その意見提起には反対の立場です。特に、直近になされた同様の提案(『SCP-JP公式Discordにおける年齢制限の撤廃について』)の議論内容を踏まえているような意見提起ではない点は、本提案の意義を疑うものであります(以下に述べる意見の多くは同提案で挙げられた意見を受けたものです)。
もしあなたがこの提案を実現させたいのであれば、まず上に挙げた提案に目を通した上で、年齢制限引き下げにより生じる問題の対応策を提案したり、意見募集において事前に広く視点を得ることをお勧めします。あるいは、あなたがこの提案の実現によって得たい利益は、公式チャットの年齢制限の引き下げ以外のアプローチによって達成可能かもしれません。また、本スレッド及びあなたの提案は議論を開始し、なおかつ議決するために記載されるべき情報が足りないように見受けられます。このエッセイはあなたの助けとなるでしょう。
- 現在は15歳からですが、Discordの利用規約には13歳からと記載されているため13歳からの方がいいと思います。
Discord公式の利用規約が参加可能な年齢を13歳以上に設定していることは、「SCP-JP公式チャットは13歳以上が利用できる」というガイドライン設定が可能であるというだけで、この規約は利用規約内における更なるローカルルールを忌避するものではないため、本提案の根拠にはあたりません。
- 13歳にもなると、もう13歳未満とは分けて「ティーンネイジャー」とくくられるように13未満よりミス以外でルール違反をすることは少なくなると思います。
「ティーンエイジャー」という語は単に、語尾がteenで終わる年齢である、転じて若い世代であるという概念に過ぎず、何らかの能力を担保する概念ではありません。
一つの基準としては、年齢と法的責任の有無についての民(刑)法上の制約があります。刑法第41条では14歳未満の者は刑法上責任能力がないものとして扱われるほか、民法第712条における法的責任免除については概ね12・13歳程度の判例が出ています。後者については個々の事件によって判例が異なりますから事例によっては、これより幾分高いことも想定されます。判例を総合的に見れば、親権者の監督責任が排除され子供が単独で責任を負うのは、15歳以上であるという点も重視できるでしょう。これをあげたのはネットリテラシーや道徳的観念(及びそれを担保する社会的体面)は年齢が上がるほど醸成される、という社会的認識以前に、問題が発生した際の責任の所在を重要視する観点からです。
公式チャットは現状、進行中の複数のプロジェクトの受け皿となっていたり、定例会の会場やリアルタイム批評の場となっているため、15歳未満がこれらに参加できないことは残念なことではありますが、本質的に公式チャットの存在は「交流を目的としたもの」でもあります。この場において15歳未満の方が問題の当事者となった時(加害者・被害者を問わず)、自己で法的責任を取れないことは、当人の両親や公的機関の介入が必要になる可能性があります。また、当人が全面的に被害者であったような事例においても、ボランティアで構成されるサイトスタッフ機構では、問題が肥大化したり、長期に及んだり、場所的にも内容的にも管轄(サイトルールやサイトスタッフ憲章の適用範囲)を超えてしまったりすると、対応が早急に行えない、そもそも介入が難しいなどといった予測が立つため、この年齢制限の存在は、本人だけでなくサイトそのものを守るための措置であるといってもよいでしょう。
そしてその基準の妥当性以前に、公式チャットの年齢制限は先述したように、サイトあるいは公式チャットの環境を保護するための措置でもあります。年齢制限の実態として匿名のネットコミュニティでは機能に限界がある、あるいは事実上、メインサイトのサイトルールにおける「大人としての振る舞い」に相当するものでしかないという見方もあります。とはいえサイトスタッフ及びチャットオペレーターはボランティア活動です。年齢制限の引き下げはチャット内の治安の悪化を招く行為であることは十分に考えられ、あくまで副次機能に過ぎない公式チャットで問題が肥大化した場合、主業務であるメインサイトにおける恒常性の維持や機能拡充・改革を常に阻害する事態を招きかねません。
- それにDiscordがないとSCP-JP内の活動が不便になると思います。
公式チャットで行われる行為の中で、SCP-JP内の活動に直接的に結びつくものは、定例会及び批評ルームのリアルタイム批評・ブレスト、ガイドライン改定プロジェクト、翻訳チャンネル、構文チャンネルが相当するでしょう。これらが制限されることは確かに不便ではありますが、これらはSB3やフォーラムで一部代替可能であるか、最終的な議決はフォーラムで行う都合上、活動を明確に制限するものではありません。
稼働中プロジェクトに林立するカノン・シリーズ・共著構想に関しては、これは当人らによる自由なもので公式チャットのシステムはこれをあくまで後援しているにすぎません。確かにこれらの論議に参加できないことは当事者やプロジェクト参加者含め機会損失に当たり、大変残念なことですが、記事の投稿自体はこれらのチャンネルを利用せずとも十分可能です。
故にこれらの不便だけを理由に先の項で述べてきた年齢制限の引き下げによる問題点をひっくり返すには及ばないと私は考えます。