修正した方がいいかも? と思った点と、ここに書いてもしょうがないんですが原語の時点で気になったことを並べていきます。
1. Chernoff
長いので結論だけ示しますと
- チャーノフじゃなくてチェルノフ
- Grigori KarpinがTwitterで表明している民族的アイデンティティを考慮すると「Chernoff」という表記にちょっと違和感がある。
- ついでに1399-RUはイゴールじゃなくてイーゴリかイーゴル。ロシア語にせよ英語にせよИгорь/Igorを「イゴール」とは発音しない
です。
これは和訳の問題ではないのでここに書いてもしょうがないのですが、Chernoffという表記にかなり微妙なものを感じています。ちょっとガバい気がすると同時に、深い意図があってこう表記してるような気もするのです。
Черновを素直にラテン字転写するなら「Chernov」となるはずです。「-v」と書いて「-f」と読みます。それを「-ff」と書かれるとなんだか非スラヴ語圏へと移民・帰化した家の人みたいな感じがします。Chernoffはソ連で活躍しずっとロシア語話者であり続け、死の寸前にもソ連時代の階級に誇りを持っていたっぽい発言をしてますから、「-ff」なんて書くのは不適なはずです。
なので、「マツォウカ」「ウツェキ」「Kluei」と同様の、グリゴリカルピンのガバネーミングに思われます。
もちろん、発音がわかりやすいから敢えて「-ff」にしてる可能性も考えられます。が、ディアトロフ峠事件被害者らには「-v」表記が使われてます。一貫性がない。
あるいは前述の数学者Herman Chernoffに表記を合わせたとも考えられます。Hermanはロシアのユダヤ系移民の家庭に生まれたらしいのですが、グリゴリカルピンもまた(ルーマニア/)ロシア人のユダヤ教徒であり、民族的アイデンティティが似ています。グリゴリの著作には、自身のアイデンティティを投影したと思われるキャラクターが存在します。そのためChernoffも、グリゴリと似た民族的アイデンティティを持つHerman Chernoffをリスペクトした名前、なのかもしれません。
……と思いきやスラヴ人としてスラヴ人の名前の綴り/発音に対する英語帝国主義的ホワイトウォッシュに異を唱え、「英語圏の人間の都合で変な転写をするな!」みたいなこと述べたりもしてます。じゃあChernoffも原語ベースでChernovで綴るべきなんじゃ……と思うのですが、ガバなのかそうでないのかは本人に聞かないとわからなさほうです。
2. Proiskhozhdeniye Investitsiiは「投資起源社」かも
生格Investitsii (投資) がProiskhozhdeniye (起源) を後置修飾しているので「投資の起源」という意味です。実際に「происхождение инвестиций」と検索すると、「投資・投機の歴史を解説します」とか「その投資の出所はどこだ」とかいう文脈がヒットしますのでご確認ください。
なおこの社名は女族長 (she) とチェルノフ (the Russian、he) に関するthe-ends-justify-the-means-of-productionの以下の会話を踏まえているのかもしれません。
“She is capable of significant conventional destruction; she’s already shown that. And she has support from unlikely sources.”
“The Russian. Don’t think that he would be the linchpin; even without him she would still control the resources of his conglomerate.”
件のコングロマリットが女族長の通常破壊兵力 (投資) のリソース (起源) になっている、っていう意味でこういう社名になってるんだと思います。
3. SCP-5997ではなく-5957
SCP-5997で証明されている通り、彼は異常な人型実体を指揮し、ダエーバイトの奇跡術に倣って人身御供を行っていたことが目撃されている。
誤字です。