが引き起こさせた。STSは、自身の存在の担保として彼らの死のイベントを…EE-1000を利用している可能性がある。

神聖時間局S.T.S.とは何だ?彼らは、2031年の時点でSTSを構築した後、特定の人員を誘拐して、残りの時代を放棄する。彼らが恐れる未来は何なのか?2031年以降に何かが発生するのか?重要なのは、我々を含めた人員の誰もが、2031年以降の未来を観測したことが無いという事だ。

最も恐ろしい可能性を前に考えたことがある。チャドウィクは実在する人間なのか?はたまた、SCP-001の生贄として生み出されただけなのでは無いか?と。その答えに辿り着くためには、因果ループを解放しなければならない。…だが、私たちも同じ運命なのだろうか?

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君も分かってるだろう、アシュレイ?私たちに子供はいないんだ

ITEM #: EE-1000

EVENT CLASS: PARADOX

LEVEL 5/001 CLASSIFIED

Supernatural%20Threat.png

超常現象の脅威: 該当の脅威が超常現象に起因するものである。

Intangible.png

無形: 該当の脅威は無形であり、非存在か概念的である可能性がある。

Logical%20Paradox.png

論理的パラドックス: 脅威への対処を行う事が根本的に不可能であるか、致命的な破綻が発生する。

Pa

Remake_Portalmultiverse.jpg
EE-1000.

説明: EE-1000は、時間秩序関係のパラドックスにより引き起こされる懸念のある、連鎖的かつ悪影響のある化学ポテンシャル・エントロピー性パラドックス現象を指します。本現象の理論的背景は完全に実証されていないものの、その関連する観測データにより予測されています。

EE-1000は、関連性の高いアイテムである「SCP-001-A」の活性化に伴って連鎖反応を引き起こします。この過程では、被験者に対して主観的思考能力が助長される異常な増強が発生する一方で、それに伴い発生するエントロピー増大の影響が緩和されません。過程の後に、時間パラドックス収束後のエネルギー消費が発生し、その化学ポテンシャルの遷移に伴う異常現象が発生します。

EE-1000の主な影響は、周辺区域に存在する熱力学第二法則の一時的な破綻と、位置エネルギーの遷移に伴う崩壊現象、連鎖的消失です。これにより、起動中であったSCP-001-Aの全個体においてEE-1000の発生が確実なものとなり、また同様に、将来にかけて収束する恐れのある全個体の、EE-1000の悪影響が懸念されています。

補足: EE-1000の全世界的な影響は未知数であり、SCP-001-Aアイテム群のうち、監視下にない不活状態である実例が複数存在します。現存する神聖時間局・SCP-001は、2031年以前の過去に対して遡及的に有効であるため、逆説的に未来で発生する全てのEE-1000に対して機能しません。これは、予定された時間秩序関係からの逸脱的ふるまいが観測される場合により、予測されない範囲でEE-1000が起動されるケースを予想します。

注: ストレージの同期不整合が発生しています。別の因果弦を選択するためには、タイムラインディレクトリに戻ってください。

起源: EE-1000の発生起源は、今より複数回以前の神聖時間局・反復に基づきます。2019/08/01、エリア-58・特異点研究所の研究主任であったヘレン・ファーチ博士は、悪影響を及ぼす可能性のあるエントロピー性の異常現象が、過去遡及的・漸次的に増加していることを発見しました。続いて、彼女はSCP-001-JPに関する潜在的な問題を報告し、追加の調査によりEE-1000を発見しました。

ファーチ博士は、既知の全てのSCP-001-JP複製物 (SCP-001-A) が潜在的なEE-1000イベントの媒体であることを宣告し、状況の打開策として、アラバスター機械類の (初期の) 特有な構想を提言しました。ファーチ博士の提言が採用され、2031年までに初期の神聖時間局・反復が構築されると、神聖時間局は過去遡及的な収容を開始しました。

その後、財団の通常データベース保安ログは2031/12/20を最後に途絶しました。この範囲外で、現時点で未知であるEE-1000の異常な影響が拡大した可能性が指摘されており、その詳細は現在まで不明です。ファーチ管理官は、EE-1000の未知の収容外個体により破壊的なXKクラス-世界終焉シナリオが発生した可能性を懸念し、これ以前までの時間関係を因果ループとする、現在の収容手続きを目的とした保安上目的の改革を実施しました。

