そうですよ。ついでにいうとその上にあるのがアスガルドで、それをつないでいるのが虹の橋ビフロストです。
翻訳お疲れ様です。いくつか気になる部分があったのでお知らせします。
(※網羅的にチェックした訳ではないので、明らかな誤りを見落としている可能性があります)
長くなってしまったので、まずインタビュー1まで…
対象は、サイト-Q7人員のクリアランスに適した操作を支援する許可を得ています。
(原文: Subjects have permission to assist SIte-Q7 personnel with clearance-appropriate operations.)
ここでのoperationは作戦か作業と訳されるべきでしょう。
経費および必要とされる未知の燃料の不十分な供給のため、SCP-5708の能力の実験は決定的ではありません。
(原文: Due to damage and an insufficient supply of the unknown fuel required, testing of SCP-5708's capabilities are inconclusive.)
この不可算のdamageはそのまま損傷と訳すべきでしょう。inconclusiveは不確定、非決定的などと訳した方が自然になると思われます。
SCP-5708は、未知の予め定められた条件を利用することで、侵入可能な現実を選択できます。
(原文: SCP-5708 uses unknown predetermined criteria for selecting realities in which it can enter.)
canは最後の節にしか出ないので「SCP-5708は侵入可能な現実の選択に未知の既定条件を用います」ということ(ニュアンス的には「オブジェクトが侵入可能な現実を選ぶのに用いているパラメータは不明」と言いたいのだと思う)でしょう。
データ出力は、このセンサーがダークエネルギーの発生源を、既知の現実の外側にある超普遍的な場所まで追跡できることを示しています。
(原文: Data output indicates that this sensor traces the source of dark energy to an extra-universal location outside of any known reality.)
extra-universalが超普遍的となっていますが、おそらく機械翻訳が適当に似たスペルの別の語句(おそらくextra-ubiquitousか)から引っ張ってきただけの不適切な訳です。これ以降指摘しませんが、ざっと見る限り最初の段落で超宇宙間と訳されているのを除いて、すべてのextra-universal(と、もしかしたらその派生形)が同じように誤って訳されているようです。ついでながら、超と間が被っているのでどちらかひとつにした方がいいと思われます(宇宙間だとinter-universalの訳語に思えてしまうので超宇宙の方がベターか)。
この現象は"ナラティブ・シンク"と呼ばれており、影響を受けた現実は、既知の現実より下の空間に引き寄せられます。
(原文: This phenomenon has been designated as a narrative-sink, wherein the affected realities are being drawn to a void below known reality.)
voidは空間でも間違いではないですが、原文のニュアンス的には宇宙外の虚空に宇宙ごと引きずり込まれる(あるいはもしかしたら、現実が何もない低現実性の世界にどんどんなってしまう)ようなイメージなので「…既知の現実の下にある空間に…」とした方がそれらしくなるのではないでしょうか。
さらに、隠蔽および対応チームが待機していました。
(原文: Additional concealment and response teams were put on standby.)
additionallyではなくadditionalなので、「さらに、…」ではなく「追加の…」とした方がより正確です(元の文章からして「この流れでAdditionallyじゃないんかい!」ではあるものの)。さらに、"put on standby"は「待機状態に置かれた」であり、「待機していた」としてしまうと事件の前から待っていたように読めてしまいます。
すべてのSCP-5708/A実例は財団職員からの連絡なしに3日間、居住ユニット内に留まっており、その後、SCP-5708/A-1は隔離され、調査チームにより尋問を受けました。
(原文: All SCP-5708/A instances remained in the housing unit for 3 days without contact from Foundation personnel, after which SCP-5708/A-1 was removed and questioned by the investigation team.)
ここでのcontactは単純に接触のことでしょう。すなわちこの文の前半部は検疫手続きについて言及しており、全体として「すべてのSCP-5708/A実例は居住ユニットに3日間財団職員との接触なしに滞在し、その後SCP-5708/A-1が移動させられ、調査チームにより尋問を受けました」ぐらいになると思われます。
私を先生と呼ぶ必要はありませんよ。博士またはストラウス博士で結構です。私はあなたのCOではありませんし、あなたは故郷から遠く離れてしまったのですから。
(原文: You don't need to address me as sir, Doctor or Dr. Strauss will do just fine. I'm not your CO and you're a long way from home.)
これに限らず、現代英語圏での呼びかけのsirはそのままサーと訳した方がいいケースが大半です。この場合はとくにdoctorとの差異化が困難なうえ、おそらくCOはcommanding officerの略なので、この1文でインタビュイーが並行世界の英語圏における何らかの軍事的な組織から来た(と財団が思っている)ことが分かるようになっています。
混沌としていて、何人かの人が略奪を始め、多くの人が土下座をして彼らを崇拝し、他の人たちは皆、気が狂っていきました。
(原文: It was chaos, some people started looting, a good bunch dropped to their knees and worshiped them, others just went crazy.)
