Amaryllis-en-Grappeの提言

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アイテム番号: SCP-001

オブジェクトクラス: N/A

特別収容プロトコル: SCP-001-Aに該当しない存在はアイテム番号を与えられ確保、収容、保護されます。

SCP-001-Aに該当する既収容の存在は迅速に解放されます。

説明: N/A

補遺: SCP-001は財団執行部総会にて審議中であり決定されていません。

以下、第47次臨時執行部総会にて表明された各SCP-001案或いは所見です。

※ 本書の各提案ではそれぞれ財団が認知している幾つかの異常に言及している事がありますが、参加者がそれぞれの閲覧に必要な権限を有していない可能性が高い為、可能な限り婉曲な表現が用いられています。

※ 以下の全提案はアーカイブ用に要約されています。

O5評議会案:

O5評議会による提言

異常性定義
注: 本案はO5-12、O5-13、"管理者"により作成された物であり、O5評議会の総意では無い。


現在異常性の定義は実に曖昧で、誰もそれについて共通した観念を持っていないと言って良い。各々の当たり前は常に衝突を繰り返し、空ろな大衆心理が形成されて行く。その中で我々はこれまで活動を続けて来た。

技術は進歩する。人々の心は移ろう。異常は際限無く現れる。普通は変遷する。それら全てを内包し、全てに合致し、全てと共存する定義を作れるだろうか?

財団は人類最後の砦でなくてはならない。その為には、規則に足を引かれ立ち止まる事があってはならないだろう。

我々は、明確な異常性定義の試みを打ち切る事を提言する。

- O5-12、O5-13、"管理者"

倫理委員会総会案:

倫理委員会による提言

異常と正常


正常性を定義する為には、異常性の定義が必要となります。我々は現存する中で世界最古の異常性"区別"機関です。即ち、我々財団による認識と定義がこの世界の正しい在り方を規定して来たと言って良いでしょう。

正常と異常が共に財団の活動を唯一の根拠とするならば、我々が参考とすべきは財団が過去築き上げた履歴のみです。それらの解釈、後ろにある精神的スタンスは我々財団職員1人1人の記憶に刻み込まれている筈です。

多くの人間が長く関わり続けた存在は、どんな物であっても形而上にイデアが構築されます。財団のイデアも例外ではありません。財団に関する集団意識の記憶領域でもあります。正しく我々が尊重すべき先達の痕跡です。

倫理委員の総意として、これまでの財団職員が構築した異常性定義を形而上概念量子化法により文章化しSCP-001の原型とする事を提言致します。

- フェルドン(Feldon)倫理委員長
- ガルシーア(Garcia)倫理委員
- グリューネヴァルト(Grünewald)倫理委員
- マーガトロイド(Murgatroyd)主席倫理委員
- 彼岸花倫理委員
- キム(김)倫理委員長代行
- ガイドゥコフ(ГидУков)倫理委員

異常性審議会連絡本部案:

異常性審議会による提言

正常と異常


光の下にしか影が生まれない様に、正常があって初めて異常がある、と言う事を忘れてはなりません。

正常とは何か。即ち"理解可能"である事です。科学によって説明出来る。確率論的に起こり得る。その様な事を、一般には正常と呼ぶでしょう。

無論、人の認識は変わり、変だった物が普通の物になり、分からなかった物が分かる物になります。それには従わねばなりませんし、それを無視すれば、我々は科学と人類の発展を妨げる老害となってしまいます。

では、人の認識、理解出来る事をどの様に調べれば良いか。その為には、世界中の人々の頭の中を覗かなければなりません。先端科学者が理解出来ているが一般人にはまだ分からない物、と言うのは、正常ですから。

我々は全人類の頭の中身を覗く方法を知っています。全人類の思考に接続した形而上存在を作成し、そこに、誰かが理解していれば正常、誰も理解していなければ異常、と言う理論回路を組み込んでやれば良いのです。そして、新たなオブジェクトを発見する度に、ここに情報を入力して照会すれば宜しいでしょう。

以上をもって、我々の提言とさせて頂きます。

- 異常性審議会一同

日本支部理事会案:

日本支部理事会による提言

異常性定義に係る一般的解釈及び運用可能性についての諸考察


正常と異常との区分を行うに当たり、我々の日常生活が本当に正常なのかを疑わねばならない。

日本は神の国である。我々の象徴は嘗て現人神に在らせられ、形式が変わったからとてその血が薄まる事は無い。国民もまたその多くが鬼であり、魑魅であり、魍魎である。気付いていなかろうと事実は変わらない。