この影響は現在まで深刻化しつつあり、ファーチ管理官により提言された旧来収容手続きの不確実性について、現在まで審議が行われています。

注: エラー!項目の削除が検出されました。この手順の実行者であるヘレン・ファーチ管理官の痕跡を追跡中です……

補遺001.IV: 実行ログ
SCP-001 収容作戦カタログからの抜粋

ブラウン管理官、

次の因果ループが必要不可欠であるため、あなたとウォン博士に収容作戦手続きを依頼します。データベース管理局により、剪定済みの候補されたイベントが記録されているため、それぞれを参照し、排除してください。

幸運を祈っています。

   ファーチ管理官、神聖時間局 最高管理者

作戦ログ抜粋: 828

実行番号: 828
所定時刻: 2027/10/09 01:30.25

詳細: 828番は、所定時刻1時半前後に発生するSCP-001-Aの (予定された) 収容違反です。財団サイト-18の超心理学セクションにて、接近中の”意識消失”シナリオに対処すべく活性化された実例が、時間内にEE-1000を引き起こしました。この結果、セクションにより統括される収容チャンバーが破壊され、関係する19名の職員がこの事象により死亡します。

結果: 828番は、予定された神聖時間局のエージェント3名を殉職させる可能性のあるイベントであるため、剪定基準を満足したと判断されました。これにより、所定時刻以前の位置にSTF-∇が派遣され、被験者およびSCP-001-Aの即時の回収が実施されました。この影響による変動はありません。

注: 828番の影響物は、適切な集積地点に移動されました。

«12件の実行を省略»

ファーチ管理官、

現在、手続きは計画通り進行しています。問題が発生した場合、直ちに報告いたします。

個人的な意見を述べるようで申し訳ありませんが、実行回数を少し増やすべきです。”剪定”は、既存の正典には関係なくEE-1000の発生を極端に無視する傾向にあり、現時点で被害は完全に抑制されていません。無数の所定時刻にイベントが発生し、多数の悪影響を及ぼしています。看過することはできません。

不安ですね。私がここに参加させられた時、あなたはチャドウィクを死の因果から救助すると約束してくれました。”約束”など、最も懸念すべきものです。あなたはSTSだけが存続すれば良いと思っているのかも知れません。そこに存在する数多の犠牲よりもね。

影響は緩和など出来やしません。私たちには不可能です。

EE-1000の存在を抹消することはできません。私たちの過去を変えれば、その影響により分岐し、また新たな可能性が生まれる。EE-1000は不滅であり、その因果関係のループによって支えられているに他なりません。神聖時間局とは何です?何の目的で存在するのです?

あなたは言った。ジミーを手懐ければ…彼を創設者として維持し続けるのなら、私たちは時間すらも収容できると。お互い、相手に期待し過ぎているのではありませんか?私としては…こんな酷い事をしたくはない。

結局、あれは嘘だったのですか?

«9件の実行を省略»

お願い、大切な友人を失いたくないのよ。分かってるでしょう?SCP-001こそが回避策だって。あなたたちが対称性を歪ませる程に、時間秩序は悪化していく。EE-1000は増加する。終焉シナリオは増加するばかりよ。こんな事をしても意味が無いのは知ってるわ。それでも、STSを維持することが出来れば可能性がある。

この循環を失わせないで。お願い。

チャドを返して。それだけが願いよ。

可哀そうな人。

どこまでも愚かなのね。最初から分かってたでしょう?

