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PROJECT FUSILLADE
SCP財団 // 世界オカルト連合 // 共同クリアランスファイル//
パスコード:
THE GARDEN IS THE SERPENT'S PLACE.
4/6000 LEVEL 4/6000
CLASSIFIED
特別収容プロトコル: SCP-6000の現行の収容プロトコルは必要となるあらゆる手段を用いてその存在を隠蔽することに向けられています。プロジェクト・フュージレイドの一環として、SCP-6000の恒久的な収容法または破壊法が考案されるまでは財団の資源は主に情報操作および隠蔽に利用されます。許可なき人員がSCP-6000進入禁止区域に侵入した場合は、武力を用いてこれを妨害します。収容についてのさらなる詳細は補遺6000.3に記載されています。
説明: SCP-6000は2° 9' 47.1816'' S,55° 7' 35.9328'' W(ブラジル連邦共和国、アマゾン熱帯雨林内)に位置する大規模次元突出です。SCP-6000は財団の知るクラス-W転移ゲートウェイ(俗に「道」と呼ばれる)の中では最大の大きさを持ちます。SCP-6000は現在北東端から南西端まで19キロメートルありますがその直接的影響を受けているエリアは大幅に広く、SCP-6000の周囲8キロメートルが暫定的に進入禁止区域に指定されています。
SCP-6000は不定の速度で拡大しており、その存在は進入禁止区域内の動植物に負の影響をもたらしています。この影響の強度はSCP-6000の拡大に比例して強くなり、それにともない進入禁止区域もより広くなります。
SCP-6000-A、近接写真。ホバーで拡大。
SCP-6000-Aは蛇に類似する知性体です。SCP-6000-AはSCP-6000の予備調査の際に進入禁止区域内で発見されました(補遺6000.2参照)。発見時点では昏睡状態であり、ヒトの死体に囲まれていました。SCP-6000-AとSCP-6000の関係性は調査中です(補遺参照)。
SCP-6000は基底現実と「放浪者の図書館」として知られる異空間を接続しています。財団が放浪者の図書館と初めて接触したのは1955年のことですが、種々の証拠は放浪者の図書館が遅くとも有史時点から人類文明の発展に対して重大な役割を果たしていたことを示唆しています(補遺6000.1参照)。
SCP-6000は2030年の夏至(12月21日)に出現しました。アマゾン熱帯雨林の衛星監視映像が突如として巨大な可視異常を映し出し、調査のため当該地域に偵察部隊が送り込まれました。
補遺6000.1
放浪者の図書館概要
Nx-001、1955年ごろ。写真はやや傷んでいる。
Nx-001に指定される放浪者の図書館は、巨大な図書館で構成される外次元Y-空間です。その大きさ及び境界は未知であり、収蔵している本、論文、エッセー、その他メディアや情報は潜在的には無限です。噂されるところではあらゆる知識を網羅しているとされますが、特に奇跡や魔術に集中しているとされています。放浪者の図書館は1955年、「蛇の手」として知られる要注意団体が不注意からその所在を財団エージェントに漏らしたことにより、財団の知るところとなりました。
放浪者の図書館は「司書」により維持管理がなされています。司書はそれぞれ大きさ・形状は異なりますが、典型的にはNx-001の業務または防衛に特化して大規模な改造のなされたヒト型生物が務めています。図書館の規則を破ったものは司書に変えられ、労働により債務を弁済させられます。これは多くの財団職員にも発生してきました。
Nx-001はGoI-014、「蛇の手」と密接な関係にあります。Nx-001は比較的安全な場所であるため、蛇の手により集会場や作戦時の立ち寄り場所として用いられていることが知られています。財団とGOCによる図書館への侵入が数多く試みられましたが、ほとんどは失敗に終わっています。
異常を抑制することに対しての図書館の思想から、財団やGOC、カオス・インサージェンシーは当初は図書館との関係を絶たれていましたが、近年はその態度は軟化しつつあります。サイト-19の管理官であるティルダ・ムースはかつてはタイプ・ブルー妖術者として放浪者の図書館及び蛇の手と広範囲にわたる活動をしており、これらの事柄に対する安全についての簡単な説明をいくつか残しています。
«抜粋開始»
ムース: "外次元"というのは専門用語ですが、実際のところ分かりやすい言葉とは言えません。図書館は我々の世界とつながってはいますが、我々の世界にある訳ではありません。図書館には「道」を通って行くことができます。「道」はネットワークの一種で… 簡単に言えば、ある場所から別の場所へ移動できる魔法のポータルです。「道」は世界中にあります。ドアとして想像できるようなものや、ドアに似ているものなどはなんでも「道」になりえます。洞窟、アーチ、トラックの後ろ側などがそうです。絵ですら「道」になりえます ― まだ私にそれができたころ、私はドアの絵を使って図書館に入ったことがあります。
ええ、そうです。私はかつて図書館利用者でした。大昔のことですけどね。私が他のグループとともに行動していたころのことです。
そうですね、あれは… 「別世界」、というのが一番ふさわしいと思います。他のものとは比べ物になりません。あの建物や、装飾は… 生きているわけではないのですが、しかし変化するのです。常に変わり続けています。わたしがよく行っていたころはアール・デコ風の装飾でした。見上げれば、吊天井には星座が見えたものです。
私は財団に入り、そして全ては終わりました。図書館は我々のことを、控えめに言っても「好きじゃない」といったところでしょうか。特に私を… いえ、これ以上話すのはやめておきましょう。次の話に移りましょう…
«抜粋終わり»
補遺 6000.2
最初期遭遇
