ありがとうございます。まず前提として、この記事及び闇寿司ファイルNo.911 "広末孝行のたたき"を書いていた当時はルベトゥス 睦美についてあまり設定が固まっておらず、憶測とヘッドカノンがかなり含まれていたことをご承知頂いた上で、ここからの与太話をお聞き下さい。
私はこの記事を書く際、仰るとおり「恋昏崎にいるので元構成員である」という安易な想定の下でルベトゥスの項を執筆しました。これは私の中で恋昏崎の住人は元居た組織や諸超常団体に対して過剰に排他的な印象があったためです(恐らく、恋昏崎新聞社の徹底的財団叩きイメージの影響もあったかと思われます)。そのため「関心団体”闇寿司”の元構成員」と記述しましたし、"広末孝行のたたき"を執筆する際もそのヘッドカノンが念頭にありました。何処の辺りがそれを現しているかというと、
他の活用法 セクション
一身上の都合により広末孝行のたたきを恋昏崎から持ち出すのが困難なこと
エピソード セクション
広末孝行のたたきとは比べものにならない使い勝手の良さである。ぜひ闇寿司本部においても配備を検討して頂きたい。
といった箇所です。当時の私の想定としては"広末孝行のたたき"をルベトゥスが作成している際、ルベトゥスはすでに闇寿司を放逐(今風に言うと破門でしょうか)されており、それが「一身上の都合」に当たるわけです。ルベトゥスの立場としては「勝手に元所属組織のフォーマットを使っている狂人」であり、「ぜひ闇寿司本部においても配備を検討して頂きたい」というのは、言うならば左遷された先で功績を挙げて本部に舞い戻ってやろうという半沢直樹的逆転展開を志向するルベトゥスの精神が垣間見える記述になっているわけです。
ではなぜルベトゥスが闇寿司を追い出されたのか。これも当時の私は考えていました。最初に頭に浮かんだのは「銃器を使っているのがあまりにも過激すぎた」からだというものでした。いまでこそ"銃"だの"手裏剣"だの"レールガン"だのといった立派な兵器が闇寿司の武装として並んでいますが、執筆当時は闇寿司の主武装と言えばハンバーグやラーメンであり、概念の握りを除けばまだ食品に準じているものでした。その中でぶち込まれた黒洞々たる闇のライフルは衝撃そのもので、まるで極限の環境に追い込まれた生物がいびつなガラパゴス的進化を遂げるように、
indonootokoさんが闇寿司を恋昏崎に放り込むにあたって、尖った暴力的要素をルベトゥス(黒洞々たる闇投稿当初では"闇寿司恋昏崎店店主"もしくは"板前"と呼称されており、ルベトゥス 睦美という名前はありませんでしたが)に付け加えたものかと驚いたものです。
その衝撃も相まって、ルベトゥスは闇寿司の中でも過激さが突出してしまったのでは無いかというヘッドカノンが生まれました。"広末孝行のたたき"の「ぜひ闇寿司本部においても配備を検討して頂きたい」というのも、「闇寿司本部は現在ライフルを配備していない=そもそもスシブレードにライフルは必要ない/オーバースペックである/スシでは無い=それなのにライフルを配備させようとしているルベトゥスは闇寿司の中でも異端である」ということを示唆する演出として加えた記述だったように覚えています。
また、別パターンのルベトゥス破門の理由付けとして、「ルベトゥスは財団のエージェント説」も考えていました。黒洞々たる闇において「バラムツのスシを食べると記憶消失を併発すること」が示唆されており、これは「ウチハ闇寿司ダカラ、負ケタ時ノ"記憶消失"凄ク早イカラ覚悟シロヨ」(太字強調は筆者による)というセリフから闇寿司のスシ全体に共通するものと考えることも出来ますが、バラムツスシの固有特殊能力と捉えるのが主流の見解であると思われます。つまり、ケツの決壊と共に記憶も流れ出させる能力です。