作戦ログ抜粋: 991

実行番号: 991
所定時刻: 2027/08/01 未明

詳細: 991番は、所定時刻前後に発生するSCP-001-Aの (予定された) 収容違反です。財団エリア-58のSRI管理施設にて、接近中のK級不詳シナリオに対処すべく活性化された実例が、時間内にEE-1000を引き起こしました。この結果、試験チャンバーを含む半径300m圏内の大規模な崩壊現象が発生し、チャドウィク・ブラウンを筆頭とする36名の職員がこの事象により死亡します。

注: 「チャドウィク・ブラウン (故人) の死が神聖時間局の設立に必要不可欠である」という現在の仮定は、実証により誤りである事が証明されています。これは、神聖時間局の設立に起因する”現代正典”におけるイベントとの従属関係であり、その古い反復における設立者はファーチ管理官であるため、この”正典”への誘導以外の方法によってでも、神聖時間局が設立される可能性はほぼ確実です。この事実の裏付けにより、ヘレン・ファーチ管理官の既知反復の (XKシナリオの隠蔽を目的とした) 工作の疑いが浮上しており、残存する調査チームが秘密裏に行動しています。

注: 991番の影響物は、適切な集積地点に移動されました。

補遺終了

2028/02/11
アシュレイ・ブラウン管理官の、神聖時間局オフィスから発見された最終通信。

ファーチ管理官がSTSを腐敗させているのは知っていた。でも、私には彼女と協力するだけの利害一致があった。ジミー、覚えているでしょう?私が以前子供を欲しがっていたこと、そしてあなたは恐れたということ。

チャドウィクは私たちの子供ではないわ。彼の存在も実情も、全部STSが構築した紛い物に過ぎない。他の場所から調達した、STS存続のためのパーツの集積物。あなたに処理を施して、あなたが責任をもってSTSの設立に取り組むように…後始末を付けるように、指向されたものに過ぎなかった。

チャドウィク・ブラウンなんて存在しない。知ってるわよ、そんなの。私にとっては、2027年のあの日までの僅かな幻想だけでも意義のあるものだった。だから、ファーチ管理官の伝令にも逆らわなかった。私は耐えた。そして…事件の当日に至った。私たちは同じよ、ジミー。自分たちの幸福のためなら、他人の犠牲なんてどうとでも払えると思ってる。互いに、相手に期待し過ぎてたみたいね。

ファーチ管理官は自分の過ちを隠すために行動した。私は自分の幸せのために。それって、そんなにも奇妙なことかしら?謝るには遅すぎるって分かってる…けど、私たちの幸福のすべては、あの瞬間に存在したのよ。

Child.jpg

あなたに罪を着せたくなんて無かった。それでも、あの子の記憶は本物だと信じたかったの。

補遺001.V: 非常時対話ログ
神聖時間局 監視記録抜粋-X0A8

話者:

  • ヘレン・ファーチ管理官、神聖時間局 局長、
  • ジミー・ウォン博士、神聖時間局 研究主任。
«転写開始»

ファーチ管理官: ジミー、時間は無いと分かっているでしょう。SCP-001によって過去遡行し続けている限りは、私たちには猶予は無いの。引き起こされたパラドックスを未然に防ぐことが出来なければ…ボン!訪れるべき未来から逸れることに。

ウォン博士: 話をしに来た理由が分かるか?

<沈黙。>

ウォン博士: アシュレイが死んだ。ほぼ自殺だと考えられる。

ファーチ管理官: 災難ですね。

<ファーチ管理官は時計を見ており、ウォン博士の目線から意図的に視線を逸らしている。>

ウォン博士: 私が復讐で来たものだと思ってるのか?馬鹿にするな。

ファーチ管理官: へえ?私を逮捕して直ぐにでも地位を略奪するのだと思ってましたよ。意外ですね。

ウォン博士: 違うな。取引をしに来た。

ファーチ管理官: 断れば?

ウォン博士: お前を殺す。今すぐにでも…憎しみのままにな。

ファーチ管理官: (笑う) — 憎むべきは自分自身でしょう、ジミー。犠牲の名の下に一体どれだけ無理を通したのですか?身近な人間の幸福すらも叶えてやれないあなたが、何を実現できると思ってらっしゃるのか。

ウォン博士: STSさえ存在しなければ、私は人生の半分を彼女と共にいられた。

ファーチ管理官: 神聖時間局を構築したのは誰?

ウォン博士: お前の策略だろう、ファーチ。

<僅かに沈黙し、ファーチ管理官が笑う。>

ファーチ管理官: 素晴らしい。それだけ頑張ってなお、境遇を理解していないのですね?

