《以下の折り畳み内部は各論です。レジュメとしては全体としてのみご覧頂ければと思います》
主に前半部分は情報の出し方に関して、後半部分は構造の提案などをして参ります。
全世界のランダムな人物(SCP-2104-JP-Aと定義)に対し不可逆的に発生する睡眠時のストレス値の増大です
不可逆的に、というのが少し分かりませんでした。一度溜まったらもう解消不能なストレスということでしょうか?
また、全世界のランダムな人物、というのは意味が通らないと思いますので、いっそ全体を書き直して
『SCP-2104-JPは、対象者(以下SCP-2104-JP-Aと呼称)の睡眠時ストレス値を~不可逆的に~増大させる現象です。これまでの記録からはSCP-2104-JP-Aとなる人物に関して人種・性別・居住地等の法則性がないことから、世界中からランダムに発生すると考えられます。』
等とすると通りがよくなるでしょう。(~~部分は誤解していたら申し訳ありません。)
「寝起きの悪化」として知覚します。
言い換えも難しいのですが、睡眠時にストレスを感じていることを示して後の検索ワードの導線とするのならば、端的に『睡眠に関する障害の一種』、などとして詳細な説明を後に回してもいいかもしれません。最新リビジョンで『恒常的な睡眠障害』という要素があるので、照応させておくとよいと思います。
SCP-2104-JPの発生開始時期は不明ですが、少なくとも財団がSCP-2104-JPを異常現象として認知した2014/11/6以前から発生していたとみられています。
情報量が少ないので、圧縮していいと思います。例えば
『財団がSCP-2104-JPを異常現象として認知したのは2014/11/6ですが、正確な発生開始時期は不明です。』
など
調査の結果、本報告書執筆時点でSCP-2104-JP-Aは全世界人口の約6%を占めると推測されています。
報告書執筆時点で、は要らないかもしれません。
『最新の調査結果からSCP-2104-JP-Aは全世界人口の約6%を占めると推測され、今後も増加傾向を示すと予想されています。』
SCP-2140-JP発見の大きな要因として、「寝起きの悪化」に関するインターネット上の書き込みや医療機関への相談が異常な増加を見せた事が挙げられます。
少し繋がりが悪いかもしれません。発生時期の直後に、
『発見の経緯は、「寝起きが悪い」、「睡眠の質が低下した」、「起床時に心身に不調を来した」等の症状に関してインターネットの検索回数やSNSへの投稿、及び医療機関への相談が顕著に増加したことからです。』
等として、対象者の数や拡大傾向へと触れていくといいかと思います。
SCP-2104-JPが異常と判断される理由として、上記の不可逆性に加えストレス値の増加量が睡眠回数に比例して増大する事、また増大の上限値が概ね全ての対象に共通している事が挙げられます。加えて特筆すべき点として、8割以上のSCP-2104-JP-Aは起床後に「漠然とした孤独感」を感じたと報告しています。
かなり大事な説明だと思うので、説明の冒頭に持っていってもいいと思います。メタ的かもしれませんが、報告書にもなっているので、異常と判断される理由は書かなくてもいいと思いました。そのまま性質の説明として端的に書いてしまって問題ないかと。
『SCP-2104-JPの異常性は、一度のストレス値の増加量が睡眠回数に比例して増大傾向を示すことです。ストレス値の増加量には上限があり、その数値は概ね全SCP-2104-JP-Aで共通しています。』
等でしょうか。
また、SCP-2104-JP-Aの孤独感は前述の寝起きの悪さのところに先に書いておくと情報が集約されて読みやすいと思います。
その性質上SCP-2104-JPが致命的な問題へと発展する可能性は低いものの、一部のSCP-2104-JP-Aの労働効率の悪化や生活面の堕落、健康問題を引き起こす有害性が憂慮されています。
ここがよくわかりませんでした。SCP-2104-JPに寄らずとも睡眠障害はこの性質を持っているので、異常性として書く意味は薄いと思います。
補遺: 夢界における調査
