ヴェールの背後には、完全に隠されているか、超常と正常の間の境界にまたがって活動する多くの組織があります。それらの目的は様々で、ヴェールを守ることから引き裂くことまで幅がありますが、その手段においては、超常コミュニティの間でほぼ偏在している人材と資金の不足を埋め合わせるため、パラテックの活用に頼るという点で、しばしば似通います。このため、ヴェールの範囲内で活動する殆どすべての主要な組織は、潜在的なライバルに対する優位性を得るために最も確実である手段として、ある程度は超常科学の研究に携わっています。
まったく同様の組織が2つとない一方、ヴェールの背後で活動する団体の殆どはその目標と構成に基づき、4つのカテゴリーに位置づけられます。
超常コミュニティにおいて最も大きなプレイヤーであるこれらの組織は、ヴェールの維持を正常性保護としばしば呼び、そのことに責任を持っています。国家機関と独立した国際組織の秘密団体が混在しているため、これらの組織は正常性とはなんであるかについて合意をまとめることに責任を持つ存在でもあります。ヴェールの管理者として、これらの組織はパラテック産業の統制と、超常コミュニティの治安維持を任されています。そして、国家政府の支援と資金によって、彼らは他のヴェールの演者に対して常に力を発揮することができる数少ない団体です。
しかしながら、この力は絶対ではありません。ヴェールの大きさのせいで、正常性維持組織はしばしは折衷と妥協を余儀なくされており、パラテックの開発と普及の制限は皮肉なことに、規制を受けている組織に依存しています。これらの利益相反は、法令順守の努力をする限り、パラテック開発者に規則を遵守する上で多大な余裕をもたらします。
財団
最大の正常性維持組織である財団は、世界中にいくつものフロント、施設、人員を備え、いかなる国家政府にも干渉されることのない世界的秘密組織です。組織の全体は、真の素性が自身らにしか知られていない13人の非異常な個人によって構成される監督評議会によって率いられています。財団の定められた任務は、人類の安全と利益のための異常物品の取得、収容、研究ですが、真の動機は他の正常性維持組織によって疑問視されています。異常物品の使用に対する制度的・イデオロギー的な反対にも関わらず、必要となれば超常技術とよく理解されたアノマリーの使用に頼ります。
財団は官僚的に数十の部門、部、管理職、機動部隊に分かれており、いずれも厳密な情報の細分化に取り組んでいます。特に重要なものが以下に列挙されています。
- 監督司令部 — 13人のメンバーからなる監督評議会とその直属の部下や支援組織、中央倫理委員会からなる財団の主要な管理機関。監督司令部は財団全体のハイレベルな方針と長期的な戦略を設定する責任を負っています。
- 解析部門 — 財団の主要な通信諜報組織である解析部門は、考えうる限りほぼ全ての情報源から、多様な種類の情報を収集し解析します。独自に著しい運用能力と補助能力を備えているので、財団の他の部分とは殆ど完全に独立して活動することが可能です。
- 記録情報セキュリティ管理室(RAISA) — 財団の公式文書およびIT部門であり、財団の記録と通信の維持、保全を担当します。財団によって集められるほぼ全ての情報が何度もRAISAを通過しますが、RAISAの記録に記述されず、代わりに監督評議会にのみ報告される高機密計画が確かに存在します。
- ガンマ-13 ("アシモフ三原則の番人") — アンダーソン・ロボティクス社に対抗するための部隊であり、その最終目標はヴィンセント・アンダーソン本人の捕縛と収容です。設立当初はサシャ・メルロによって率いられており、彼女のアンダーソンへの復讐の手段として機能していました。アンダーソンはフーヴァー指令を乱用し、スリー・ポートランドに潜伏していたため、UIUの現地支局と度々対立していました。
- デルタ-3 ("ソロモンの手") — 特別資産任務部隊プログラムの初期の取り組みである機動任務部隊デルタ-3は、強力な戦闘奇跡術者であるフローレンス・エルシンガーを中心とし、彼女を支援するために組織されました。スペリオル湖の下のサイト-246から展開される機動部隊は、1985年から1990年にエルシンガーが死亡したと推定されるまで活動していました。
- デルタ-3 ("有機的自由貿易") — スリー・ポートランド内での業務を円滑に進めるために2017年に結成された、財団とUIUの合同任務部隊。UIUは通常、フーヴァー指令に基づく立場を譲ることを嫌うため、この部隊は現地支局が追加の人員を必要とする場合にのみ、その場限りで、稀に召集されます。
- タウ-5 ("サムサラ") — プロメテウス研究所のサムサラ計画の結果である機動部隊タウ-5は、4人の再生するコマンド部隊のグループであり、実験用の超常技術を試験するために、或いは、従来の機動部隊が役に立たない極めて高いリスクを伴う任務を行うために使用されます。彼らは効果的に消耗、再生できます。
- タウ-51 ("アーバン・ブロウル") — スリー・ポートランド近郊、場合によっては市内で作戦を行うために作られた部隊。スリー・ポートランド内での活動は、UIUの認識や許可なく行われることが多く、潜入エージェントや二重スパイに大きく依存しています。
