SCP-2998-JP-3
SN1054.jpg

SCP-2998-JPの飛来元であるかに座超新星

アイテム番号: SCP-2998-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2998-JP-AはSCP-2998-JPとの協定に基づき、Dクラス職員の脳内に収容して下さい。未収容のSCP-2998-JPの把握、収容は人的リソースの損耗に比してその価値が低いことから積極的な収容行動は実施しません。全体的な収容の代替となるSCP-2998-JP-Aとの協定は1年毎にその存在をSCP-2998-JP全体に周知させて下さい。

財団との協定の存在を知らない、あるいは協定を無視していると考えられるSCP-2998-JPによる摂食行動を抑制することは困難ですが、SCP-2998-JPの特性を考慮すると活性化したSCP-2998-JPが一般社会へ周知される可能性は低く、また被害として認識される危険性も極めて低いため、情報封じ込めレベルは低脅威度レベルとして扱います。但し、摂食対象となりSCP-2998-JPを知覚した人物に対しては精神汚染除去のためにクラスA記憶処理を実施してください。

SCP-2998-JP収容房はコロネリウス霊基情報体疎視化フィルタを通した観測がなされます。対抗処置を実施していない職員が活性化したSCP-2998-JPを知覚するとベネディクト深度IVの精神汚染を生じるおそれがあるため、収容房内の直接的観測は避けて下さい。

SCP-2998-JP群と締結している協定はSCP-2998-JPの総数を元に適宜見直しを実施してください。調整は財団倫理委員会の助言の下、財団管理部門が管掌部署となって行います。

説明: SCP-2998-JPはかに座超新星SN1054より飛来し、また現在に至っても飛来し続けていると考えられるツチミカドモデル型霊素情報複合体です。最初に確認されたとされる1054年から断続的に発見されており、年々増加しています。この状況はSN1054の超新星爆発に伴い近傍に存在していた知的存在が吹き飛ばされたことが原因であると考えられます。

SCP-2998-JPは通常の霊的実体と異なる霊素構造を有しているためnPDN装置を用いた実体化手段を用いて実体固定することができませんが、SCP-2998-JPの意思によって知覚可能となります(以下当該事象を”SCP-2998-JPの活性化”と呼称します)。SCP-2998-JPは活性化状態においても物理的実体としては振舞いませんが、視覚・聴覚的刺激を受けることが可能です。しかしながら、知覚した人物は一様に耐え難い恐怖感を覚えます。これは活性化状態のSCP-2998-JPが扁桃体の恐怖を感じる部位に直接作用することが原因ですが、SCP-2998-JPが意図的に行なっているわけではなく後述するヒト脳神経系への干渉の影響であると考えられています。なお、SCP-2998-JPが活性化した際は複数の肉食性生物が組み合わされたような外観を取ります。

SCP-2998-JPはヒト脳組織の神経活動時に生じるパルス信号に含まれる情報エントロピーを活動源としています。SCP-2998-JP1体あたりが1年間活動するのに必要な情報エントロピー量は、ヒト脳神経活動時に生じる情報エントロピーの総量の約0.1%を数時間吸収する程度で賄えることから、対象人物の脳活動への影響は非常に低いと考えられています。この摂食行動はSCP-2998-JPが脳神経系に入り込むことで成立します。脳神経系への侵入により、対象者(以下SCP-2998-JP-1)は以下に挙げるような影響を受けます。

  • 思考力、特に論理的思考能力の著しい向上
  • 緊張の弛緩、攻撃的な思考の減衰
  • 記憶能力の向上

また、これらに加えてSCP-2998-JPの思考を解釈することが可能となります。SCP-2998-JPは人類の言語及び概念をSCP-2998-JP-1の脳神経を介して解釈するため基本的にはSCP-2998-JP-1の用いる言語体系を用いてコミュニケーションを行います。なお、SCP-2998-JP-1は連続した自我を保っていると主張しますが、その正否については確認できていません。

SCP-2998-JPはヒトの有する恐怖の感情を強く忌避する傾向があります。ヒト脳内に侵入する際、あるいは侵入した後に、何らかの恐怖感情を覚えた場合、SCP-2998-JPは対象者から即座に離脱します。特筆すべき点として、SCP-2998-JPがヒト脳内に侵入するためには活性化し、自身を対象者に知覚される必要がありますが、前述したように活性化時のSCP-2998-JPを知覚すると通常恐怖を感じます。このため、恐怖を感じる機能に何らかの欠陥がない限りヒトの脳内に侵入するのは困難です。この自己矛盾からSCP-2998-JPが財団外の人間を摂食対象とする可能性は極めて低いと考えられます。

SCP-2998-JP-AはSCP-2998-JPのうち財団によって収容されている個体を指します。正確には一個体ではなく、財団外にも存在しているSCP-2998-JPの内摂食が必要となった個体が入れ替わりながらSCP-2998-JP-1内に収容されている状態にあります。多数存在すると考えられるSCP-2998-JPは互いに何らかのコミュニケーション手段を用いてこの状況を把握していると考えられます。

SCP-2998-JPは1054年に蒐集院の前身組織である陰陽寮により発見され、1155年から1955年に至る財団への併合までの間蒐集院がSCP-2998-JPとのコミュニケーションと収容を実施していました。具体的には神秘論的効果を持つ祝詞と舞踏、及び大麻等のカンナビノイド系薬物を併用することで恐怖への反応を鈍麻させた人物を用意し、SCP-2998-JP-1としていました。SCP-2998-JP-1を用意する手段を除けばSCP-2998-JPの収容手順は蒐集院時代のものと同様となります。財団における収容初期においても奇跡論的術式と薬物による恐怖感情の制御により間欠的な収容手段を実施していましたが、その後SCP-2998-JP及び脳科学研究の進歩により、現在はより簡便かつ恒久的な方法を取り入れています。具体的な方法の選択についてはSCP-2998-JPとの協定に組み込まれています。

補遺: SCP-2998-JP協定ログ




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