SCP-6858

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品目1964-H-17

指定名称 — “カーディナル”

優先度
★★★★★

カテゴリ
実体


H. sapiens lupus Nova Gallia

ステータス
🟢 存命

保管先
OSAT1

脅威評価
🟥 汚染 — 伝染性疾患を有する
🟨 紛争 — SCP財団2から不適切に取得
🟩 暴力性 — 非活動的な捕食者
🟩 生物災害 — 不衛生な状態
🟪 情報開示 — 最高機密情報を保持している可能性あり


概要

“カーディナル”はOSATに拘留されているルー・ガルーloup garou (カナダ・フランス語: “人狼”) の1個体を指す。カーディナルは第11分署にある打放しコンクリート製の留置房で鎮静状態に保たれている。健康状態が悪く、元々負っていた怪我が治癒しないため、頻繁なヒト血液の輸血と — A型、ただしO型万能ドナーは許容される — 静脈栄養供給を行う必要がある。1964年以来、事実上の昏睡状態。

更なる介護関連の情報は、必要に応じて、SCP財団 サイト-43から渉外オフィス経由で入手可能。


来歴

品目1964-H-17は、OSAT職員が関与した一事件を切っ掛けに初めて認識された。事件報告書を以下に添付する。

特定対象報告書:非機密
1964年3月17日の夜、筆者はモントリオールのモン・ロワイヤル公園入口に駐在していたRCMPの巡査、クライド・ミラーからの緊急連絡に対応した。ミラー巡査は、モン・ロワイヤルの山腹でハイキングをしていたオカルト・超自然活動委員会の監督長、レイナルド・ワッツの緊急連絡先に指定されていた。ワッツ監督長は自らの判断に委ねることを要請したものの、緊急事態に備えて無線通信圏内に警察官を1名待機させることを不本意ながら了承していた。6:07 PM EDT頃、ミラー巡査は遠方でイヌ科動物の遠吠えを聞きつけ、ワッツ監督長に無線で安否を確認しようとしたが、返答を得られなかった。ミラー巡査は無線で応援を要請し、ワッツ監督長を捜索する意向を表明した。許可が下りたため、ミラー巡査は宣言通りに行動したものと推定される。筆者は6:38 PMに応援部隊と共に現場に到着し、失血死したミラー巡査と、SCP財団の職員を発見した。名前不明の財団代表者は、当日の早いうちに“ループガルー”loop garoo、即ち狼人間の群れがモン・ロワイヤル公園で目撃されており、つい先ほど捕獲・収容に成功したと報告した。代表者はまた、“モン・ロワイヤルの十字架”像の近くでワッツ監督長の遺体が発見されたが、生物災害の恐れがあるためOSATに引き渡すことはできないと説明した。この際、ワッツ監督長の遺体はいずれ適切な埋葬のためにOSATに返却するとの確約があった。応援部隊は、財団職員がミラー巡査の遺体を押収するのを拒否した。現場検証の結果、ミラー巡査は制式拳銃の弾丸を使い切っていたことが判明し、加害者に対して発砲したものと推定された。ミラー巡査は死亡当時、ワッツ監督長の試作型携帯ビデオレコーダーを所持しており、映像には1匹の負傷した“ループガルー”が数フレーム映り込んでいた。財団代表者は、この個体が捕獲・収容された群れの中にいることを認めたが、前述の生物災害を理由としてOSAT職員による検査を拒否した。ミラー巡査の遺体は現場から搬出され、研究のために第9分署に移送された。
報告担当者: ブノワ・ゴーティエ巡査

ミラー巡査のビデオテープに映っていた加害者は品目1964-H-17に分類された。その後間もなく、新任のゴードン・シャイン監督長は、当該品目に最優先度指定と“カーディナル”の通称を割り当てた。その後数十年間、財団から対象を取得する試みが複数回繰り返されたが、いずれも成功しなかった。