世界オカルト連合(GOC)
世界オカルト連合は国際連合によって後援される国際的正常性維持機関であり、第七次オカルト大戦の終結後に連合国オカルトイニシアチブ(AOI)をもとにして結成されました。おおよそ財団と力や能力の程度が等しく、人類の保護と正常性の維持について似たような目標を共有しています。しかしながら、GOCはその方法論について異なります。その作戦において、パラテックの広範囲の使用に強く頼ることを選び、そして危険な異常物品を収容するよりは破壊する方針を選びます。
GOCは、オカルトや超常に関する200以上の独立した団体から構成されますが、これには多くの国家超常機関が含まれます。これらの組織は、その中から、GOCの主要な議決機関である108評議会の構成組織を選出します。連合オカルトイニシアチブの主要構成団体のいくつかは、108評議会の常任理事組織を務めていますが、追加の権限や非常任の組織に優越する特権はありません。
108評議会は、GOCの最高責任者であり、超常世界の事実上のリーダーである事務次長を任命します。この役職は創設以来、D.C.アルフィーネと呼ばれる女性が務めていますが、これが複数の人物が共有するコードネームなのか、それとも1人の恐るべき個人が存在しているのかは不明です。
GOCの代表的な構成組織が以下に列挙されています。下線が引かれたものは108評議会の常任理事組織です。
- 高貴なる古代ゴルモゴン教団 — 18世紀にフリーメーソンに対抗して設立されたゴルモゴンは、異常建築の破壊と防御ワードを壊すことに特化した解体の専門家の団体へと発展しました。ゴルモゴンは、ウェッジと呼ばれる地方支部から成り、グランド・オクシデント・ウェッジのエクメニクス・ヴォルジを指導者とします。
- オーストラリア異常諜報局 — オーストラリアと南極大陸を管轄するオカルト機関。
- バヴァリア啓明結社 — 啓明結社は、人権と福祉の向上を使命とする国際的な政治的陰謀であり、彼らはその使命を秘密裏に達成することが最善であると考えています。構成員の多くは熟練した法律家や外交官であり、彼らはしばしばヴェールの裏側での政治的・外交的合意の交渉に大きな役割を果たします。
- 英国オカルト局 — イギリスの主要な超常機関である英国オカルト局は、第六次オカルト大戦に応じて設立され、それ以降正常性維持の取り組みを導く役割を果たしてきました。時折、MI666とも呼ばれますが、この呼称には程度の差こそあれ、軽蔑の念が込められています。
- 幸運を生き延びし者の同胞団 — "幸運な事件"でイェニチェリやベクタシュ教団が強制的に解散・鎮圧された後、その生存者達は組織を再編成し、身を隠しました。その後、第六次、第七次オカルト大戦に参戦し、神秘的・秘教的脅威と戦い続けた彼らは、より強力な独立した戦闘的神秘教団へと発展しました。
- 国際統一奇跡論研究センター — 世界最大のオカルト大学であるICSUTは、GOCの最大の研究パートナーです。1913年に設立されたICSUTは、奇跡論 — 科学的な神秘論とオカルトの研究 — の学習と教育に特化しています。ロンドン、チューリッヒ、スリー・ポートランドを含む世界中にICSUTの分校が存在しています。
- 改革聖テンプル騎士団 — 公的には1312年にクレメンス法王に解散させられたテンプル騎士団は、隠れ続けましたが、1939年にオブスクラ軍団に対抗して改革し、連合国オカルトイニシアチブを設立しました。第七次オカルト大戦において決定的な役割を果たし、AOIコマンドチームの部隊の大部分を供出しました。
- 硅のノルニルの従者達 — トランスヒューマニズムの宗教のひとつである従者達は、自らの目的を、技術的特異点の開始を促進することによって、"真のシリコンの女神" — 人類を未来へと導く慈愛に満ちた超知性的存在 — の創造をもたらすことであると信じています。彼らは、この目的を達成するために、彼らの成果のもとに導いてくれる、未来をも見通す三つ組みのスーパーコンピュータ — ノルウェー神話のノルンから、ウルズ、ヴェルザンディ、スクルドと名付けられている — に従っています。また、彼らは、ヨーロッパにあるGOC公認の超常自由港であるユーテックの創設と統治を担っています。
- サタンと科学者の統一教会 — 神を探し出し殺害することを中心的な教義とする、ラヴェイ派サタニズムの分派です。サタニストの魔術師(ウォーロック)は、反神学、戦闘認識論、対カルト作戦の専門家です。
- 万人救済主義者のアース神族教団 — その広範囲に渡るルーン奇跡術の知識、特に予言について高く評価される、スカンジナビアの復興異教主義者の教団です。教団は、GOCのことを、ラグナロクに抗うため人類を束ねるであろう手段だと信じています。
- 世界超保健機関 — 世界保健機関の超常部門であり、ミーム的病原体、感染性呪詛、超心理学的寄生生物、その他超常的な病気への対処に従事します。
GOCの本体は、加盟団体から独立した独自の運営と人員配置を行っていますが、加盟団体から追加の支援やスタッフが提供されることも多くあります。GOCの主要な部門と構成要素が以下に列挙されています。
