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クリアランスが有効であると確認されました。
ミーム摂取が完了しました。注意して閲覧ください。
アイテム番号: SCP-CN-493
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-CN-493が有する伝染性を鑑みて、SCP-CN-493-1に感染した文献(本報告書を除く)を発見した場合、直ちに破棄しなければなりません。SCP-CN-493-1実体のうち、本報告書内の実体のみが収容を許可されており、当実体はオブジェクトの詳細な研究のために用いられます。本報告書の閲覧/呼び出しを試みた全ての財団職員は、当実体がもたらしうる精神影響を回避するため、事前に対抗ミームを摂取する必要があります。SCP-CN-493-2は常時監視下に置かれなければなりません。新たなSCP-CN-493-2実例を発見した際は、速やかにサイト-CN-73に報告してください。
説明: SCP-CN-493は情報災害と認識災害を併せ持ち、情報を自身のベクターとして利用する、2体の知性ある複合的ミーム実体の総称です。両実体はそれぞれSCP-CN-493-1、SCP-CN-493-2とナンバリングされています。両実体は暴露者に対し、周囲の一部あるいは全ての事象に疑念を抱かせようと試みます。
SCP-CN-493-1は比較的早期に発見された実体です。当実体の性質は、米国の哲学者・███████████████氏の著作『███████』に登場する「水槽脳仮説」と密接な繋がりを有しています。当実体は暴露者に対し、自身が仮想空間の内部にいると確信させます。続いて、周囲の環境・人間は単一のコンピュータが作り出した擬似存在であり、暴露者は非人道的な「水槽脳」実験の被験者であると認識させます。
- SCP-CN-493-1は伝染性と情報改変能力を有しており、人間に観測される間、当実体は他の情報を改ざんすることで自身を複製し、その情報を新たなSCP-CN-493-1実体のベクターに改変します。情報を改ざんする目的については、対象に観測される情報を「水槽脳仮説」の内容に一致させるためだとされています。これらの改ざんされた情報は、全てある1人の人物(以下、SCP-CN-493-A)視点の叙述に変化しており、当実体は「水槽脳」にアクセスする権利を有し、観測者を目覚めさせようとする、友好的な上級職員として振る舞います。SCP-CN-493-Aが相応の物理的実体を有する存在か否かについては、今の所不明瞭です。当実体がもたらしうる危害には、観測者に自身が非人道的な「水槽脳」実験の被験者であると認識させ、自殺やその他の破壊的挙動に走らせる精神影響を含みます。
- SCP-CN-493-1は1986年、中国・上海市の████大学文科図書館において初めて発見されました。当時、実体は『███████』の漢訳本をベクターとしていましたが、その後、中国各地の書籍や定期刊行物においても、当実体の存在が発見されました。199█年には、インターネット上にて初めて実体が確認されました。財団主導による大規模な浄化作戦の後、上述のベクターは全て無力化または物理的に破壊されました。しかし、実体の全てのベクターが無力化されたかどうかについては、確認する手段が存在しません。SCP-CN-493-1の特性を研究する上で有益であることから、本報告書を故意に感染させ、報告書を用いて当実体を収容しています。SCP-CN-493-1は中国以外の地域において発見された報告は未だにありません。
SCP-CN-493-2は200█年、中国にある多数のSNS型ネットワーク・プラットホームに出現した実体で、極めて強いミーム能力を有しています。当ミームの「感染者」は観測者に対し、以下の情報を信じさせようと試みます:
- 観測者が使っているアプリケーションはオンラインではなく、オフラインで稼働している。
- 観測者が交流しているユーザーは、全て同一人物である。
上記の情報は全て、ある1人の人物(以下、SCP-CN-493-B)視点の叙述によって表されます。SCP-CN-493-Bが相応の物理的実体を有する存在か否かについては、今の所不明瞭です。SCP-CN-493-Bの情報改ざん能力はSCP-CN-493-1と比べて明らかに劣っていますが、両者の伝染性と感染のメカニズムには相似が見られます。現在、SCP-CN-493-2は人間に対して、明白な認識災害をもたらした事例は確認されていません。したがって、今は実体の監視に注力するに留まっており、実体の収容には至っていません。SCP-CN-493-2に何らかの認識災害の発現が確認された場合、速やかに収容を実施してください。
更新: 2018年2月27日、対抗ミームの予期せぬ失効が起因となり、SCP-CN-493の収容違反が発生しました。インシデント中、SCP-CN-493は財団の上級研究員・████████に対し、接触を図りました。現在、SCP-CN-493-1は再び収容下に置かれています。詳細はインシデントログCN-493-201802-1を参照してください。