そして"記憶消失"と言えば多くの方は財団の記憶処理技術に思い当たるのでは無いかと思います。黒洞々たる闇で「記憶喪失」ではなく「記憶消失」という表記であることもこの考察を後押ししました。サイト内検索で"記憶消失"を検索すると、トップにはSCP-7891-KO-EXが出てきます。そしてこの記事は記憶消失を起こすマッシュルームについての報告書であり、これを財団が利用して記憶処理剤の生成を行っていることが明言されています。ルベトゥスが財団エージェントであるが故についぽろっと「記憶喪失」ではなく「記憶消失」という単語が出てきてしまったのは想像に難くありません。
また、ルベトゥスの代名詞であるライフル。これもある財団エージェントと深い関係があります。エージェント ストレルニコフです。ストレルニコフも然れど語らずなどを筆頭としてライフルと共によく描写されているキャラクターであり、皆さんがショットガンと言えばクレフを連想されるように、SCPでライフルと言えばストレルニコフを連想するでしょう。
ストレルニコフがルベトゥスとどう関係あるんだという方もいらっしゃるでしょうが、少々お待ち下さい。結論を急ぐ前に、少しルベトゥスの特徴について皆さんに今一度把握していただきたいと思います。箇条書きで羅列すると、
- 黒人男性である
- カタコトの日本語で喋る
- 寿司職人である
これらがルベトゥスというキャラクターの大きな要素であることは皆さんにも納得して頂けるでしょう。ところで、私はこれらの特徴を見たとき、ある一人のキャラクターが脳裏に浮かびました。それはデュラララ!!という作品に登場するサイモン・ブレジネフというキャラクターです。このサイモン、奇妙なことに「黒人男性」、「カタコト」、「寿司職人」といった特徴がルベトゥスと完璧に一致しており、さらにはかつて武器商社に所属していたことが示唆されているキャラクターでもあります。彼にとってライフルを手に入れるのは容易だったことでしょう。サイモンがルベトゥスのモチーフ元候補としてかなり有力なキャラであることはご理解頂けたかと思います。
そして最も重要なことが、このサイモンがロシア系の黒人として"露西亜寿司"という店に勤めていることです。チェチェン人に対する強烈な殺意で広く知られるストレルニコフが、ロシア出身の財団職員であることは偶然の一致では無いでしょう。ここから類推すると、ルベトゥスは同郷のストレルニコフの伝手を辿って財団に加入したのでは無いか?という考えが浮かびます。これはルベトゥスの言動からも伺うことが出来、広末が対戦拒否の意を示したところ即座にライフルを突きつけた辺りなどは、SCP-050の関連文書である文書050においてストレルニコフが激高して重火器を持ち出すところを彷彿とさせます。またストレルニコフの通称はWaxxですが、バラムツを食べて尻から垂れ流すものもワックスエステル、即ちWaxです。ルベトゥスとストレルニコフの間に何らかの親交があることは間違いないでしょう。
さて、財団エージェントのルベトゥスがなぜ闇寿司に所属していたのか。これは当然潜入捜査です。闇寿司ファイルNo.003 "鯛ブレーカー"の関連文書で書かれているように、ロシアに鯛ブレーカーが出現している、つまりスシブレードが行われているということは、闇寿司もロシアで活動していることは想像に難くありません。ロシア支部のエージェントだったルベトゥスは闇寿司への潜入捜査を命じられ、スシの暗黒卿に登り詰めるまで着々と地位を築いていったのでしょう。
しかし、恐らくどこかの時点でルベトゥスが財団エージェントであることが露見する、もしくはそのような疑いを掛けられたのではないかと思います(その後の展開的には、確実な証拠はないものの後者だったのではないかと考察しています)。そのためルベトゥスは闇寿司から追い出されたのでしょう。そして、次の潜入先として選ばれたのが恋昏崎です。元闇寿司という肩書きで疑われること無く店を開き、住人達を監視しているものと考えられます。それを示唆しているのが黒洞々たる闇における「マァ座レ!ヒロスエタカアキ!オマエナラ"寿司ブレード"ノ作法グライ知ッテルダロ!」(太字強調は筆者による)というセリフです。これはルベトゥスが広末のことを事前に知っていたことを示すものであり、潜入エージェントなら財団に対して敵対的な恋昏崎新聞社のトップである広末のことをあらかじめ把握していても不自然ではありません。