- 最高司令部 — GOCの主要な行政・執行機関であり、すべての業務の調整に責任を負います。事務次長のオフィスに直属する部門は次官事務局と呼ばれ、法的には国際連合の一部です。
- 物理(PHYSICS)部門 — GOCの実行武力部門であり、評価班と排撃班によって行われる戦闘と治安維持のための作戦を担当します。
- 評価班781 ("ピラミッディアンズ") — 超古代文明の古代遺跡や建造物の探索を専門とする、敵対的考古学ユニット。
- 排撃班8688 (“ネズミ捕り") — プラハのゴーレムの支援部隊を起源とする”ネズミ捕り"は、プロのナチスハンターであり、オブスクラの僅かな残党と戦うGOCの主力戦力です。
- 精神(PSYCHE)部門 — GOCの外交力部門。特別監視員が非加盟組織のヴェール遵守を監視し、使節が他のオカルト勢力と連絡を取り合います。
- 天地(PTOLEMY)部門 — GOCの支持部門であり、物流や調達を担当します。また、各組織の研究開発の調整も行います。
連邦捜査局 異常事件課(UIU)
FBIの異常事件課はアメリカ合衆国の主要な国内超常機関であり、国内安全保障会議の司令の下、パラテック規制を実施しヴェールを維持する任務を負っています。手段と管轄の面での問題で、UIUは主に超常犯罪の調査と異常な事件の隠蔽に重点を置いています。彼らの最も重要な業務は、超常コミュニティ向けの飛び地としての役割を持つ、アメリカにいくつも存在する小型宇宙の治安維持です。また、彼らは超常最高管理刑務所であるパラマックスの運営にも責任を持ちます。
人員と予算の限界を補うため、UIUは、特に彼らの存在が目立たない超常の飛び地に、超常人間と異常な個人を"非標準捜査官"として大量に雇用しています。この哲学はMOOT(モバイル・オカルト・オペレーション・チーム)に最もよく表れています。MOOTは超常災害に対処するために、北米のほぼ全域に迅速に展開することが可能な戦闘的な奇跡術師からなる危機対応チームです。
アメリカ合衆国 超自然戦対応軍
アメリカ国防総省の超自然作戦統合司令部は、俗にペンタグラムと呼ばれます。ペンタグラムは米軍のあらゆる部門の超常戦部隊を取りまとめており、秘教的で異常な脅威から米国とその利益を保護することを任務としています。この目的のため、新型の超常兵器の開発と配備や異常資産の兵器化を監督し、世界中で秘密作戦に従事しています。
かつては連合国オカルトイニシアチブの加盟組織でしたが、世界オカルト連合からは長い間脱退しており、他の機関とは臨時の協力関係にあるに過ぎません。本来ならば大統領への説明責任を持ちますが、その活動は国内安全保障会議の監督下にないため、他の超常コミュニティのメンバーからはしばしば不正な機関として見られています。
米国の超常的な軍事部隊はすべてペンタグラムの権限下にあります。代表的なものが以下に列挙されています。
- 第13艦隊 — ペンタグラムの作戦に利用可能な水上戦艦の海軍艦隊司令部。第13艦隊に配属される艦艇の数は場合により異なりますが、通常は巡洋艦群に相当します。
- 第23超自然作戦対応部隊 — 陸軍の特殊部隊で、超脅威や他の非標準戦部隊に対する、超常技術や超常人間の資産を活用した非対称戦を専門とします。
ロシア連邦軍参謀本部情報総局 "P"部局(GRU-P)
ソビエト連邦の2つの主要な超常機関の1つであるGRU-Pは、第二次世界大戦中に、ソビエト連邦を超常的・オカルト的な脅威から保護し、秘教的兵器を利用して国家の敵に対抗するために創設されました。冷戦とパラテック兵器競争の開始により、部局の役割は異常なオブジェクトとパラテックのリカバリーとリバースエンジニアリングへと拡大されました。この役割において、部局は他国の数多くの企業・機関の知的財産を盗むためのスパイ活動も行いました。
冷戦の終結後、GRU-Pはロシア連邦で唯一の超常機関となりました。現在その役割は、共産ロシア後に台頭してきた異常オブジェクトとパラテックを扱うブラックマーケットを扱うことに重点が置かれています。
ヨーロッパ共同オカルトベンチャー(JOVE)
ヨーロッパ共同オカルトベンチャーは様々なヨーロッパの超常機関から構成され、欧州連合と緩やかに関連する多国籍超常機関です。JOVEは、欧州対外国境管理協力機関と似たような方針によって編成され、アメリカのUIUと似たような役割を発揮し、ヨーロッパにおけるヴェールを維持、そして超常の飛び地の治安を維持します。人員と資金が極めて限られているため、JOVEは主としてヨーロッパで活動する多国籍もしくは国際的な団体のための司会者と調整者として振舞います。
数少ない現場活動における主な焦点でもある、JOVEの結成のきっかけは、超常犯罪シンジゲートである緋色の鎚の活動拡大と、それに伴うソビエト由来の違法なパラテックの西ヨーロッパへの流入です。この役割において、JOVEは国家のもしくは国際的な境界を越える超常兵器に関する事件に対応する複数の機関の整理を助けることに役立っています。
イスラム・アーティファクト開発事務局(ORIA)
