ハセガワ製薬第一寄贈品
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ハセガワ製薬様からご寄贈いただきました。

注意事項: 錠剤、寄贈品、利用中止。

資産概要: 定例報告会議ホン・ウェイ(洪 魏)博士の発言より抜粋

えー、私の方からはカルタン地方で流行しているトーキン病についての報告をさせていただきます。病については何度か説明させていただいていますが、一応簡単な説明だけ。詳細な情報はお配りした資料からお願いします。

トーキン病は土着菌から発生する病です。現地の人間からは紅肌病とも呼ばれています。紅肌病について、残存している資料からは最古の発生が1750年頃だということが判明しています。主な症状は手脚の発疹、爛れ、強い痒みなどです。皮膚が赤く腫れ上がることから紅肌病という名前がついたのでしょう。症状はそれほど酷い物ではありませんが、皮膚を掻きむしるなどしてしまうため、現地の衛生環境の悪さもあってさらなる感染症を起こす可能性があります。

カルタン地方には紅草と呼ばれる薬草が生えており、これが紅肌病の治療に用いられてきました。草を粉末状にして飲むのですね。実際、この治療法は一定の成果を出しており、財団においても紅肌病の基本的な治療法は紅草の投与と抗生物質が入った塗り薬によって炎症を抑えることでした。紅草が如何にして紅肌病に効くのかについての研究は行われてこそいたものの、優先度が低かったため進捗はなかったに等しい状態です。

少し前置きが長くなりましたね。トーキン病はその紅肌病から進化したと思われる病気です。主な症状は一緒ですが、範囲が紅肌病より広く、体全身に影響が出ます。トーキン病の場合、頭皮も腫れ上がり、毛が抜け落ちるため見た目での識別は容易です。

──ええ、こちらのグラフをご覧ください。これは周辺地域におけるトーキン病の罹患者数です。一昨年の夏頃に初めての発症が確認されました。効果的な治療法は見つかっておらず、基本的には紅肌病と同様の処置を行っています。治癒率は……30%前後というところでしょうか。完治が難しいため、緩やかに罹患者数が増加していますね。そして、今年の6月、爆発的にその罹患者数は増加しています。幅広い企業やNGOに協力を呼びかけていますが……地域や規模の問題から企業側のメリットが薄く、あまり協力が得られていません。皆様からの幅広い出資をお願いしたいところです。ご協力をよろしくお願いします。

ペンシルバニア大学を博士号で卒業し、長年に渡って医学の発展に寄与してきたホン・ウェイ博士はマナの財団の上位メンバーです。2009年に大学の教授職を辞した後は、その広い人脈と知識を活かし、世界の医療困難地域の再生に関わってきました。


ハセガワ製薬から送られてきたメール

初めてメールを送らせて頂きます。ハセガワ製薬の香田と申します。先日、マナによる慈善財団様が公開されているトーキン病についての情報を知り、何かご協力ができないかとご連絡をさせていただきました。

ハセガワ製薬は日本の熊本県に本拠地を置いて活動している企業です。地域貢献を理念として活動している我々ですが、その中で熊本県でも1600年頃から1670年頃にかけて紅肌病と同様の症状を持つ病気が流行していたことを発見しました。資料によるとこちらの地域でも同様に赤みがかった植物(こちらは特に命名がされていなかったようですのでそちらに倣ってクマモトベニグサとしておきます。)が治療に利用されていたそうです。検査の結果、財団様が公開されているカルタン地方の紅草と同様の成分と、より強い薬効を有していることが判明しました。

我々の方で発見したクマモトベニグサを利用することで紅肌病だけでなくトーキン病についても治療方が見つけられるかもしれないと考えております。クマモトベニグサの検査結果については同時に送ったデータをご覧ください。お返事をお待ちしております。

ハセガワ製薬
香田 利彦


ジョン・ライアンによる報告書

トーキン病について連絡をいただいたハセガワ製薬様との会合を行いました。研究所で詳細な資料の確認をさせていただきました。既に前回のメールから、薬効を高めるための手順も開発されていたようで、資料通りならカルタン地方で採取できる紅草の3~4倍の薬効を期待できるでしょう。まだクマモトベニグサの繁殖方法の確立には至っていませんでしたが、研究に必要な分の確保は行えているとのことで、出資条件が纏まり次第実行に移せるとのことです。


トーキン病研究の途中経過連絡

御出資の件ありがとうございました。おかげでこちらでも本格的な研究とクマモトベニグサの繁殖に取り組めております。クマモトベニグサは繁殖力が余り高くないため、当面はこちらで調薬した薬をお送りする形になります。研究が進めば現地の研究機関でも繁殖出来るようになるでしょう。