未解明事象報告
所在地: ブラジル連邦共和国、アマゾン盆地 (2° 9' 47.1816'' S, 55° 7' 35.9328'' W)
調査状況: 進行中
調査期間: 12月21日午前11:49(現地時間) — 現在
攪乱クラス: Keneq
イベント概要: 全長0.5キロメートルの巨大可視空間異常で、空間に浮かぶ玉虫色の「唇」に似ています。近隣の植物相・動物相は形状・色・組成・大きさが変化しており、アノマリーに近づくほど変化の度合いは大きくなります。長期にわたる監視の結果図書館へと通じる「道」であることが明らかになりましたが、既知のどの「道」よりも遥かに大きいです。実際に接触する必要があるので、緊急収容チーム及び機動部隊シグマ-3の特化分隊の派遣を提案します。
追記: 実に美しいではありませんか。
3名からなる偵察部隊が派遣されていましたが、この報告の後通信が途絶しました。対策・収容チームおよび機動部隊シグマ-3("書誌学者")から1班が即座に派遣されました。偵察部隊の装備品及び補給品は発見されましたが、隊員は発見されませんでした。サイトから大きく離れて続いていた足跡から、偵察部隊は現在進入禁止区域に指定されている区域に侵入したと考えられます。
失踪した偵察部隊の調査中、ローブを着用した12の不明な人物の死体が奇跡論的魔方陣の許に発見されました。魔方陣の中央にとぐろを巻いたSCP-6000-Aが昏睡状態で発見され、まもなく施設-57の収容室まで空輸されました。
それと並行し、1班がSCP-6000遠征に向けた装備を整えました。また、ムース管理官が管理のため施設-57を訪れていましたが、Nx-001、「道」、蛇の手との広範な経験を持つことから、班と同行するために異動しました。
機動部隊シグマ-3"書誌学者" — シカゴ班
- シカゴ-ワン: アダム・マクミラン
- シカゴ-ツー: ティルダ・ムース
- シカゴ-スリー: ナイラ・フローレス
- シカゴ-フォー: エステバン・バーデム
«記録開始»
シカゴ-ワン: SCP-6000への接近を開始します。偵察部隊の痕跡はありません。
司令部: 了解しました。
[シカゴ班は森林限界を通過し、厚い葉を押しのけて進んでいく。]
シカゴ-スリー: ちょっと待って。何か聞こえない?
[シカゴ班は足を止める。不明瞭なノイズがかすかに聞こえる。]
シカゴ-ツー: アノマリーの方から聞こえますね。
司令部: アノマリーまではまだ1キロ半ありますよ、シカゴ。
シカゴ-ワン: 了解です。接近を続けます。
[シカゴ班はジャングルを進み続ける。]
シカゴ-スリー: 空気がなにかおかしいです、司令部。なんというか… 光っています。油膜みたいに。
シカゴ-ツー: 植物にも油っぽい光沢があります。このようなものは見たことがありません。
シカゴ-フォー: 撮影する。 [立ち止まる。] あれを見てくれ。
[数十フィートある樹木の幹の大部分が、変形して本棚の形になっている。この時点で本は入っていない。]
シカゴ-スリー: いつこうなったのかしら?
シカゴ-フォー: 今も続いている。見ろ。
[すぐ近くにある木も同様のプロセスを踏んでおり、樹皮や木質が腐り落ちて本棚の形になりつつある。]
シカゴ-ツー: これは間違いなく異常ですね。
シカゴ-ワン: みんな、あれを見てくれ。
[…]
シカゴ-ワン: そろそろ尾根を越えます、司令部。
司令部: 了解しました、シカゴ。進んでください。
[立ち止まる。]
シカゴ-スリー: なんてことなの。司令部、少々お待ちを-
[シカゴ-ワンはボディカメラの位置を調整する。広大な森林は完全に消失しており、切り開かれた空間はNx-001のウイング(空室)に続いている。巨大な本棚群には本は1冊もなく、内部にも誰も見られない。]
シカゴ-ツー: な… 何もないですね。これは新しい。
シカゴ-フォー: いったいどういうことだ?
シカゴ-ワン: 奇妙だな。司令部、調査許可をいただけますか?
司令部: お待ちください。 [沈黙。] 調査をお願いします。ただしシカゴ-ツーは外部で待機してください。図書館内の者たちを刺激しないようにしてください。
シカゴ-ツー: 了解です。
シカゴ-スリー: ラジャー。
[シカゴ-スリーはアサルトライフルと拳銃を外し、地面に置く。シカゴ-ツーはハンドガンを手に取る。シカゴ班は空地へと進む。ブーツの音が聞こえる。]
シカゴ-ワン: なんだ?
[シカゴ-ワンが地面の泥を蹴る。ブーツが何か硬いものにぶつかる。]
シカゴ-ワン: 硬木だな。泥まみれだ。一体何が起こっている?
[シカゴ班はSCP-6000境界に接近し、内部をのぞき込む。]
シカゴ-ワン: おい? 誰かいるか?
[静寂。]
シカゴ-ワン: 司令部、中に入ってもよろしいですか?
司令部: 許可されました。お気をつけて。
[シカゴ班はSCP-6000内部に侵入する。シカゴ-ツーは基底現実にとどまっている。]
シカゴ-ワン: 司令部? 聞こえますか?
司令部: はっきり聞こえます。なにかありましたか?
シカゴ-フォー: ここは… なんにもない。気に入りませんね。
シカゴ-スリー: なんというか… 図書館とは違う気がします。
シカゴ-ワン: そう思ったのは俺だけかと思った。
シカゴ-ツー: いいえ、全く違っています。上を見てください。屋根がなく、真っ暗です。本棚も仕上げられていません。
シカゴ-ワン: つまり… 未完成か。こんなこともあるのか。
[遠くから大きなノイズが聞こえる。シカゴ班は防御姿勢をとる。]
シカゴ-フォー: うおっ。
[巨大な赤いヤスデが本棚の間を抜けて進んでいく。シカゴ班には反応しない。ハサミが素早く動く。]
シカゴ-フォー: アーキビストだ。
シカゴ-ワン: 司令部、どうしましょう。
司令部: 平和的な交流であれば許可されます。施設-57からバックアップ物資が空輸されています。
シカゴ-ワン: 了解しました。 [実体に向かって] おい! 聞こえるか!