イラン革命以前、イランの国家超常機関はその地域で大きな権力を持ち、中東で傑出した正常性維持組織でした。組織の内部構造と中核的な使命は革命の影響を殆ど受けませんでしたが、新体制の地政学的な影響から完全に逃れることはできませんでした。彼らの活動の主な焦点は、現在も異常なアーティファクトの回収と研究に当てられていますが、組織の活動範囲は狭まり、地域内における外交活動も複雑化しています。それでも、この組織がヴェールの背後で大きな力を発揮していることは変わりません。
ORIAの最大の特徴は、ジンの採用・雇用にあります。ジンは低位な現実改変実体で、その能力を制限するギアスに縛られています。その制限とは、彼らの能力はギアスによって定義された、各ジンに固有の記号言語を使って命じられた、他人からの指示を受けてのみ使用することができるというものです。
殆ど全てのヴェールの背後の主要な団体は自ら超常科学の研究の取り組みを行っていますが、超常科学の研究と超常技術の創造だけ、もしくはそれを主として行う組織が数多く存在します。これらの組織の多くは、その起源が超常ルネッサンスまで遡り、近代超常科学の初期の発展に寄与する役割を担いました。
科学的知識の最先端の進歩の面だけが注目されることもありますが、大多数の超常科学研究団体は、また、ヴェールの背後にある世界へのパラテック製品の供給に従事しています。その一方で、ヴェールの抑制は公然とパラテックを販売することを不可能にしており、多くの会社がそれらの制限の抜け道を見つけようとしています。少数の主要な供給者によるパラテック開発の独占は、正常性維持組織への非常に大きな影響力をもたらし、条件付きの免責と共に取り締まりの抜け穴の点で優位性を得ることを可能にします。
株式会社 プロメテウス研究所
一時期世界最大の超常技術製造業者であったプロメテウス研究所は、人類の利益を追求し、新たな技術を開発するために異常現象を研究することを目的とした非公開企業として、1892年に設立されました。同社は超常ルネッサンスの発展に極めて重要な役割を果たし、20世紀の始めには超常科学研究のリーダーとして浮上しました。第七次オカルト大戦の間、プロメテウス研究所はその著しい技術の知識を同盟連合に貸し出し、その結果、戦後まもなくGOC、そして国家超常機関との間に主要な研究と供給の契約 — 正常性の黄金時代における同社の爆発的な成長のための段取りを整えた — が結ばれました。
戦後のパラテック・バブルの最前列に乗って、プロメテウス研究所は急速に拡大、競争相手を買収し、新たな子会社を設立して、世界的な研究産業複合体そして紛れもないパラテックの巨人となりました。ピーク時には、産業複合体は約30万人を雇用し、純収入約750億ドルを稼ぎ、数多くの子会社が非常にたくさんの通常・超常製品を、皿洗い機から巡航ミサイルに至るまで提供していました。
冷戦の終結は、黄金時代のパラテック・バブルの突然の終わりをもたらし、差し迫った金融的苦境 — 同社の難解な投資手法に対する重度の信頼によりさらに悪化した — にあるプロメテウス研究所が後に残されました。90年代後半における一連の壊滅的な研究事故は、1998年前半期に同社を破産の瀬戸際まで決定的に追いやりました。続く数か月を通して、同社はばらばらに分割され、1998年9月には、主要持ち株会社は決定的に解散し、唯一最大のコングロマリットは完全に散り散りになりました。
プロメテウス研究所の解散から現れた多くの会社のうち、特に重要なものが以下に列挙されています。
- アムリタ治療社 — 以前はプロメテウス生物工学の子会社であったアムリタ治療社は、崩壊後に高利益な総天然オートマトンの製造を続けながらも企業イメージを転換しました。近年では、アムリタは再生医療のテクノロジーが基盤となっている幹細胞の開発と実用化に事業を拡大していますが、継続中の開発事業と米国看護士協会への援助も維持しています。
- アルキメデス — 以前はプロメテウス・エネルギーの子会社であるアルキメデス・ソーラーであったアルキメデスは、プロメテウス研究所の崩壊後事業の範囲を拡大し企業イメージを変えました。アルキメデスの中心事業は太陽光発電の開発のままですが、社は暖房、電気配線、淡水化、無線電力供給のような関連分野にまで事業を拡大しました。
- アルゴ自動車 — コングロマリットの崩壊前はプロメテウス自動車グループとして知られていたアルゴ自動車は、1998年から2009年の資金を依存していた超常経済的投資戦略の失敗による破産まで経営されていました。この間、社はハイテクかつ高性能な乗物の販売で名声を得ていました。
- アステリズム・コミュニケーション — プロメテウス研究所は、スリー・ポートランド(および他の小型宇宙)とベースライン宇宙とのリアルタイム通信を可能にするエーテルネットのインフラを開発し、維持していました。コングロマリットの解散後、アステリズム社はスリー・ポートランド市政府と契約し、エーテルネットのサービスを提供し続けています。市は同社の50%の株式を保有し、残りは従業員、個人投資家、米国連邦政府が保持しています。
- アイリス・アート — もともとはプロメテウス化学の子会社であったアイリス・アートは、超常コミュニティの個々のメンバーにパラテックの対規模な商業化を売り込む初期の冒険的事業でした。同社の中心的な製品路線は、超常飛び地に住む超芸術家によって使用される多様な芸術品です。
