皆さんのご意見、ご感想に感謝します。ありがとうございます。
本来ならば皆さん一人一人に向けて回答を行うべきですが、それらが長文化してしまうため、現在挙げられている疑問点に対して回答させていただく形で失礼します。
何卒ご了承下さい。
※終了措置に電気椅子を用いる事について
Dクラスの終了措置は月毎に行われる、というのが今日では一般的かと思われますが、それによる集団解雇の対象はあくまで任期を満了したDクラス職員であり、何らかの理由で任期中に職務の継続が困難になったDクラス職員に対しては個別的な終了措置が必要となると思います。
その点で、集団をまとめて終了させられるような、仰々しく、高コストな終了方法の他にもっと小ぢんまりとしていて後始末の簡単な終了方法があっても不思議では無いかと思われます。
その方法が電気椅子、という点については、それがより適切なのかどうか? 恐らく財団内部でも議論が行われた事でしょう。しかし議論を行う最中にも、実務はこなさなければなりません。その暫定的な措置としての電気椅子、ということも可能性の一つとしては問題無いかと思います。
そしてそういった暫定措置が、なしくずし的にずるずると継続されるような事も、不自然ではないと思います。何故ならば、その暫定措置で実際に長らく問題は起きなかったのですから。
そのために、SCP-484-JPの発現日時と、電気椅子が使用された年月について記事中では明言していません。とても古く、そして馴染まれた措置であると判断可能な余地を残すためです。
それにSCPというモノを扱う上で、何が正しくて何が正しく無いのか、それはどのように推測しても推測し切れるものでは無いと思います。ならば重要視するべきは「今どうなっているか」だと私は考えます。
財団が私と同じように考えるかどうかは分かりませんが、私が考える財団ならば、暫定措置としての電気椅子で長い間問題が起きていなかったのならば、そのまま電気椅子を使い続けるでしょう。
※SCP-484-JP発現の予測について
実際に「幽霊的SCPオブジェクト」というのは多数サイトにも存在し、財団世界に於ける財団としても認知している分類でしょう。
しかしそれらはあくまで「幽霊的」であり、そのメカニズムあるいは発生の原理、経緯は一切明らかになっていません。幽霊的オブジェクトが発生する理由を財団は一切把握しておらず、ただ単にそういったオブジェクトの発生を調査し、観察する事で「人間的感情と情動反応の徴候が見られる」として後追いで判断するだけです。
SCPの影響に曝露したDクラスの幽霊化となれば、更に事態は複雑化するでしょう。SCPに曝露したDクラスが接触したものがSCPオブジェクト化する。ならば彼らが寝ていたベッドは? 彼らが歩く廊下は? 遺品は? 視覚的認識災害に曝された人間が死ぬ寸前に見たものは?
可能性は無限に広がってしまいます。逆に、ガス室等の他の方法を使用する合理性の根拠は? 損傷と接触を抑える事で未知の反応が無害化する原理とは? 今何も起きていない状態で、わざわざこれまでと違った方法の終了措置を模索する理由とは? 幽霊の発生が死因に関連する理由は? 死因に関連するのならば、それが他の終了方法で発生しないとされる理由は?
幽霊については、科学的にはほぼ何も明らかになっていません。財団世界に於ける財団にとってもそうでしょう。可能性と予想(科学的根拠がなければ予測は予想にしかなり得ません)はどこまでも広がり、決して絞れません。
何も分からない、予測のつかない未知の幽霊について「このままDクラスを同じ電気椅子にかけ続けると幽霊化するような気がするから直ぐに対応するべき」と言う職員がいたならば、もし私が彼の上司であればこう言うでしょう。「気にし過ぎだ。そんな夢みたいな不確かな可能性に労力と予算をいちいち割いていては、財団は今日中にも全ての資源を使い切るだろう」と。
それに電気椅子は一つだけでは無いでしょう。これは幾つもある個別的な終了措置用の道具の内の一つであり、特異性が発現した稀少な例であると私は想定しています。SCPに曝露したDクラスを全米中からこの電気椅子には流石に集めなかったでしょうから。
そういう意味でも、SCP-484-JPには「Contamination」というタイトルを付けさせて頂いています。
SCP-484-JPは偶然と未知の混合反応によって発生した事故であり、報告書内でも発生の直接の原因に言及されていない事から、再現不可能の化学反応のように認識されているものである事を示唆しています。
※異常性の無力化について
記事中ではSCP-484-JPの「管理」を財団日本支部に移譲したというだけで、その具体的な収容場所については言及されていません。そのため、記事のタグからも「国内収容」または「国外収容」のタグは意図的に外してあります。
そしてSCP-484-JPの記事中に於いても「異常性の発現は米国領内に存在する場合」とのみ記述されており「日本国内で無力化する性質である」とは記述されていません。
つまりSCP-484-JPの現在の収容場所は日本とは限らない訳です。米国領内にさえ入らなければ良い訳ですから、米国領にはなり得ない場所に収容し、その管理と記録を財団日本支部が行えばそれで良いのです。
米国領外に於いて性質が無力化する原因は、私の想定では「Dクラス職員の幽霊的な観念の集合体による『ここから逃げたい』という単純化した思いが、SCP-484-JP異常の構成要素の一つ」というものですので、その判定基準として米国領外への完全な脱出のみを以て目的達成と見なしているのでしょう。ここから逃げたい、という単純な思いだけが先走った結果とも言えます。
ただ、やはり科学的な解明が困難であるために、財団としてはその点を報告書に記載する事は出来ないだろうと思います。危険が収容され、それで無力化されているならばそれだけで良い、と考えたのかもしれません。
いずれにせよ「日本に移ったから異常が消えた」のではなく「米国領から脱したから異常が消えた」という点を認識して頂ければ、異常が収まった理由も直感的に理解出来るものと私は思います。
※オブジェクトクラスについて
意図としては「日本支部にとってはNeutralizedでしか無い」ためにこのようにしましたが、思い返してみれば確かにSafeの方がより適切であるようです。直ちに修正いたします。