SCP-5552

アイテム番号: SCP-5552

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 全てのSCP-5552実例はレベル4機密の指定を継続されます。

説明: SCP-5552は2020年4月14日にサイト-72データベースに出現した6種の一連の文書を指します。全ての文書は、以前までSCPスロットに割り当てられていなかった、SCP-5552に関連しているものとみられます。

文書自体は異常特性を呈していませんが、全ファイルのアップロード時刻は13時43分28秒を示しており、これはナマン・グプタ博士が第6回国際物理学会にて「双方向的時間航行に関する包括理論」と題した講演を開始した時刻に一致するとされています。

SCP-5552に関連する異常現象の可能性が調査されたものの、当該文書群に記載されている詳細を裏付ける確証は得られませんでした。SCP-5552にて言及された各当事者には、起こり得る時間的連続性エラーを回避するためSCP-5552の内容について知らされておらず、直接の質問も行われていません。当該文書群の主要な異常性は、サイト-72データベース内に原因不明のまま発生した点です。

補遺SCP-5552-1: 2020年5月2日、財団籍の人工衛星はカナダ国ヌナブト準州において大規模な視覚的異常を検出しました。20エーカーに及ぶ領域が、生息する動植物群を含めて完全に黒く変色していました。GOCの情報筋は、本事案がナマン・グプタ博士の研究を実現する試みの最中に発生した破滅的失敗の結果であるとの情報を財団に伝達しました。この新事実を受け、アラン・グリーン博士はSCP-5552の再調査を命じられました。以下は2020年5月6日にグリーン博士が実施したシンディ・ヘルスマン博士とのインタビューです。本インタビューはヘルスマン博士が率いるCHRONUSプロジェクトの事後検討会を装って行われました。

グリーン: お疲れ様、シンディ。

ヘルスマン: どうも、アラン…。

グリーン: 辛いだろう、分かるよ。プロジェクトも何もかも失ったんだものな。まとめのインタビューを手短に済ませてしまおう。

ヘルスマン: 今更な感じもするけど。上に再割り当てされたのはもう2週間前よ。

グリーン: かもね。しかしここが官僚主義なのは君も分かっているだろう。

ヘルスマン: なんでもいいわ。まとめるような内容もほとんどないし。さあどうぞ。

グリーン: 「ウィルト」という言葉に聞き覚えはあるかい?

ヘルスマン: いえ全く。

グリーン: 「ウェンデル・コンジット」は?

ヘルスマン: それも聞いたことがありません。知らないとまずいかしら?

グリーン: 大丈夫。心配は要らないよ。では、ナマン・グプタ博士はご存じかい?

ヘルスマン: ええ。GOCのタイムトラベルに関する論文の筆頭著者の方よね。

グリーン: グプタ博士に実際に会ったことはあるかい?

ヘルスマン: いや、ないけど。正直、その方の講演すらまだ見ていないわ。

グリーン: それは無理もないね。

ヘルスマンが鼻をすする。

ヘルスマン: 彼は、ええと…最近亡くなったのよね?

グリーン: ああそうだ。タイムマシンのテスト中に事故があってね。

ヘルスマン: そう。

ヘルスマンは再び鼻をすすり、目を指で拭う。

グリーン: 大丈夫かい、シンディ?

ヘルスマン: 分からない。

グリーン: 何が分からないんだい?

ヘルスマンは再び涙を拭う。

ヘルスマン: 私、泣いているの。アラン…。どうして、泣いているの?

グリーンはデスクの反対側へ歩み寄り、ヘルスマンの肩に腕を回す。

グリーン: 理論的に説明することはできるが、それは重要ではないと思う。全ての物事に説明が要るわけではないのだから。

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