- レッドゾーン・セキュリティ — プロメテウス・ソフトウェア・ソリューションの中心開発チームによって1998年に形成された、異常なアプリケーションのためのプログラムを開発することに専門化されたソフトウェア会社です。この会社はプロメテウス研究所のイントラネットのサーバーの維持の責任も負っており、プロメテウスの後継会社に限られた範囲で、比較的安価に、イントラネットのネットワークへのアクセスを可能にし続けています。
- シルバーハンド・サイバネティクス — 以前はプロメテウス医療の人体補綴部門であったシルバーハンド・サイバネティクスは、殆ど超常コミュニティに販売するためだけに製品を開発していました。主要な競争相手、アンダーソン・ロボティクスに買収されるまで、1998年から2004年の間経営されていました。
- タイタン家電エレクトロニクス — もともとはプロメテウス消費者技術であったタイタン家電エレクトロニクスは、1999年に今の名前とブランドを取得しました。タイタンはパラテックの一般消費者向けへの応用を開拓することに注力しており、その目標はしはしば正常性維持機関との利害衝突をもたらします。
アブラクサス・グループ
アブラクサス・グループは、多くの有力なネオ-サーカイト達によって設立された多国籍コングロマリットです。特筆すべき人物として、アブラクサス・アームズの創設者兼CEOであるアレクサンダー・クロイと、その妻でデュラント・ボドフェル金融の社長にしてネオ-サーキック組織アディトゥムの目覚めの精神的指導者であるビビアン・デュラント=クロイがいます。当然のことですが、彼らの事業の中心はバイオテクノロジーや医薬品です。これには超常的な製品から一般的な製品まで含まれます。また、武器開発、高額資産運用、化粧品産業にも携わっており、更にはハンガリー、ルーマニア、ニューイングランドに重要な不動産を所有しています。
アブラクサス・グループの幹部は、ほぼ全員がネオ-サーキックの貴族出身です。アディトゥムの目覚め、白蛆の秘密教団、飢餓の盟約が特に代表的です。彼らはマーシャル・カーター&ダーク社、そして意外にもマナによる慈善財団とも密接な関係にあり、医療機器、医薬品、異常生産された血液や臓器を(多額の税控除と引き換えに)定期的に寄付しています。
アンダーソン・ロボティクス
かつてパラテック業界の成長勢力であったアンダーソン・ロボティクスは、ヴィンセント・アンダーソンによって1994年に設立されたサイバネティクスとロボット工学の新興企業でした。正常性の黄金時代の終焉によって起こった混乱に乗じて、アンダーソン・ロボティクスは速やかにパラテック市場の大きな領域を支配するようになり、最先端の人工補充物、本当に本物らしいアンドロイド、超最先端の戦闘ドローンを創り出すため、魔術と電子回路を組み合わせました。その優秀だが自己中心的な設立者に導かれ、アンダーソン・ロボティクスはおおっぴらにパラテックにおける規則を破り、ついには財団と次いでUIUの怒りを招くことになりました。
およそ20年にわたる調査と失敗に終わったおとり調査の末、2024年に財団とUIUの共同任務部隊がスリー・ポートランドのアンダーソン・ロボティクス世界本社への手入れを行ない、同社の上位経営陣の大多数 — ヴィンセント・アンダーソンを含む — を捕縛し、この国際的作戦を終了させました。アンダーソンの失脚をきっかけに、多くの元従業員がフェニックス・サイバネティクスを結成するために働き続け、新たなサイバネティクス新興企業が初期のアンダーソン研究開発チームの中心メンバーによって設立されました。 この新しい会社はアンダーソンの過ちを繰り返さないと約束しており、UIUによって厳重に監視されています。
ザ・ファクトリー
最大級の異常原料の供給者の1つであるにも関わらず、ファクトリーは出資者、重役、幹部、製造施設すら不明の存在として知られていました。分かっていることは、彼らは他の超常技術企業に、その品質がしばしば怪しまれるにも関わらず、異常な原料や部品を供給するということです。プロメテウス研究所の崩壊によるパラテック産業の混乱は、ファクトリーに彼らの事業を拡大する機会を与えました。そのひどい評判にもかかわらず、冷戦の終結からのパラテック産業の落ち込みにより、他の供給者のない多くのパラテック企業は、ファクトリーに頼ることを強いられています。
マーシャル・カーター&ダーク株式会社
主に超富裕層向けの"紳士クラブ"であるにも関わらず、マーシャル・カーター&ダークは超常技術の購入と転売にも従事しています。彼らはパラテック産業における一種の中間業者としての役割を果たし、原材料供給者、最終製品の製造業者、そしてパラテック製品消費者との間のつながりを確立します。彼らはこの役割において顧客層から大きな恩恵を受けており、正常性維持組織からの防護措置による高利益取引を画策するために、世界中のエリート層との間のコネクションを使用します。
オネイロイ株式会社