ウォン博士: — お前だ。お前が私たちの息子を殺し、STS建造の真犯人から理由を遠ざけつつ、STSの創設者となる歴史を書き換えた。

ファーチ管理官: でも、その一つ前ではあなた自身が創設したのですよ。

ウォン博士: …何?

ファーチ管理官: 前の反復でSTSを創設したのは私。その一つ前はあなたが。

ウォン博士: お前は自分の失態を隠すために濡れ衣を着せているだけだ。STSの発生時期を過ぎた後のイベントは回収不能で、31年以降の未来では確実にK級シナリオが発生する。お前が設計したSTSの組織全体に問題があるんだ。

ファーチ管理官: 私たちが設計した。

ウォン博士: なぜ断言できる?

ファーチ管理官: STSをどちらが設計したのか、あなたは断言できるとでも?そんな訳がない、私たちには二面性があるんですよ。支配と革命の二面性がね。

無限後退するこの時間ループの数百年、数千年前に、神聖時間局の最初のコンセプトが…アイデアがあった。”ファーチ博士”と”ウォン博士”のどちらが着想したのかは分からないし、または両方かもしれない。私たちの反復がアイデアを思いついて、喫緊の課題であるSCP-001-JPを抑制するために、過去を逆行する特有の方法論を編み出した。アラバスター機械類を —

ウォン博士: お前の設計じゃない。

ファーチ管理官: ともかく、STSは初めて構築されました。しかし不可逆的なEE-1000の分岐に遭遇し、やむを得ず更なる対抗策が必要に。これを講じたもう一人の学者がいました。

ウォン博士: …私か、お前が。

ファーチ管理官: 自らの尾を食らうウロボロスの如く、私たちは二面性にあやかっているのですよ。片方が間違えれば片方が修正し、その繰り返しを…ずっと続けている。

ウォン博士: EE-1000を食い止めるために、SCP-001が。SCP-001によって到来した分岐のために、猶予時間を得るためのオペレーションが?

ファーチ管理官: あるいは、子供を失った責任感で仕事を強制させられる哀れな科学者とか。

ウォン博士: 黙れ。

<ファーチ管理官が怒りの表情を露わにし、声を荒げる。>

ファーチ管理官: 誰がって?あなただけが責任に駆られるために、大切なものを人質に取られたと?私たちは二面性だと言ったでしょう!?私もあなたと同じ。失態を繰り返し、責任を感じて建造し、また破壊する。その繰り返しで…

ウォン博士: …何を失った?

ファーチ管理官: 家族よ。

ウォン博士: お前の家族関係は —

ファーチ管理官: 同じこと、自分に言えるの?

<沈黙。>

ファーチ管理官: これが一種のアノマリーだなんて言わないけれども。私たちにはそれぞれの志があった。守るべきものも、かつての記憶も。それで全て失ったのに、私だけが悪人なのね?

ウォン博士: …家族が好きか?

ファーチ管理官: 当たり前でしょう。最も愛すべき存在よ。

ウォン博士: もし、私もそうであったなら —

ファーチ管理官: 「もし」なんてやめて。お互いよく分かってるはず。

ウォン博士: なら、この因果関係からさっさと脱出しないか?

ファーチ管理官: STSを破壊したら、それこそ破綻するでしょうよ。

ウォン博士: 次の方法を模索する間は、ループを再度構築しなけりゃならない。分かるか?私たちはこの迷宮にずっと閉じ込められてるんだ。お前の家族を犠牲にしたくもないし、私もだ。

ファーチ管理官: 他人を駒みたいに言わないで。

ウォン博士: ほう?他人の息子を駒みたいに扱ったのにな。

<ファーチ管理官は、無線を介して監視棟と対話している。>

ウォン博士: おい、話してるのは私だ。

ファーチ管理官: …これ以上こんな事を続けるの?

