まずそもそもの問題として、全寮制の女子校における百合ものというジャンルにさほど思い入れがないため、読者として辛いものがありました。パロディとしてはアリかもしれませんが、今の時点では上手くいってるかというと正直微妙です。
その他引っかかった部分を箇条書きでいくつか。
- もしSCP-1132-JPが消えるか大幅に改稿されるかした場合、この作品が単独で成り立つかどうかはかなりギリギリでは? そうでなくとも基本的に現在のJPでは、メインリスト記事を巻き込んだ明確な続きものという時点でネガティブに受け止められるリスクが高い(私個人としてはアリだとは思うけども)
- 吸血鬼とレズビアニズムの組み合わせは意外とクリシェ(レ・ファニュは言うまでもなく、タニス・リーもいっぱい書いてるかもしれない(読んだことないけど))
- SCP-1132-JPの続編として見た場合、前作の時点ではこの先どうなるのか分からない不透明さが長所の一つであった。しかし、ここで「女学校モノ+女吸血鬼」になってしまうと、いきなり世界観がはっきりしすぎて良さが打ち消された感がある。特に、怪奇要素が露骨になったのが痛い
言うまでもなく感性は人により様々なので、「全寮制女子校での百合!? JPに足りなかったやつはこれだぜヒャッハー!!」「レズ吸血鬼モノ大好き! 可愛そうな女子供とかいらんかったんや!」「もんやり雰囲気ホラー嫌い! 分かりやすいモンスターが出てくるやつ好き!」という読者も当然いて、つまり必ずしもこれらの要素を取り除いたら読み手の反応が良くなるとは限らないのが辛いところですね…
以下、話の質にはあまり関わりないけど気になった部分について。
SCP-1951-JP-A及びその他異常実体に不審な行動が見られた場合、実験の停止が求められます。その実験が新たにGoI-2366の構成員を増やすことがないように、SCP-1951-JP研究者らにより一定の審査を行う必要があります。未知の危険性から、SCP-1951-JPを用いての実験及びインタビューはDクラスが行う必要があります。
どうもあんまり簡潔かつ十分な記述に感じられなくて引っかかっています。
例えば、扉が異次元に繋がるかどうかは(財団目線では)完全に運頼りであっても、Dクラスにあらかじめドローンでも持たせておいて、異次元に入りこんだ場合の探索にはそれを使うことにするといったような、人間メインではない実験もあるんじゃないでしょうか。あるいは、単に記述が若干冗長なのかも。
通常、唯一のドアは同次元の向こう側に繋がります。
ここも同様に「運次第で異次元に繋がるけどそうでないときは普通のドアだよ」ということを伝えたいだけだと思えば、もっとすんなり頭に入る書き方があるように思えます。