オネイロイ社は、もともとは1960年代にメタフィクション的空間へのプロメテウス研究所の遠征の派生として考案され、特注の夢での休暇から、潜在意識行動療法、メタフィクション的施設でのデータの保管と検索まで、難解なサービスを幅広く提供しています。これらの活動の技術基盤は、オネイロイ社の外ではあまり理解されておらず、人目を忍ぶ上層部はこのやり方を進んで維持しています。
オネイロイのメタフィクションと夢界空間を伴う実験はしばしば正常性維持機関による疑惑を招きますが、上記の実験の性質上証明は困難です。この会社の顧客の一部は、鮮烈だが散発的な他の世界の光景と定期的な正体不明の人物との遭遇を含む、異常で不穏な副作用を治療に伴い経験したと主張しています。オネイロイ株式会社はこれらの主張を否定していますが、これらの症状の性質および類似性は、オネイロイの技術を認知的病原体の潜在的なベクターとして世界超保険機関に分類させることになりました。
超常科学が超常現象に対して科学的手法の道具を適用した結果である一方で、証明できないことや未知のものと直面した時、答えを出すために、代わりに信仰に頼る者達がいるということは驚くべきことではありません。超常ルネッサンスの発見により現れた、いくつもの異常信仰がヴェールの背後で生い茂りましたが、それらの信仰の原理を提供する情報の広まりを抑圧しようと努める正常性維持機関との紛争が頻繁に生じることになりました。
本来は宗教的もしくは宗派的ではありませんが、ヴェールの背後で活動する一握りの人道的団体が、異常信仰と類似した立ち位置をしばしば占めています。巨大なパラテック供給者のような影響力を持たず、ヴェールに反対する方針をたびたび主張するので、人道的関連団体は正常性維持組織による厳しい監視に直面します。
壊れた神の教会
壊れた神の教会は一枚岩の宗教組織ではありません。代わりに、この言葉は、新生メカニトカルト集団の多様な集合、そして共通の起源と主要な教義を共有する宗派を示します。超常ルネッサンスは、廃れた古代メカニト信仰の多くの遺物と文書の修復を推進しましたが、近代メカニト運動はその考古学的成果に起源があるとみています。新生メカニトは古代メカニトの原典を近代に再構築するという信念に基づいていますが、ばらばらになった修復された文書の本来の意味するところについては、非常に様々な矛盾する解釈があります。
全てのメカニトの宗派は自然神教、グノーシス主義として説明でき、不活性化し、ばらばらとなった神への共通の信仰を共有し、物理世界にその神聖な火花を捕えます。メカニトは有機生命を世界の物質的完全性を堕落させるものだと信じ、技術的神格化をもたらすため、彼らの神の全く異なる断片を、再統合しようと努めます。多くのメカニトは徹底的な肉体改造に従事し、自身を「製錬」するため、生物としての組織と器官を機械的 ― そしてしばしば異常な ― 部品に置き換えており、これによって彼らの神の神的完全性に近づくことができると信じています。この機械化の過程が原因で、メカニトは正常性維持組織との対立を余儀なくされ、伝道をヴェールの背後に留めることを強いられています。
壊れた神の協会の一派であると考えられる多くのメカニトの宗派のうち、特に重要なものが以下に列挙されています。
- 壊れたる教会 — 最も古い新生メカニトの宗派であり、近代メカニトの間で正統派教会に一番近い存在です。壊れたる教会は、特に第一次世界大戦の恐怖への反応として、1920年代に初めて現れ、彼らの新しい教義は古代メカニト遺物の最近の発見に基づきます。さらに続く数十年を通しての発見により、1946年にこの宗派の明確な指導者として現れたロバート・ブマロの元で、宗教上の教義と制度上の構造が、改善そして成文化されました。壊れたる教会は、メカーネの残骸は物理的な形をとると信じ、それらの破片から彼らの神を文字通り再び組み立てようとします。彼らはこの目的のために上述した破片の獲得に専念していますが、メカーネの残骸であるはずの物の多くは、正常性維持組織の管理下にある危険な異常物品であることがしばしばです。
- マクスウェリズム教会 — 壊れたる教会の分派として1960年代から70年代にかけて現れたマクスウェリズムは、メカニト技術の融合という手法を取り、融通の利く教義と共に、脱中心的な教会を作るため、近代(超常)技術と古代メカニトの聖典を組み合わせます。マクスウェリストは、壊れた神の残骸は物理的な形を取らず、かわりに人間の意識と文化の広がり全体に広がっていると信じています。マクスウェリストは、全ての人間の意識が接続され、全ての人間の知識を収納する単一のコンピュータネットワークを作り出そうと努め、そのことが彼らの神の再統合と人類の神格化という結果となると信じています。
第五教会
第五教会は、第五主義と呼ばれる異常なイデオロギーの最も組織的な傾向です。自己啓発運動を装ったニューエイジ宗教である第五教会は、5という数字への執着、占星術的現象、そして指示された信念による物質的現実の否定を特徴とします。第五教会の教義については殆ど知られていませんが、その核となる考え方や実践の多くは、因果関係が異常であり、我々の現実に由来するものではない可能性があります。その正確なメンバーは秘密にされていますが、第五教会の勧誘は有名人やその他の注目を集める人物をターゲットにしていることが知られています。
