途中まで楽しく拝読しました。相手から忘れ去られる寂寥というものは良い武器になると思います。原理は違えど映画『テネット/TENET』のニールやドラマ『ドクター・フー』のリヴァー・ソングがそういう要素を抱えたキャラクターですし、関連が想起されたというのもあるかもしれません(前者はそういう面が強く描かれているわけではありませんが)。
しかし、記憶補強薬に関する流れがややぎこちないように感じました。Xクラス記憶補強薬だけが有効でありそこから成分を調整してMクラス記憶補強薬を改良して作成する、というこの展開を山場にするのであれば、研究開発の過程の掘り下げをはじめ、ここを盛り上げる仕組みを用意するのが良いかなと感じました。
koku4さんのやりたいことから外れてしまうかもしれませんが、記憶補強薬開発にあたっての困難や他の研究員との見解の相違といったものを描いて乗り越えると、ドラマ性が高まるように思います。
現状ではXクラス記憶補強薬が有効だった理由が[編集済]として伏せられていて、読者は答え合わせができずスッキリとした印象を抱けませんし、[編集済]であることに驚きや意外性を感じられないように思います。2023年からの実験記録があまり効果を発揮できていないので、このあたりのテコ入れは必要かなと感じました。
あとは個人の好みかもしれませんが、SCP記事のログには3点リーダをあまり用いず、[沈黙]や[間]などで代用するとそれらしくなるかなと感じました。かなり3点リーダが(それも「……」のように2つ並べるのではなく単体で)多用されていますので、パッと見た雰囲気が全体の印象に影響しているというのはあるかもしれません。クリニカルトーンも含め、他作品からいろいろインプットしながら試行錯誤されると良いかなと思います。頑張ってください。