ウォン博士: 神聖時間局が —

ファーチ管理官: 家族は?あなただって家族を思う気持ちはあるでしょう。

ウォン博士: …諦めたいのか。それじゃ好きにしろ。精々、独房から眺めていてくれればいいさ。

ファーチ管理官: あなたと最後に和解できたのは嬉しかった。

<沈黙。>

ウォン博士: 話し相手が必要だっただけさ。

«転写終了»

補遺終了

更新済みのファイルが展開されました。SCP-001、およびEE-1000に関連する情報が公開され、これらは神聖時間局の最高管理者であるジミー・ウォン管理官によって提供・再頒布されます。本ファイルへのアクセスは推奨事項であり、以下の事項を理解することは、EE-1000に関する先端的な理解を得ることに直結します。

ITEM#: SCP-001
LEVEL0
DATA RELEASED
脅威ステータス:
deadlock
{$secondary-text}
{$secondary-class}
サブクラス:
pa
管理部門:
s
アイテム番号: {$item-number}
レベル0
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}
fractal-1147253.jpg

EE-1000、最終発生。

OTF-A.jpg

ALABASTERシステム系統の外見。

特別定義/Deadlock: アイテムの活動は能動的に終焉シナリオを引き起こし得ます。 この回避が実際的に不可能であるか、何らかの理由で膠着状態にある場合にのみ適用されます。

説明: SCP-001は、2019/08/01の原始反復から再帰し続ける内部部局「神聖時間局」による最終成果物であり、無作為発生した化学ポテンシャル・エントロピー性パラドックスの影響を緩和・補償する、全世界的な制御プロセス、ALABASTERシステム系統です。本系統は、OTF-Aの管理された固有産業機械としてヘレン・ファーチ博士により最初に構想され、その結果として2031年までに開発が完了しました。

ALABASTERシステム系統の (元来存在した) 設計不良は、旧来収容手続きの過程におけるEE-1000の深刻化と分岐、再発を助長したと考えられています。そのような失態の処遇を回避するため、ファーチ博士はSTSの機能設計者としてジミー・ウォン博士を候補し、彼に関係する因果関係を捏造する.2019年以降のウォン博士の結婚、およびブラウン管理官の死産の経験、生活環境の悪化、離婚、非存在に関する疑わしい出産の捏造記憶、”チャドウィク・ブラウン研究主任”としての、偽名エージェントの潜入など。ことにより、現在の因果関係を再構築しました。

起源: その後、財団の通常データベース保安ログは2031/12/20を最後に途絶しています。この範囲外では、EE-1000の収容されていない実例の崩壊による最終発生を伴った、破壊的なXK-クラス世界終焉シナリオが発生していると予想されています。この因果関係への衝突は不可避であり、これまでの如何なる収容作戦も無効であることが確認されてきました。

現在の反復では、ヘレン・ファーチ管理官の既知反復の (XKシナリオの隠蔽を目的とした) 工作の疑いが調査され、その容疑により当人が逮捕されています。STS総督評議会の権限により、この事象に対する精通した (唯一の) 職員、ジミー・ウォン博士が、神聖時間局の管理官へと昇格しました。また、ほぼ同時期に発生した、アシュレイ・ブラウン管理官の自殺による空位は、現在まで補完されていません。

2019/03/31
ジミー・ウォン管理官の、自殺以前の神聖時間局オフィスから発見された最終通信。

自殺願望なんてものは人生にとって必要ないが、諦めた者どもにとって希望の光だということを知っている。私たちの心の傷は、光がどんな時でも闇の傍で輝いているということを教えてくれる。

STSの人間の果たしてどれ程が、以前の意識を持っていたのかは分からない。確認する限りでも、「インスクリプション」は特に。少数の人間の贅沢のために、多くの人間が誘拐されてきた。この居心地の悪い因果関係にな…

神聖時間局は時間遡行するが、大きく不可逆的なものでもある。誰もアラバスター機械類を停止する方法を持たない、そのように造られたが故にな。関連する偽の職員は使命のためだけに暴走し、悪化したパラドックスがいずれEE-1000を引き起こす。そして、破滅が訪れる。何物にも避けられない。もし回避可能であるとして、そこに孤独として存在することに何の意味がある?

