起動ログ: ELECTROMAGNETS
ファイルアクセス中……
切断せずにお待ちください……
こんにちは、ウェザーズサイト管理官。 私はIndomitable.aic、財団公文書管理官O5-9に使用される汎用人工知能徴募員です。今日はどうされましたか?
アクセス AMECファイル:DRO-0001
警告: あなたがアクセスしようとしているファイルは監督司令部のメンバーか、または倫理委員会法廷の全会一致の決議によってのみアクセス可能です。
クリアランス許可入力
クリアランス許可?O5-9のクリアランスログにアクセスしてみます。許可が存在しない場合、機動部隊アルファ-1("レッド・ライト・ハンド")を派遣せねばなりません。続行しますか?
続行
了解しました。外部RAISAネットワークに接続します。しばらくお待ちください……
あらもっ。O5のオリエンテーションでしたか?それなら確かに事情は違いますね。すみませんでした。未来の監督官殿。
アクセス ファイル:DRO-0001
AMECデータベースにアクセス中……
特別収容プロトコル: DRO-0001の顕現試行により影響されるエリアをAL-908と宣言します。AL-908の反ミーム的性質により必ず自己収容的ですが、未認可のAL-908への侵入は侵入者の回収後の終了という結果になるということをサイト-17に滞在する職員は知っていなければなりません。
DRO-0001を発見するという確実なリスクにより、DRO-0001やその異常性についての文書をサイト-17の財団職員が発見しないようにするため、サイト全域にまたがる行動制御システムが実施されています。このシステム(自動パッシブ記憶処理システムAPASと呼称されます)については主要文書0001.DRO: ("APASとはなんぞや?")に要約されています。
概念物理学的顕現イベント中、実体が地下の最初のポイントに最終的に戻り消失するまで、機動部隊ゼータ-5 ("ラザルス・アボミナブルズ")は実体と交戦します。職員がこの交戦またはサイト-17の構造物の損傷に気付いた場合、自動パッシブ記憶処理システムはオメガ-09オペレーティングプロシージャを実行します。
アーカイブ済収容プロトコル.0001.DRO.β
注意: 以下のプロトコルはアーカイブされており、関連するアノマリーに対しては適用可能であるとも効果的であるとも考えられていません。
資産プロファイル.0001.DRO
氏名: トーニャ・スカイラー博士
年齢: 27
割当オブジェクト: DRO-0001
優先度: 極高
説明: 機動部隊ユプシロン-1 ("にくとかねよりうまれたるもの")の唯一の生存メンバーです。ユプシロン-1の他のメンバーは記録上最初のDRO-0001の顕現中にサイト-17を初期探索した際殺害されました。資産は強制的にイベントを未知の手段により終了させました。回収時に資産は記憶処理を適用されました。資産はサイト-17に次席研究員トーニャ・スカイラー博士として転任し、機動部隊ユプシロン-1の不必要な記録は削除されました。
機能: 資産0001.DROはDRO-0001の反ミーム的性質に部分的な抵抗性を保有し、退隠イベントを強制的に開始させる能力を発揮します。機動部隊ゼータ5がDRO-0001を鎮圧不可能な場合、資産0001.DROに埋め込まれたクラスR("遠隔抑圧")記憶処理は不活化されます。
説明: DRO-0001は基底現実に継続的に顕現を試みている巨大な反ミーム実体です。これまでの所、顕現イベントは常に財団サイト-17から約1.5kmのAL-908と呼称される位置で発生し、DRO-0001が地下の不明な点から地上に出ようとして顕現するにつれて地質が非常に強く乱されてきました。全試行はこれまで機動部隊ゼータ-5の絶え間ない航空爆撃により強制的に中止されてきました。
財団内部反ミーム実体カタログAMECのための特別な標準ミーム接種によってのみ打消可能である反ミーム的特徴をDRO-0001は発揮してきました。以下にこれらの反ミーム的特徴を記述していますが、以下に限られているというわけではありません:
- 顕現イベントの近傍にいる人間または人型は、それと顕現によって続いている地面の損傷を認識できなくなります。
- サイト-17にいる全ての人員は、それとサイト-17の構造物の損傷を認識できなくなります。1
- それについての文書またはその異常効果は反ミーム的であり認識災害的です。
記憶補強薬の使用または無意識下接種によるDRO-0001の反ミーム効果の迂回は以下の結果をもたらします:
条件 | 結果 |
---|---|
DRO-0001の文書閲覧 | 顕現イベント開始。閲覧者はDRO-0355実例となる。2 |
顕現イベントについて知る | DRO-0001はSite-17に気付き、傷害に対する抵抗性が顕著に増大する。 |
DRO-0001視認 | 不明 |
巨大な侵略的存在であるという状態に加えて、DRO-0001は不明な概念物理学3的特徴を保有しています。DRO-0001のパッシブ効果の概要は以下の補遺0001.DRO.3にまとめられています。
補遺0001.DRO.1: 添付通信ログ: 初期顕現イベント
TO: 上級研究員 アラン・ウェザーズ博士
FROM: 財団内務兵站管理官 O5-8
SUBJECT: サイト-17への転任
ウェザーズ博士
君の臨時サイト管理官への就任の助けとなるよう、君の置かれる状況に関する情報のブリーフィングを送信することを監督評議会は決定した。下記情報は機密であり無断転載に対しては財団から即時に除名されクラスC記憶処理を適用されるという罰が与えられる。
