拝読いたしました。端的に言って最高です。
本当に久々に、文章にて性癖のど真ん中をブチ抜かれる感覚を覚えました。
teruteru_5さんの意図とは違う感想を抱いてしまっているかもしれず大変申し訳ないのですが、この作品のおかげで満たされました。本当にありがとうございます。
まず冒頭、「普通の人」を自認する主人公が人を殺したにも関わらず、やたらと冷静な描写がかなり好きです。この妙な他人事感が、料理によって解きほぐされて以降の主人公の感情描写とのギャップを生んで作品全体を味わい深くしていると感じます。
「付いてきてください。ご馳走しますよ」
この一言で今から起こることが完全に想像できて、めちゃくちゃ笑顔になりました。
しかし主人公はまさかこの「ご馳走」が親友の遺体にかかってるとは想像していないでしょうから、そのギャップもたまらないです。
「思い出に浸っていましたか?」
ここからの独白も大変好きです。
いじめから救ってくれた唯一の親友……時間を置いて徐々に冷静になった主人公の感情に、読み手としての没入感がじんわりと追いついていくような感覚を覚えました。最低限、しかし親友の人間性を感じ取るには十分な描写で素晴らしいと思います。
友と友の親愛というのは本来こういうことである
絶対そんなことない!!!!!!!!
友人を、家族を、恩師を食いつくし、信頼も、友人も失ってしまった。
ただでさえ料理シーン前後の独白で主人公に心を許せる間が少ないことは明らかなのに、なお食品として消費しようとするメンタルに、タイトルの本質を感じました。狂気の色濃さが端的に現れていて好きな描写です。
後悔を味わった。
良いオチ。悲しみの深さには想像がつくのに、いまいち同情する気が起きないのもポイント高いです。
余計なお世話かとは思いましたが、ここを変えればもっと文章として深みが出るかなと感じたところもご指摘させていただきます。あくまで個人の感想なので、お気に召さなければスルーしていただいて結構です。
そう考えるが、死刑になるのではないか、
若干発想に飛躍を感じるので、「死刑」の一歩手前に「捕まったら自分はどうなる?」という疑問をクッションとして書き、「捕まったらどうなる?→最悪死刑?→そんなのは嫌だ」という思考の流れを演出してあげると滑らかさが増すのではないかと思いました。
レトロな雰囲気が漂っていた。天井に吊るされているシャンデリアがいい雰囲気を出しているのだろう
「雰囲気」が連続してしまっているので、どちらかを変えると自然に感じます。「シャンデリアの仄暗い灯りが良い演出になっているのだろう」というような。
男が俺にカウンター席に着くように促す。促された通りにカウンター席に座る。
「カウンター席」「促す」という言葉が重複してしまっています。「男がカウンター席を示す。促されるままに、俺は腰掛けた。」程度に纏めてしまっても良いかと思います。また、せっかく直前にレトロで良い雰囲気と示しているわけですから、腰掛けた椅子やカウンター席の具体的な色形等を描写しても面白くなりそうです。
その様子はフックに吊るされた食肉のように無機的だった。
遺体がフックで吊られていることは、直前に描写されている通り事実なので、「ように」と例える必要がありません。「ただの食肉のように」程度に纏めてしまって構わないと感じます。
しかし、心のどこかでは親友はどのようになっていくのか、という好奇心が出てきつつあった。
「なあ――その、アイツはどうなってしまうんだ?」
こちらも重複ですね。ここは特に、貴重な主人公のセリフの盛り上がりを、前の描写が無効化してしまっているので大変勿体無く感じます。手前の描写の方でストレートな言葉を使うのを避け、「抵抗感とは真逆の感情を抱きつつあった」というようなマイルドな表現に整えると、セリフの効果が増すように感じます。
以上になります。
いろいろ申し上げましたが、私は現時点で十分楽しめましたので、あくまで良い作品をよりよく仕上げるためのサンプルとしてお考えいただければ幸いです。
最後になりますが、この作品に本当に楽しませていただき、大変満腹です。素晴らしい作品を世に出していただきありがとうございました!