大地もまた、只の地殻変動や浸食のみで生み出された物に非ず、この国は根本から、海の向こうの"普通"とは異なる。

全ては常に共にあった。それは今も。異常と正常との境界は存在せず、全ては人間本位な線引きに過ぎない事を忘れてはならない。

日本支部理事会は、異常性の定義が我々の主体的事情に基く事の明記、及び異常と言う名称の改称を提案する。

- "鵺"

ジャック・ブライト並びに49名による連名案1:

ジャック・ブライト並びに49名による提言

私見


本来あるべきで無い私の意見に目を通して下さる事に、先ずは御礼申し上げる。

これを提出したのは、財団"一般職員"中最も長く世界を見て来た者としての私見を述べさせて頂く為である。

私は知っている、且つて意味は分からないが使えるから使っていた、と言う物に、後から理屈が付いて来る事を。理論通りには進まない事が多いのに、それが正しい理論で他の物は理論に従う筈だと、人は頑なに思い込む事を。

我々が論じている"異常"はどうだろうか。我々の科学は正確なのか? 宇宙の3%の物質しか知らないと言われているのに? 我々の知っている物は全て知り尽くされているのか? 水車の力学計算すらままならないのに?

我々が真に収容すべき異常は存在しない。存在するとすれば、科学の発展の方向性、社会の在り方、それらをたとえ一時的にでも、人類にとって不都合な方向に捻じ曲げてしまいかねない物事を、人類がそれに耐えられる様になるまで隠しておく、それだけであろう。

以上を理解して頂ければ、長々と添付した付属資料に目を通して頂けなくとも構わない。

- ジャック・ブライト

O4評議会案:

O4評議会による提言

提言案第14版


この国では、異常は異常と捉えられて来なかった。

第三帝国は無数の異常を確保し、研究し、使いこなし、製造した。自力で開発した非正常技術すら珍しく無い。彼らにとってそれは間違い無く、正常技術の延長線上にあった。そして我々もまた、一般的科学で説明出来ない幾つもの現象を説明可能な科学力に到達した。

もしも、全ての異常を科学的に説明可能であったら? 既存の公理の延長線上に新たな真実が存在したら?

原子力技術を持たない後進国にとって、核兵器は異常であろうか。その答えは否である。

我々O4評議会は、科学力の限界まだ説明出来ない事物を、一時的に異常と定義する事を提案する。即ち、現実錨等解明済みの技術はExplained指定とし収容行為を終了するべきである。

- O4評議会一同


以下、適正なクリアランスを保持する職員のみ閲覧して下さい。

アイテム番号: SCP-001

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-001は全て財団に雇用されます。

説明: SCP-001は"異常"と言う概念を認識した人類です。

SCP-001異常を認識した場合、それら事物に対する理解を放棄し、廃絶・破壊・隠蔽等の行為を行います。

世界の物理定数及び科学理論は非常に曖昧であり、既存の研究では世界の極一部しか説明出来ない事が一般に知られていますが、SCP-001となった人間はこの事実を完全に忘却し、「科学は完全である」と言うミームを保有、周囲に拡散しようとします。この時情報を受け取った人間は43%の確率でSCP-001となります。

この報告書を見ている君は、財団にいながらSCP-001になっていない人間だ。つまり、異常を語る異常者達を理解しながら、それが異常で無い事も知っている、と言う意味論的に矛盾した存在だ。
その様な人間にしか、この収容行為は行えない。

最初にSCP-001が現れた時、私はこれが非常に危惧すべき状態だと理解した。そして、私財を投げ打ち、彼らの為の組織を作った。彼らが確保・収容・保護する為の施設だ。

財団の本当の目的は、異常を語る異常者を世間から隔絶し、異常だと思い込ませたまま活かし続ける事だ。財団と言う枠組みと規則を与えられる事で、彼らは世界が異常で満たされている事を"正常"だと認識し、そして財団の外で"異常"を知らしめようとしなくなる。

彼らには、いつまでも異常の定義を語り合わせておけば良い。結論が出る事は無い、答えが無いからだ。これについて揉めている内は、彼らが世界全てを同じ物差しで測ろうとする事は無いだろう。

今、この財団でこの事実を知っている者が4人いる。私、倫理委員長、異常性審議会長、そして君だ。

我々は、彼らを収容しなければならない。その為には、彼ら自身に彼らを収容させる事だ。その為に財団は存続する。

宜しく、担当職員君。

- "管理者"

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