[実体はシカゴ班に頭を向け、叫び声を上げながら勢いよくハサミを閉じる。「シッ」という女性的な声が聞こえる。]
不明: 貴方たちの目的はわかっています。立ち去りなさい。
[複数のクラス-3司書が付近の本棚をよじ登って現れる。司書はクモに似た人型実体で、長い胴体と4つの目を持ち、腕が増えている。偵察部隊の制服を着用している。]
シカゴ-ワン: クソっ。おい、俺たちは何も変なことはしていない。規則だって破っていない。これはなんなんだ?
[司書は本棚を降りはじめる。シカゴ班はあとずさり、SCP-6000に近づいていく。]
シカゴ-ツー: みんな…
司令部: 撤退してください、今すぐ。
シカゴ-ワン: 走るぞ!
[シカゴ班は向きを変え、数十メートル先のSCP-6000に向かい走って行く。司書は地面に飛びおり、大股で走って追いかける。かなりの速度ではあるが、距離は開いている。1体が追いついてシカゴ-フォーにとびかかり、地面にねじ伏せる。シカゴ-ツーはハンドガンを構え、Nx-001に向かい発砲する。]
シカゴ-フォー: クソ! クソが! 助けてくれ!
[シカゴ-スリーが救援のため向きを変えてシカゴ-フォーへ走り寄り、司書の顎を殴りつける。複数のクラス-2司書(フードをかぶりランタンを持った身長数メートルの実体群)が曲がり角のすぐ近くにいる。シカゴ-スリーはシカゴ-ワンの方を向く。]
シカゴ-スリー: なにもたもたしてんだ! 走れ!
[シカゴ-ワンは向きを変え走り出す。後方1メートル未満を司書が追いかける。シカゴ-ワンはSCP-6000に身を投げる。時を同じくして、機動部隊デルタ-45"ローリング・サンダー"のAH-1Z ヴァイパーが空地に急降下し、SCP-6000に向けた制圧射撃の照準を合わせる。シカゴ-ワンとシカゴ-ツーはロープにつかまり、安全に確保される。]
«記録終了»
Nx-001の見せた攻撃性や偵察部隊の司書への変換は、通常、Nx-001の規則の重大な侵犯の際にのみ見られたものでした。今回は攻撃されていないにもかかわらず突如として攻撃性を見せ、結果として翌日緊急会議が開かれました。その間は機動部隊デルタ-45が進入禁止区域の警備を行いました。
シカゴ-ワン(エージェント・アダム・マクミラン)とシカゴ-2(ティルダ・ムース管理官)はSCP-6000の収容のため建設された施設-57に退避しました。
補遺 6000.3
収容対応
SCP-6000の脅威はもっと大きなものになっていた可能性もありますが、SCP-6000は比較的僻地にあるため、実際にはそのようなことにはなりませんでした。しかしながら、恒久的に地球上に存在するクラス-Wの大規模な「道」の持つ潜在的脅威は重大なものです。12月23日、SCPOVERCOM(当時は監督評議会と呼ばれていた)はSCP-6000をその場で収容するための一連の初期収容及び鎮静プロトコルに許可を出しました。これらを総称しプロジェクト・フュージレイドとします。
- 施設-57を正式にSCP-6000収容施設に指定。
- 野生動物や旅行者の侵入を防ぐため、進入禁止区域周囲にフェンスを設置。
- SCP-6000の長期にわたる研究のためのリソースを要求。
- GoI-14「蛇の手」の既知のスパイを捕縛。
- Nx-001との戦闘を含む攻撃的手段による追跡を機動部隊シグマ-3隊員に許可。
評議会投票結果:
賛成 |
反対 |
棄権 |
O5-01 |
O5-04 |
O5-06 |
O5-02 |
|
O5-08 |
O5-03 |
|
|
O5-05 |
|
|
O5-07 |
|
|
O5-09 |
|
|
O5-10 |
|
|
O5-11 |
|
|
O5-12 |
|
|
O5-13 |
|
|
この直後、施設-57の医療職員による予備調査の最中にSCP-6000-Aが昏睡状態から回復しました。SCP-6000-Aは即座に攻撃を試みましたが、すぐに警備員により無力化されました。
収容中、SCP-6000-Aは放浪者の図書館および蛇の手に繰り返し言及しています。SCP-6000-Aから情報を得るため、Nx-001に関わる経験の最も多い上級職員であるムース管理官が、武装した警備員を伴ってインタビューを行うことが許可されました。
«記録開始»
ムース: こんにちは。
SCP-6000-A: 牢番か。
ムース: まあ、第一声がそれですか。それならあなたは「手」ですね?
SCP-6000-A: いいや。もしかしたらそうだったかもしれないが。思い出せないね。
ムース: そうですか。なにか覚えていることはありますか?
SCP-6000-A: 虚無を漂っていた。夢を見ていた。林檎の木の下に横たわっていた。何者かが私の耳元に囁く物語を聞いていた。そしてここで目が覚めたら、冷たい金属の台の上で、刃物を持った男たちに囲まれている。
ムース: そのことについてはすみません。それではあなたは、その… そういった姿になったときのことも覚えていない?
SCP-6000-A: ああ。何かおかしいか?
ムース: なるほど。では、えー、ご自身の姿を確認していただけますか?
[ムースは壁に掛けられた鏡を指さす。SCP-6000-Aはその顔を用心深く触る。鱗の上で指を上下に滑らせる。]
SCP-6000-A: ほう。
ムース: やはりご存知でなかったのですね。わかりました。
SCP-6000-A: ああ。これは… 初めてのことだな。「声」は私を自分の姿に作り替えると言っていたが、これは…
ムース: 「声」とは?
