以下の実験記録は、SCP-256-KO-Bを用いた実験を記録したものです。
新たに実験を申請する者は、担当研究員であるJ.One研究員に報告してください。
<実験記録#0001>
実施内容: オブジェクトに含まれているサンプルの1つである、AK47ライフルのアイテムを、一般的な光硬化性プラスチックを利用する3Dプリンタで印刷した。
結果: プラスチック製であるにも関わらず、通常の弾丸が発射された。射撃実験においても、一般的なAK-47モデルと同等のレベルの破壊力と射程距離を示した。特筆すべき点は、弾倉のメカニズムがプログラムされておらず無限射撃が可能なよう設定されていたが、これは現実でも無制限に弾丸を発射することができるものと思われる。
<実験記録#0002>
実施内容: Dクラス職員や実験動物、植物など多数の実在する生命体のファイルを読み込む。財団サイトは3Dオブジェクトとして登録されていないため、財団外の場所で実験が行われた。
結果: 該当する人物とオブジェクトの正確な3DモデリングとAIの情報を参照することができた。また編集を試みた結果、「読み取り専用ファイルです。」というメッセージが表示され、編集が制限された。ファイルを開いた状態でDクラス職員の頭髪を切断した結果、実際に頭髪が切断されたのがファイル上にも反映されることが明らかとなった。ファイルを削除しようと試みた場合も同様に、「読み取り専用ファイルです。」というエラーメッセージを表示した。また、実験対象を3Dプリンタを用いて出力すると、オリジナルと同様の行動パターンを示すオブジェクトが出力される。しかし、オリジナルの記憶は共有されないものとみられる。
<実験記録#0003>
実施内容: 1を0で割るコードを導入した箱状の3Dオブジェクトを印刷する。
結果: オブジェクトが完全に印刷された後、プリンタから取り出そうと試みたが、オブジェクトは動かなかった。オブジェクトは徐々に加熱されていき、30分後には摂氏230度にまで達した。印刷から1時間後、オブジェクトはコンピューターグラフィックス上のノイズのように部分的に点滅し、そのまま突然消失した。
<実験記録#0004>
実施内容: AIをプログラミングしておいた大きさ10cmの犬の形をした3Dオブジェクトを作成、印刷した。
結果: 一般的な犬と同様の行動パターンを示した。通常の生命体と同様に空腹を感じ、睡眠欲や性欲などの欲求もまた存在すると思われる。現在、そのオブジェクトは[編集済]博士がペットとして飼育中。
<実験記録#0005>
実施内容: 財団に収容されているEuclidクラスのいくつかの人間型と生物型SCPオブジェクトを3Dスキャンした。
結果: 一般的な市販の3Dスキャナを用いたにも関わらず、エンジンが自らオブジェクトの属性をコードで作成した。潜在的な危険性を回避するため、ゲーム内でシミュレーションした結果、それらは元の対象の特性を完全に有しているものと推定される。SCP-256-KOの異常生から推測されることとして、3Dプリント時の結果もオリジナルとほぼ同じ物になると見られる。
<実験記録#0006>
実施内容: 全ての3Dオブジェクトの厚さを0に設定した2次元スプライトに、[編集済]と同様の簡単な2Dスクロールアクションゲームを作成、通常のインクジェットプリンタを用いて紙に印刷した。
結果: 紙に印刷されたゲームは正常に動作していることが確認された。調査の結果、紙に噴射されたインクが紙に吸収されておらず、その表面で塊として存在し、必要に応じて流動することが確認された。色もまた能動的に、インク同士が混合・分離し変化しているものとみられる。インクが乾いていない状態を維持しているが、他のものに付着する事はなく、インク上に他の材質でコーティング加工がなされているためとみられる。これを利用することで、高性能の電子インクディスプレイを製作できるのではないかとして研究中。
<実験記録#0007>
実施内容: 自動車の形状をした3Dオブジェクトとその大きさを調整することが可能なコントローラーを作成し、金属を原料とする3Dプリンタを用いてプリントした。
結果: コントローラーは正常に動作し、自動車を人間が搭乗できる十分な大きさに調節することができた。分子密度の調査を行った結果、サイズが巨大化したにもかかわらず、通常通りの密度を備えていることが判明した。また、投入した原料が金属以外のものが用いられていなかったにも関わらず、3Dオブジェクトに貼り付けられたテクスチャ1に基づいて、一般的な自動車に用いられる合成樹脂、木材、革などの様々な素材が作成されていた。現在、財団はこれを応用し、自動車、建物、武装などの必要な物資を3Dプリントで小型に印刷した後、必要に応じて拡大させて使用する案を協議中。