SCP-3890

アイテム番号:

オブジェクトクラス: Neutralized

特別収容プロトコル: この場所を離れることはないだろう。

説明: 終わった。

あれが襲ってくるまでに何マイル、何キロ歩いただろうか、いや、距離なんて知ったことか。それは今回は雲に化けていて、私が振り返ると、クリスマスプレゼントの包み紙のように開いた。勿論それは涎を垂らさないが、舌なめずりをしているように感じられた。随分と腹を空かせた奴だった。

私のところまで来たそれにナイフを突き刺すと、それは豚のように金切り声を上げた。とても容易いことだった。それは後ろに飛び退くか、あるいは後ろに滑り落ちるかして地面に倒れ、傷を受けたことを示す痕跡を砂の上に残した。

それはまた私のところまで来た。私はそれにナイフを突き刺した。

何度も。

何度も。

私たちはお互いを開いた。私はそれを穴だらけにし、それは私の心を穴だらけにした。私はあまり残っていない。

それは数分間にわたって、崩れながら地面の上でのたうち回った。私はそれを刺し続けた。手が濡れているように感じたが、それは出血によるものではなかった。もしかしたらそれは私とは異なる仕組みの生命体だったのかもしれない。形而上学的な化け物だとかそういうような。

刺して、刺して、刺した。それは死んで、崩れて、私の親指ほどの大きさの小さな黒い球体になった。私はそれを踵で踏み潰した。

容易かった。何故私はこれまでにそうしていなかったのだろうか?もしすぐにそうしていたら、私にはたくさんのものが残っていたかもしれないのに。もしかしたら理由があったのかもしれない。私には最早分からない理由が。

ミツバチは誰かを刺すと死ぬ。ミミックもそれと似たようなものだったのかもしれない。あれが私を襲うやり方は、私があれを始末した前の最後の時だけ、少し違うように思われる。以前は、一瞬で何かを奪うようなやり方だった。今や私は自分が穴の開いた船であるかのように感じる。水はその中に押し寄せてきている。もしくは私の場合は、水が漏れている。この例えはあまり上手いものではない。

タイタニックのような船!私はそれを覚えている。私はタイタニックを覚えている。タイタニックは隠れていた氷山にぶつかって沈んだ船で

私は何かを忘れた。これ以上の言葉を思い出せない。全て失われつつある。

今すぐ自殺がしたい。まだナイフは持っている。それは先へ進むための最も優れた方法ではないが、喉を掻き切れば出口が作れるかもしれない。しかし、端的に言えば、私は死にたくない。私は見る、ここを彷徨っている人々を、太陽を見上げたせいで焼き尽くされた目を。そして私は死にたくないということしか考えられない。

私はまだやれる。時間はある。とても容易い。私はやれるだろう。すべきことさえすれば

私は  

私は

私は

私にはこの言葉の意味が分からない。

消えたくない

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。