SCP-6000-A: 私がどれほど夢を見続けていたのかはわからんが、「声」はその間ずっとともにいた。木の枝からぶら下がり、伝承、物語、神話をささやいていた。牢番、焚書者、図書館の物語だ。お前は知らんだろうがな。
ムース: あいにくですが、知っていますよ。図書館には何度も行ったことがあります。かつてのことですけどね。
SCP-6000-A: ふむ。幾人かの牢番は入れたと聞いたことがあるが… なぜだ。見当もつかん。
ムース: 理由はいろいろです。情報。旅。まあ、制約はかなり多くありました。彼らは他の財団職員に対し収容の手助けをすることは禁じられていました。
SCP-6000-A: それは今お前が私にしていることではないのかな。
ムース: まあ控えめに言って、「状況が変わった」のです。
SCP-6000-A: ああ。「道」のことか。
ムース: ではあれについてなにかご存知なのですね。話してください。
SCP-6000-A: なぜ私がそんなことを?
ムース: ひとつ、貴方は十分協力的です。ふたつ、私はあそこへ行き、6名の仲間がいまだ司書にとらわれています。みっつ、あなたはまだ人心を残しています。お好きな方を選んでください。
SCP-6000-A: ふむ。取引か。物語には物語を。私の頭にはあふれんばかりの物語があるが、それを知りたくば語ることだ。
ムース: どのような物語を?
SCP-6000-A: お前が最後に図書館に行った時のことなどどうだ?
ムース: な- どうしてそんなことが知りたいのですか?
SCP-6000-A: 図書館のことは何となくしか覚えておらず、何も思い出せんのだ。お前の話で何か思い出すかもしれん。
[管理室はムースに協力するよう指示する。]
ムース: [溜息] あれは… 今から15年前のことでした。そのとき私と蛇の手の関係は破綻しかけていました - 我々の住むこの世界を発展させるにはどうすればよいか、完全に意見が分かれていたのです。図書館には「五つの記録」と呼ばれる場所がありました。覚えていらっしゃるかはわかりませんが。
SCP-6000-A: 覚えている。石で作られた偉大な穹窿は、図書館の基準でさえ禁じられた知識で満たされている。新たな司書の生まれる場所。たどり着くことのかなわぬ地。
ムース: その通りです、彼らは皆そのように言っていました。十分に魔術を熟知していれば不可能なことなどありません。私は数か月を準備に費やし、魔方陣を整えました。ただの数分で私は中に入ることができました。職員でさえ私には及ばなかったようです。
SCP-6000-A: それは… 初めて聞くな。そこで何をしたのだ?
ムース: いくつか拝借させていただきました。本。「道」を記した地図。目録。もし財団の手に渡れば、図書館に対する戦力をもたらすであろう品々。そして私は来た道を戻っていきました。
SCP-6000-A: 図書館を裏切ったのだな。
ムース: ええ。そうとしか言えませんね。
SCP-6000-A: その場所のことを詳しく話してくれ。
ムース: 図書館ですか? あなたがすでにある程度は知っていればよいのですが。というのも、図書館を見たことがない人にそれを説明するのは、2つの色の違いを目の見えない人に説明しようとするようなものでして。それは全く異質、別次元、理解を超えているのです。そこには驚きと魔法、そして冷酷と悪意があります。宇宙の中心なのです。
SCP-6000-A: そうかもな。
ムース: 驚きはしませんが、その広さは無限なのです。
SCP-6000-A: いや。無限ではない。単に途方もなく巨大なだけだ。
ムース: 同じことでは?
SCP-6000-A: 図書館は新たな物語が書かれ、新たな知識が見つかるとともに永遠に拡大していくのだ。それは死んだ物語、すでに終わった物語を押し広げ、消費し、自らの一部とする。物語は他の物語のための本棚へと変わり、新しいものがそこに収まることができるのだ。
ムース: なるほど。
SCP-6000-A: 私の話はそのことについてだ。少しだがな。かつて1人の少女が目を覚ましたとき、少女は「火を紡ぐ」ことができることに気付いた。少女は玩具、蝋燭、紙に火を灯した。そのとき、その安アパートのドアを銃を持った男たちが蹴破り、少女の誘拐を試みた。人間にも火がつけられることを少女が知ったのはその時だったが、それほど愉快なことでもなかった。少女は走りに走り、やがて街道の魔術師、奇跡者にであった。少女と同類の人間であった。彼らは、少女が復讐に怯えることもなく、ありのままでいられる世界への扉を開いた。
ムース: 図書館ですね。
SCP-6000-A: その通りだ。少女は本棚の間を歩いていき、ドーセントに会い、望むあらゆる物語を読んだ。しかしやがて問題に立ちゆいた。全ての物語が終わってしまうのだ。短いものもあり、長いものもあったが、遅かれ早かれ終わりを迎えてしまう。
ムース: その何が問題なのでしょうか?
SCP-6000-A: 問題ではないのだ、実際のところは。しかし少女は物語の終焉と、頭の中で鳴り続ける1つの疑問について考えることをやめられなかった — 終わった後には何が起こるのか? 彼らは終わりに抗うのか、それともそれは安らぎなのか?
ムース: 気持ちはわかります。しかしそのことは我々と何の関係が?
SCP-6000-A: さあな。私はまだ物語を整理しているところだ - 今のは関係がありそうなものを選んだのにすぎん。しかし私なら蛇の手を探すな。彼らは少女を救った。おそらくはお前たちを助けることもできるだろう。
補遺 6000.4
プロジェクト・フュージレイドの対応
SCP-6000-Aの提案およびプロジェクト・フュージレイドに則り、2030年12月27日、SCPOVERCOMは世界各地の機動部隊による既知の「蛇の手」の主要支部への一斉捜査「オペレーション・ブラックスター」を承認しました。12月28日、オペレーション・ブラックスターは成功裏に実行されました。
機動部隊パイ-1 "街の口達者" — ドラゴン班 — 中華人民共和国、上海市
北京官話から翻訳。
«記録開始»
ドラゴン-ワン: 準備完了。ツー、先頭へ。
ドラゴン-ツー: 了解。スリーは?