やや唐突でした。説明の末尾に、例えばSCP-2104-JP-Aが特定のイメージを想起するとか、一定のストレス値を達成したSCP-2104-JP-Aが同じ寝言を言ったとか、錯乱したとかのフックを配置し、更に可能ならばその部分を有識者が読めば『お、夢界か!?』となるようにしておくと伏線として有効に機能すると思いますし、作中でも財団の方針として補遺にうまく接続できると思います。
文中でも、『SCP-2104-JPがSCP-2104-JP-Aの睡眠時に発生する事から、その発生原因が夢界に存在する事が予想されました。』とありますが、このままだと伏線としては弱いと思います。
その後2015/1/20に実施されたオネイロイ・ウエスト最外部事前調査では、4年前の定期調査と比較し顕著な変化として以下の2つが確認されました。
定期調査が4年前なのが少し不安です。大丈夫か……?監視漏れとかない……?というものです。もう少し間隔を狭めてもいいかもしれません。また、オネイロイと財団のおおまかな関係についても関連させて述べておくと初心者に優しいと思いました。
また、もっと根本的なことですが、映像記録が始まるまでが少し長いと思います。
思い切ってオネイロイの説明部分は端折ってしまうと一気に読みやすくなると思います。一例ですが、探査計画などは全部ログの内部に次のようにしまうことができます。
第一次探査映像記録2104-JP
部隊構成
・ルロイ = ウォルター [指揮]
・トーマス = ブランク [撮影]
・アラキナ = クイン [物資携行]装備構成
[オネイロイに擬態するための一式について書く]
[その他、それらしい装備品も書けます]降下方法
ヨーク/アイヒェル空間接続機と携帯型SRAを併用探索予定時間
最大20時間探査予定領域
オネイロイ・ウエスト表層
[探査領域に関しては脚注や前段に詳しい説明があると嬉しく思います]
更に、必要な情報は各部分に適宜脚注で付けることで、読者を一刻も早くログへと導くことを提案します。
切断により生まれた穴をくぐり、部隊は金属フェンスの内側に侵入する。その後約10分間低姿勢で草原に体を隠すようにして(風の影響を最低限に抑えるためでもある)、先程確認された小屋へ移動を行う。道中部隊はポール状のカメラを複数確認しており、その都度レンズに写る事を回避している。
クインはバックからミーム性フラッシュ6を取り出し、スプーン形の実体に対し発光させる。実体は意識を失い、窓にもたれかかるようにして倒れる。その後部隊はカメラの死角になっている窓へ向かい、破壊による突破を試みる。結果これも携帯型SRAにより消失させる事が可能であったため、鍵部分のみを消失させ小屋内部に侵入する。部隊は内部の調査を開始する。
この辺りは思い切ってバッサリ切ってしまってもいいかもしれません。フェンスの突破と侵入という展開とその結果を淡々と記述するか、あるいは夢界独自の現象などを記述することで、(特にオネイロイに詳しくない読者にとっては)実際に探索している時の興奮が想起されるような記述があると望ましいかと思います。
具体的には前者としては、家屋に浸入するところからログをスタートさせる、後者では隊員たちがフェンス以外の防衛機構によって危険にさらされるなどです。特に、本記事の場合は過疎地の防衛という要素を軸にして伏線を仕込みやすいと思いますし、収容地区の話と合わせて掘り下げがあると読者の興味を引くことができると思います。
[その後部隊は約4時間かけ、岩地の夢界を含め深層方向に4つの夢界を探査した。これらの夢界の共通点として、先程の夢界と同様茶色の小屋一棟・3体の夢界実体(1体は形状・行動共に様々であり、もう2体は何らかの作業を行うかかしの形状を取った実体である)・フェンス・フェンス付近に複数の白色の小屋が存在していた。また1.・2.の夢界においては茶色の小屋内部の調査が行われ、いずれにおいても草原の夢界の小屋と同様支給品の存在と、コンピュータがオネイロイ・ネットワークに接続不可能である事が確認された。その他に特筆すべき発見は無かったため、以下に夢界の構成要素・夢界の環境・かかし形の実体の行動・その他に確認された夢界実体の特徴を列挙し映像記録自体は省略する。]
探査ログの中に突如説明部分が出現したため、少し息切れしてしまう印象があります。
この辺りで一旦ログを分割してはどうでしょうか?