私たちは、この広大な宇宙に放り出されたとき、主観意識という特異点をもって生まれた。とても孤独で、寂しい戦いだ。周りの何物もエントロピーに逆らわず進むのに、それを私たちだけが理解できない。だからこそ、理解のある友人が、家族が、愛が必要だった。

私たちは地獄の果てへと進んでいる。最期に、この世界を監督する存在として就任したことを何よりも誇りに思っている。私は財団職員で、人々を守る重大な責務を持ち、動き続けた因果のひとつだった。我々はみな、暗闇の中でいずれ死ぬ。

その時が来ただけだ。

私は負けた。おやすみ。

2019/03/30
これ以降のデータが存在しません。

2019/01/01
タイムスタンプのリセットを検出。

2018/10/21
タイムスタンプのリセットを検出。

2015/01/09
タイムスタンプのリセットを検出。

2014/08/11
タイムスタンプのリセットを検出。

死の感覚が無いのは何故だ?なぜまだ思考できる?

2009/12/11
タイムスタンプのリセットを検出。

2000/01/01
タイムスタンプのリセットを検出。

立て。

私はまだ思考できる。まだ動けるようだ。何故だ?

1980/04/02

私の視界は良好だ。

なぜ生きているのかを確認した。銃弾がこめかみを貫通している。それにも関わらず、私は脳機能を損傷していない。というか、意識的に思考するのを避けていただけだ。…これは死の感覚じゃない。

部屋にある物を確認した。STSオフィスには色んなものが保管されている。28年製のデスクトップコンピュータ、98年採掘のブランシウム結晶、ポスター、掲示板、扇風機、どれも全部普遍的なものだ。大したものじゃない。MoonFall.aicにアクセスしようともしたが、他の人員が稼働していなければ、コイツも当然動かないのは知っていた。

現在の状況を確認した。私がオフィスに滞在しているのはもちろん、STS自体の、アラバスター機械類の稼働状況も調べた。当然だが管理局員が死滅したので、こいつは動いてない。だが…タイムスタンプの状態がウソじゃなければ、私は時間を逆行している。

室内を更に確認してみたところ、オフィスには幾つかの異常な機構が組み込まれているのがわかった。これらのプロセスは、アラバスター機械類による反粒子変換プロセスを助長していたものとみられる。その中に…奇妙なものを見つけた。

私の部屋に何気なく飾ってあった時計だ。アナログ式壁掛け時計で、10角形構造の……

私は夢中で内部構造を調べた。くまなく、くまなく、内部を損傷しないよう慎重に調べ上げた。調査の結果として、やはり、やはり!これは紛れもないSCP-001-JPの複製物だ。STSのオフィスは各反復で共有しているから、これが前時代の反復の出土品なのかもしれない。この機能に関する仮説が正しければ、逆行する時間の中でも「無限の思考時間」を付与する異常性は機能しているのだと考えられる。だが何故だ?

ふと宙を見上げると、声がした気がした。懐かしい声だ。温かい家庭の灯と、息子の声が聞こえた気がした。幻聴だった。

幻聴だと?違う。

過去が積み上げてきたものは決して揺るがない。私たちは過去を改変することは出来ないが、未来を改変することはできた。もしも、もしも私たちが未来を再改変することが出来るのなら?より主観的な、特異点的な方法によって実現可能であるとするならば?

幻聴が私に叫んでいる。幻聴が明瞭に話している。それは何を意味する?今の私に何ができる?

1590/01/19

色々と今後の可能性を考慮してみた。まず、STSは不可逆的で、現実の時間関係とは逆転して進行する。宇宙の終端から開始されたSTSが向かう先は、宇宙の創始だ。即ち、ビッグバン、インフレーション、その他の全ての発生現象だ。時間遡行の最後に待ち受けるのは、逆説的なビッグバン、つまり通常次元への膨張ではなく、収束だ。無次元特異点への収束だ。

1190/05/25

幸いにも、私には無限の思考時間がある。この時間を使って、長くはあったが理論の解を導く一歩手前まで来た。私が今時点で試みているのは、この逆説的なエントロピー爆発をどうやって耐えるかの方法の模索だ。

思考時間の間に何をしようとも、それらは原則として妄想に過ぎない。だが、妄想に費やしたエネルギーは正確に消費される。EE-1000はエントロピーの無次元特異点への一時的な収束と、伴うエネルギー消費の清算を行うだろう。ここで、私はEE-1000の原理が瞬間的な「ブラックホール」のそれに類似していると考えた。