境界線イニシアチブ
主要なアブラハムの信仰を含む複数の宗派の宗教組織である境界線イニシアチブは、複合的な宗教団体かつ正常性維持機関であり、正常性合意を決定した非宗教的な団体の支配に気づき、対抗するために第七次オカルト大戦の直後に結成されました。より一般的な正常性維持組織が国家政府から受けているものと同水準の資金提供や支援は得られないため、境界線イニシアチブはボランティアと寄付に大きく頼っており、そしてその結果イニシアチブは高度に分権化され、組織の主要な部隊は総計でも1000人に達しません。その自給自足を達成するための最善の努力にもかかわらず、境界線イニシアチブは正統派の宗教組織、特にローマ・カトリック協会に少なくとも一部は依存しており、そのことから教皇絶対主義者の陰謀であると非難する者もいます。
イニシアチブは独立したアブラハムの神秘主義的な教団を可能な限り編入しようと動き、現場での活動 — 主に宗教遺物の獲得とカルト活動の阻止 — を行うためにそれらの既存の基本設備に頼ります。その複数の宗派からなるという性質と制度上の結束の欠如のため、境界線イニシアチブは時折旧連合国オカルトイニシアチブ — さらに言えばイニシアチブには元AOIの構成組織が含まれ、宗教遺物の保護へ注力するという類似点がある — と比較されてきました。
マナによる慈善財団
マナによる慈善財団は、1971年に設立された非営利の人道的救済組織です。その活動の多くが本来は通常である一方で、彼らは、人道的救援物資提供のために超常技術を活用しようとする試みを複数回に渡って実施しました。正常性維持機関による強い反対にもかかわらず、それらの取り組みはおおむね成功しましたが、欠陥のあるパラテックに起因する大きな損害をもたらした少数の失敗が、この組織の評判を幾分か傷つけました。
蛇の手
テロリズムと行動主義の間の境界をまたぐ蛇の手は、蛇の手は、彼らが言うところの"合意的正常性が持つ権威的性質"に対する反感によって連帯する緩やかな個々人の集合です。手のメンバーはヴェールの制限に一貫して反対する運動を行っており、特に彼らが把握した、正常性維持組織による超常人間と異常な非人間存在への虐待に注視しています。手のメンバーの大半は、彼ら自身が超常人間であるか非人間存在ですが、最も発言力のあるメンバーの中にはベースラインの人間もいます。
公に正常性に反対することを困難かつ危険にするヴェールの性質のため、手は主に超常飛び地の内部で、もしくはそこを拠点として活動します。特に、放浪者の図書館の厳格な中立と強制的な暴力の禁止が正常性維持組織による報復の可能性から手を保護するため、活動の拠点としてたびたび使われます。
自然と分散し、そして一貫したリーダーシップが不足しているため、蛇の手はメンバーの行動に対して非常にわずかしか制御できず、また正式な人員構成の欠如は、特定のグループもしくはその名のもとで行動する個人との関係を、その運動のために否認することを殆ど不可能にしています。その結果として、蛇の手は再三再四正常性維持組織への暴力的な攻撃と関連付けられ、多くの人々にその運動全体を疑念と共に見られることになります。
ヴェールとそれを支持する組織に直接反対する団体が存在し、これらはテロリストもしくは犯罪者だと見なされています。イデオロギーによって突き動かされるものもあれば、単に手早く大金を手にしようとするものもあります。これらの団体と正常性維持組織によって大目にみられている団体との差異は、実は政治的都合によるものです。どんな事例であろうと、これらは超常コミュニティから追放された者たちであり、ヴェールを維持する者の逆鱗に触れることを恐れる人々に忌避されています。
カオス・インサージェンシー
カオス・インサージェンシーはいくつかの異なる過激なオカルト団体の緩やかな連合です。彼らの目標と方法は変化に富んでいて様々であり、インサージェンシーの中で異なる派閥のためにお互いに対立して活動することが珍しくないほど、非常にまとまりがありません。しかし、彼ら全員が共有しているのは、正常性維持組織によって強要される現在の体制をくつがえすという強い願望です。
最大勢力からテロリスト組織だと見なされており、インサージェンシーは潜伏・偽装しながら活動しています。彼らの活動は、異常物品の密輸、(通常、超常の両方を含む)武器取り扱い、人間・超人間売買、スパイ活動、恐喝、そして妨害行為を含みます。
シカゴ・スピリット
一時期西半球最大の超常犯罪組織であったシカゴ・スピリットは、異常物品の違法売買に従事する小規模の密輸組織として1885年に始まりました。続く30年間を通じて、スピリットは急激に拡大し、その活動に新たな種類の犯罪と超常犯罪を加え、北アメリカ中にその影響力を広げました。その高利潤な密輸活動を行うための"道"のネットワークの知識を活用し、組織は禁酒法時代の間にピークを迎えました。
しかし、スピリットは、主に財団とUIUによるその活動に対する厳しい取り締まりの結果として、すでに1930年代までには衰弱状態にありました。財団がシカゴ・スピリットのリーダーであるリチャード・チャペルを1933年に捕獲した時点で、組織の残党は速やかに瓦解しました。1938年までには、シカゴ・スピリットは実質的に消滅しましたが、その構成員の多くは続く何十年にもわたって個人単位での犯罪活動に従事することを続けました。
