意見募集内容
カノン要件にSCP記事を加えることの是非を問う
背景
先日シリーズ-JP(新名称: 連作-JP)の成立要件が改定され、SCP記事がこの要件に含まれることとなりました。これを一つのきっかけとして、SCP記事を(連作-JPの下位分類である)カノン-JPの成立要件としても容認すべきであると考えます。
本来本サイトの根幹とも言えるSCP記事がカノン要件足りえないというのは直感に反するものです。この違和感は連作-JPとカノン間の要件相違によってより顕在化するものと考えられます。カノンとは何かを考えたとき、SCP-JPがその要件となりえないのは不適切であるといえるでしょう。
またSCP記事をカノン要件とすることは、SCP創作上大いに肯定的意味がある行為であり、差し当たってのデメリットは考えられないか、メリットを下回るものと思われます。これは本年多数成立したカノンの運用やその影響からも類推されるでしょう。
あえてSCPを非要件にとどめる必要性がなくむしろ本義から言って含めるべきである以上、本サイトの一層の活性化のためにも改定すべきであると私は考えております。
以前、2018年10月にも
santou氏により同様の提案がなされたことがありました。
その際はSCPを含めることは反対多数で破棄されましたが、状況の大きく変化した今日では異なるのではないかと考え、今回の意見募集を行いました。
まず、以前の意見募集における意見の検討を行います。
註: 以下は過去に対する一方的な反駁としての側面を強く有しています。これに対する反論は(もしあれば)今日の議論者に委ねています。
以前の意見募集ではSCPのカノン要件化について、以下のような反対意見が示されていました。
1. 「ENが改定しているから合わせる」ではないか?
2. 低品質なカノンの発生原因とならないか?
3. SCPをベースにカノンを作成しても差異に乏しいのではないか?
4. 記事として特殊性が強くないか?最初の記事として不適切となりえるのではないか?
5. (他の作品について)創作上の足枷とならないか?
6. IFのカノン記事を通常ナンバーに加えるべきではない
7. カノンハブを作りやすくしたいというのが理由ではないか?taleを書けばいいではないか
8. 普及しているのであればTaleの要件くらい満たせるのではないか?
9. Taleが少ない状況を助長しかねないのでは?
これらの意見はまず前提として、カノン-JPが「わるいざいだん」のみ(正確には203年忘年会が含まれていた時期もあるが、当時は1つ)であった、すなわちカノンについての知見が今日以上に不十分であったことを踏まえる必要があるでしょう。その後カノン-JPは増加の一途を辿り、特に今年前半は7つものカノン-JPが成立しました。いまだ十分経験があるとは言えないでしょうが、しかし2018年当時よりははるかに多くの、参考となるべき知見があるといえます。
上記前提の影響を受けての、議論参加者による想定の偏りとして指摘されるべきは以下の点です。
(a) シリーズ形式のカノンを前提としすぎている。(既存カノンでの反例: 公費旅行、霧津奇譚)
(b) 一般に想定される世界観とは逸脱した空想的なカノンを想定しすぎている(既存カノンでの反例: 扶桑紀)
以下は私個人の上記主張に対する反論ないし説明です。
1. 今回の意見募集はENの状況を前提としません。
2. 意図は理解できますが、それはTale-JP及びGoI-Format-JPに限定することの理由としてはやや薄いように思います。おそらくTaleのみの方がSCP混在よりも厳しいという判断なのだとは思いますが、これが必ずしも高い評価の記事を約束するものではないでしょう。ゆえに一考の余地はあるものの、反論としては弱いと考えます。
3. まずSCPをきっかけとして成立したカノンにはスシブレードや1998年が存在します。これらのカノンは当然Tale等の存在によってカノンとなったのであってその文脈上非SCP記事を無視することはもちろん不適切です。しかし各カノンのSCP記事はその他の「ノンカノン」記事とはそれらSCP記事だけで明確に区分可能でしょう。例えばたとえ1998年カノンに位置するSCP記事5本(ex. SCP-1710-JP, SCP-2041-JP, SCP-2910-JP, SCP-2911-JP, SCP-2912-JP)を抽出した場合でも、これらの作品がノンカノン記事とは大きく異なった前提を共有していることは十分わかることでしょう。Tale的なSCPも増加した今日では、十分差異は描写可能でしょう。
また、この意見は(a)によるバイアスが強いように思われます。明白な前提の違いがあるのであれば、それで十分把握可能ではないかと思う次第です。
4. 前半についてはむしろ、SCP記事によるカノン化(タグ化)を肯定する根拠となりこそすれ、否定する根拠にはなりえないと思います。タグはノンカノン記事との差をによる明示しますから、そういう(何か普通とは違う)ものがあるのかという認識を、もたらしえることでしょう。