カーディナルは最終的に、2003年1月21日、特異物品の相互譲渡協定を経て取得された。この協定は、モルウェン・カウチ監督長と、SCP財団サイト-43の臨時管理官 エドウィン・フォルカークの間に交わされたものである。後日、財団代表者らはこの協定の妥当性を疑問視しているものの、カーディナルを再取得する試みは現在まで為されていない。


注記

ワッツ監督長が休職中の訪問先としてモン・ロワイヤル公園を選んだ経緯は未だ明らかになっていない。モントリオールでは当時、モン・ロワイヤル公園にピューマが出没した疑いがあるとして、自発的な夜間外出禁止令が発令されていた。また、本件におけるSCP財団の対応は、競合組織が発した緊急連絡に対するものとしては異例の素早さであり、更なる調査が必要とされる。SCP財団は渉外オフィスの度重なる問い合わせに回答していない。3

ワッツ監督長の死亡当時、同時期のサイト-43管理官であったヴィヴィアン・スカウト博士との人間関係が極めて険悪であったことは、内部記録にも残されている。ワッツ監督長の遺体とされるもの — 結局OSATには送還されなかった — への尊重が見られないのは、この事情を反映したものか、或いは単純にSCP財団がOSATそのものを全般的に軽視しているためと思われる。ワッツ監督長の記録文書から発見された次の資料は、こうした状況に若干の光を投げかけている。

レイナルド・ワッツ監督長、1964/03/10

OSAT_Improved.png

私は狭量な人間を軽蔑する。

俗に言うサイト-43とやらの俗に言う共同管理官とやら — 盗み取った国有地の地下に穴蔵を掘って住み着いた2匹の同性愛者 — は、私が今まで目にした中でも一際凄まじい視野狭窄ぶりを示している。奴らはこれをゲームだと思っている。我々が面白半分に自分たちを迫害していると、我が国の真髄を守る戦いに携わるのは侘しい安酒場でポーカーをするのと同じだと考えている。しかし、奴らも次に来る一撃は好むまい。私は奴らを引き裂く、一人残らず引き裂いてやる。そして我々は奴らが淫らな反逆の穴にどんな秘密を隠し持っていたかを目の当たりにする。

確かに、財団は危険な敵である。平時であれ戦時であれ、これまで私が直面した中で最も凶悪な相手だ。かつて全能なる神ご自身の支配圏と信じていたもの、生命をも掌握している可能性がある。私はこの手で最後の審判に送り出した男女の顔は決して忘れないと自負しているが、交渉の席で一度か二度、そんな顔の一つが私を凝視しているのを見た。戦時中、片目から後頭部へ突き抜ける弾丸を撃ち込み、始末したはずの反逆兵。奴には今や義眼を嵌める礼儀さえも無い。本物の目が新しく生えているからだ。あのスレートグレイの瞳に何を見たか、私が語ったところで信じる者はいるまい… 死者にあのような事ができるならば、奴らは生者にどんな恐怖をもたらすのか? 私が何を掴んでおり、それに対して何をするつもりかを知ったならば、奴らは私をどのような暗澹たる運命へと落とし込もうと夢想するか、考えただけで身の毛がよだつ。

つまり、私は迅速に動かなければならない。とても迅速に、とても静粛に。一先ず奴らには尻尾を巻いて退散し、考えをまとめようと森を散策しに行ったと思わせておいてから、骨の髄まで染み渡るほどの報復を仕掛ける。必ずや神と国家に対する罪を後悔させてやる、そして奴らの魔性の道具を我が国の大義の為に役立てよう。

フォルカーク伍長よ、もう一度貴様を撃ってやる — 次は両目だ。スカウト博士とリゼレフ博士は、自分たちへの罰がそれほど唐突でも綺麗でもないことを悔やんで生きていくだろう。

上記で言及されている機密情報らしきものは、ワッツ監督長の資料からは発見されていない。


指令

カーディナルの安楽死は監督長オフィス命令で禁止されている。カーディナルの超常的な健康状態を逆転する手段が発見された場合、速やかに戦術オフィスへと連絡すること。


コマンドプロンプトがアクティブです。お帰りなさいませ、マッキンス管理官。

» アクセス バックエンド

オカルト・超自然活動委員会 (OSAT) データベースは、競合関係の要注意団体によって保護・管理されています。セキュリティを突破して続けますか?