情報の整理と、収容地区の謎などをいったん整理することで可読性の向上が見込まれます。
特に、夢界の構成要素を順番に説明する箇所はログの外で説明を加えつつ書くといいかと思います。
補足事項: サイレンの作動の約10分後、オネイロイ・ウエスト外部で待機していた機動部隊オミクロン・ロー ("ドリームチーム")の隊員が以下の映像を記録しました。
この隊がログを記録した三名と同じ隊か別動隊か、把握が少し難しかったです。その明示するといいと思います。
或いはこの部分が短いので、思い切って前述の三名の隊員に目撃させてログを統一した方がいいと思います。
更に、ここでリビジョン変更を含んだ展開を行うにあたり、読者に謎というか、引っ掛かりを整理して提示した方がよいでしょう。現状だと、調査によって得られた疑問点や仮説といった作中の要素も、読者が抱くべき疑問も導線が薄いように感じました。
オネイロイ・ウエスト表層に存在する過疎化した夢界に夢界主を移住させ、夢界の抵抗力を回復・維持する。移住は経済への影響等を考慮し段階的に実施されており、当報告書執筆時2016/3/15現在も進行中である。
補足: 夢界の抵抗力について(オネイロイ・ネットワーク上のサイトより引用)
夢界には本来、「意識膜」と呼称される夢素により形成された障壁が存在します。意識膜はその夢界が属する集合意識以外のオネイロイに対して、非常に強力なバリアとして働く様子が確認されています。さらに同集合意識下の意識膜を維持した夢界同士が隣接している場合、意識膜の密度は上昇しその強度を増す事が明らかになっています。この密度の上昇は表層の夢界に効果を集中させる傾向があると推測されており、例えば円形の集合意識の場合外縁部の意識膜が最も高い密度を持つとされます。
この記述からSCP-2104-JPの性質を把握するのに少し苦労しました。
抱いた疑問点としては
Q1. オネイロイ・ウエスト中央政府による移住政策の目的と効果は何か?
Q2. 上記政策が成果を上げることと現実世界で人々が睡眠障害になることがメリットデメリットの関係になるのはなぜか?
Q3. 2015年に現実で観測された睡眠に関連する異常現象の発生件数は、2013年のものと比較して約48%に減少しているのは何故か?
であり、おそらく対応する答えとしては
A1. 意識膜の崩壊を防ぐため
A2. オネイロイ・ウエストの防衛は現実への悪影響を防止する上で非常に有効であるから
A3. オネイロイ・ウエストの安定により、移住政策の範囲が狭まったから
であると推測していますが、この部分が文字量が多い反面情報量が少なく、ストレスを感じました。少し解説的になってもいいと思うので説明を増やすべきと思います(具体的改善案は後に提案します)
SCP-2104-JPの副次的な影響として、これらの要因によりSCP-2104-JP-Aの抱いたストレス・孤独感が睡眠時に現実の肉体に影響を及ぼします。現在SCP-2104-JP-Aの該当者は全人類の約12%にあたると推測されており、労働効率の悪化や生活面の堕落、健康問題を引き起こす有害性が憂慮されています。
上記の疑問点を踏まえた上で、このデメリットと財団の介入の判断の軽重が体感として分かりませんでした。
これは私が財団とオネイロイの関係についてほぼ知らないことに起因しますが、もし外交的なルートがあるのなら政策の方向性について議論するべきでしょうし、無いのなら移住政策とは関係ない財団の技術により意識膜の保持を測るなどの意図があってもいいと思います。前提の共有と、財団の議論内容や方針があった方が具体的に提示されていてもよかったと思います。
敵対的なコレクティブ[「集合意識の別名と推測されます」]
少しさかのぼりますが、先述のオネイロイ・ネットワーク上の記事を引用するときに、それらしいニュースサイトの形式をとるなどすれば、雰囲気を崩さずに説明ができるのではないでしょうか。俎上に上がっている問題と関連勢力的な背景知識、また政策の推移状況、オネイロイ内での賛成・反対意見などを描写し、財団視点からのその分析を記述することで、財団から見たSCP-2104-JPのメリットデメリットがわかりやすく提示できると面白いと思います。
更にオネイロイをあまり知らない読者に対して、夢見などの用語解説を兼ねさせることができれば尚いいでしょう。また、ニュースサイトを利用して
しかしながら、その後オネイロイ・ウエスト中央政府により発表されている定期通信においてSCP-2104-JP-Aの夢界の環境変化、開発状況について現状と異なったポジティブな報告がなされている事が確認されており、またメディア等においても中央政府によるものと類似した報告がなされている事、加えて第一次探査においてSCP-2104-JP-Aの事実的な監禁並びにSCP-2104-JP-Aの夢界のインターネットの遮断が確認された事から、SCP-2104-JPについて何らかの情報統制が行われていると推測されています。
について、オネイロイの報道関係者などで疑惑が報じられている展開に出来ませんでしょうか?