Run-onセンテンスというやつなので(調査聞き取りの文字起こしにランオンセンテンスを入れるなウワアアアと言う他ない)、chaosの後、あるいはその他すべてのコンマはピリオドであるかのように訳すと作者の意図に近い表現になります。原文にさらに近づけるために句点(。)を読点(、)にするかは気分で。
あと、好みの問題ですが、"dropped to their knees"を土下座と訳すのは若干絵面が離れすぎに感じます。
最初は人類を奴隷にしたいと思っていましたが、まあ、ある意味ではそうなのでしょう。
(原文: At first, we thought they wanted to enslave mankind, and, in a way, I guess they did.)
主語の抜き過ぎで原文と比べて意味不明瞭な文章になっています。また"think (that) …"はほぼ間接話法なので、例えば「…皆、連中は人類を奴隷にするつもりなのだと考えたが、…」ぐらいにもう少し思考内容を明確に括り出した言いまわしにすべきです。さらに、thoughtで扱われると大体その後現実に起きた出来事とギャップがあることをほのめかすニュアンスがあり、その上SCP-5708/A-1には最終的に自分の世界がヴァニールにどうされたかについての正確な知識はない(という態で振舞っている)という時間の流れがあるので、「そうだった」と過去形にした方がそれらしくなります。
ヴァニールは別の地球の形をしたところから来た異常な存在だと分かりました。
(原文: From what we learned the Vanir were anomalies from another version of Earth.)
"From what we learned"を分かったとだけ訳してしまうのは乱暴に感じます(相手が別の宇宙から来たと思われる、超越的な力をふるう異常存在である場合は特に)。また、大文字でEarthと言えばこの地球ひとつ(基本的には)なので、"another version of Earth"は単純に「別バージョンの地球」でいいでしょう。
彼らと手を取り合って、使用人たちが"空虚な住人"と呼んでいる何かと接触し、何とかそれと契約しました。
(原文: They had band together and contacted something the servants called a "void-dweller" and somehow made a deal with it.)
"They had band together"は文脈的にヴァニール内部の団結を指していると思われるので、「彼らは結束し、…」とすべきです。また、"void-dweller"はハイフンがあるためおそらく「voidに住んでいる者」の意で訳すべき方でしょう。
つまり、ヴァニールは人間でありながら、異常な人間であったということですか?
(原文: So the Vanir were human, well anomalous humans?)
wellで言い淀み、再度同じトピックを違う言葉で言い直している表現です。すなわち「つまりヴァニールはヒト…ええと、異常なヒトだったと?」ぐらいのニュアンスです。
だから自然に、あなたは彼らがあなたの世界と同じようなことをすると思っていたんですね。
(原文: So naturally you assumed they were going to do the same thing to your world.)
文脈的にヴァニールの召使たちの証言を踏まえた発言なので「それで当然、彼らがあなたの世界に(ヴァニール達のバージョンの地球で起きたような大規模な虐殺あるいは拉致と)同じことをすると思ったと」という意味合いだと思われます。「あなたの世界と」では、インタビュー時点でヴァニールがこの世界に本格的な進出を開始した/しようとしている証拠が薄いために意味が通じません。
私たちが西半球にあるすべてのヴァニールの施設を攻撃した日から数日後、ヴァニールが何か大きな計画を立てているという知らせを受けました。
(原文: We were days away from assaulting every Vanir compound in the Western Hemisphere when we got word that the Vanir were planning something big.)
"day(s) away"は大抵未来を指すため、攻撃の後ではなく予定の数日前と解釈すべきです。
それについて考えるのが難しいんです。– 悪い夢のようだと考えるだけで、集中力が続かないんです。
(原文: It's just hard to think about– like a bad dream, it’s hard to focus on.)
これもrun-onセンテンスです。"like a bad dream"も最後の節に対しゆるい関係しか持たない、本来独立すべき文とみなした方がいいかもしれません。
それは二重に見えるような感じで、それは誰の目にも見られました。色が現実から滲み出ているように、その輪郭そのものが引き離されているようにも見えました。
(原文: It was like having double vision, but it was everyone, it looked like the color was being bled from reality, like its very outline was being pulled away.)
この"double vision"は医学的症状としての複視と解釈した方がより正確でしょう。直後に「でも全員がそれ(=having double vision)」ともあることですし。そうすると必然的に、このbutもフィラー的な無意味の接続詞ではなく、ちゃんと逆説の意として解釈すべきです。
最初はそんな感じではなく、2~3週間かけてゆっくりと積み重なっていきました。
(原文: It wasn't like that at first, it was a slow build-up over two or three weeks.)
build-upはこの文脈だとそのまま字義的に訳すより、増大ないし事態の進行として解釈した方がそれらしいでしょう。
そうですね、彼は現実に何が起こっても影響を与えないバンカーを持っていました。私たちはそれを深井戸と呼んでいました。
(原文: Yeah well, he had a bunker where whatever was happening to reality didn't affect it, called it a Deepwell.)
