日付:2016-██-██
場所:Area-CN-75
主な関連オブジェクト:SCP-CN-1101
前書:サイト-CN-75にて事故が発生した。このサイトはパール・レッド作戦の事後処理と生存者の尋問を担当していた。以下が事故の概要と分析である。
09:13:サイト-CN-75外部のVERITASが高エネルギー奇跡論反応を検出する。奇跡論分析により52の顕現輪が形成されていることが判明し、防衛システムは即座にその形成プロセスを阻害するため放逐グレネードを発射する。サイト-CN-75はレベル1警戒態勢に入り、全ての職員に攻撃が通知される。
09:15:放逐グレネードは52輪中19輪の顕現を阻止することに成功するが、残り33輪が地表から25~30メートルに完全顕現し、続いて大型の一種の輸送カプセルと思われるキチン質の構造物が顕現輪内に出現し地上に落下する。落下後カプセルは開き、多数のSCP-CN-1101-2および-3実体、及び多数のSK-BIO実例が出現、接近を開始する。対人地雷と自動火器が起動されるが、敵対実体の進撃速度には僅かな影響しか与えない。サイトの保安部隊は主出入り口に集結し、防衛を開始する。同時に、収容された全てのSCP-CN-1101-2および-3実体は高レベルの脳波の同調を呈する。これは集合意識形成の前兆と考えられる。
09:17:敵対実体はサイト-CN-75の防壁に到着し、損傷を与え始める。防壁上の自動機銃の一部がSK-BIOタイプI「投槍兵」により破壊される。同時に、多数の不明なSK-BIO実体が壁を登り始め、はしご状の構造を構成する。
09:18:防壁が複数箇所で突破され、敵対実体が第1および第2保護収容ウイングを攻撃し始める。保安部隊は濃縮ガソリン火炎放射器を使用する。敵対実体の一部は制圧されるが、第2保護収容ウイングの入口2箇所が突破される。
09:19:多数の敵対実体が第2保護収容ウイングに侵入し、保安部隊と激しい戦闘を行う。同時に、敵対実体の主部隊は隣接する他の建物を攻撃し始める。第2保護収容ウイングでは15体のSCP-CN-1101-2、21体のSCP-CN-1101-3、90体以上の多種類のSK-BIO実体が高脅威実体収容所に移動し始める。██村への攻撃で捕獲され、収容中のSCP-CN-1101-2、 -3実体も収容施設を内側から攻撃し、収容を突破する。その過程で全員が現代的な特殊部隊に相当する戦術的な協調を見せたことは、完全に形成された集合意識により行われたと考えられている。多数の保安部隊が入口や主な通路に再配置されていたが、この行動を大幅に阻止することはできなかった。攻撃部隊からのSCP-CN-1101-3実例は高脅威実体収容所に収容されていたSCP-CN-1101-3実例と合流を果たした。
第2保護収容ウイングの監視映像とセンサーデータの記録、09:20
<記録開始>
09:20:27:SCP-CN-1101-3-01からSCP-CN-1101-3-24に番号付けられている、24体のSCP-CN-1101-3実例が第2保護収容ウイングの通路に集結する。この時点で、何体かのSCP-CN-1101-3実例には、頸部や前腕の鱗が剥落し、表皮組織が腫瘍状に突出している更なる変異が認められる。更に数体の腫瘍状突起は頭足類の触腕に似た構造を形成している。
09:20:39:SCP-CN-1101-3実例は互いを攻撃し始める。複数の実例は頸部の切断により死亡する。生存したSCP-CN-1101-3実例は死体を摂食し始め、肉眼でわかるほどの速度で変異していく。多数の腫瘍と触腕状の付属肢が全身に発生する。変異の程度は他のSCP-CN-1101-3実例を摂食した量に比例している。
09:21:42:相互の攻撃により24体中22体のSCP-CN-1101-3実例が死亡し、SCP-CN-1101-3-13とSCP-CN-1101-3-07が生存している。2体は内部の組織が高速で増殖するため表皮組織は複数箇所で裂けており、多数の触腕状の付属肢が表皮から突き出ているといった、通常のSCP-CN-1101-3実体からは大きく異なる変異を呈している。いくつかの付属肢は眼球状の構造や歯状の構造を先端に形成している。SCP-CN-1101-3-13は体長およそ15.3 mであり、SCP-CN-1101-3-07は体長14.5 mである。