先日、財団側から頂いたトーキン病のサンプルを用いた動物実験を行いました。トーキン病に感染させたマウスを用いた実験です。簡単な結果をご報告致しますと、研究は順調です。トーキン病に感染させた検体マウス50匹の内、43匹からトーキン病を克服/及びそれに準ずる結果を得ました。残りの7匹のマウスについても、トーキン病の影響による衰弱死をしてしまったものの、治療効果自体は確認できております。詳細な研究結果を纏めたものをこちらのメールと共に送らせていただきました。こちらとしては、今回の結果を受け、できるだけ早く現地の罹患者での治験を行いたいと考えています。お返事をお待ちしております。

ハセガワ製薬
香田 利彦


トーキン病治療研究の報告書

ハセガワ製薬様の治験の結果を報告します。成功です。カルタン地方、及びその周辺地域の志願者を対象としたトーキン病の投薬治療は全ての患者で完了しました。平均して2週間、時間を要した患者でも8週間の投薬(加えて一般的な塗り薬)によってトーキン病の完治が確認されました。(ただし、この結果は病院という理想的な環境で行われた結果であり、在宅治療であればもう少し時間がかかるだろうというのがハセガワ製薬様の見解です)加えて副作用も今のところ確認されていません。新しく完成した薬の現地利用の開始に踏み切るには充分な結果であると判断出来ます。

メンテナンスと使用法: 薬剤は一般的な薬品と同様に保管されます。

取扱い制限: 薬剤はトーキン病、及び重度の紅肌病患者に提供されます。軽度の紅肌病患者については従来通りの治療が施されます。

割り当て: マナの慈善財団の医療部門が地域ごとの薬剤の配布量の確認を、ハセガワ製薬様がそれに応じた生産を担当します。


トーキン病治療の経過について

経過は良好です。トーキン病患者数は減少傾向を見せており、新薬を導入してから、最盛期と比べ報告される患者数は3割程度まで減少しています。どの地域でも減少が確認できていることから、新薬は問題なく作用していることが確認できます。先日、ハセガワ製薬様からトーキン病治療精度の向上及び感染予防を含めた新たな治療薬開発の打診があり、追加の出資を行うことを決定しました。近いうちにトーキン病の完全な根絶が完了するでしょう。


カルタン地方担当の現地医師による報告書

先日新たに導入されたクマモトベニグサを元にした新薬ですが、現状当地域では有効性を確認できておりません。新薬がトーキン病や紅肌病に効果を発した例は全体の1割にも満たず、加えてそのどれもが紅草を併用した治療です。果たして新薬に本当に効果はあるのでしょうか?無論、こちらの管理方法や利用方法に不備がある可能性も否定できません。他地域での経過、導入決定のプロセス、及び新薬の効果について再確認を行わせていただきたいです。よろしくお願い致します。

注記: 同時期に他地域の担当者からも同様の報告書が挙げられています。委員会は全地域の担当者を集めたミーティングを行うことを決定しました。


ハセガワ製薬より提供のトーキン病治療薬について

会合は幾つかの資料の擦り合わせから始まりました。まず、私達は「新薬に効果がない」と主張する現地の医師達に成分表、動物実験や治験の結果を見せました。医師達は実態と異なるとして実験の結果に疑問を唱えました。次に、現地の新薬活用状態について医師達が報告書を提示しました。その時、我々はあることに気がつきました。

報告書の内容と報告されている患者数が全く違っていたのです。

私達はすぐさま保管されていた″我々の″報告書を医師達に見せました。医師達は見覚えがないと言いました。現地から本部に届けられる報告書は全てが入れ替えられていたと言うことです。現地の医師による検査では、新薬の成分は一般的な風邪薬と大差ない事が分かりました。

会合後、すぐさまハセガワ製薬に連絡をとろうとしましたが電話は通じませんでした。メールなど、あらゆる連絡手段をとりましたが返答はありませんでした。日本に存在していたはずのハセガワ製薬の研究所は既に廃屋になっていました。

ハセガワ製薬について手がかりを得るために我々はあらゆる手段を尽くしました。しかし、有力な情報は得られませんでした。ハセガワ製薬の治験に協力した地元住民の元を訪れましたが、既に全員が蒸発した後でした。恐らく、ハセガワ製薬から金銭を受け取っていたか、治験のためにハセガワ製薬が潜り込ませていた人々だったのでしょう。

調査の結果、報告書の差し替えは今年の5月頃から行われていたことが判明しました。ハセガワ製薬がダミー企業として立ち上げられたのもこの頃であるようです。彼らは研究費用を奪い取るために行動していたのです。

最後に、こちらのグラフをご覧ください。これは、現地の医師が提出していた差し替えられる前の報告書から作成した本当のトーキン病患者数のグラフです。爆発的な増加はなく、緩やかな増加をしています。この傾向は報告書の差し替えが行われていた5月頃から継続しています。

我々は、何もしていなかったのです。

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