ドラゴン-スリー: 準備完了。3… 2… 1… 起爆! 行け!
[爆発。]
ドラゴン-ツー: クリアー!
ドラゴン-スリー: クリアー!
ドラゴン-ワン: クリアー。
[沈黙。]
ドラゴン-ワン: 撤退したか。
«記録終了»
捜査対象の57の隠れ家は全て完全に一掃され、GoI-14の人員及び物資から解放されました。そのうち30に活性(もしくは活性だった)クラス-Wゲートウェイがあり、SCP-6000と同一の場所に通じていました。見る限りでは「蛇の手」は完全に地球を去っており、活性の「道」が地球上に点在するように残されています。
この時点でSCP-6000は1キロメートルにわたり、進入禁止区域は周囲3キロメートルまで拡大されました。ティルダ・ムース管理官はO5評議会のためにこの現状に対する考えについての声明を作成することを依頼されました。
声明
何がここまでのことを引き起こしたのかはわかりません。ただ、もし図書館が人類に牙をむけば、それは凄惨なものになるでしょう。彼らは我々とは完全に異質なもので、彼らがなぜ彼らなのかも、彼らの行いの理由も、我々には理解することすらできません。まったくもって、理由などあるのかどうかすらも分かりません。
ほとんどの財団職員は図書館のことをなんとなく知っているだけですが、私を含む少数の人々は実際に足を踏み入れたことがあります。だからこそ、あれはかつては人類にとって最大の恵みであり、また同時に最大の脅威でもあったと言うことができます。図書館に行った人々は、他では決して知ることのできないであろう知識を手に入れます。その知識たちが歴史にどれだけの影響を与えてきたか、そしてこの全宇宙の知識の源流が我々に牙をむいたときどれほど恐ろしいことが起こるか、想像してみてください。
これがハッピー・エンドで終わるようには思えません。
ムース管理官は施設-57でSCP-6000の収容に専念するため、サイト-19での職務から一時的に解任されました。
補遺6000.5
プロジェクト・フュージレイド 収容の試み
1月19日、施設-57において事案対策委員会が急ぎ設立されました。
人員:
- ティルダ・ムース管理官
- エージェント・アダム・マクミラン、機動部隊シグマ-5
- 応用部隊通信係 ジョセフ・カーツ
- 大規模収容スペシャリスト ジェイ・ヴァスケス
«記録開始»
ヴァスケス: いや、そういうことをするにはアマゾンは目立ちすぎます。アトレウス・アレイは検討しましたか?
ムース: 初期実験の際に進入禁止区域の外でSRAが用いられたのですが、効果はなかったようです。
ヴァスケス: クソっ。一体全体あれは何なんだ?
ムース: 「道」ですよ。「道」は物体ではなく、エネルギーとも言えません。我々が知るのはごくわずかなことです。
マクミラン: ふつうは「道」はできてから数分で消散します。SCP-6000は数週間を経ても残り続け、大きくなるばかりです。
カーツ: それにSCP-6000以来、他の「道」も消失しなくなっているようです。まぎれもなく何かが変わりました。
ムース: そうですね、ですがどうします? 考えもなければ手がかりもありません。
ムース: いえ、手がかりはないわけではありませんでした。
カーツ: そうか、管理官が連れてきたあの蛇モドキですか。あれは何て言ってたんです?
ムース: わかりません。我々がここに連れてくる前のことは何も覚えていないようです。あれは間違いなく、我々に話したより、あるいは覚えているよりも、ずっと深く図書館とつながっているはずです。
カーツ: そうですね、調査を続けてください。話は変わりますが、進入禁止区域内から報告が届きました。SCP-6000が植物相・動物相にもたらしている影響の詳細についてです。
ヴァスケス: あれは… 何といえばいいのかわかりませんね。周りのものすべてを「図書館化している」とでもいったところでしょうか。
マクミラン: あそこにいたとき、木々が本棚に変わっていくのを見ました。葉には文字が浮かんでいました。そのようなことが確かに起こっていました。
ヴァスケス: それに加え、動物も歪に変化しています - 腕の増えたジャガー、羽が字で覆われた全長2フィートの鳥、その他もろもろ。あれは地上を歪めて図書館の一部に作り替えています。
カーツ: そしてSCP-6000が広がるほど、進入禁止区域も広くなる。
マクミラン: ふむ。これはまずいですね。
カーツ: 控えめな表現でもですね。とはいえ、試す価値のある案はいくつかあります。どれかが功を奏すことを祈りましょう。
«記録終了»
プロジェクト・フュージレイド 収容試行記録、要約
提案 |
火炎放射器などの熱火器を用い、SCP-6000の影響を受けた木を焼却する。 |
結果 |
進入禁止区域内の影響を受けた木は焼かれた部分も即座に再生するため、火器は効果がないと判明しました。 |
提案 |
SCP-6000境界に爆発物を大量投下する。 |
結果 |
全ての爆発物はNx-001に侵入すると同時に無力化しました。 |
提案 |
アトレウス・アレイ(衛星ベースのSRAシステム)をSCP-6000に向けて最大出力で運用する。 |
結果 |
SCP-6000および進入禁止区域は何の影響も受けませんでした。 |
[34のエントリが省略されています]
«記録開始»
ムース: お久しぶりです。
SCP-6000-A: 牢番か。
ムース: その呼び方をするのはなぜですか。あなたは「手」ではないし、図書館のことを思い出すことすらできないのでしょう?
SCP-6000-A: いや、思い出せるぞ。今なら少しは思い出せる。すべてではないが、運がよければそれもいつか思い出すかもな。
ムース: 本当ですか? いったいどんなことを?
