要注意団体をかかわらせてしまったことで、このオブジェクトが陳腐化していると感じました。
少なくとも、"㈱Anniversarius"の文字が登場して、それについての説明が脚注で付いていたのを見た時、それまで「未知の恐怖」だった全体的な印象が「あー、お化け屋敷なんスね」ってところまでストーンと落ち、そのまま最後まで全く恐怖を感じることなく進みました。
それに加えて、怪物の描写も正直そこまで真新しいものではなく、またその存在と異常性もあまり噛み合っているように思えません。圧迫などによって部屋から出さないようにする/でかいバケモノを出す、という部分が、誕生日という要素と噛み合っていないので、怪異の要素が腑に落ちません。
怪物の描写含め、要注意団体の説明以外に一切全体的にオチに至る伏線がなく、その上要注意団体の説明部分もあまりにも取ってつけたように見えるので、オチであり一番盛り上がるはずの怪物登場の部分が非常に唐突に思えます。
全体的に見て、ちぐはぐさが没入感を阻害し、要注意団体の関わりもこのオブジェクトのリアリズムを損なっているものと思います。
私であれば、まず「誕生日」の部分を最後の調査記録の部分までに十分強調します。怪物は出さず、要注意団体も出しません。物理的被害よりも、誕生日パーティーという要素(クラッカーのように弾ける死体や椅子に座らせる部分など)を徹底して怪異の起こす現象・怪異の姿形に落とし込んでみます。