» はい

12種類の独立したセキュリティ対策が、当該ファイルへのアクセスをブロック及び/またはトラッキングしています。侵入所要時間: 1分。

侵入中…

バックエンドアクセスが可能になりました。

» アクセス 管理職員コメント 時系列逆順

アクセス中…

コメントは時系列逆順に以下に表示されています。

アーロンウェン・カウチ監督長、2023/01/01

OSAT_Improved.png

私の母が監督長を務めていた頃、この怪物を生かし続けるのは重大な関心事であった。私もこの問題を巡る感受性が無いわけではないが、母ほどの個人的な繋がりを持っているとは言えない。退職する時、母はどうかカーディナルを諦めてくれるなと懇願した。母の決断力、長期的な視野は、様々な意味において後継者となった私の誇りである。

しかし、私にはこいつが — 少なくとも、自分の意志で — 目を覚ます日が来るとは思えない。我々の監督長は財団がカーディナルを捕獲した時期から4回も代替わりしており、こいつはもう20年も第11分署の寝台で眠り続けている。母にそれとなく現状を伝えて意見を聞こうと思う。私としては、108評議会の他の面々にカーディナルを任せ、彼らにできる事が無いか確認するべきだと考えている。もしかしたら評議会のカルト教団の1つが、こいつを目覚めさせることが可能かもしれない。ダメだったら? その時は、ICSUTが人狼の生体解剖を行う機会を掴むだろう。超常社会の友人たちを頼っていけないことはあるまい。

私は家族を愛しているが、国家のために果たすべき義務もある。この痩せ衰えた遺物は我々の足手纏いにしかなっていない。

モルウェン・カウチ監督長、2002/01/13

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10歳の時、祖父から狩猟を教わった。教えてくれたのは狼の狩り方だった。

冬のアルバータ州の荒野に連れ出された私は、隠れ場所の組み立て方、目印の探し方、そして何よりも大切な餌の仕掛け方を教わった。「この地球上の全ての生物には弱点がある」という祖父の言葉は、私にとって最も古い強烈な思い出の一つだ。アルバータ州の狼は切羽詰まれば死肉も狙うが、私たちの行動計画では決してそんな捕まえ方は望まなかった。威勢よく吠え立てる狼どもを捕まえるには、新鮮な、血の通った、生きた餌が必要だった。もし祖父がああいう人物でなかったら、猟区管理人たちがタダでは置かなかったに違いない。しかし、祖父は決して優位な立場を捨てない人だった。私は祖父から多くを学んだ。

財団は自分たちをヴェールで隠された世界の狼だと考えている。特にフォルカークは我々に牙を剝く機会を逃さない。そこには怨恨があり、理由は分からないが、それを利用するにあたって知る必要は無い。我々の下には彼らのような専門家こそいないが、フォルカークが手に入れようと切望している諸々のアーティファクトが無価値であることは、魔法使いや天才でなくとも見て取れる。フォルカークはこの取引を手柄にするつもりらしいが、何をやったか上司に知られた時、首が飛ばなければまだしも幸運だ。彼は風に乗った弱者の匂いを嗅ぎ取ったと思い込み、近付いてくる。

さぁ、来い。私の罠に踏み入るがいい。祖父は大いに誇りに思うだろう。

ブノワ・ゴーティエ監督長、1996/01/08

OSAT_Improved.png

前任者は個人手記では随分とデカい口を利いていたようだが、財団に対して一度でも行動を起こしたとは思えない。彼はいつも43のスカウト — 連絡できる中では最高位の相手だ — に弱腰だったので、カーディナルの件で決定的な行動を起こすことを真剣に検討しなかった。私に言わせれば、彼はあまりにも大人しく、呆れるほど御され易い人間だったので、財団を陥れる気にはなれなかったのだろう。そして何より、前任者の推測が正しいなら、財団に対して陰謀を企てたのはワッツが犯した最大の間違いだった。この目でミラー巡査だったものを見た立場として、あんな運命を辿るつもりはない。この件でまたしても我々が馬鹿を晒すのを見るのはもっと気が進まない。