SCP-6000-A: 私はかつて「赤斑蛇の手」の若き女であった。図書館の内外で、崇拝すべき知識を求めていたのだ。
ムース: 崇拝? 私の良く知る「手」にしてはずいぶん宗教的ですね。私は数年間彼らとともにいました。
SCP-6000-A: 本当か。そして今は財団の管理官。一体何を心変わりしたのだ?
ムース: そのことについては話したくありません。ですが、知らしめられるべきではない知識も存在することに気づいた、といえば十分でしょう。そんなところです。話の途中でしたね?
SCP-6000-A: ああ… 数千年前、「蛇の手」はカルトとして始まった。図書館を作り出した「蛇」を崇拝する、戦士たちの宗教だ。
ムース: 「蛇」?
SCP-6000-A: 知の化身。学問の精霊。ナーガ。ヨルムンガンド。木に潜む蛇。あらゆる神話に登場する蛇はすべて原初の蛇に由来するとされる。
ムース: しかしそれが事実かはわかりません。
SCP-6000-A: シッ。まだ話は終わっていないぞ、牢番。「手」は長く生きた力ある僧侶たちだったが、いずれは死に、その知識も棄て去ることになる。論文。文学。なぜ知識を広めることがもっとも偉大な栄誉なのか、なぜあらゆる手を尽くしてでもそれをしなければならないのかを記したエッセー。幾年も後、この世界の人間がそれらを見つけ出し、そして自らを新たな蛇の手と呼んだ。私やお前が今日知るものだ。装飾の魔方陣はなくなったが、知識の崇拝への理想は残り続けた。
ムース: なんと。そんなことがあったとは。彼らは教えてくれませんでした。
SCP-6000-A: 私も聞かされていなかった。これは新たな物語、夢の中で「蛇」が私に囁いていたものだ。
ムース: なんですって?
SCP-6000-A: よく考えろ、牢番。「蛇」は実在する。彼女は図書館の精神そのものだ。そして彼女はアマゾン熱帯雨林、レイラインの交わる地の魔方陣の中にいる。私は彼女と会話したのだ。
ムース: そして物語を聞いたのですね。
SCP-6000-A: そうだ。彼女の歌で図書館は現実に姿を現し始めた。大広間を形作ると、疲れ果てた彼女は礎の下で眠りについた。パトロンたちはさまよいながら彼女に語り掛けている、今もな。
ムース: ほう。
SCP-6000-A: 彼女とは無関係な物語もあったがな。
ムース: それで、その物語が我々の役に立つのですか? もしかして、図書館が狂い制御を失ったとき、古の英雄が図書館を止める方法を知り、破壊を決意した、とかそういうことですか? 図書館は滅ぼすことも侵略することもできません、そういった次元にはないのです。図書館は争いはしないのです… 度が過ぎていると言ってもいいほど。私はただ、なぜこんなことが起こっているのかわからないだけです。
SCP-6000-A: いいや、そんな物語ではない、牢番。すまないが、物語の終焉はそのようなものではない。
ムース: 終わりは変えられます。
SCP-6000-A: いや、それは正しくない。終わりはすでに石に刻まれているのだ。だが、この際終わりなどはどうでもよい。
ムース: どういうことですか?
SCP-6000-A: 誰がどう見ても、お前の物語はお前が図書館を裏切り財団にやってきたときに終わったように思われた。しかし実際には終わってなどいなかったのだ。お前は存在し続けている。お前は新たな物語に移り、サイト-19の管理官となった。
ムース: 物語ではありません。忌々しいですがこれは私の人生です。
SCP-6000-A: 物語の終わりを話してなかったな? 少女は物語を来る日も来る日も読み耽り、やがてある日、問題はすでにほとんど解けていると気付いた。勿論あらゆる物語は終わりを告げる… しかしそのときは次の物語へ移ればよいのだ。さらなる物語が、常にそこにはあった。次の物語へ移れる以上、もはや避けられない終焉を嘆く意味などなくなった。
ムース: 現実の人生もそのようにできればよいのですが。
SCP-6000-A: ああ。私が財団とともに見てきた物語は世界の終わりへと向かいつつある… 脇には焚書者を従えてな。何か言うべきことがあるのだろうな。敵同士だが、想像を超える脅威に抗い手を結ぶ。煙を立てる灰。木々に向けての炎の一斉射撃フュージレイド。
ムース: 待ってください、一斉射撃フュージレイド? なぜそのことを-
SCP-6000-A: 行け。今すぐ。
«記録終了»
補遺6000.6
GOCの参加
SCP-6000-Aの言葉に従い、アノマリーの収容・終了を援助することを見返りに、SCP-6000の詳細、周辺状況、プロジェクト・フュージレイドを世界オカルト連合に公開するか、投票が行われました。
評議会投票結果:
賛成 |
反対 |
棄権 |
O5-01 |
O5-04 |
O5-06 |
O5-02 |
O5-07 |
O5-12 |
O5-03 |
O5-08 |
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O5-05 |
O5-13 |
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O5-09 |
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O5-10 |
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O5-11 |
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|
外交使節がSCP-6000の現状に関する物資、その他関連物を持参し、ドイツ連邦共和国のGOC作戦本部での会合に派遣されました。審議の結果、GOC職員はプロジェクト・フュージレイドを拡大し共同計画とすることに同意しました。
続く数日でGOCの物理PHYSICS部門、精神PSYCHE部門、天地PTOLEMY部門の職員が施設-57へと移り、SCP-6000の調査と収容の援助に当たりました。この時点でSCP-6000は全長2キロメートルに達していました。シカゴ班の前例とは異なる失敗に鑑み、O5評議会及びGOC司令部はGOC排撃班9842"相当の理由"に、放浪者の図書館へのアクセスの確保及び内部からの状況確認のための急襲作戦を許可しました。
GOC排撃班9842"相当の理由" — コードネーム・ハーバー
- エージェント・アダム・マクミランとムース管理官は司令室にいる。
«記録開始»
ハーバー-ワン: 森を移動している。
司令部: 了解です。
ハーバー-フォー: 司令部、ここはめちゃくちゃだ。木は全部皮が剥がれて、本が詰まっている。
ハーバー-ツー: 何も書かれてはいないがな。革の装丁に白紙が挟まってるだけだ。サンプルを持ち帰るか?
