[記録開始]
アッシュコーム: さて、こんな戯けた事はさっさと済ませてしまうに限る。
ダルトン: ご老体は正しいよ。僕ももうこれ以上耐えられない。でも君たちが投票で僕を消す前にこれだけは言っておきたい—
シモンズ: アンタになんか投票しないわ、バーカ。
ダルトン: えっ? 本当に? 誰も?
アッシュコーム: ふざけるな! 私はこいつに投票するぞ!
ロング: 私は違う。私はジニーに投票する。
カークウッド: 光栄だわ、シェル。
シモンズ: みんな、お願い。まだ投票は控えて。言いたい事があるの。
ヒューズ: アンタはいつもそうだろ。
シモンズ: 私たちは色んな事を試してきた。投票を引き分けで終わらせようとした時もあった。誰にも投票しなかった時もあった。でもこの45年間、一度も試さなかった事がまだある。これも魔法のトリックなのか、私たちが全員マヌケだったのかは分からないけれど—
アッシュコーム: もし計画があるなら、せめて今日中に伝えてほしいもんだ。
シモンズ: リックスよ。私たちはリックス博士に投票すべきだわ。
[11秒の沈黙。]
ヒューズ: やれやれ。
アッシュコーム: よかろう。やってみる価値はありそうだ。
ダルトン: 待って。待ってくれよ。僕にはよく分からない。
シモンズ: 考えてみて。私たちは何年も前から、このゲームがイカサマじゃないかと疑ってた。
近場から成り行きを観察していたリックス博士は、目に見えて動揺し始める。
バクスター研究助手: (リックス博士に) 介入すべきでしょうか?
リックス博士: 少し様子を見よう。
シモンズ: これは明らかにサディストが考えたゲームよ。誰かが私たちを弄んでる。だとしたら、そいつは自然と私たちを観察したがるはず。
ダルトン: でもリックス博士はここに来てたった… 8年? ぐらいしか経ってない。
ヒューズ: その前には他の監督研究員がいた。オルセン博士、スミス博士、シプリー博士—
ロング: 全員同一人物かもしれないじゃない! 変身してるのよ!
シモンズ: その通り。
カークウッド: ド畜生だわ。
ヒューズ: おい、アンタは確か詐欺師の正体を知ってるって言ってたよな?
カークウッド: あれは嘘。
シモンズ: じゃあ決まりね。私たちはリックスに投票する。異議がある人は?
他の対象者たちは同意を表明する。
リックス博士: すまない、残念だがSCP-3306対象者以外の人々を巻き込む行為は収容違反と見做される。
カークウッド: 地獄に落ちろ!
ヒューズ: お前みたいな奴を信用してたなんて虫唾が走る。
リックス博士: (バクスター研究助手に) 封鎖措置を開始しろ。
バクスターは応答しない。
リックス博士: さっさと封鎖するんだ!
バクスター研究助手: すみません、その… 博士はいつからここで勤務し始めたんでしたっけ? 思い出そうとしてるんですが—
リックス博士: 取り乱すな。それはミームだ! お前の精神に影響してるんだ! いいから封鎖を開始しろ、この話は後回しだ。
バクスター研究助手: どうしてあなたが封鎖しないんですか、博士? あなたにはその権限があるのでは?
リックス博士はバクスターの喉元を荒々しく掴む。
リックス博士: 私は財団の科学者だ! ずっと科学者だった! 私はこんな事を一切望まなかった! 好きでこんな事をやっているとでも思うのか? ふざけるな、お前には何も—
SCP-3306の回転が唐突に停止し、3306-POI対象者たちが転倒する。
SCP-3306: (事前録音メッセージ) おめでとう、君たちの勝利だ! ゲームを楽しんでくれたなら嬉しいな。また遊びに来てね!
リックス博士がバクスター研究助手を放し、バクスターは急いで逃走する。SCP-3306の照明が消える。リックス博士が倒れる。
リックス博士: そうか。お時間をありがとう。
[記録終了]
結: この出来事に続いて、SCP-3306は全ての異常活動を停止し、3306-POI対象者たちは隔離されました。その後のリックス博士の検死解剖は、彼がSCP-3306の不活性化と同時に致命的な心臓発作を起こしたことを明らかにしました。遺体にその他の異常な特徴は確認されず、捜査員たちは現在まで財団におけるリックス博士の経歴に何ら不審な点を見出していません。3306-POI対象者たちは正常な生物学的機能を取り戻したようです。
サイト管理官グードの指示に則り、他の異常現象が370日間確認されなかった場合、SCP-3306はNeutralizedに再分類され、文書記録が改訂されます。無力化が確証された時点で、3306-POI対象者たちは記憶処理を受け、新しい身分を割り当てられ、一般社会に再統合されます。