改訳なしに訳の品質が最低限担保されていると言えなくなったのは、「
MrWrongはどういった意図で皇室の極秘のコレクションにGalleryという単語を使ったのか?」という翻訳上の疑問に対してwebster'sの1913年版定義2の後半、コレクションの換喩であるという回答が最も自然で無理がないのではないかという結論に達したためです。
以前の議論では以下のように述べましたが、
1913年版websterでは長い廊下・穴という語義がまず挙げられ、さらに2番目後半に"[H]ence, also, a large or important collection of paintings, sculptures, etc."とあります。
翻訳時に使った資料のメモをすべて消さずに残していた訳ではないものの、おそらく当時は実際には1913年版websterをチェックしなかったのでしょう。というのも前述のように、上で引用された定義を知っていたなら「galleryとはどういう意味か」という引っかかりをつい最近まで引きずる必要は薄いです。
さらに言えば、オブジェクトの保存に関わる人員や、具体的な保管場所の形態についての描写が希薄なのも「galleryは単なる品物の集合を示す語である」ことを表す傍証たりえます。
あまり経緯について詳しくないのですが、タグとして同一視され得るという結果だけ見れば、JPコミュニティで使用されている「晴明院」という言葉は「Seimei Gallery」に依拠していそうに感じました。
「当記事の翻訳品質には重大な問題があった」という言い方からは必ずしも「両者の違いを明確にするために名前を分ける」という意図があるとは読み取れませんが、翻訳記事の変更に追従する形でその他のJP記事での呼称も変更される可能性があります(実際にどうなるのかは分かりませんが)。場合によっては編集が堂々巡りになりそうで少し心配です。
JPオリジナルの記事に関しては、今まで通り晴明院の名称を使い続ければいいんじゃないでしょうか? 特に問題も生じないと思います。
翻訳側の事情が変わった結果、完全オリジナルのつもりで作っていた名称や設定に被りが生じたならともかく、一次創作の世界では「考えた概念が他人の既存作に大きく寄りかからない、独自色の強いものになる」ことは当たり前でこそあれ問題にはなりません。
そもそも、多くの記事に参照されているかどうかに関わりなく、翻訳記事に大きな変化があるのはレアケースではありません。影響を受ける記事が多いケースで言えば、SCP-2317から特殊オブジェクトクラスが消えたり、ヒュームのベースライン値が1から100になったり、旧SCP-1548や旧SCP-2722の作者都合により自主削除されたりなどがありました。他の記事に影響は少なかったものの、大量自主削除は度々起きています。
それでみんな特殊オブジェクトクラスを使うのを止めたりはしていないし、新基準に合わせて記事内の数値を修正したりしてるかというと別にそんなことはなかったりします。
少なくとも「コミュニティの中で不正確な訳が他の複数の記事に引用されて時間が経っているため」というだけの理由で、それを尊重してより正確であろう訳語に差し替えないという判断はしたくありません(流石に議論の最中に論点となっている語を差し替えようとするのは混乱を招くので控えましたが)。