09:22:51:SCP-CN-1101-3-07がSCP-CN-1101-3-13との戦闘で死亡し、SCP-CN-1101-3-13は173 dBに相当する叫び声を上げる。SCP-CN-1101-3-13の表皮全てが剥落し、露出した骨が溶解するのが観察される。SCP-CN-1101-3-13は周囲の床面に散らばったSCP-CN-1101-3の組織を摂食し続け、その身体は更に拡大する。前腕、頸、尾などの構造を視認することが難しくなる。この時点で、SCP-CN-1101-3-13は表面に接触した生物組織を直接吸収する能力を見せはじめる。このプロセスの最中、VERITASは多数のEVE粒子の放出を検出する。他の23体のSCP-CN-1101-3の組織を全て吸収した後、SCP-CN-1101-3-13は不定形の生体へと変化し、圧力センサーがおよそ37,500 kgの質量を計測する。この実例は後にSCP-CN-1101-4-01と命名され、財団が記録した初の、現時点で唯一のSCP-CN-1101-4実例となる。
<記録終了>
09:24:完全に形成されたSCP-CN-1101-4-01は第2保護収容ウイングの主出入口へと移動する。SCP-CN-1101-4-01は収容施設内の多数のSCP-CN-1101との接触を試みていると考えられる。これを受け、サイト司令部は機動部隊庚申-02「肉狩人」に即座に出動しSCP-CN-1101-4-01の進路上にて攻撃を開始するよう命令する。第1保護収容ウイングと第2保護収容ウイングの全ての連絡橋は指向性爆薬により破壊され、地下通路はレベル1封鎖状態に入った。同時に、サイトの非常用核弾頭は緊急事態に備え爆破準備状態に入った。
09:25:SCP-CN-1101-4-01は第2保護収容ウイングから出て移動を続ける。その過程で棟内の職員を吸収し、毒性の液体を分泌する。残存する敵対的実体は第2保護収容ウイング内の部隊と戦闘を始める。SK-BIO実例には、他の死亡したSK-BIO実例の体を摂食したり、監視カメラを破壊するものがいる。同時にMTF庚申-02は白燐焼夷弾、濃縮ガソリン火炎放射器、大口径破呪弾頭等、多種類の武器を使いSCP-CN-1101-4-01と交戦するが、十分な効果を与えられていない。サイト司令部はMTF庚申-02に第2保護収容ウイングからの撤退を命じる。
09:26:レベル3研究員インファス博士を吸収し、SCP-CN-1101-4-01は突然第2保護収容ウイングの主出入り口への移動を止め、地下部分への移動を始める。残存する敵対実体も後に続く。レベル3研究員インファス博士はSCP-CN-1101の収容施設を知る最初の犠牲者だったと判明する。SCP-CN-1101-4-01は吸収した生物の記憶を得て行動を修正できることが判明し、地下通路3番から5番が第1保護収容ウイングへの通路としてSCP-CN-1101-4-01により利用される可能性が最も高いと考えられる。サイトの工兵チームがSCP-CN-1101-4-01の予想進路へと急ぎ、無人兵器システムを展開する。一方で、残りの保安部隊は第1保護収容ウイングから撤退を開始する。
09:28:SCP-CN-1101-4-01は第3地下通路の中央の重隔壁に到着する。監視カメラ映像により、SCP-CN-1101-4-01の表面から触手状の付属肢が隔壁のコントロールに用いられている顔面・虹彩認識システムに伸びる。付属肢の先端は素早く変形し、人間状の構造になる。画像解析により、構造はすでに吸収されたレベル4研究員シルバー・███博士と同定される。シルバー・███博士はそれまでにSCP-CN-1101-4-01により吸収されたなかで最も高いセキュリティ認可を受けた人物であると判明する。しかしながら、地下通路はレベル1封鎖に入っていたため、セキュリティ手順によりそれには反応しない。無反応であることを確認すると、SCP-CN-1101-4-01の表面から多数の触手状の付属肢が伸び、周囲の強化コンクリート壁に突き刺さり、結晶化する。