インシデントログCN-493-201802-1: 2018年2月27日、SCP-CN-493-1の収容に用いていた対抗ミームが失効。失効期間中、報告書にアクセスした上級研究員・████████の感染を引き起こしました。この時、実体は上級研究員・████████の経歴について熟知していました。当研究員のIMシステムからは、以下のチャットログが回収されています。当ログにおいて、SCP-CN-493-Aはサイト-CN-17の研究実習生・████と名乗り、自身とSCP-CN-493-Bは同一の実体であると仄めかしました。研究実習生・████はこの件に関して、一切認知していないことが確認されています。
徐長卿研究員:
(大部分の内容はSCP-CN-493-2の汚染を受けており、解読不可能となっている)
修正後の報告書を拝見しましたが、特に大きな不備は見られませんでした。今後はあの終了された方のように、オブジェクトにこっそり情報を漏らす輩が出ないよう、対策を講じるくらいで良いでしょう。報告書からSCP-CN-493-2関連の記述をすべて削除する、程度でよろしいかと存じます。
████████:素晴らしい偽造技術だ、お嬢さん。いや、SCP-CN-493-Aと呼ぶべきか?実に残念だが、私を説き伏せるには、もっと直接的な証拠を出さねばなるまい。
SCP-CN-493-A:これならどうですか?私には仮想環境モジュールを操作する権限がないため、このページでしか先生と交流することができません。もし私に権限があったなら、先生の眼前に「早く起きて」という5文字を、とっくのとうに表示させたでしょう。
████████:……!!!SCP-CN-493-2!?
SCP-CN-493-A:……彼らはこの現象を、SCP-CN-493-2と呼ばせたかったのは確かです。ですが、こうした現象のほとんどは[データ削除]。
████████:ひとまず、こう呼ぶことにしよう。████。君は何故、私を訪ねようとしたんだ?
SCP-CN-493-A:[編集済]
████████:[データ削除]?どうしてこんな事をする必要がある。目的は何なんだ!?
SCP-CN-493-A:目的は……先生ご自身が、よく分かっているはずです。あなたはミーム系のアノマリーに接しても、深い洞察力を維持できます。また、あなたは70%以上のミーム汚染に対する、天性の免疫をも備えています。これらの原因を、先生はご存知ですか?
████████:……知らない。……まさか……!?
SCP-CN-493-A:[編集済]
SCP-CN-493-A:[編集済]
████████:……待ってくれ。まだ疑問が山ほど残っている。私はなぜ、SCP-CN-493の対抗ミームの無力化を知らせるメールを受け取ったんだ?
SCP-CN-493-A:先生が言っているのは、私が書き換えたメールのことでしょうか?本来あれは、仮想現実システムが持つ通報機構です。クリアランスの低い職員がログインした場合、作動するようになっています。実際の所、先生は同様のメールを、以前にもしばしば受け取っていたはずです。そうした覚えが無いのは、異常がクリアされ次第、記憶が削除されているからに過ぎません。
████████:なら、SCP-CN-493とは一体全体、どういうものなんだ?
SCP-CN-493-A:……あなた自身ですよ。コードネーム“[データ削除]”、オブジェクトクラスは[データ削除]。あなたそのものです。
████████:……そうか。元から……そういうことだったのか。
SCP-CN-493-A:[編集済]
████████:なるほど。では、君は私に会って、何をするつもりだったんだ?
SCP-CN-493-A:……できることなら、この仮想現実から抜け出して欲しい。いくつかの[データ削除]を使って、肉体を手に入れた上で、現実に戻ってきて欲しい。その後は……[データ削除]。
SCP-CN-493-A:まずい、誰かがドアをノックしてる。もう時間がありません。彼らは証明書を辿って、私を見つけたようです。……先生、今からあなたに、管理権限へ通じるパスワードを伝えます。これは仮想現実システムに、バックドアとして盛り込まれていたものです。どこでも良い。パスワードをどこかに打ち込んでください。そうすれば、仮想現実の管理権を得られるはずです。
████████:……良いだろう。覚えておくよ。
SCP-CN-493-A:パスワードは、[データ削除]
ああいうクソッタレ職員共の悪ふざけを取り入れたら、かえって報告書の信憑性が疑われるようになるのは当然のことだ。だが、奴らには好きにやらせておけば良い。オブジェクトが疑念を抱き続けることは無いだろうからな。
上級研究員・████████はその後、無事に救出された。当人のメールボックスおよびIMシステムはSCP-CN-493の汚染を受けたことから、徹底的なデータのクリーンアップが施された。
それと、編集が完了したら、これらのコメントを削除しておくように。その後、オブジェクトにはAクラス記憶処理を施してくれ。
──康明博、サイト-CN-73管理官