サーキックと現実の文化・歴史を絡める話大好きです.
このTaleはSCP-2075やサーキシズム・ハブの作者の作品であり,サーキック・カルトの設定の裾野を広げる話になっています.つまりはSCP-2478などでも触れられていた,サーキックの弱者救済宗教としての側面についての掘り下げです.作中で語られる経典の中のイオンの姿は現実の宗教の救世主や預言者の逸話を彷彿とさせ,それが歴史の中で意図的に廃された可能性が示されているというのも非常に興味深いです.またグノーシス主義的世界観が語られているという点も興味深く,グノーシスの源流とも言えるゾロアスター教の悪神の名を冠するダエーワとの対立構造を,ゾロアスター教の神話的に絡めてきているのかもしれません(面白いことに,ゾロアスター教の創始者であるザラスシュトラ(ツァラトゥストラとも)は,諸説ありますが紀元前12世紀のカタストロフからそれほど経たない頃の紀元前11-10世紀の人物と考えられています).
シリーズ物のようなので,果たしてこれがダエーワから民衆を救うために立ち上がった救世主の英雄譚と堕落の物語なのか,はたまたそれとは異なる真実を語る物語となるのか,今後の展開に期待したいです.