ブラックホールには、光速であろうとも全てを消費するある半径の領域と、その境界線が存在する。あらゆる因果関係の境界で、一般的にはシュバルツシルト半径と呼ばれる。シュバルツシルト半径は、ブラックホールの質量に比例して大きくなる。これがより巨大であればある程、内部に消費されていった物質にかかる重力は軽減される事になる。この”潮汐力”が私の生存可能性を満たすには、より大きな質量のEE-1000が必要だ。引き裂かれないためにもな。

この条件を満足する「アウトフライング」特異点は、私の生存可能性を脅かさない、非常に穏やかな状態にあると予測できる。もっと考えろ。インパルスを発生させろ。質量を増やせ。

[TIMESTAMP MISSING]

なぜSCP-001-JPを逆行中に起動しようとしなかったのか?リスクは伴うが可能性がある。今まで…今までのどのループでも、過去の因果関係を断つことなく未来に伝達していた。逆行時間からの干渉という方法で。だが今回はその望みは薄い。代わりに、別のメッセージ配達が必要になる。

ある時点までEE-1000が拡張されると、この思考時間の終了時に発生する標準時間への復帰のさい、私の体は死よりも早く「アウトフライング」特異点へ突入する。続いて、超大質量のEE-1000が銀河系全体を飲み込み、逆因果的に宇宙を終焉へと導く。最終的に、STSやEE-1000を失い逆行しなくなった因果関係の中で、EE-1000が莫大な重量的相互作用を発生させ、いずれ消滅する。

この際におけるEE-1000の太陽質量比率と、原始宇宙におけるブラックホール群との距離関係、ペアにより発生し得る重力波・楕円軌道関係性を導出し、原始重力波として放射されるEE-1000のエネルギー全体を、偏光の集まりによるパターンとして構築する。

Ilc_9yr_moll4096.png

つまり、宇宙マイクロ波背景放射だ。この放射パターンの規則性には、財団で用いられている最も標準的な暗号の規則性を模倣したものを用いる。2進法、バイナリだ。これにより、人類の最もよく知られた電磁波の研究の過程で、この「メッセージ」が確実に検出されることになる。

この膨大なシミュレーションには大きく時間を必要とする。そのタイムリミットとパターン構築に必要なエネルギー総量の比重が、この収容作戦を左右する。神聖時間局を破壊して、メッセージを残す。私たちが因果から脱する唯一の方法だ。

[TIMESTAMP MISSING]

これが最後の通信だ。結論から言うと、タイムリミットに間に合う。

私は恐らく助からない。ブラックホールに巻き込まれて助かった人間なんているか?そういう事だ。この報告書を暗号化し、再エンコード可能な波形として放射する。手筈は整っていて、あとはタイミングが訪れるのを待つだけだ。

息子なんていない。かつてはそう言っていた。でも、私は見た。過去に存在した息子の顔を、彼との記憶を辿って。幻影ではなく過去の、過去の死んでいない記憶の断片だ。息子が許してくれるとは思っていない。それでも、償いたいと思った。アシュレイ、すまなかった。君の望むことが出来なかったのを今でも悔やんでいる。…悔やみきれない思いだ。

それでも未来を変えることができる。だから君も、君の未来も明るく輝かせたい。

SacredTimeStation.svg

これで終わりだ。このラビリンスを破壊する。

神聖時間局の応答なし
監視記録の最後のレンダリングイメージを復元中…

記録日時不明 / 推定: 138億年前

ParadoxExodus.jpg

EE-1000、初期発生。

目録作成終了
エンドポイントを作成 ファイルを構成中

ITEM#: SCP-001
LEVEL5
TOP-SECRET
オブジェクトクラス:
neutralized
{$secondary-text}
{$secondary-class}
{$disruption-text}
{$disruption-class}
{$risk-text}
{$risk-class}
アイテム番号: {$item-number}
レベル5
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}

特別収容プロトコル: 矛盾する全ての文書は極秘として分類され、SCP-001に関係するあらゆる情報が漏出する事態を回避しなければなりません。多くの捏造文書は、古い指定であるSCP-001-JPが再び着想される可能性を回避するために存在し、真のファイルは永久に削除されます。

