お世話になっております。サイトメンバーのNisso-Nissoと申します。
早速本題にはいりますが、先日「AIが書いたSCP記事を評価しよう」( http://scp-jp.wikidot.com/forum/t-14566961/ai-scp )というディスカッションのスタッフポストを見て3点の疑問が生じたので、この質問スレッドにて質問させていただきたいです。
疑問を覚えたのは以下の引用です
「現在、AIを使用して生成されたメディアについて、権利の帰属等に関する問題が生じる可能性があることから、サイトスタッフは使用を全面的に禁止しています。
上記の理由により、「AIのべりすと」を利用して生成されたと思われる文章を削除しました。
03/31追記: 削除理由について、これまでライセンス上の問題による削除としていましたが、当該メディアについては必ずしもCCライセンスに違反しているとは判断できないことから、ポストを修正しました。(後略)」
趣旨としては、AIによる「権利の帰属」に関する問題が生じる可能性があるため、AIを利用した記事作成は「全面的に禁止」にするとのことです。
作成者が疑問に感じたのは「全面的に禁止」という場合の判断基準とその正当性です。
以下に箇条書きにします。
1、「全面的に禁止」とはいうものの、その判断はどのようにして行うのか?
1-1: 記事全文のコピペの場合
●現在の水準では、AIがそのまま出力した文章は「下手なSCP記事」となると多数の実験から言われております
→そして、AIのべりすとを例にとりますと、ランダムに文章を生成する都合上再現性はほとんどないものと考えています
●その場合、「単純に下手な記事」と「AIによって作成した記事」の区別をどのようにつけるのかが疑問です
→「この記事はAIが書いたのではないか?」とスタッフが指摘することは「この記事は面白くない」という認定をスタッフが下すことに近い意味合いを帯びてきます(勿論、今後の技術の進歩があれば事情は異なると思いますが)
●そのような不確実な「烙印」を押さないためにも、この記事はAIが執筆したという明確な根拠が必要となると思いますが、その判断はどのようにして行うのでしょうか?
1-2、部分的な利用の可否及び判断
●例えば、途中まで作成した記事で行き詰ったり、なにか斬新な展開がないかと考え、作成した部分までをAIによる文章作成サイト(例:AIのべりすと)に打ち込んだとします。
→そうして、生成された続きが使えそうだったことから、その部分を参考にして自身で記事を作成し、完成させて投稿したとします
→その場合も「全面的に禁止」というならば禁止事項に触れるものとなり、なんらかの判断・処分が下されるものと思われます
●しかし、「AIが作成した文章をさらに自力で改稿した」ということをどのように判断するのかが、1-1で提起した疑問と同様に不明瞭だと考えています。
●また同様に、「AIに全部記事を書かせ、それを下書きとして自分で改稿して投稿する」行為も禁止とされるのでしょうか?
●要するに「ブレスト代わりにAIを利用することも「全面的に禁止」として扱われるのか?その際の判断基準はどのようなものなのか?ということです
2、AIを利用した記事か否かを判断するためにはサイト外の言動を根拠にするよりほかないと考えられるが、サイトルールの適用範囲拡大を含意した決定なのか?
●1で示したように、現在AIによる記事作成を行ったか否かをサイト内で判定する方法は存在しないものと考えています。それを前提として話を進めていきます。
●この場合、ある記事がAIによって作成されたか否かを判断するにはサイト外の情報を利用するより他ないと考えます。
→発端になったポストのように、タイトルに「AIでつくった」などとある場合は別にすると、サイト外部での発言(例:Twitterにて「AIで記事書かせたら思ったよりうまくいったからそのまま投稿してみた」と書き込むなど)を基に判断を下し、処分を下すということにならざるを得ないように思います。
●この場合、サイト内での言動には問題がなくとも、サイト外の発言を根拠として処分・処罰を行うものと言えます。
→しかし少なくとも、サイトルールの適用範囲は「財団日本支部理事会・SCP-JPサンドボックスⅢ・SCP-JPサンドボックスII・SCPサンドボックス・SCP-JPファイルストレージ」に限定されていると思います。
●このことから、暗黙のうちにサイトルールの適用範囲を拡大し、著者と同じと思われるサイト外のツール(Twitterなど)に対してもサイトルールを適用することを含意しているということでしょうか?
3、AIを利用した記事を「全面的禁止」する理由が「権利の帰属」というのは無理ではないか?
●一般的に文章に対する著作権侵害か否かの判断は非常に難しいとされています。なぜなら、ある特定の表現をオリジナリティのある創作物として認定してしまうと、日常使う用語にも著作権違反が生じる可能性があるためです。
→例を取りましょう。例えばSCP界隈では有名な「あなたは水中の死体に見覚えがありません」というフレーズがあります。(「校外学習」)
→このフレーズは当該記事の根幹をなす文章であり、オリジナリティがあるように思えますが、この部分は恐らく「創作物」とは認定されず、流用・盗用したとしても問題にはならないでしょう。なぜなら、本当に水中の死体に見覚えがないシチュエーションが存在する可能性があるからです。
→他にも、日本支部の「ねこです よろしくおねがいします」なども、例えば「吾輩は猫である」や「トムとジェリー」のような形式の作品がある以上、この文章だけでは「創作物」として認定はされず、したがって著作権違反に問われることもないものと想定されます。
●これを踏まえれば、ある記事のどこからどこまでがAIにより作成され、そのオリジナリティはどの程度あり、著作権違反となりうるか否かをスタッフが決定することになるはずですが、専門家ではない人々がそれを行うのは極めて危険な行為かと思います。剽窃などとも異なり、明確な引用元も存在しないためです。それを踏まえても「権利の帰属」による禁止措置を取られるのでしょうか?
ここまで3点の疑問点を挙げてきましたが、3行で要約してしまえば
「AIが書いたかそうでないかの判定を誰がどうやって行うのか」
「判定を行う際にサイト外の情報を利用せざるを得ないと思うが、それはサイト外にもサイトルールを適用することを意図しているのか」
「全面的禁止をしたいにしても「権利の帰属」を理由にするのは難しいのではないか」
ということになります。
一応処罰されるのが嫌なので予め弁明しておくと、決してサイトルールの穴をついて困らせようということではないです。
現状のAIはまだまだSCP記事を書くには実力(?)が足りませんが、今後発展していった場合になんらかの問題が生じるかと感じたということがまず一つ目の理由です。
二つ目は、現在のように判断基準が曖昧だと、「この記事はAIに書かせたに違いない」というような私怨による攻撃が発生しかねないと感じたためです。要するに、言いがかりをつけるのに一番ちょうどいい「棒」だということですね。
そして三つめは、どう考えてもTwitterなどでの言動を見ないとAIで書いたか否かを判定できないので、twitterもこれからはサイトスタッフに監視されるのか、と危惧を覚えたからです。
最後の「余計なお世話」は兎も角として、疑問1~3にご回答いただけるorお教えいただければと思います。
追記: 9月23日に修正しました
nisso-nisso