Deepwellは初出のSCP-3812でディープウェルと訳されています。おそらく揃えても問題ないでしょう。あと、多分Deepwellと呼んでる(いた)のはスクラントン博士でしょう。
彼はヴァニールとその塊は予想外な結果だったと言っていました。
(原文: He said these Vanir and the mass were just a side effect.)
ここでの"side effect"はそのまま副作用と訳すべきで、さらにjustが訳抜けしています。おそらくは両方合わせて「ただの副作用に過ぎない(=すなわちスクラントン博士には主作用相当の異常現象・物体が他に存在するという確信があり、ストラウスらはそれに対処する方法を探るために他の宇宙へ行く)」というニュアンスです。
対象は椅子に移り、目に見えて不快感を示した。
(原文: Subject shifts in his chairs showing visible discomfort.)
このshiftはもぞもぞと体を動かすというような意味で、口語的表現ですがSCP世界ではよく報告書に使われています(なんでこのchairsは複数形なんだ…)。
残りのSCP-5708/A実例2体は、安全人型居住ユニット4内で共同生活をしており、レベル1の基本的クリアランスが与えられ、対象はサイト-Q7のクリアランスに適したエリアを訪問することが許可されています。
(原文: The remaining two instances of SCP-5708/A live communally within Secure Humanoid Housing Unit 4 and have been given Level-1 basic clearance, subjects have permission to visit clearance-appropriate areas of Site-Q7.)
"clearance-appropriate areas"を「クリアランスに適したエリア」と訳すのにどうも違和感が拭えません(clearance-appropriate operationsも気にならなくはないが、これに比べるとマシ)。もうちょっとそれっぽい言い方を模索してみてほしいです。例えば、「クリアランスに照らして適切な…」とか、「クリアランス相応の…」とか。
SCP-5708内に残存する燃料のリバースエンジニアリングに成功し、化合物-5708/Zと命名されました。
(原文: The fuel remaining within SCP-5708 has been successfully reverse-engineered and designated Compound-5708/Z.)
文章の能動・受動がねじれています。「…リバースエンジニアリングに成功…と命名しました」あるいは「…燃料が成功裡にリバースエンジニアリングされ、…命名されました」といった感じでそろえた方が自然でいいでしょう。
8つの侵入可能な現実の中に存在するダークエネルギーがこの場所に引き寄せられていることが理論化されています。
(原文: It is theorized that the dark energy present in the eight available realities is being drawn to this location. )
theorizeは仮説・証拠の(まだ)乏しい理論という意味合いが強い表現です(参考)。なので、「理論(仮説)が立てられた」「推測された」とした方がより自然でニュアンスを汲んだ表現になると思われます。
SCP-5708/A-6の創傷からSCP-4608-1の種子に感染していることが判明し、6人の対象者全員を隔離しました。
(原文: All six subjects were quarantined after SCP-5708/A-6's wound was found to be infected with SCP-4608-1 seeds.)
ねじれ文感があります。前半部は「SCP-5708/A-6が創傷から…」あるいは「 SCP-5708/A-6の創傷がSCP-4608-1の…」、後半部は「…対象者全員が隔離されました。」か「判明したため、6人の…」のどちらかにした方がより自然な流れになります。
残ったSCP-5708/Aは十分な医学的評価を受け、人間と判断された後、怪我と栄養失調の治療を受けました。
(原文: The remaining SCP-5708/A received full medical evaluations and after being determined as human, were treated for injuries and malnutrition.)
ここでのfullは完全とした方がそれっぽいと思われます。
SCP-5708/A実例は、サイト-Q7の安全人型居住ユニット内に共有的に配置されました。
(原文: The SCP-5708/A instances were placed communally within a Site-Q7 Secure Humanoid Housing Unit.)
ここでのcommunallyは、つまりは生存しているSCP-5708/Aをグループで1つの居住ユニットに収容したということだと思われます。
私たちは彼らを追跡するために最善を尽くしましたが、彼らの数は多く、私たちには少数の人数しかいませんでした。
(原文: We did our best to keep track of them, but they were many and we were few.)
この"keep track of"は「記録をつける」の方かもしれません。
誰もが彼を疑似科学のヤブ医者だと思っていましたが、実際彼は狂っていませんでしたし- 彼は正しかったのです。
(原文: Everyone thought he was a pseudo-scientific quack, well turned out he wasn't crazy- he was right.)
quackには確かに藪医者の意もありますが、流れ的にもっと幅広くペテン師・山師・詐欺師といった表現にした方がいいかもしれません。