かつての神聖時間局に僅かでも関わりのある職員は、自主的に本文書に到達する約束された因果関係にあるため、この申告に続いて適切な記憶処理を受けなければなりません。そうでない場合、予定される期間内にSCP-001が再発する恐れがあるため、適切な終了処分が追加で実施されます。プロジェクトに関連する全てのファイルは完全に削除され、データベースの残りのエントリは本アドレスに対してのみ隔離され、保管されます。

関連する残存データは、神聖時間局に関わりのある職員によってのみアクセスされます。その場合においても、プロジェクトを再起可能な設計面は排除され、彼らが明確に事象についての理解を得た時点で一時的保存から除外されます。このプロセスは、SCP-001によって提供された、約束された因果関係を完全に破壊するため存在します。


説明: SCP-001は、2019/08/01の原始反復に発生した内部部局「神聖時間局」による最終成果物であり、無作為発生した化学ポテンシャル・エントロピー性パラドックスの影響を緩和・補償する、全世界的な制御プロセス、ALABASTERシステム系統でした。本系統の残留物はOTF-Aに配備されており、更なる調査のため保管されています。しかし、その再建造によりALABASTERシステムを再現することは不可能であるよう指向されています。

ALABASTERシステム系統の (元来存在した) 設計不良は、旧来収容手続きの過程におけるEE-1000、すなわち、時間秩序関係のパラドックスにより引き起こされる懸念のある、連鎖的かつ悪影響のある異常現象を無数に分岐させ、影響を深刻に悪化させました。これにより、過去反復の約束された未来であるXKクラス-世界終焉シナリオが明示的なものとなり、能動なしに回避することのできない、破壊的な作用を及ぼしました。

これらの影響は、2019年以前の過去時点において発生した異常な通信 (パラドックス文書001) によって先んじて公表され、その解読と説明により、本来の正典において神聖時間局を構築する可能性のあった職員を抑制することに成功しました。結果として、SCP-001-JPおよび複製物であるSCP-001-Aは計画的に運用されることは無くなり、それらは必要な手続きののち解体されました。

この影響により、正典に基づき死亡が確実であった複数名の職員は存命であり、現在もなお活動しています。財団監督評議会は、事件に関する概要を可能な限り秘匿することで、EE-1000やSCP-001が再発生する可能性を最大限抑止することを決断しました。これにより現在の収容プロトコルが可決され、現在もなお運用されています。

2027/08/01
アシュレイ・ブラウン管理官の、SRI施設内オフィスから発見された通信。

おはよう、ジミー。

たった今、私にもメッセージが届いた。全てを理解するのには時間がかかるし、多分、理解できない事も含まれていると思う。でも、全部を理解できなくとも、あの日あの時に何があったのかを知ることは出来るわ。

以前、あなたは言った。「やり直したい」って。人生っていうのはやり直しの利かないものよ…本来ならね。でも、あなたは私たちの苦悩を理解して、因果関係すらも超越して「やり直した」。そして、破滅する未来を知り、今それを回避するために取り組んでいる。

過去は消えない。あなたが私に与えた苦悩は消えないし、その事実はきっと永久に残る。でも、未来を変えることはできる。あなたがそうしたように、私は与えるべきものを与えることができる。

この先ずっと、無数の未来が可能性として待ってる。その一方は破滅かもしれないし、また一方は理想かもしれない。未来は確実なものかもしれないけど、でも、予想しないという選択肢がある。

私たちは変えた。時間も秩序も因果さえ。あなたは死んで、蘇らない。現代にもあなたはいるけど、死んでしまって蘇らない「あなた」がいる。その事を、私は知ってる。私の未来にあなたはいないけど、あなたの心を持った人がいる。

だから、見ていてほしいの。過去の因果として清算するのではなく、私たちもあなたたちを受け入れるから。それで、私たちの未来を願って。私たちがあなたたちに贈る最後の未来。

お礼を言うわ、ジミー。気付かなかったものを気付かせてくれたあなたに。

さようならは言わせないわよ。私たちには家族がいるんですから。

Family.jpg

END OF FILE

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