09:29:SCP-CN-1101-4-01の前部が突出する。熱イメージシステムによると、通常の組織温よりも高い液体がSCP-CN-1101-4-01の体腔内で分泌され輸送されている。突出部では一種の水力によるメカニズムが形成されていると示唆される。続いて、先端部が鋭いシート状の構造となり、防護扉のヒンジ部に約████m / sで突き入れられる。防護壁内部のセンサーは█████MPa以上の剪断応力と、約13.7 cmの貫通を検出する。更に触手状の付属肢が多数SCP-CN-1101-4-01から突き出し、周辺の壁に突き刺さった後結晶化する。後に残留していた付属肢の構造のrietan-FP格子の分析では、格子間の応力は██MPaで保持されていた。結晶化した付属肢は防護扉の破壊の間支持構造として利用されたと推測される。
09:32:SCP-CN-1101-4-01が防護扉のヒンジに幅12 cm、高さ135 cm、深さ170 cmの損傷を及ぼし、それは依然として拡大している。防護扉の損傷の後の分析では、SCP-1101-4-01による強い剪断力のためにヒンジ部で破壊されたことを示す激しい断熱剪断現象の跡が発見された。SCP-CN-1101-4-01がどのようにしてこのような強い力(█.███ × 107 N)を発生させたのかは不明である。
09:34:防護壁はSCP-CN-1101-4-01により接続部で破壊される。後の防護壁の分析ではSCP-CN-1101-4-01が正確にロックコアとボルト構造を破壊していたことが示された。SCP-CN-1101-4-01は防護壁を通路の内壁から分離した後、第1保護収容ウイングに侵入する。棟内の無人兵器が即座に攻撃を開始するが、効果は低い。
09:41:サイト司令部が状況は収拾不可能と判断し、同時にSCP-CN-1101-4-01を破壊するため棟内のジシアノアセチレン-3フッ化塩素緊急飽和システムを使用する決定が下される。第1保護収容ウイングはレベル1内部ロックアウト状態に入り、換気システムが空気導入モードに入る。ジシアノアセチレン-3フッ化塩素緊急飽和システムにより生成された高温高圧ガスがSCP-CN-1101の収容施設及びSCP-CN-1101-4-01の位置に向けられる。
09:42:SCP-CN-1101-4-01はSCP-CN-1101の収容施設に近いことが確認される。第1保護収容ウイングに設置されたジシアノアセチレン-3フッ化塩素緊急飽和システムが遠隔から起動される。40秒間の間、殲滅領域内は最大6317℃で加熱される。
09:43:第1保護収容ウイングの生物検出システムにより不明な生物シグナルが検出され、SCP-CN-1101-4-01が生存していることが確認される。第1保護収容ウイングの地下に設置された緊急核弾頭がサイト司令部の指令により起爆される。爆発は第1保護収容ウイングを完全に破壊し、モニタリング設備はシグナルを断絶する。同時に、サイト-CN-42(サイト-CN-75から378 kmの距離にある)の応用神学研究施設がサイト-CN-75からの強いアキヴァ放射を検出する。それは0.17秒持続する。
09:45:VERITASが爆心地から数回の強いEVEパルスを検出する。緊急に派遣されたドローンは第1保護収容ウイングの残骸に位置する高活性の巨大で不規則な生物構造物を観測し、即座にSCP-1101-4-01と同定される。更なる観察により、SCP-1101-4-01は物質の摂取をせずとも自発的に容積と質量を増していることが判明し、短期間に多大な外傷を負ったことへの代償的反応であると推定される。続行中のUER事案かつNK-レベル世界終焉シナリオの可能性ありとして即座にO5評議会に報告される。
09:47:O5評議会は、13対0の投票にてヘリオス=システムの開始の提言を可決する。A-レベル制御不能核融合事故発生のカバープロトコルであるNA-01 が即座に発動し、各政府の財団との連絡役に通達される。東半球の全ての核爆発モニター衛星およびサイト-CN-75の12,000 km以内の地震観測所が停止される。サイト-CN-75は全面的避難プロトコルを開始する。
09:50:ヘリオス=システムが北緯41度23分36.██秒、東経91度27分34.██秒、海抜985 mにて32%の出力で0.05秒間照射される。照射により、第1保護収容ウイングとSCP-CN-1101-4-01が完全に蒸発する。照射を生き残った敵性実体は増援により殺害される。侵略イベントの終了が確認される。