数ヶ月前に発生した破滅的収容違反のため、君はサイト-17に移送されている。この収容違反を煽動する力は強力な反ミーム実体の可能性を仄めかしている。これは、Keterクラス実体が収容するまで、サイト-17とその収容室の床の両方の損傷について職員に気付かせなかった。これゆえに適切なロックダウン手順は行われず、施設の構造物の莫大な損傷はそのままであった。人員はいくつかの災害的実体を低階層に封印しその後撤退したが、前述した反ミーム実体については気付かないままだった。
初期の機動部隊ユプシロン-1 ("にくとかねよりうまれたるもの")による回収試行の間、探索中部分的にそれを認識できた資産0001.DROを除く全機動部隊員を実体は終了させた。サイトからの撤退後、資産0001.DROは実体と交戦し、DRO-0001を消失させる未知の潜在的異常技能を発揮した。資産0001.DROは回収時記憶処理され、実体が再顕現し施設を脅かす場合に備えてトーニャ・スカイラー博士としてサイトに在籍している。
サイト-17の将来的な安全を確保する手段については現在議論中だ。サイトに収容されているアノマリー数の多さゆえに運営は止められないだろう。臨時サイト管理官として、君は適切な手段が策定されるまで施設を維持することが求められる。
より詳しく知りたいならばMinerva.aicに聞きなさい。私の個人的内務と兵站を司るAICだ。監督官は君が新しい職務を上手くこなせるよう願っている。
-O5-8 財団内務兵站管理官
補遺00001.DRO.2: 抜粋 - 概念物理学入門: 固有性質と収容法
38ページからの抜粋、著者の雇用第1週間目の部門の第一印象についての詳細
プレストンがわかりやすく私に夢中であることよりも明らかなことは、概念物理学がまさに何の学問でもないということでした。それは地動説の理解に欠けた文化によるおぼろげな歴史の記述をもとにした理論でした。外時間研究部門やミーム部門とは異なり、部門のミーティングの発言ですが、"私たちの管轄"とされるアノマリーは公的には一握りしかありませんでした。
私はここが厳格な財団のヒエラルキーを昇れるステップであると聞いてきたから移籍したのです。その説明への信頼はとても早く褪せていきました。私は部門のリーダー ジュヌヴィエーヴ博士 に近付き、どうやって私たちの部門がご破算になっていないのかを尋ねました。
彼女の返答は私の明らかな内心の疑念を消し去りました。私が関与しなかったかつての時と場を回顧するにつれて彼女の相貌が緩やかに艶めく様を見ました。
「古の地において」彼女は言いました。「私はかつて岩と氷を割る裂隙をみました。そして2つの乗り越えがたい崖の間に私は神を感じ取りました。私が証言したそれ 影なる数え切れない憎悪の混乱に覆われていました が人類の心の後ろに騎乗している存在であり、そう遠くない日に私たちを支配するものであると私は知っています。」
彼女は私を見据えました。彼女の双眸は冷酷であり理解を示していました。「私は神々より力あるものを収容していますよ、博士。時と死の脅威実体に対する防衛最前線に私たちはいるのですよ。その仕事は私が常々大事にしているものなのです。」
アノマリーの対象の私たちへの供給が限られていることを思い出した時であっても、彼女の言葉が私に常に響いていました。私たちがここにいる理由を私は知っています。
脅威に対して私たちの管理下に収容する意志を誰も持たないならば、全てを失ってしまうかもしれないからです。
補遺0001.DRO.3: 緊急コードPHANTASMA-RED発動
DRO-0001 顕現イベント完了。おそらく資産DRO.0001は終了されました。 コードPHANTASMA-REDが宣言されました。
2010年1月4日、顕現イベントがサイトの人工知能徴募員Galileo.aicにより検出されました。機動部隊ゼータ-5はクラス-ⅩⅢヴァンガードファイタージェットに搭乗し、奇跡術的強化ルーシャングレード弾頭で交戦しました。交戦の効果はありませんでした。第二次戦闘"鉄槌下し作戦"が開始されました。第二次交戦の効果はありませんでした。資産0001.DROのクラスR記憶処理が無効化され、資産はサイト管理官アラン・ウェザーズから状況説明を受けました。資産は実体との交戦のため配備されましたが、交戦に失敗しました。資産の生死は不明であり、終了されたと思われます。
イベント開始から3時間が経過した時DRO-0001は発声しました。恐らくサイト-17の全人員に発言を聴取されたため、自動パッシブ記憶処理システムはオメガ-09オペレーティングプロシージャをこの時実行し始めました。
発言はサイトの監視機器により記録されました。
大地が恐るべき死の掌握を初めて感じた時、うぬらは我を知った。
うぬらが種族が初めて泥より這い出で、哀しみを感じられるようになった時、うぬらは我が声を聞いた。
終わりなき灰と塵の野を駆ける侵略者の軍勢を収めるために聳え立つモノリスが建てられた時、うぬらは我が名を知った。
我ぞApollyon。我は混沌と死の巨人。うぬらは我を収めんとし、そして仕損じた。うぬらは我と争わんとし、そして仕損じた。うぬらは我を毀そうとするが、仕損じるであろう。
我ぞApollyon、並ぶもの無し。
DRO-0001の地球表面への顕現が完了ししつつあるため、機動部隊ゼータ-5は"死戦期呼吸"プロトコルを発動しました。AL-908はプロセス中被爆し、周囲の土地は焼灼され、サイト-17は深刻な構造損傷を受け、適切なロックダウン手続きが執られました。
機動部隊ゼータ-5の"死戦期呼吸"プロトコルの影響をDRO-0001は受けず、AL-908を去り始め、エリアを去るにつれて消失しました。