強制移住そのものを新たな社会問題として取り扱うことで、情報統制との関連付けができると思います。
夢界学部門定期研究発表会からの抜粋
オチとしては弱いと思います。
要約すると、強制移住に伴うオネイロイの感情の悪化が現実での睡眠障害を引き起こし、それによるQOLの悪化が夢界にフィードバックしている、ということだと思うのですが、この状態をオネイロイ政府が無知だったがゆえに放置されている、というのは、結果として引き起こされるのが夢界の危機であるとすれば説得力がないと思います。また財団側がSCP-2104-JPのメリットとして『オネイロイの防衛が現実への悪影響を防止するうえで非常に有効』と判断しているのなら、このサイクルに介入しない理由はなんでしょうか?
加えて、この問題構造が財団に把握されているのなら強制的にSCP-2104-JP-AのQOLを上げにかかるのが有効な対応策でしょうが、不可逆的に発生する睡眠時のストレス値、という設定がここで効果を発揮するのは、展開のためだけに作られた設定という感じが強いと感じました。
ただし不可逆性について作中でもう少し触れることができれば、意図せぬ障害としての機能が見込まれるため、一工夫できれば面白いギミックになると思います。
・作品全体として
地方の過疎問題にオネイロイを組み合わせ、それを下敷きとした現象に関して最初から最後まで書ききっている点に熱意と技術を感じます。発想と記事への具現化の点では、自分では真似のできない大変素晴らしい力があると思いました。
一方で、展開と構成では以下の問題があると思います。
《前半部分》
・異常性の説明など、情報の出し方のつながりがよくない点がある
・ログに至るまでが長く、本筋でない情報に文字数が割かれている
・ログの内部でもあまり重要でない展開描写が多いように見える
・ログで見られた現象から、読者が根幹である強制移住を想起する材料が少ない
《後半部分》
・政策としてのSCP-2104-JPという風に定義が変更されているため、初読時に混乱する
・SCP-2104-JPの有用性が見えない為、財団の行動に違和感を覚える
・SCP-2104-JPの背景にある政府の方針や過疎化問題に対する俯瞰的な説明がない
・SCP-2104-JPの根幹的な構造である『強制移住に伴うオネイロイの感情の悪化が現実での睡眠障害を引き起こし、それによるQOLの悪化が夢界にフィードバックしている』に対して、オネイロイ政府も財団も有効な動きができていないように見える
問題点の種類としては大きく分けて二つ感じました。
《情報の集約と説明の用意》
一つは、情報の出し方です。本質的でない情報や展開はなるべく短くし、説明を増やすとぐっと読みやすくなります。
前者はおそらく書き方の工夫で十分達成できますし、後者も折角インターネット的な媒体で調査を行うのですから、ニュースサイト的な形式を使えば無理なく達成できるでしょう。
《モチーフである過疎問題に対する掘り下げ不足》
問題点としてはこちらの方が重大です。
もし間違っていたら恐縮ですが、メタタイトルの守護者たち、というのは、過疎地に正規でない住民が住み始めるという問題に対しての対応策を指しているものでしょうか?
もともと住んでいたとはいえ、都市部の住民を強制移住させることで文字通り防波堤にするという対応が取られているという解釈です。
ならば、オネイロイ政府も意図的に強制移住に踏み切り、また移住者が脱走しないように収容施設を整備している、そしてそれを隠ぺいしている、位までに構成を振り切った方が展開として筋が通ると思います。同時に夢界の維持に関する緊急性などを描写することで、反発が予想されるであろう強制移住が採択された展開の補強にもできると思います。
また、財団がSCP-2104-JPに手を出さない理由付けがもっと強い方がいいと思います。財団とオネイロイの関係性にもよると思いますが、オネイロイの政策と現実の睡眠障害が負のフィードバックを起こしているのなら、早晩破綻が予想されます。オネイロイ政府が強制移住の問題点に自覚的にせよ無自覚的にせよ、この辺りに触れておくとよいのではないでしょうか。記事の終盤でどのような展開をするかは正直難しいと思いますが、約束された崩壊の絶望感のようなものを書ければ後味の悪さが際立つかと思います。
以上が批評となりますが、私自身がオネイロイにあまり詳しくないという問題があります。もしオネイロイ政府があまり賢明でなく、また純粋故に問題点を引き起こす傾向にあるなどの前提知識があるのであれば申し訳ありません。
以上よろしくお願い致します