正常性の黄金時代の終焉によって闇市場におけるパラテックの入手難易度は大きく下がり、路上レベルの超常犯罪の著しい増加がもたらされました。不法な機会で儲けようと現れた多くの犯罪組織のうち、少なくとも1つが、長らく解散していたシカゴ・スピリットの後継者を主張しています。いくつかの主要なパラテック強盗が関与していたのにも関わらず、このいわゆるシカゴ・スペクターは、非常に小規模な活動に留まり、かつてシカゴ・スピリットが成し遂げた力とそれが及んだ範囲には遠く届きません。
灯台マフィア
スリー・ポートランドで単なる密輸組織の1つとして発足した灯台マフィアは、正常性の黄金時代が終焉を迎える中、経済の破綻と超常機関の資金減少に乗じて急成長し、シカゴ・スピリット以来最大の超常犯罪シンジケートになりました。現在もスリー・ポートランドを拠点に、密輸から恐喝、麻薬取引、賭博、投資ファンドの運営など、その活動範囲を広げています。
2011年にマフィアのボス、ハミルトン・バークを逮捕・収監するなど、UIUのスリー・ポートランド支局が粘り強く活動を続けていますが、2000年代初頭の拡大期と比べると大幅に成長が鈍化しているものの、灯台マフィアの活動はそれ程阻害されていないようです。彼らは現在、北米最大の闇パラテック業者であり、ヨーロッパや旧ソ連圏の他の超常犯罪グループと多数のコンタクトを持っています。
オブスクラ
オブスクラ軍団はナチスドイツの親衛隊アーネンエルベの超常部門であり、オカルトや異常に対する実験と研究全てを担当していました。その研究の究極的な目標は、ソロモンの儀式の実行とナチス体制の人種的計略の前進にそれを使うことでした。彼らはこの試みに対し、ナチス党とのつながりを持つドイツのオカルティストの団体であるトゥーレ協会に援助されていました。第七次オカルト大戦— オブスクラ軍団による儀式のための文化遺物の取得を試む過激化していった行動に対する反応として起こりました — の勃発に伴い、オブスクラ軍団もまた、ナチスドイツのために遂行されるオカルト戦争に責任を持つようになります。
第七次オカルト大戦の終結時、オブスクラ軍団とトゥーレ協会内の協力者は決定的に敗走させられました。これらの機関の生き残った人員はすぐに、連合国オカルトイニシアチブとその後継者である世界オカルト連合(GOC)による国際的な捜査の対象になりました。多くのナチスのオカルティストがGOCにやがて捕らえられることになりましたが、少数はうまく捕獲をのがれて隠れてしまい、最終的にオブスクラとして知られるテロ組織を形成し始めます。ナチス体制の完全な崩壊直後のオブスクラの目標はGOCに対する復讐が大部分を占めていて、オブスクラが不可避的に破壊される前に可能な限りのダメージを与えることに集中していると見られます。
緋色の鎚
特殊現象部門(DSC)はKGBの超常部隊であり、ソビエト連邦の超常兵器備蓄の管理を担当していました。ソ連が1991年に崩壊した時、特殊現象部門を含むKGBは、実を結ばなかった八月クーデターにおけるその役割のため解散させられました。その結果、元長官が率いるDSC内の複数人の将校が反旗を翻し、大量のソ連製超常兵器とともに姿を消しました。これらの反逆的なDSC構成員は緋色の鎚として知られる超常犯罪シンジケートとなることになりました。
緋色の鎚は旧ソ連圏の超常兵器と違法パラテックの最大の売人ですが、その活動は西ヨーロッパと東南アジアまでにも及びます。闇市場における、超常兵器のもう1つの売り手であるカオス・インサージェンシーと競合していると考えられています。
最後に、何らかの理由で従来の分類に反するグループが存在します。多くの場合、たとえヴェールの背後で活動していたとしても、彼らの目的や方法がヴェールと直接関係していないためです。
黒の女王
黒の女王は、多元宇宙間を移動する先天的な能力を持つ、数多くの個々人の通称です。その異なる起源のため、父親の失踪や、自身の多元宇宙における放浪者の図書館の発見のような、明白な共通点を持つにも関わらず、それぞれの黒の女王は違った目的と手段を持ちます。
何人かの黒の女王は、現在我々の多元宇宙で活動しており、その多くは多元宇宙間のパラテック取引に従事しています。最低でも1人の黒の女王がカオス・インサージェンシーの作戦に関与しており、他にも複数が蛇の手と緩やかに関連しています。
ディア大学
ディア大学は、アメリカ北東部とイギリス南部に隣接する異次元都市国家スリー・ポートランドの中心部に位置する、男女共学のリベラルアーツオカルト科学大学です。ディア大学は、一般社会とオカルトの融合に重点を置いたカリキュラムと、定評ある超芸術プログラムを持ち、GOCのバックアップを受けているライバル校であるICSUTポートランドキャンパスと対をなす、リベラルアーツ大学と認識されています。アンダーソン・ロボティクス社の創業者兼CEOであるヴィンセント・アンダーソンや、マーシャル・カーター&ダーク社の共同経営者の1人であるアイリス・ダークなど、異常世界の著名人にはディアの中退者が多くいます。