司令部: いいえ、ハーバー。可能な限り早く入り、速やかに出てください。
ハーバー-スリー: ラジャー…
ハーバー-ワン: コンタクト!
[巨大な何かが木々を通りぬけ前方へ進んでいく。ハーバー班は地面に伏せ、静かに、動かずにいる。1分が経過する。]
ハーバー-スリー: 行ったか?
ハーバー-フォー: ああ。あれはなんなんだ? 司令部?
司令部: どうやら司書のようです。クラス-D… あー、KTE既知脅威存在-Dです、すみません。ゴックの言葉には慣れていないもので。
ハーバー-ワン: ラジャー。気にするな、スキッパー。進むぞ。
ハーバー-ツー: TE脅威存在に接近中。クソっ、デカいぞ。
画像差し止め中 |
SCP-6000、ハーバー-ツーのカメラから。 |
司令部: どのくらいありますか、ハーバー?
ハーバー-ツー: 3… 3キロ半はある、小さめに見積もっても。
司令部: 了解です。何か見えますか?
ハーバー-ワン: いや。進むぞ。
[ハーバー班は木々を走り抜け、SCP-6000を通過しNx-001に入る。]
ハーバー-ワン: 入ったぞ。聞こえるか?
司令部: ええ。質問に答えられそうな者がいないか探すのをお忘れなく。
ハーバー-ワン: ラジャー。静かに行くぞ。
[ハーバー班は図書館の空の本棚を抜け、数分かけてゆっくりと廊下を進んでいく。やがて1冊の薄い本を乗せた書見台に行き当たる。]
ハーバー-スリー: なにかあるぞ。
[ハーバー-スリーは書見台に近づく。本のカバーは緑の革で、"IN PROGRESS進行中"という表題が浮き彫りされている。]
ハーバー-フォー: 妙な代物だな。取るぞ。
司令部: 了解。
[シカゴ班の侵入の際と同じ、正体不明の声による「シッ」という音が聞こえる。]
声: 違う、お前ではない。
ハーバー-ワン: 誰だ?!
声: なぜここにいる? 嘘はつくなよ。
司令部: クソっ。ハーバー? ハーバー、応答してください。
ハーバー-ワン: [眠気に襲われているかのように、ゆっくりと] 我々は… 我々は任務に従っている。
声: 違う。なぜここにいるのだ?
ハーバー-ツー: わ… わからない。
声: お前たちは暗闇の向こう側のことを知りたかったのだ。案ずるな、好奇心は美徳だ。かつてここに1人のパトロンがいた。そやつはこの図書館の仕組みについて必死に頭を悩ませていた。無限などということがどのようにしてあり得るのか - 図書館は如何にして、真の意味での無限となるのか? この空間はどこからやってきたのか?
[沈黙。]
声: 当然、物語からだ。図書館は終わった物語を本棚に収め、終わった世界を自らに取り込む。時としてそれは同じことだがな。
[沈黙、嘆声。]
声: 焚書者だな。しかしお前たちの心は純粋だ。自らの物語に起こることが気に入らない者どもにこき使われる幼子たちよ。ここでは歓迎される。全員がだ。
[沈黙。]
声: ふさわしいものは生き残る。両名とも。
[通信が切断される。]
«記録終了»
ハーバー班の通信途絶の後、SCP-6000は急速な拡大を開始し、2時間足らずで3キロメートル近くにまで広がりました。"ディープウェル・ソリューション"の使用が検討されはじめました。
補遺6000.7
ヴェールの崩壊
ハーバー作戦の後、SCP-6000およびオペレーション・ブラックスターの際に発見されたすべての「道」から様々な周波数によるラジオ信号が放たれ始めました。信号には図書館で遭遇したものと同じ、女性的な「シッ」という声が含まれており、SCP-6000の地理的中心地の座標および「庭こそ蛇の座す場所なりThe Garden is the Serpent's place」というフレーズを繰り返していました。
数時間で世界各地の巨大コミュニティがラジオ信号に気づき、やがてメディアを通じインターネット上で注目を集めることとなりました。財団は鎮静のためあらゆる手を尽くしましたが、失敗に終わりました。
AethagonGangLead 01/29/31 (Wed) 23:50:12 #4912039
ブラジルの写真、もう見たか? MSMも明日までには気づいて情報統制しようとするだろうが、しかしこいつはやべえな。一体全体アマゾンで何が起こってるんだかさっぱりわからんが、写真だと油膜かなんかみたいに見えるな。
ある意味キレイだ。
The Wall Street Journal Magazine
ArcticObode 02/01/31 (Thu) 23:50:12 #597104
»534850 (OP) ああ、俺の頭が変になったんじゃなかった。俺の友人もカーラジオで聞いてる。あのハムもだ。女の、鼻にかかったような声で、数字を繰り返してる - たぶん座標だろうな - で、「庭こそ蛇の座す場所なり」だ。聖書にでも書かれてそうな言葉だ - たぶんなんかの合言葉なんだろう。
極めつけがこれだ - グーグルアースとか、まあ何でもいいけど、座標のとこ見てみてもいつも通り何も変なものはない。でも各地の野生動物監視カメラに侵入すると…
カメラはすぐ切れたけど、この画像はなんとか保存することができた。ここに行ってみようと思う。こいつはすげえぞ。
収容の努力は人々の間に陰謀論が流布する結果に終わり、続く数週間で進入禁止区域へ直接向かおうとする人々が現れ始めました。そのような人々には記憶処理が施されましたが、SCP-6000をめぐるより大規模な運動は続き、今なお拡大し続けています。
SCP-6000の存在が各地に知られたことでSCP-6000の成長はさらに加速したようです。数時間で6キロメートルに達し、止まる兆候はありません。GOCによる戦術核兵器の投下が検討されています。
