グラディオは永遠 <3
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免責: このTaleには「ファック」の言葉が登場しますが、これは悪態の表現ではなく、辞書通りの意味として使われています。

ドクターは姿見をじいっと見つめていた。姿見の中には見つめているグラスがいた。硝子のように生気の無い見た目が、グラスの姿見に映っている。よく見れば、グラスは姿見に向けて自分のアヌスを見せつけている。歪んだ穴こそグラスだと見せつけているガラスが、その亀裂をグラスの後ろの亀裂から逃がすように歪んだ。それでグラスは驚いたようだった。

「後ろの具合はどう?」グラスは尋ねた。自身の腕が眼鏡にかなうか自信がなかったのだ。

「あー」ディオゲネスは口を開いた。「まだマシな方だ」

2人はドクターであった。だが「処方箋を出しますね」なんて種類のドクターではないし、「炭酸飲料を開発する」ようなドクターでもない。MFAのドクターでもない。ディオゲネスはアートを好んでいるかもしれないけども。多分グラスは違う。だが2人ともを等しく楽しませる、傑作が1つディオゲネスのベッドルームから見つかった。それは映画か街路か何かの豪奢なフランスのポスターで、ディオゲネスのベッドの真上に掛かっていた。そのベッドで二人は互いをファックし続け、ついに部屋の空気は健全からは程遠い性臭に満ちていた。

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彼らは上級スタッフの中でも相当目立たない顔立ちであった。他の誰にとっても。2人について誰かに尋ねたところで、誰もその顔立ちや癖、性別も説明できないだろう。例え尋ねた相手が彼らの話を書いていたとしても。だが恋の前ではこんなものは些細なことであろう。彼らにとってはそうだった。シフトの合間を縫っては幾度となく獣のように交わっていた。

2人はおもちゃを持っていた。単にお互いに使うためだけに、いやもしかすると相手の居ない時には自分に使っていたかもしれないのだけれど、それでも約束事があって、相手のことを考えながら使うか、ロールプレイの一種としておもちゃを相手だと思ってするのに限っていたが、途中でただのおもちゃに変わってしまうことをまだ話し合っていて、全体のシチュエーションに気を遣っていた。真にイカれているのは見かけだけで、というのも、ディオゲネスにとって、隠し棚がまるまる性具で詰まっているのは、どっかの引き出しに独りぼっちのディルドが突き刺さっているよりもなかなかやばい。2人は最低限の必需品に大抵こだわっていた。ベルクロ社のベルクロカフ、認識災害部門からかっぱらった目隠し、ロウズ社のペイントスターラー。最後のは尻叩きに使ったり、性的な絵の具1をかき回すのに使う。ディオゲネスは双頭のがお気に入りで、「ツインピーク」(弾丸型のバイブ「イレイザーヘッド」と使う。「ヴィデオドローム」の話はしない方がいい2)と名付けていたが、グラスは双頭には当然の理由で反対した。

「今の仕事には満足いかないんだ。上手く行ってるのは分かってる。かつてないほど上手く行っているのは分かってる。なのにやたらと空しくて、つまらなくて。決して貢献を求めることもなく何をしているかも知らない世界へと捧げる職で頑張っている。知ってる?私の見つけ出したもの全ての権利は財団が得て、それでいて、変なものがお互いや人々に関わらないようにする応用が無ければほとんど使われない。私は何をしようともノーベル賞を取れただろう。認識だって出来ただろう。ただの動物の怪物を見分ける顔認識なんかじゃなく。『スキッピー・フォー・ベスト・キューブ』3とか『一生ミームで腐った頭を冷やすと良いで賞』以外にも受賞出来たろう。ディオゲネス、君も私もここから抜け出せやしない。一生ね。この不毛な地獄での唯一の慰めは君の汗臭くて震える陰茎だけなんだ」グラスはこう語る。いや、もしディオゲネスの汗臭く震えるそれに顔を埋めていなければこう語っただろう。

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