後半については必ずしもそうならないと思います。同様のとっつきにくさは要注意団体や既存記事(提言など)を前提とする記事にもいえますし、これがSCPをカノン要件としない理由となることはないでしょう。むしろ新たなカノンはSCPのジャンルを拡大し、新たな誘導としても機能し得るでしょう。これについてはスシブレードが参考になります。
5. ならないと考えます。非カノン記事に対し影響を及ぼすのはあくまでカノンではなくカノンに所属する記事であるはずです。カノンとして形態を持つからこそ却って非カノン記事との分別がなされるのではないかというのが私の意見です(当該カノンを採用しないことが明確となるため)。
6. 当該スレッドでも反論があった通り、この指摘は架空の「メインカノン」によるSCP創作の制限を生じる主張であって財団のあり方上否定されるべきものです。また(b)のようなカノンを想定していません。よって根拠として不適当でしょう。
7. 前者については今回の動機とは全く異なりますので述べません。Taleを書けばいいというのはある種正論ではありますが、これは拡張を拒絶する理由となりえないというのが私の意見です。SCPでもいいのではないかと思う次第です。
8. まず(これは反論者も仰っていたことですが)カノンの性質によってはTaleが書きにくい可能性があります。SCP記事においてその差が明確に現れるようなカノンにおいてわざわざTaleを書く必要を強いるのは不適でしょう。それを無視した部分で反論しがたいのがこの主張です。しかし今回私がこの提案をしたのは「Taleを必要としSCPを排除する形態の不自然さ」が一つの理由ですから、この反論対する説明の必要性は低いかもしれません。
9. Tale作品の投稿数は大きく変化しています。2018年前半(1-6月)投稿の現存するSCP-JPとTale-JPの記事数はそれぞれ48作、13作であり、Tale-JPはSCP-JPの4分の1強程度でした(なおGoI-Format-JPは3作品)。一方2020年前半(1-6月)に投稿された現存記事数はSCP-JPとTale-JPでそれぞれ144作、165作であり、Tale-JPの方がSCP-JPよりも1割ほど多くなっています(なおGoI-Format-JPは56作品)。もはやTale-JP不足とは言えないのではないでしょうか?
またSCP-JPのみによりカノンができたとして、これはむしろTale-JPによる深堀りを助長こそすれ制限せしめることはないのではないでしょうか。実際はSCP-JPとTale-JPなどが混在する形が主流となるでしょうから、一層新たなTale-JP執筆を促進すると考えています。
それ以外に想定される反論について述べさせていただきます。
1. 連作-JPで十分ではないか?
連作-JPとカノンの要件を故意に違える必要性はなく拡張してしかるべきというのが私の意見ですが、あえて述べると以下のようになるでしょう。
まず第一にカノンは連作とはその連続性において大きく異なります。連作は個人で成立し得、また完結し得るように、連続性を持った物語の集合体とするのが適切です。しかしカノンはこれと異なります。ハブページの言を借りるならばカノンとは(その語が示す通り)
SCP財団の世界の基本で共有するべき物を決める為のリンク集
です。すなわち、複数人の間で共有されたヘッドカノンということができるものです。もちろん連作において同様のことは可能でしょうが、記事間に共有されるヘッドカノンの集合体をまとめるにはカノンの方がより適しています。単純にその名称やハブページの場所からも、同様のことはいえるでしょう。
連続作品を書くのが連作、共有設定を前提に作品を書くのがカノンとその性格がわずかに異なる以上、制度上連作ながらもカノンたるべき作品群は登場するはずであり、ゆえにカノン要件もまた改定すべきと考えます。
その他の理由: フォーマットについて
現在のルールではどれだけTale的かつよく説明されたSCP記事であっても要件とならず、一方でSCPを元にしたTale記事(ex: MachinaのASPやSKPのSKP)や他GoIにおけるSCP記事といえるGoI-formatは要件となりえます。また001提言についてもその記事についたタグによって要件となりえるものとなりえないものが存在しています。
この状況をより分かりやすくする意味でも、SCPのカノン要件化は自然といえるのではないかと思われます。
意見募集について
意見募集終了予定日: 2020/09/07 23:59
意見募集に際してのお願い
- 本案に対するご自身の意見を明確にしてポストしてください。
- 不適当もしくは不十分であると考えられた点があれば、当該部分を明示したうえでそのことを指摘してください。
- 本改定案の対象範囲について他に改定すべき点がありましたら、そちらもポストしてください。
- その他質問等がありましたら気兼ねなくポストしてください。