加えて、1月21日、エージェント・マクミランがプロジェクト・フュージレイドに関する会合・会議に現れませんでした。施設-57の営舎を調べたところ、床に奇跡論的魔方陣が発見されました。前日の夜の監視カメラ映像には1時間をかけて魔方陣を作る姿が映っており、その後目的不明の儀式を行い、現地時間午前7時55分、営舎から消失しました。進入禁止区域の監視映像は同時刻突如として光が放たれたのを捉えており、葉をかき分けながら、おそらくはSCP-6000へ侵入していくエージェント・マクミランがかすかに映っていました。
以下がムース管理官宛に、封筒に入った状態で営舎に残されていました。
申し訳ありません、ティリー。私はかつて図書館の本棚に囲まれて数週間を過ごし、出会ったあらゆるものに目を通してきました。あれはまさに文字通りの意味で「別世界」です。貴方ならわかっていただけると思います。しかし貴方は私と違い、加わることができなかった。貴方は図書館と財団からひとつを選んだ - 私があそこに初めて入った時、それは単なるミッションでした。そこで私は驚くべき体験をし、私が可能だと考えていたこと全てをはるかに超えるものに出会いました。あれだけ偉大なものを目にかけておきながら、それが自分を傷つけるのではないかとばかり考えていたことは恥ずべきことでしかなかったと思いました。
事実はそうではないと今ではわかります。司書が傷つけるのは発展を止めようとする者のみです。私にはそんなつもりはさらさらありません。これこそが物語の終わりです。銀の弾丸をつかんだ我々が全てを丸く収めるなどというものではありません。今の私にできることは、そのことについてどう感じるかを決めることだけです。
私はまたここで、本棚と本棚の間に座り、作り物の星を眺めていたいと思います。
これが私のハッピー・エンドです。
«記録開始»
ムース: なんてことなの。あなたは知っていたんですね?
SCP-6000-A: 物語がどのように終わるかか? 当然だ。ずっとそう言っていたのだがな。
ムース: どういうことですか?
SCP-6000-A: 初めから言っていただろう。これはそんな物語ではないのだ。すべてがうまくいく銀の弾丸など見つからないのだ、牢番よ。そういうことではないのだ。
ムース: 大人しく死ぬのは御免ですね。なぜあなたと会話をしているのかすらわかりません。あなたのせいで4名の良き人々が死んだ。
SCP-6000-A: 私のしたことではない。誰一人として死んでなどいないのだ、牢番よ。「蛇」の声を聴いていなかったのか?
ムース: 今なんと?
SCP-6000-A: 分かっているのだろう。他に誰があり得る?
ムース: アダム。あのアダムが。アダムは私たち全員を見捨てました。
SCP-6000-A: いいや、そいつじゃない。いい加減分かっているはずのことをわざわざ話すのもうんざりしてきたのだがな。
ムース: だったら何か私が知らないことを教えてください。全てを話してください。
SCP-6000-A: それができたらいいのだが。お前にそれを説明するというのは… お前は物語の登場人物に怒りを覚えても、本に向かって叫んだりはすまい。お前にできることはないのだ。お前は演じ終わるのを見届ける必要がある。
ムース: つまり、これはあなたにとってエンターテインメントだと?
SCP-6000-A: いや。物語は常にエンターテインメントとは限らない。私が「蛇」とともに知識を探し求めていたときは、知識こそが私に与えられるものだった。物語の形をしたな。あらゆる知識、それが記憶するあらゆる物語。GOCの物語。アダムの物語。お前の物語。
ムース: でしたらそれがどのように終わるのか教えてください。そうすれば、私があれを止めるために可能なあらゆる手を尽くしたかわかりますから。
SCP-6000-A: お前はすでに知っている、ムース。拒んだところで何も変わりはしないのだ。私はそのことを幼い少女だったころに学び、そしてお前は今そのことを知った。終わりを選ぶことはできない。決められるのはそれをどう受け止めるかだけだ。
ムース: つまり、少女というのはあなたのことだったのですね。
SCP-6000-A: ああ。私でさえ今気づいたがな。記憶が戻ってきた。私は自らの物語の終わりが知りたくてあの魔方陣へ入った。そしてこの世界の物語がどのように幕を閉じるのかを知った。幸運なことに、それは同じことだったが。
ムース: 物語などありはしません。
SCP-6000-A: 存在するものすべてが物語だ。この物語は一室に腰を下ろし語り合う2人の人間が、跡形もなく消えて終わりを迎える。
ムース: それは深刻ですね。
SCP-6000-A: ある意味では、お前は光栄に思うべきなのだ。
ムース: なぜ私が?
SCP-6000-A: お前は自分の望んだように図書館を去った。そしてお前は誰にも認めようとしないだろうが、顔に書いてあるぞ - また図書館に戻りたいのだろう。
ムース: 冗談じゃありません。あそこは驚くべき場所ですが、誰もがそれを楽園であるかのように語ります。私が図書館を騙すよりずっと前に私の方が騙されていました。
SCP-6000-A: 恨んでも何の意味もないぞ。
ムース: その通りです。私にはやるべきことがありますので。まったくもってくだらない。
«記録終了»
補遺6000.8
進行中の収容試行
ヴェール・プロトコルの未曽有の失敗、およびそれに続くNx-001の反応に鑑みアマゾン盆地全域が隔離され、プロジェクト・フュージレイドの下財団とGOCの管理下に置かれました。SCP-6000は現在13キロメートルに及び、成長率も増加しています。
この時点で、BM-クラス"壊された虚構"シナリオが起草されました。