しかし、だ。

我々は世界オカルト連合の適正な加盟組織になりつつある。43の者たちとも誠実に取引してきた。我々はかつてカナダ安全情報局やRCMPの仲間たちが考えていたような過激派の狂人集団ではない。確かに昔は過ちを犯したが、今は反省している。外交的に解決する道は無いのか?

我々が価値あるものを差し出せば、彼らもカーディナルを与えてくれるのでは?

一つ考えがある。財団が“監禁”している子供喰らいのホブゴブリンの殺処分交渉が最終段階に入ったが、OSATは早い段階でこの事件に関与していた。スカウト翁はきっとこれを共同作戦だと私に信じ込ませようとするだろう。その主張を試し、スカウトに証明させることが可能かもしれない。

あの怪人を逮捕し、スキッパーに引き渡したのは我々である。協力への感謝の証として、奴の私物をOSATに返却してくれてもいいのではないだろうか? こちらから要求しても構わないはずだ。

勿論、財団はいずれ全てを取り返したがる。彼らは収集家、溜め込み屋だ。ありとあらゆるユニークな物を少なくとも1つ持っていたがるが、狼人間なら既に秘密のサイトの地下に大勢閉じ込めているだろう、間違いない。わざとお粗末に暗号化した通信で、OSATがボノームの私物絡みで何か重大な発見をしたと仄めかし… あとは結果を待つ! 財団は果たして、寛大な提案を — 大皿に載せたカーディナルを — 携えて交渉のテーブルにつくか、それとも我々を襲撃しようとするか。

いずれにせよ、我々は自らの立ち位置を知ることができる。それはかつてないほどに重要な知識だ。

ゴードン・シャイン監督長、1964/04/07

OSAT_Improved.png

レイナルド・ワッツの身に起きたことは全く無念でならない。ツンケンした年寄りのイタチのようで、決して付き合いやすい男ではなかったが、ひとたび臭いを嗅ぎ付ければ猛烈な勢いで駆けずり回り、我々の奇妙な秘密の任務に生涯を捧げてくれた。ワッツの行く手にどんな危険が待ち構えていたのか、あらかじめ分かっていれば、彼の磨き抜かれた9号サイズの靴の後を継がねばならないという心構えができたのにと悔やまれる。勿論、仮に私が知っていたとしても、彼があの馬鹿な旅路を行くのを止められはしなかっただろう。彼は自分のやりたい事をやり、我々の監督長であり、我々は彼の個人崇拝集団だった。

ワッツは我々に、いつかOSATが財団を凌ぐ日が来るという絶対的な確信を抱かせてくれた。だからこそ今回の事件は余計に苦々しい。あの傲岸不遜で独善的なカスどもが、ワッツを犠牲にして最後に笑う側に立ったのだと思うと我慢ならない。冷酷な思い上がりのヴィヴィアン・スカウト! 奴は狼どもが公園にいるのを知っていた。人間があの狼どもについて知り得る知識を一つ残らず把握したうえで、ワッツを嬉々として死地に送り込んだ。スカウトは私の前でそれを認めたも同然だった。私がそれに対して打つ手は何一つ無いと分かっているからだ。ワッツが本当に怪我で死んでいた方が、実際に起きたことよりもマシに思える。

彼が主の御前で忌むべき姿に堕落し、何処かの湿った独房で腐ってゆくのだと考えると、10号サイズの靴の中で思わず指に力が入る。もし私が彼をそこから助け出せなければ、後任者たちが幸運に恵まれることを望む。

以上の説明で痛々しいほど明白にならなかった場合に備えて、後任者のために記す — カーディナルの正体はOSATの初代監督長、レイナルド・ネイサン・ワッツだ。

ファイル終了。

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