そして黒洞々たる闇で描かれているように、ルベトゥスは記憶処理剤をふんだんに使ったバラムツ寿司でスシブレード対決を挑み、広末の肛門を決壊させることによって恋昏崎新聞社崩壊のための内部工作を行ったものと思われます。余談ですが、広末が闇寿司恋昏崎店に訪れたのは恐らく黒洞々たる闇が最初では無いと思われます。「ウチハ此処デ長イコトヤラセテモラッテルゾ」とのセリフからも分かるように、それなりに昔から闇寿司恋昏崎店が存在していたにもかかわらず、広末が恋昏崎店の存在を把握していなかったのは、「広末が過去にも恋昏崎店に来店し、来店時の記憶を消されている」ことを示唆するものであると考えられるためです。これは広末がスシに触れる前に、なぜかスシブレードを知っていることからも推測できます。スシブレードの原典であるSCP-1134-JPで「記憶処理を受けてもSCP-1134-JPやスシブレードについての記憶を失うことはありません」と明言されているように、財団製の記憶処理剤を使用するルベトゥスでは広末の「来店した記憶」を消すことは出来ても「スシブレードの記憶」を消失させることは出来ないためです。
さて、それでは広末が過去に来店した時は何が起こったのでしょうか。私は恐らくルベトゥスによる広末への尋問が行われたのでは無いかと考えています。来店者を瞬時に閉じ込める店の構造と言い、闇寿司恋昏崎店が監禁・尋問に特化した改造をされていることは間違いありません。ライフルで脅された広末は新聞社や、新聞社が掴んだ様々な超常組織の情報を引き出されました。そしてそれが何度か繰り返されたのち、情報提供限として価値が無くなった広末を処分する際に行われた最後のスシブレード勝負が黒洞々たる闇の出来事だと思われます。バラム-Ⅱが瞬殺されたのは何回も対戦を繰り返していたからこそルベトゥスにアドバンテージがあったのでしょう。
"広末孝行のたたき"で「恋昏崎新聞社の報道は不純物が多すぎる」とコメントしているのもそういう理由で、報道とエージェントとして実際に手に入れた情報の差について述べているに違いありません。広末孝行のたたきをやけに過小評価しているのも、対財団の兵器となり得る広末孝行のたたきの強さを闇寿司に認識させたくないという狙いがあるものと思われます。
他のパターンとしては「広末が店に気づけなかった」「記憶消失」から発展して「ルベトゥスは反ミーム実体であり、過去の事例から反ミームを恐れた闇寿司によって追い出された説」や「スシの暗黒卿は代替わり制であり、ウェイターの台頭によって失脚した説」を考えていましたが、概ねこのような裏設定を夢想していました。
しかし、事ここに至ってはルベトゥスがガッツリと闇寿司に所属したままの設定の記事が続々と生み出されており、そもそもの前提である「恋昏崎の住人は元居た組織や諸超常団体に対して過剰に排他的」という認識も、日本生類創研出身で、彼らに恨みを持っている住人も居るはずなのに恋昏崎固有種の花 太古の地層より化石発見で「今後の展望として日本生類創研など各機関と連携し~」などと書かれていることに気づいてしまい、もうこのヘッドカノンはぼろぼろの機能不全になっています。なので、今後記述を改訂することもあるかもしれませんが、現状は
TF2045さんが仰るように、
調査が進んでいないため、特事課が「恋昏崎にいるので元構成員である」と思い込んでいるだけ
ということにしておいて下さい……。