評価に直結する内容ではありませんが、以前の記事からの傾向を踏まえた改善点を幾つか挙げたいと思います。
最近のponhiroさんの記事の傾向を考えて思ったのは、文書中に登場する災害・敵性存在の描写の仕方、あるいは背景設定、または両方が不足しているなという点です。簡潔に述べると、「こういう災害が存在する」という事象への言及に対し、収容方法が現実的でなかったり、または推論の範囲でしか行われていないように読み取れます。
①記事中における理論・主張を支持する証拠が不足している
記事を構成する理論以前に、推測上成り立っている「神」の脅威 (すなわち憶測の範囲でしか無いもの) に対して大雑把に対処するというストーリーには納得できる要素が無いのではないでしょうか。これらは物語中における研究者の独自の思想であり、例えば「神」が存在するという証拠 (実際のイベント) は記述されていません。スパイク・ブレナンの提言など、具体的に異常現象が発生しているものと比較すれば、より分かりやすいと思います。
アキヴァ放射の推移こそ証拠であるとされるかもしれませんが、なら言及をより重要なポイントに持っていくべきです。戦術神学部門の報告書でチラっと言及された限りでは理解度が深まりませんし、何より空想上の概念である「アキヴァ値の上昇」という言及方法は想像しがたいものです。いつ、具体的にどこで何が起こったのでしょう?
②説明の不正確さ
AIに対する理解度が浅いことについては議論の余地があると思います。SCP執筆は創作の範疇でしかないため、実際に専門的な知識が必要だとは思いません。しかし、「機械翻訳の統一・完全化は実は異常な影響をもたらす」という事象を説明する過程で、ボロが出ています。大規模言語モデルの特定の言語が不正確なのには簡単に想像可能な理由が (実際に) 存在し、例えば日本語なら語順の自由度や主語の省略などが挙げられます。これは想像に難くないことです。
もし、これらの現代的なトピックについて触れるのであれば、「いや、実際にこういう理由があるから不可能なんだよ」と反論されてしまう可能性を考慮する必要があります。より良い記事のためには、理論を複雑化するなどの工夫が必要だと思います。
③その他
戦術神学部門による説明の項目が長すぎます。前半から推測で話が進んでいるので、読み進めるのが苦痛でした。バベルの塔は比喩表現に過ぎないと思うのですが、この記事のコンセプトとなる神話をそこまで前面にピックアップすべきか分かりません。
”天”が600mの位置にあるとか、露骨にchatGPTとか最近の事象を交えて話しているのがノイズに感じました。天の位置については必要ない情報ですし (神が顕現するというイベントを話すために、具体的な距離を説明する必要はないと思います。) 、言語モデルの開発は今に始まったことではなく、社会のブームに対し財団が述べているという観点から論点がズレているように思います。
説得力のある中身でなければ訴求力は発生しません。理論の整合性を高めたほうがいいと思います。言語帝国主義については詳しくありませんが、社会的な要因に触れる以前に、神話に絡めた抽象的なストーリーに問題があると考えます。
これらの提案は、あくまでも理論的な記事こそ面白いと思う一個人の意見にすぎません。この記事が残っている事実こそ、大半の人が面白いと思う証拠です。創作の方針など千差万別ですので、書きたいものを書くことが重要だと思います。